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呪縛(ダーサリ×サリア)(文)

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呪縛



許せなかった。
自分の「オリジナル」として生きているあの女が。
──許せなかったのは、きっと自分が持っていない全てのものを持っていたから。
可憐さ。純粋さ。素直さ。愛。友。平和で──幸せな日々。
全てあの女は持っている。あたしにはないもの。
──そして、結局あたしには、こんな娼婦のようなあたしには必要のないものだ。
でもあたしは欲しかった。自分にないものがあるのはいやだ。欲しい。ほしい。ホシイ。
物欲が多くて何が悪いんだ。
 そう思うと居ても立ってもいられなくなって、あの女の住まいへと急いだ。
それでそいつに会った。
やっぱりあいつは可憐だった。あたしの目から見ても。
驚いていた。自分にそっくりな……しかも、自分と正反対の汚らわしい人間を目の前にしたんだから、当たり前だと思う。
あいつはあたしを見た。その偽りのない済んだ目で。綺麗な緑の目で。
 ──悔しくて悔しくて仕方が無かった。
あたしはあの憎い男の手によって慰み者として作られた「コピー」。
永遠に、自由にもなれないし、自由になる気もない程堕ちている女だ。
方や、この女は……────────。
 あたしの心に憎しみが満ちた。結局、私を動かすのは『憎しみ』とか『嫉妬』とか、そういう感情なんだと実感した。
あたしはそいつを汚してやりたい衝動にかられた。
生憎あたしは親切な理性なんて持ち合わせていない。動物のように思ったことに従う。
あたしはそいつの服を力一杯引き裂いてそれからそいつの裸体を舐めるように見ると、呆然と立ち尽くすそいつにキスをした。
いつもあの男にするような、とびっきりの深いやつを。
それが終ると、放心したようにぱたん、と地面に座り込んだそいつをしり目に、あたしは意地悪な笑みを残すとすぐにそこから走り去った。
 帰り道に考えた。
きっとあいつは今日のことを忘れないだろう。
女に犯されそうになった恐怖と、きっと感じたであろう快感に戸惑い、その理由を自分に問うても分からない気分の悪さに苛まれるだろう。
──これで、いい。
あたしはあいつに永遠に消えない呪縛をかけた。
あたしはあいつを辱めることに成功した。
あたしはあいつの記憶から消えない。
多分、ずっと。



これは華京きたさんが書かれたダークサリア×サリアのSSです。
ダークサリアも罪がないじゃないですか。でもこの事は罪じゃないですか。
このややこしさを感じさせるような文章が面白く何度も読みかえしてしまいました。
台詞がなかったり、『あの女』『あいつ』といった曖昧な表現がオイしいです。
『方や、この女は……────────。』という部分から憎しみや怒りのせいで言葉が上手く出てこないというような事が表現されているように思いました。
なんとなく、苛立ちなどで息とか荒くなって『この女は…』と言った後に大きく息を吸っているような感じがします。
『呪縛』という言葉をここに持ってくるというのが、何と言えば良いのでしょうか。なんか凄いなと。
サリアに自分の事を忘れさせないようにするまじないをかけた、というような表現で、なるほどと納得してしまいました。

実は華京さんに『ダークサリア×サリアって良い』というような、わざとらしい独り言を言っていたのですね…。そしたら本当に書いていただけたのです、よ。
本当にありがとう、ございました。
もう場面が頭の中で動画になって出てきています。

[ 2002/06/17 ]


作者 : [No.04]華京きたさん

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