まぼろしクラブ顛末記

「赤い馬」とは長編『人工衛星W47』(単行本収録時に『黄色い馬』に変更)に登場する謎の麻薬の名前である。
宇宙塵を原料とするこの麻薬を一度飲むと、天にも昇る心地となり、思わず踊り出すのだ。
しかし赤い馬が切れると、激烈な禁断症状が出現し、どのような手段を使っても薬を求めようとする恐ろしい薬である。

秘密組織「まぼろしクラブ」↑は、銀座八丁目の粗製乱造ビルの地下を根城とし、日本全国にその密売ルートを広げ、莫大な利益をあげていた。
さらに、お茶の水博士までも中毒患者にして、コバルトを麻薬運び人に仕立てたまでは良かったが、にっくきアトムの潜入捜査によって壊滅的打撃を受け、さらに廃棄された人工衛星上の工場までを失ってしまったのだ。

ボスのダブリュー・アイ↑はアトムへの復讐心に燃え、無敵の電磁ロボットをアリゲーター博士から購入、アトムの両親を人質にアトム破壊を狙った。この作戦は一時功を奏したかのように見えたのだが、謎の世捨て人・天馬博士のおせっかいによって計画は灰燼に帰し、ボスを含めたまぼろしクラブの生き残りは、哀れ、日本アルプスの雪の下に生き埋めとなった。



後年、まぼろしクラブと赤い馬に関する資料は、手塚の手により単行本から大部分が削り取られ、全く異なる作品に変えられた。