子どもの人権埼玉ネットから
埼玉県子どもの権利擁護委員会
への要望書

2002.10.3.


要 望 書

2002年10月3日

子どもの権利擁護委員会 御中

 埼玉県子どもの権利救済機関(第三者機関)を、都道府県レベルで初めて条例により設置するということで全国の注目を集め、開設の準備に追われご多忙のことと存じます。
 思い起こしますと、1997年知事部局へ「子どもの権利にかかわる第三者機関(オンブズパーソン制度)の設置の検討」を求める要請文を提出してから5年の歳月を経て、具体的機関の設置となり、私たちにとっても感慨深いものがあります。
 98年には私どもの会(以降人権ネットと略)も、「子どもの権利オンブズパーソン・特別プロジェクトチーム」を編成し、川崎市市民オンブズマンの菅野芳彦さん、弁護士や研究者等を招いて学習会等の取り組みを開始し、2000年2月に県庁内に「子どもの権利擁護対策プロジェクトチーム」が発足すると、他のNGOと共に、事務局のこども家庭課との懇談で要望をお伝えしました。6月の県のプロジェクトチームの全体会・研修において、林量俶代表委員(人権ネット)は「諸施策の前提にとらえられるべき〈子どもの権利・人権〉観・子ども観」というテーマで話をさせていただきました。
 また、三部会の一つ「児童虐待防止」について「子どもの権利を考える2000県民会議」に斎藤(人権ネット事務局)が参加し、「子どものオンブズパーソン制度」設置を求める提言を行いました。さらに10月、人権ネットは学校事故報告書を情報開示し分析した資料を添えて、県のプロジェクトチームの報告書に、体罰問題の施策とオンブズパーソン制度の設置を求める内容を盛り込むことを求めた要望書を提出しました。
 そして県の「子どもの権利擁護対策プロジェクトチーム」は「子どもの権利救済機関の設置」の提言を盛り込んだ報告書をまとめました。
 この報告書を受けて、2001年6月に「子どもの権利救済機関検討委員会」が設置されると、毎回人権ネットでは会議を傍聴し、10月末に公表された中間報告では、市町村立学校へ救済機関が調査に入る場合、教育委員会との事前協議を必要とするとした提言案の修正を求める意見書を提出しました。県民の意見公募もその問題に意見が集中し、最終的には修正されたものとなりました。
 本年、3月県議会で条例での設置が可決されましたが、開設にあたり、以下の事を要望いたします。

1.窓口の相談員が「よいこに相談員」と兼務とのことですが、本委員会の活動に専心し、本委員会の活動を充実させるという意味からも、第三者機関として行政から独立性をもつ本委員会の特別な性格・活動のあり方からみても、行政機関に属さずかつ専任であるべきと考えます。また次回の選定の際は、子どもの立場に立って誠実に応対できる相談員を公募し、選定してください。研修につきましては、単にカウンセリングの技術だけではなく、子どもの権利をどう捉えるかが重要なポイントとなると思われます。従いまして、子どもの権利条約国連子どもの権利委員会からの日本審査・最終所見(1998年)、国連人権教育10年・行動プラン、人権侵害の事例研究等の研修を充分に行うことを要望いたします。

2.経験上子どもの相談は日中よりむしろ夕刻、夜間に集中する傾向があります。電話相談は24時間対応できるよう留守電などの工夫をご検討ください。また既に予定されておられるかとは思いますが、相談窓口において誤解その他の不適切な対応が発生する危険を防止するために、今後のフォローや調査の有無の判断等のためにも複数のメンバーが参加してのケース・カンファレンス(ケース会議)を充分に行うことを要望いたします。 

3.子どもの権利救済機関検討委員会や県議会一般質問においても、繰り返し指摘された点でありますが、市町村立の小・中学校など県の機関以外における子どもの権利救済が空白地帯になってしまっては、本条例第1条及び第3条に規定されている本委員会設置の主旨が大きく損なわれてしまいます。本条例第12条及び第14条にかかわり、県の機関以外における子どもの権利救済が空白地帯とならないように、有効・適切な施行規則・要綱などの制定及び運用がなされることを強く要望いたします。
 
4.子どもの電話相談活動をしているNGOと会議をもたれているようですが、私どものところには連絡が参っておりません。人権ネットにはかなり深刻な相談も相当数寄せられており、従前よりメンバー自身の努力と工夫によって対処してきた経験と実績が多少なりとも蓄積されているのではないかと思っております。子ども関係のNGOとの連携が大切なことは、「子どもの権利救済機関設置のための提言」(2001年12月)にも指摘されております。私ども人権ネットも含め県内の子ども関係のNGOとの連携協力を拡大・強化していただくことを要望いたします。

5.子どもがこの機関のことを知らなければ、子どものための機関とはなりません。これは予算措置が必要なことではありますが、子どもたちへの広報はポスターだけではなく、子ども一人ひとりに手渡せるカードやリーフレットなどの作成・配布を要望いたします。

6.この救済機関がきめ細かく子どもへのサービスを果たすために、人員の増員や設備等のための充分な予算措置を望みます。

以上

子どもの人権・埼玉ネット 代表委員 設楽あづさ
                   同   林  量俶
                   同   牧  柾名
                   同  事務局一同


 「埼玉県子どもの権利擁護委員会条例」
 「埼玉県子どもの権利擁護委員会条例施行規則」