

|
|

肝心の足回りのセッティングですが、ようやく着手することになりま
した。なぜこれまでなかなか着手できなかったかというと、これがバネ
をレート(バネの硬さのこと)の低いものにポンと交換するだけ・・な
んていう、一筋縄ではいかないからなのです。
今回、試行錯誤を承知の上で、まずフロント(以下、F)20kg、
リア(以下、R)12kgだったバネレートを、F12kg、R9kg
と、思い切って落としてみました。そしてバネ長を前後とも長くするこ
とにしました。これは柔らかくなった分、バネが縮むことを想定しての
ことです。これまでRはFより1インチ長いバネが入っていたので、今
回はRにつけていた12kgをFに移植することにしました。
そしてバネを組替え、クルマをリフトから降ろすと・・・なんと下の
写真のように、フロントはこれまで以上に車高が落ちてしまったのです
(涙)。この状態でクルマの下を覗き込んでみると最低地上高は1〜2
cm!!これではブレーキも踏めませんね。
一方、Rはというと、こちらはFとは逆にとても伸びるのです。その
ため、ブレーキング時にはバネの長さが足りなくなってバネが浮いてし
まう状態でした。これを防ぐための調整を行ったところ、Fとは逆に車
高がとても上がってしまいました。つまり、前が下がって後ろが上がっ
てしまったわけです。ホットロッド状態とでも言いましょうか。
この足を考えるうえで難しいのは、構造上、バネ長を長くすれば車高
が上がるわけではなく、むしろ逆になったりすることです。
とりあえずF12kg+R9kgの感触を試すために車高を上げなけ
ればなりません。そこで応急処置として、Rのみに入っていたヘルパー
スプリングをFに移植しました。これにより、Rはまたハードブレーキ
時にバネが遊んでしまうことになりますが仕方ありません。
Fはそのヘルパーを入れても十分に車高が上がらなかったため、さら
にヘルパーがつぶれる状態まで締め上げて車高をあげました。これによ
り、Fのバネは常に荷重がかかった状態(「プリロード」といいます)
になっているため、反発力の立ち上がりが鋭く乗り心地は悪化します。
このプリロードについてはまた別途ご報告します。
暫定セッティングですが、とりあえずこの状態でしばらく乗ってみる
ことにして、マッシモY工場長に感謝して家路に着きました。いつもの
尾久橋通りに出て、その効果はすぐに体感できました。バネが柔らかい
のだから当然といえば当然ですが、乗り心地はトラックの荷台と観光バ
スくらいの違いがあります。車内のガタピシ音もなくなり、マンホール
もへっちゃらだいっ!
ブレーキでしっかり荷重も移動するようになりました。そして期待通
りトラクションもかなり復活しました。路面が荒れていてもしっかりグ
リップしてくれるのです。今までは上り坂っていうだけでフロントが空
転していたのですから。そして効果はブレーキにも。ダイレクト感こそ
スポイルされましたが、じわっと荷重が残るために、結果としてABS
が作動しにくくなったのです。
いいこと尽くめのようですが、もちろんロールはするようになりまし
たし、あいかわらずわだちは要注意です。でも公道での運転の楽しさが
少し戻ってきました。
さて、今回、この車高調は前にも述べたように、フロントがかなりシ
ョートストロークであることがわかりました。このおかげでロールは抑
えられるし、ポンポン跳ねることも無く、フロントはかなりビシッとし
た剛性感あるものになっています。
その一方で、逆にリアはストロークが長いことがわかりました。(お
かげでバネが遊んでしまうほど)これは、FFアルファのフルブレーキ
ング時にリアのグリップがぬけてロックしやすいことに対処したもので
はないでしょうか。サーキットで煮詰められた足ならではのセッティン
グなのでしょう。
今後の計画は、しばらく乗った後、フロントを14kg程度にあげて
もう少し長いバネにしようと思っています。これによりプリロードをか
けないことで、街なかではかえって乗り心地をよくできるかもしれない
と期待しているのです。 (39,650km)
|
|

