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| はじめに | ||
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住宅金融公庫が平成8年に行った調査によると、50.7%
の人が「住宅を建てるにあたって家相による位置や方位 を考慮した」と答えています。家相をたかが迷信と片付け られないことを示すデータです。詳細な調査結果をみる と、特に「玄関」(53.9%)と「便所」(66.7%)に関心が集まっ ています。家相を非科学的な占いと切り捨てる人もいます が、中には現代の設計手法に応用できるものもあります。 一般的によく言われる「鬼門(北東)を避ける」も、その根拠 を合理的に説明することは可能です。現在の建築計画学 では家相は一種の統計学と見なされており、先人の経験 則による設計タブー集といったところでしょう。 |
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| 八卦極図〜家相方位盤の元になるもの |
| 玄関について | ||
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設計者の立場からいえば、建物の入口である玄関は「建築の顔」であり、もっとも重要な部分です。
入口の位置や方位は家相を信じなくとも重視されるべきで、玄関に関心が集まることは至極当然とい えるでしょう。家相では鬼門(北東)の玄関を避けます。その合理的な根拠としては、冬の寒い北風が侵 入する、日当たりが悪いので薄暗く印象の悪い玄関になる、湿気が多く靴や傘にカビが生える、といっ たところがあげられます。鬼門のルーツは古代中国にあります。中国漢民族から見て鬼門(北東)の方 角に侵略者(蒙古人)がおり、彼らを鬼と見なして恐れたことが始まりとされています。現代に置き換え るならば、北風や寒さや暗さ、カビが「鬼」なのでしょう。では、どうしても鬼門(北東)にしか玄関をつくれ ない場合どうするのか?北風を避けるため風除室を設ける、寒ければ暖房する、暗ければ照明をつ ける、じめじめするなら除湿する、など現在の技術を駆使して鬼を退治するのが合理的な解決方法と いえるでしょう。無理に玄関の位置を変え、建物全体をバラバラにしてしまっては本末転倒です。ちな みに南東の玄関は「辰巳入り」といい、吉相とされます。 |
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鬼門に植えるとよいといわれる樹木の一例です。左は「ナンテン」の木。ナンテン→南天→難転→難を転
じる、という効果?があります。右は「ヒイラギ」。ヒイラギ→柊→木へんに冬→冬は「トウ」と読む→トウは
「逃」→鬼が逃げる、あるいは葉に棘があり鬼除けになるとも。その他に「エンジュ」は「延寿」に掛けて長
命になるといわれます。
上記の例は言葉の読み替えから吉とされたものですが、樹木の吉凶にも合理的に説明できるものがあ ります。北西の高木(竹など)は吉とされていますが、北西の冷たい季節風を避ける目的があります。また 東のツツジ・ツバキ、南東のアジサイ・ウメ等が吉ですが、これには大木にならず光を透す樹種が選ばれ ています。カキの木は凶とされ(吉とする文献もあり)ますが、一説によれば枝が折れやすく上ると落下の 危険があるからだそうです。家相の吉凶にかかわらず、一般的に南に落葉樹を植えることが多いようで す。落葉樹は夏は茂った葉が日光を遮り、冬は葉が落ちるので日光を取り入れることができます。落ち 葉を集めてやきいもが楽しめます。 |
| 便所について | ||
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便所の位置については、家相の解説本にも様々な説があり、昔から苦労した部分であることがうか
がえます。まともに家相を適応すれば、便所をつくる場所はありません。なかでも鬼門(北東)の便所は 大凶とされ、寒さ・暗さ・湿気の多さを嫌ったものだと考えられます。日当たりの良い東側・南側は客間 や居間としたい、西日も避けたい。かといって家の中央では汚水が家の中を横切ることになり、もし詰 まったら…。現代の設計者にとっても難しいところです。北に設けるなら暖房便座を用意する、西なら 開口部を小さくする、どうしても家の中央しかないのなら、点検が容易にできるよう床下の設計を工夫 すべきでしょう。じつはこれらの工夫は現在の高性能住宅の設計仕様に採り入れられています。現代 に生かされた家相の一例です。 |
| 「吉凶相半ば、大吉」 | ||
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家相に徹底的にこだわったとしても、すべてを吉相とすることはできません。実際の建築設計におい
ても、すべての条件をすべて同等に採り入れて設計することは不可能です。設計の妥当性を確認しつ つ、全体のバランスを考えてまとめることが重要です。「吉凶相半ば、大吉」 この言葉にも先人の知恵 が込められています |
