乱歩世界の美女たち Page 4  前へ 目次へ 次へ
花崎マユミ
「魔法人形」 (昭和32年、「少女クラブ」連載)



謎の連続少女誘拐犯の屋敷に男装して忍び込んだのは17才の美少女、花崎マユミであった。地下の通路に迷い込んだ彼女が見たのは一面のジャングル!広大なジャングルの中で彼女は、人食い植物の触手に四肢をとらえられてしまう。必死に悶える彼女に深い森の中から近づいて来る巨大なゴリラ! 花崎マユミ絶体絶命!


【あらすじ】
少年探偵団シリーズ初の少女誌連載作品。怪人二十面相はいかにも妖しげな外人風チョビ髭紳士に化けて(当時流行していたトニー谷のスタイル)、
学校帰りの少女達を誘拐していた。「今はキレイでも、いつかは美しさは消え去る。それよりも、人形になっていつまでも美しいままでいるのが女の子の夢じゃないかな?」という殺し文句を駆使して、次々と女子誘拐を続ける二十面相を、明智・小林コンビが許すわけがない。男装する少年探偵団のお姉さん役の花崎マユミ!小林少年も負けじと女装して二十面相と戦う(おぃ)。しかし、二十面相の根城はなんと地下大パノラマジャングルだった!マユミの受難が始まる。

【作品の印象】
東京の地下に広がる大ジャングル、巨大な人食い植物、そして
迫るゴリラ!あまりの展開に当時の読者である少女たちは唖然としたに違いない。乱歩はこうでなくちゃ。ゴリラが登場したのは、昭和32年に上野動物園に戦後初のゴリラが登場し話題になったためであろう。なお、マユミに迫った変態ゴリラの正体は、怪人二十面相。美女と野獣・・というか、美女とゴリラの組み合わせは妖しい雰囲気をもたらす。美女を食う植物というテーマは三好武二の「世界の処女地を行く(昭和12年)」に登場する「処女を食う木(Girl−eating Tree)」のエピソードが日本初と思われる。特に美人が好物で、触手モノの元祖といえるだろう。

【花崎マユミの印象】
「お姉さん」といっても17(または18才)。高校卒業後、探偵業にあこがれて明智事務所に泊まりこみで働いている。マユミがやって来たため、明智・小林は一つ部屋で寝ているようである。それにしてもよくマユミの両親が許したものだ。なお、雑誌版の挿絵は、かの石原豪人(林月光)である。

(2000・10・1掲載)