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モデスト・ムソルグスキー   Modest Petrovich Mussorgsky ( 1839 - 1881 ) ロシア

「 神学生 」   
      

Seminarist  
     

詩: 作曲者


パニス、ピシス、クリニス、フィニス、
イグニス、ラピス、プルヴィス、ツィニス....(ラテン語の典礼文)
ああ、おい不幸よ、俺の不幸....
オルビス、アムニス、エ、カナリス、
オルピス、アムニス、エ、ツァナリス
司祭のやつ、俺にとんでもない仕打ちをしやがった
首の後ろから前まで祝福だ
拳でな、神聖な俺の記憶力はどっかへ行っちまった
ファシス、アシス、フニス、エニス、
フスティス、ヴェスティス、ヴェルミス、メンシス...
司祭セミョンの娘はとびきりの美人
頬はコーン畑のケシの花のよう、眼は思い焦がれるような瞳
そして彼女のガウンの下で胸が揺れてる、泳いでる白鳥みたいに
ファシス、アシス、フニス、エニス、
ファスティス、ヴェスティス、ヴェルミス、メンシス...
おお、愛しのスターシャ、俺のスターシャ、お前にキスできたらなあ
強く、きつく抱き締めてやれたらなあ
ポスティス、フォリス、ククミス、アトゥケ、ポーリス、
ククミス、ククミス...
数日前の礼拝、かの聖ミトロドラの日の祈祷で
俺は聖歌の第6番目を唱えながら
左の目でちらちらスターシャを見てた
いや、左の聖歌隊を見てウインクしたんだ
それに気付いた司祭の親父
エンマ帳にそれを書き付けて
俺の首を3回小突いて祝福したあと
全力で繰り返しラテン語を頭に叩き込め、と言いつけやがった
オルビス、アムニス、エ、カナリス、エ、カナリス、
サングイズ、アングイス エ アナリス、エ アナリス
こうして俺は悪魔の誘惑から、聖なる神の家に迎えられたってわけさ
アムニス、エ、アナリス、サングイス、アングイス、
エ カナリス、エ カナリス


Panis,piscis,crinis,finis,
ignis,lapis,pulvis,cinis...
Akh ty gore,mojo gore!
Orbis, amnis et canalis,
orbis,amnis et canalis...
Vot tak zadal pop mne tasku,
Za zagrivok da po sheje on blagoslovil
I desniceju svjatoju pamjati lishil.
Fascis,axis,funis,ensis,
fustis,vestis,vermis,mensis...
U popa Semjona dochka znatnaja takaja,
Shchechki,chto tvoj makov cvet,glazki s povolokoj,
Grud' lebjazh'ja da pokataja pod rubashechkoj vskolykhnulasja.
Fascis,axis,funis,ensis,
fustis,vestis,vermis,mensis...
Akh ty Stjosha,moja Stjosha,tak tebja rasceloval-by,
Krepko na-krepko k serdcu prizhal by!
Postis,follis,cucumis,atque pollis... Atque pollis...
cucumis,cucumis...
A namednis' za molebnom presvjatoj i prepodobnoj i preslavnoj Mitrodore
Ja chital prokimen,glas shestyj,
A na Stjoshu levym glazom vsjo posmatrival,
A na levyj kliros vsjo zagljadyval,da podmargival.
Chortov bat'ka vsjo provedal,
Menja v knizhicu pometil,
I blagoslovil vladyko po shejam menja trikraty,
I dolbil izo vsej mochi mne v bashku latyn' ukazkoj:
Orbis, amnis et canalis, et canalis,
sanguis,unguis et annalis,et annalis...
Tak ot besa iskushen'je dovelos' prinjat' mne v khrame Bozh'jem.
Amnis et annalis,sanguis,unguis et canalis,
et canalis,et canalis.



品の無い訳ばかりしてスイマセン。ただこの曲、異性に目覚めて頭はそのことばかり、勉強が手に付かなくなった少年の様子を実にユーモラスに描写していて、私は彼の作品の中で一番好きです。単調な呪文の部分の退屈な旋律と、娘のことを考え始めてからの魅力的な旋律との対比が実に見事と思います。
(よくTVのアニメなどで、空想の世界に入ってポワーンとしているところを、お師匠さまにひっぱたかれてハッと我にかえる、といったステレオタイプな描写がありますが、それを歌曲で描いてしまった、というのが面白いところです)
CDはクリストフの全集位しかないかも知れませんが、私はライブで聴いたネステレンコのバスが忘れられません。彼は今、どこでどうしているのでしょうか?
(藤井宏行)2000.2.7改訂 1998.06.20

ロシア語から真面目に訳を試みるようになってみると、この訳があまりにお粗末であることが分かってしまいましたので、other_windさんのコメントをきっかけに二度目の大改訂を施すことにしました。もとの種本にしたクリストフの歌曲全集についていた英訳がかなり内容を曲げていたことが痛いほど分かりました。皮肉な言い回しはできるだけもとの通りにする努力をしましたが、そのため意味が取りにくいところが出たかも知れません。最後の「悪魔の誘惑」っていうのはもちろんスケベ心で、「聖なる神の家」はラテン語のお勉強です(そのはずです)。あと詞に出てくる「聖ミトロドラ」というのは4世紀に殉教した女性みたいで、ローマ典礼暦では9/23に祝うのだということだそうです。

( 2006.03.11 藤井宏行 )


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