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ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン   Ludwig van Beethoven ( 1770 - 1827 ) ドイツ

「 くちづけ  Op.128 」   
      

Der Kuß  
     

詩: クリスチャン・ヴァイセ


ぼくはクロエのそばで全くのふたりきり
それで彼女にキスしようとした。
だけど彼女は言った
キャーって叫ぶから
しようとしても無理よって

それでもぼくは思い切ってキスしたんだ、
彼女の抵抗をものともせず
で、彼女は叫ばなかったのかって?
もちろん、彼女は叫んだよ
でもずっと後でね。


Ich war bei Chloen ganz allein,
Und küssen wollt ich sie:
Jedoch sie sprach,
Sie würde schrein,
Es sei vergebne Müh.

Ich wagt es doch und küßte sie,
Trotz ihrer Gegenwehr.
Und schrie sie nicht?
Jawohl,sie schrie,
Doch lange hinterher.




モーツアルトの歌曲でしばしば名前を見かけた詩人クリスチャン・ヴァイセのこれもまたユーモアあふれる詩です。こういうシニカルなものを最晩年に近いベートーヴェンが取り上げて歌曲にしているというのもかなり意外な感じがするのですが、彼が若い頃にお得意だった爽やかな恋歌のスタイルでとても魅力的な音楽に仕上げてくれています。ちょっとロココっぽい雰囲気でぽつぽつと語っていくところなどはモーツアルトのリートの雰囲気も感じさせますが、Jawohlのところで感情を爆発させるところなどはまぎれもないベートーヴェンの音楽。非常に個性的で面白い歌曲が出来上がりました。

( 2009.04.01 藤井宏行 )


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