|
|

★
先週少しお伝えしたように、一五郎のショックは伸び側に制限がかか
っていてこれ以上バネ長を長くしても伸びないかもしれないことが判明
しました。「伸び側の制限」とは何を意味するのでしょうか?皆さんも
一緒に考えてみてください。でも、トラクションを考えれば伸び側はあ
ればあるほどいいと思いませんか?
僕は一五郎の挙動特性を確認したくて、先日、富士スピードウエイの
ジムカーナ場で行われたTipo主催のドライバーズトレーニングに行
ってきました。そうです、2年前に筑波1000で第1回が開催されて
僕も参加したイベントです。講師は今回も壷林さん。非常に的確でわか
りやすいアドバイスが人気のレーシングドライバーです。
この日の特徴は、水を撒いた路面でクルマがどんな挙動を見せるかを
体験することでした。スピンを体験することも目的のひとつだったよう
ですが、僕の場合スピンは慣れっこ(笑)・・・ってほどでもないです
が、それより一五郎の挙動特性を確かめるのが目的でした。
午前中はドライ路面で、フルブレーキングから旋回してクリップから
全開でコーナーを脱出していくトレーニング。一五郎はフルブレーキで
は相変わらず足裏にゴリゴリとした感触でABSが効きまくりです。そ
の直前のポイントを探りながらブレーキを少し残して気味で上手く旋回
するとノーズも吸い込まれるように入って、いい感じでテールが流れて
くれます。ただ、毎回そうではなく、ブレーキが失敗すれば簡単にアン
ダーステアに転じます。壷林講師に感触を話すと、「上手くテールが出
るならアルファ156にしてはとてもいい足なのかもしれません」との
ことでした。
午後は水を撒いてテールが流れる体験です。午前中の感じからして、
僕はかなりのスピンを覚悟していました。そのうえ、水を撒くまでもな
く、空からは雪混じりの雨が落ちてきました。それでも、さらに水を撒
き、パイロンでつくられた右・左・右の旋回コースを全開で攻めます。
ところが、一五郎はただの一度もスピンするどころか、カウンター状
態になることすらなかった・・いや、できなかったのです。
ここからが僕にとってまさに目から鱗。この日の収穫。一五郎の弱点
をも思い知ることになったのでした。
路面に水が流れるようなコンディションでは、一五郎は常にどアンダ
ーステア状態です。(来月のTipo誌にどアンダーの一五郎の写真が
載りそうでコワイっす。)アクセルを抜いて前輪に荷重を戻さないと、
最初のコーナーすら曲がれません。さらにブレーキングでは、一五郎は
簡単に前輪がロックし、ABSが効いてしまいます。当然ロックした前
輪では曲がることはできません。少しブレーキを戻せばいいのですが、
前輪荷重が抜けるとアンダーステアでやはり曲がってくれません。
これはどういうことか・・・壷林講師とTipoの嶋田編集長、マタ
ちゃんと分析しました。状況を整理すると、ドライのときはブレーキン
グからテールスライドもしたが、ウエットではどうブレーキとステアリ
ングを意識して操作してもアンダーステアばかりでテールが出ないとい
うことです。
結論を言うと、一五郎の場合、フロントサスが非常に硬いためにブレ
ーキングで十分に荷重が前に行かないのです。つまり、ドライ路面の時
には、それでも上手くブレーキングした時には荷重が移動し、その時は
リアも伸びない分テールがグリップを失ってくれるのですが、ウエット
になると、荷重が前輪に十分移動するほどのブレーキングをすると、先
に前輪がロックしてしまうのです。すると移りかけた荷重は後輪に戻っ
てしまい、テールはグリップを失うことなくアンダーステアで曲がれな
いのです。これ、貴重な体験でした。何度も何度も同じコースでいろん
なことを試した結果です。
でも考えようでは、これって必ずしも悪くないってことです。この足
はドライでは適度にスライドし、ウエットではスピンしにくいのですか
ら。壷林講師によると、アルファの弱点として、147でも156でも
ノーマルではフルブレーキするとリアがロックしてテールが出てしまう
らしいのですが今の一五郎ではかなり抑えられています。僕がノーマル
の頃に仲間に「斜めになりながらコーナに進入している」と言われたの
はこのリアロックを利用していたためでしょう。そして最近はドライビ
ングが大人しくなったといわれているのは、リア荷重がぬけなくなった
からだと思います。
ただ、僕としてはもうちょっとテールが出て欲しい気がしますから、
感覚としてはフロントのバネレートをもう少し下げればいいのかな?
嶋田編集長の言葉:「アルファの足はみんな悩むんですよ。終わりは
ないんですね。」。壷林さんの言葉:「この足だと今日の状況では辛す
ぎます。でもフロントを緩めると今度はドライではリアが伸びないので
FFアルファ特有のリアロックが出ます。アルファの足は本当に難しい
です。」
さて、冒頭の「ショックで伸び側を制限する」ことの意味ですが、壷
林講師によれば、伸び側の制限の理由は「硬いバネにあわせた処置であ
る」が正解だそうです。つまり、バネが硬くなると縮まないだけでなく
反発力も強くなりますね。この反発力は伸びようとする力にほかなりま
せんから、これを制限しないと、ヤンキー車のように車体がぴょこぴょ
こと跳ねてしまうのです。
もうひとつの目的はロール制限です。コーナーでは外輪の縮みが同じ
ても、内輪が伸びるほどドライバーはロールを強く感じるそうです。
実際、帰り道で後輩と車を交換して走行を観察したところ、一五郎が
ぴょこぴょこと跳ねている様子はありませんでした。あれは自分の身体
がシート上で跳ねてそんなイメージを受けてたんですね(笑)。
|
|

|
|

|
|

|
|

