今更ながら松本人志監督作品「大日本人 」について書くのは映画館に行って
寝てしまったら、もう費用対効果の点で0になるなと思ったのでDVDが出るまで
待っていたためである。数分見逃すと意味が通らなくなるようなものなのではないか
と思っていた。また、自身の怠惰という理由もある。
実際2,3秒見逃すとなにが起こったのが、どんな意図があるのかというのが
わからなくなる点があったのでそういう点では有意義だった。内容としては、
エンターテイメント的作品ではないわりに、わかりやすいメッセージを
作品全体に織り込んでいるわけでもないものであり、設定など変えずに
2時間延々とやる必要性が見えてこない作品だと思った。
一貫したメッセージはないように見えたが、伝統の形骸化、「生き甲斐」
みたいなものの陳腐化、演出や偏向報道による大衆誘導などそれ一つを掘り
下げれば、何作も映画を作れるようなテーマを、電気で巨大化するオッサンだけで
表現しようとしていたのが、松本監督のセコさをよく表しているように思う。
人間、社会に対する問題提起はできているように見えるが、監督なりの
解決策を提示するには至らず、最後の方で「ドカーン」という感じで
終わっているのが残念だ。それが答えなのかもしれないが。
そのようなメッセージ性を持たせながら(怪)獣と大日本人をCG技術で
戦わせる。この部分は最後の方にあるシーンへのフリなので、ある程度は
必要不可欠だが、それでも時間が長すぎやしないか。ただでさえ長い上に、
SFなので設定をある程度説明する必要があり、そのためにただでさえ
多種なメッセージが更に散漫になった印象がある。
万人が全ジャンルの映画に求めているであろうあらゆる要素を詰め込もうとしたが、
それを一つのストーリーとして完全にはまとめることができなかったように思う。
そんな試みをしてなまじ成功してしまったら、芸人でなくもう普通に
大監督ではないかと思う。成功しなくて良かったと思う。
そんなことをせず、ただただエンターテイメントに特化したものすごくばかばかしい
作品を松本監督には作り続けてほしいと私は思った。
笑いとしては、密度は薄いがいろいろなパターンがあり悪くはなかったが
ストーリーを膾炙するために、楽しむ余裕はあまりなかった。
映画にするための何かがあるものと構えて見てしまったので笑いどころが
少なかったように見えたのかもしれない。
|