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フランツ・シューベルト   Franz Peter Schubert ( 1797 - 1828 ) オーストリア

「 くちづけを贈ろう 」   
      

Sei mir gegrust  
     

詩: リュッケルト(Friedrich Ruckert)


僕と僕のくちづけの届かぬところにいる君よ
僕のあいさつを、僕のくちづけを受けてくれ
つのる憧れしか届かないけれど
僕のあいさつを、僕のくちづけを受けてくれ

愛の手によりこの胸に与えられ
そして奪われた君よ
流れ落ちる涙とともに
僕のあいさつを、僕のくちづけを受けてくれ

僕と君の間を意地悪く隔てる
この遥けさを乗り越え
ねたみ深い運命を腹立たせるため
僕のあいさつを、僕のくちづけを受けてくれ

君がかつて愛の美しく輝いた春に
あいさつとくちづけを贈ってくれたときのように
僕の心を熱くたぎらせて贈ろう
僕のあいさつを、僕のくちづけを受けてくれ

愛の息吹は時と距離を越え
僕は君のそばに、君は僕のそばにいて
僕は君をこの腕にしっかりと抱いている
僕のあいさつを、僕のくちづけを受けてくれ




シューベルトの名曲、ヴァイオリンとピアノのための幻想曲ハ長調の変奏曲の主題に使われている歌曲です。おだやかでいて憧れとさびしさに満ちたシューベルトらしい名歌曲と思います。かつて1980年代にクレーメルとアファナシエフが東京で幻想曲を演奏したのを聴いたことがあるのですが、無愛想なアファナシエフ(当時彼は客席にろくに挨拶しなかったのです)が、この歌曲の主題が出てくると、満面笑みを浮かべて恍惚としたようにピアノを弾くのが印象的でした。

歌では、おおらかで素朴な男の真情という感じのホッターが気に入っています(東芝EMI)。

( 2001.07.31 甲斐貴也 )


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