鍋の季節ということで外食屋にも鍋物を始めた云々
という旗を見かける。と、奇妙な鍋の旗を見つける。
「とけい鍋」
と殴り書きをしている。これはひねりすぎて損をしていると思う。
とけい鍋というものを作ったならば、普通に表記すれば
いいのではないか。殴り書きをする必要性を感じないのである。
普通のお品書きを殴り書きにしてあれば面白い。殴り書きで
「ご飯」殴り書きで「麦茶」これは面白い。とけい鍋
というものならば、それ自体面白いので面白さが分散されてしまう。
とけい鍋とはまた面妖なものを考えたものだと思ったが、
納得する部分も全くないとは言えない。無人島に放り
出され、食うものがない。そんなときは皮製のベルトや靴を
煮て、そのにこごりを食うというようなサバイバル術があるらしい。
となれば、時計のベルトを出汁にしていろいろなものを
ぶち込むとけい鍋というものがあってもおかしくはないだろう。
あるいは他の意味の「とけい」があるのかと思って
その外食屋に入ろうかと思ったが、やめた。
旗が「とけい鍋」ではない事に気づいた。「旨い鍋」と
書かれていただけだった。殴り書きだったためヒの部分を
「と」、日の部分を「け」と見間違えたのである。
このような見間違いを誘発させるために「旨い鍋」
と殴り書きにしたならば、その意図にまんまとだまされる
ところだった。間一髪助かった。 |