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アトム

『火の壷島(人工太陽球)』のラスト、
重傷をおったホームスパンの回復をじっと待つアトム
大きな椅子にチョコンと座るアトムがかわいい♪

 アトム三回目のアニメ化作品『アストロボーイ/鉄腕アトム』は、未完成のアトムに対する生みの親・天馬博士の謎の行動がメインテーマである。天馬博士の行動は何を意味するのであろうか?

 アニメの『プルートゥ』前後編を見終えたところで、次のようなアホな考えが・・。
(以下、当時の掲示板の発言)

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 今回『シャドー』という名前が登場したところから推察するに、メインスタッフの頭にはユング心理学がインプットされていたのではないでしょうか。

(以下仮説ですが)
 天馬博士はアトムの電子頭脳の中に独立して動く膨大な数のコンピュータを入れておいた(これが『心』をつくるコツ。それまでのロボットは必要な種類のコンピュータだけしか入っていない)。アトムが目覚めたとき、その中のほんのわずかのコンピュータだけがネットワークを組んでいた(これが『自我』)。ところがメインのネットワークに繋がっていない無数のコンピュータもそれぞれ勝手にグループを作っている(これが『コンプレックス』)。メインネットワークとつながっていないコンピュータ全体を『無意識』といい、その内容をメインのネットワークである『自我』は知ることができない。でもときどきシステム全体(これが『自己』)に何らかのトラブルを起こす(意味もなく不安になったり哀しくなったりと)。『コンプレックス』の中でもメインのネットワークと相容れない部分をとくに『影(シャドー)』と呼ぶ。

 で、お茶の水博士の目的は、アトムのメインネットワークだけをしっかりさせようとしている(または徐々にネットワークの範囲を広げていく)のに対し、天馬博士は『コンプレックス』の部分を強めてメインネットワークと強制接続させようとしている。そのために外から刺激を与えてメインネットワークにゆさぶりをかけようとする。たとえばアームキャノンという武器に関するネットワーク(コンプレックス)はアトラスとの戦いのストレスによって初めてメインネットワークと接合することができ、アトムが自分の意思で使うことができるようになる。

 というわけで、天馬博士の目的は、外からいろんな刺激を与え、アトムのシステムに無数にある『コンプレックス』を表に出してむりやりメインネットワークと結合させ(その結合方式は無限にあるので天馬にも最終的にどのようなシステムになるか予測できない)、アトムの『心』を完成させようとしている、のではないでしょうか。

 こう考えると、原作にあったオメガ因子も、ただの『悪い心』ではなく、ロボットの回路内に存在する普段は使わないネットワークがメインネットワークと結合することを促す装置、と言えるでしょう。

 手塚作品そのものがユング心理学的的分析の対象になりやすいですから、スタッフがロボットの『心』を『自我』『無意識』『シャドー』といったユング独特の解釈を利用したと考えることもありうると思います。となると、アトムの最終回は『グレートマザー』と一体化したアトムが神話的人物となって新しい道を人間に示すということになるのかも(意味不明だぞ)。

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 ついでだからユング心理学をネットワークに喩えた話の続きです。

 生まれたときは小さなメインネットワークだった人間もいろいろ苦労(外界との摩擦)をすることによって徐々に独立して動いていた他のネットワーク(『コンプレックス』)を自分の中に消化(取り入れ)して、人間性を確立していきます(これが『自己の確立』)。この接続をうまく行えなず、別のネットワーク(コンプレックス)に邪魔されてシステムダウンした状態を『精神病』や『神経症』と呼びます。(これはユングの説)

 フロイトは、このコンプレックスを除くことが心の病気の治療だと考えました(メインと接続してないネットワークは破壊する)。これに対し弟子のユングはコンプレックスを肯定的に考え、なんとかメインと接続してコンプレックスをメインに取り込むべきだと主張しています。コンプレックスを取り込んだメインネットワークはその能力を更に高める、と考えたからです。(この意味ではお茶がフロイトで天馬がユングでしょう)

 しかし、システム内のほとんど無限にあるすべてのコンピュータと接続することは不可能なので、死ぬまで『人間の心は完成しない』のです。

 ところが、システム内のコンピュータのネットワークには何らかの共通するものがある筈です。その共通するものを知ることが『悟り』で、悟ってしまうと、すべてのコンピュータと接続していなくとも、すべての知識を得ることが可能ではないか、とユングは考えました。その共通するものが『大いなる知識』とか『覚醒』とか『グレートマザー』とか『人類すべてがあらかじめ持っている知識』と呼ばれていますが、このあたりがユングが日本で好かれる理由なんでしょうね(ユングが日本の禅からアイデアをもらったという説もあり)。もしかしたらオペレーティング・システムのことかも知れない(笑)。

 アトムがこのまま覚醒を続けて最終的にお釈迦様みたくなり『人類の王(つまりキリストのように精神的世界の王?)』とするのが天馬の目的かも知れませんね。


(2003/8/26掲載)