ロックはみにくいものが大嫌い Back Index Next
『アラバスター』(1)

きみは・・・天使の生まれ変わりかも・・
知れないね
少年チャンピオンに1970年12月〜71年6月にわたって半年間掲載された『アラバスター』。
何にもまして「裸になって鏡に抱きつくFBI捜査官ロック」によりファンの度肝を抜いたことで悪名高い作品である。
世の中から美しいものを消し去ろうとするアラバスター一味を捕らえるためアメリカからやってきた腕利き捜査官ロック・ホーム!しかし彼はちょっと・・・変だった!
まずはロック登場シーンを紹介しよう。現在読むことのできる単行本版(手塚治虫全集版で初めて単行本化された)での台詞はかなり変更されている。ロック独自の美学をオリジナルの少年チャンピオン版で楽しもう!色の変えた部分が台詞変更部。「醜いために犯罪に走る」というのは現在はダメ。
大切な鏡抱きつきシーンも単行本では半ページがカットされている。
| 少年チャンピオン版 | 手塚治虫全集版 | |
| ゲンと亜美に近づくロック | ゲン「やつだ!FBIのイヌのロックってやつだ!そっぽをむいてろっ。やつを見るなっ」 | (カット) |
| すれちがうロック | ゲン「チェッ メンつけていきやがった・・・いけすかねえ野郎だぜ」 亜美「かんづかれたかしら」 ゲン「なーに、わかりゃしねえさ」 |
ゲン「チェッ メンつけていきやがった・・・いけすかねえ野郎だぜ」 亜美「感づかれたかしら」 ゲン「なーに、わかりゃしねえさ」 |
| ホテルに入ったロック | ロック「そいつをどっかへ捨ててこい。目ざわりだ」 本部長「ひょー、ロックさん。おまちしてました。ようこそXX市へ・・・」 ロック「やあ、捜査本部長」 本部長「市助役の花頭仁於宇氏です」 花頭「よろしく・・・」 本部長「いやー、あなたにきてもろて、百万の味方をもったように心づようおま」 ロック「・・・・。このレコードをとめてくれたまえ!」 |
ロック「そいつをどっかへ捨ててこい。目ざわりだ」 本部長「ひょー、ロックさん。おまちしておりました。捜査本部長」 ロック「ハウ・アー・ユー」 本部長「この人が市長代理です」 花頭「よろしく・・・」 本部長「あなたはアメリカ国内でも、ずっとアラバスターを追いかけていたそうですな」 ロック「・・・・。このレコードをとめてくれたまえ!」 |
| ホテルでの会話 | ロック「ならしているベートーベンをやめてくれたまえ!」 本部長「ベートーベンがおきらいでっか」 ロック「ああ・・・。きらいです!」 花頭「ヒホー。そりゃまた・・・」 ロック「曲はきらいじゃない。だが、あのベートーベンのみにくい顔が鼻もちならないんだ!ぼくはねえ、みにくいものが大っきらいなんですよ・・・」 ロック「みにくいもんがね(書き文字)」 花頭「アノ・・・私・・・しつれいを・・・」 本部長「いや、あんたはいてもらわんとこまりまんがな、助役・・・」 ロック「アラバスターと名のる賊・・・。こいつはぼくの推理ではたぶん、ひどくみにくいやつかもしれませんよ」 本部長「ええ?」 |
ロック「ならしているベートーベンをやめてくれたまえ!」 本部長「ベートーベンがおきらいですか」 ロック「ああ・・・。きらいです!」 花頭「ヒホー。そりゃまた・・・」 ロック「曲はきらいじゃない。だが、あのベートーベンの牛みたいな顔が鼻もちならないんだ!ぼくはねえ、だいたい個性的な顔ってのがきらいでね」 ロック「鼻が人一倍でかかったり、唇が厚かったりの顔」 花頭「アノ・・・私・・・しつれいを・・・」 本部長「いや、べつだんあなたのことをいってるんじゃないだろう」 ロック「目が三白眼だったり、出っ歯だったり。だいたい日本人の顔はぼくはきらいでね」 本部長「これは手きびしい」 |
| ホテルでの会話(続) | ロック「そうです。やつはきっとみにくいんだ。だから美しいもの、りっぱなものをにくむんだ。一種の劣等感からくる狂気ですよ。アメリカにもそういう犯罪がありました。犯人はヒッピーでしたがね。やつをおびきよせるための特別のワナを用意しました。きっとあらわれますよ」 本部長「ほんなら、にがすことは絶対におまへん・・・」 ロック「それまでは捜査本部は市長のゆくえをはやくつきとめることですね。グッドナイト!」 ボーイ「このおへやでございます」 |
ロック「いや、日本人だけじゃない。アングロサクソンもラテン系もスラブ系もきらいだ。もちろんアフリカ人もインド人もアラブ人も大きらい。及第点はギリシャ人の顔だけですよ。ギリシャ系はノーブルです。先祖がオリンポスの神々のせいですかね。かくいうぼくもギリシャ系です」 本部長「顔談義はそのくらいにしまして・・」 ロック「そうだ、明日からさっそく捜査にとりかかりましょう。おやすみ」 ボーイ「このお部屋でございます」 |
| 部屋に入ったロック | ロック「フーッ。日本人てやつは、どうしてこんなにみっともない顔のやつばかりなんだろう」 ロック「美しい・・・」 |
ロック「フーッ。アラバスターか!ついにやっとこの日本で対決することになったとはな・・」 ロック「ぼくは美しい・・・」 |
| 鏡の前のロック | ロック「ねえロック。世界中に・・・きみのからだほど・・・美しいものがあるだろうかねえ。きみは・・・天使の生まれかわりかもしれないね。まいばん・・・、こうやてきみを見ないと・・・あんしんしてねむれないんだ!」 ??「女房よろこぶ! むかんけい」 |
ロック「こうやってると・・ぼく自身に・・・からだじゅうぞくぞくと感じてくる」 (半ページ・カット) |