「・・・あっ、アンタねぇ・・・」

 足をふらつかせながらも、アスカは少年の後を追っていた。追いかけるアスカの事を、少しも気にかけずに先を歩むシンジに途切れ途切れとなった声をかけながら。

 夕方の、第3新東京市中心街。街は、人々で溢れていた。男も居れば、女も居る。サラリーマンが居れば、主婦やシンジ達の様な学生も居る。

 その中に有って、アスカの姿は少しだけ普通とは異なっていた。極端な差で無いが為に浴び続ける事は無いが、普通で無いが故に衆目を浴びてはいる。その視線が、今のアスカには鬱陶しくて仕方が無い。

 
「いぃっ一体、何処っ行くぅっ・・・気、なのよ・・・?」

 結局、アスカはシンジを射精させられなかった。昼休みにも、30分以上シンジに口で奉仕したにも関わらず。ビスチェを脱ぐ為の取引条件である、シンジの白濁液を飲む事は叶わなかった。

 仕方が無いと言えば、仕方が無いのかも知れない。射精を促す技術どころか、その前提となる知識すらアスカは有していないのだから。マナの奉仕を受け慣れているシンジからすれば、アスカのフェラチオなど稚拙な児戯に過ぎない。今更シンジが、そんな行為で射精を煽らる訳が無かった。

 だからこそ、シンジはあの条件を提示したのだ。アスカも、流石に気付いている。絶対に自分では、果たすことが出来ない条件。刺激を止める事ばかり考えていた為に、条件を呑んだ時には其処まで考えが及ばなかったが。

 そんな後悔を、今更しても遅い。結局シンジへの奉仕は報われる事無く、アスカへの責めは延々と続いているのだから。

 アスカの胸は、未だに低周波で胸に刺激を受けたままである。膣に埋めたバイブレーターも、相変わらず小刻みな振動を繰り返していた。更には胸のピアスに、ピンクローターをぶら下げられている。これも当然、シンジと取引をした結実だった。新たにシンジから提示された、機会の延長を得る為の条件である。

 当然ながらアスカは、一刻も早く家に帰りたかった。街をブラブラするなどと言う、無為な時を過ごす余裕が全く無い為だ。

 真っ赤に上気した顔には珠となった汗が浮き、口から吐き出される吐息は普段とは比べものにならない程の熱を帯びていた。バイブレーターが抜け落ちる事を心配して、足の運びは極端な内股となり。複数の刺激に苛まれ続けた身体は、小刻みな痙攣を止まる事無く起こし続けていた。

 誰が見ても、アスカの態度がおかしい事は判る。だが、何故そうなっているか迄は知る筈も無かった。それに、あえてアスカと関わりを持とうとも思っていないらしい。誰もが怪訝さと好奇心が入り交じった視線を向けるだけで、半病人の様なアスカに手を貸そうとはしなかった。

 無数の視線が自分に突き刺さっている事を、アスカも感じている。だが、それだけだ。アスカに出来る抵抗と言えば、たまたま目が合った相手を睨み付ける程度である。

 街のざわめきが総て、自分の事を囁いていると言う錯覚をアスカは覚えていた。誰もが、自分の成されている事を知っていて、噂し嘲り嘲笑を浮かべている・・・と。

 それが幻聴だと言う事くらいは、アスカにも判っている。だが、そう思えてしまう感覚を拭い捨てる事など出来ない。そう、自分が感じている。それがアスカにとっての現実だった。

 今は未だ歩ける。しかし、その程度の事すら何時迄出来るのかアスカには判らなかった。だからアスカは、一刻も早くマンションに戻りたかったのだが・・・シンジの返答は、つれなくにべもない。

 
「ちょっと、楽器屋にでも寄ろうと思って。新しいスコアを見たいんだよ」

 
「っ・・・そ、そんなモン・・・明日で、も・・・同じっ事でしょ?」

 シンジが趣味でチェロを演奏する事を、アスカも知っている。だがわざわざ、今日を選ぶ理由などない。アスカにアレコレ仕掛けたからこそ、あえて今日見に行こうと思い立ったのだろう。シンジの魂胆が見え透いているだけに、アスカは腹立ちを押さえられないでいる。

 
「それより何で、アスカは付いて来るのさ?調子悪いんなら、早く帰ったら?」

 
「・・・っ悪くなってんのは、アンタのせいじゃない・・・ひっ、他人事みたいな・・・っ、言い方してんじゃっ・・・ない、わよぉ・・・っ!」

 わざわざ指摘されるまでもない。アスカも、シンジを無視して1人帰る事くらい考えたのだから。だがアスカの勘が、シンジから目を離す危険性を叫んでいた。目を離せば、絶対に何かやって来ると盛んに訴えている。一緒に居た所で安全が保証される訳では無いが、アスカがシンジの後に付いている理由はそれだけだった。

 それにマンションに戻った所で、刺激が止まる訳ではないのである。遠慮無しに声が上げられると言う特典は有るが・・・それは解決を意味していないし、事態の収束に何も寄与しない。

 刺激を止める為には、どうしてもシンジをさっさとマンションに戻す必要が有る。そして条件通りに、何としてでもシンジの精を飲まねばならなかった。こんな考えをしてしまう自分が情けないが、それ以外に鬱陶しいビスチェを外す手がアスカには無い。

 ただ、実はシンジに帰宅を促すと言う行為自体にも問題が有る。

 
「ふぅん・・・そんなにアスカは、早く帰って欲しいんだ・・・そんなにアスカが、ボクのチ○ポしゃぶりたがるとはねぇ・・・」

 結局の所、そう言う解釈を成り立たせてしまうからだ。言葉に直接出してはいないが、アスカが遠回しにねだっているのと意味は同じである。

 
「そっそそそそんな訳っ・・・!」

 
「無いんでしょ?」

 アスカの台詞を中途半端に先取り、シンジが無邪気な笑みを浮かべた。子供と同じで無垢な、それでいてアスカにとっては残虐極まりない笑みを。

 
「じゃあ、別にいいじゃない。学校帰りに、何処に寄ったってさ。それにアスカって、楽器の演奏とかやんないんでしょ?一緒に来た所で、面白くは無いと思うよ」

 
「・・・だ、だって・・・」

 そう言われてしまうと、アスカには返す言葉など無い。いや、返す言葉を言いたく無いのだ。どれだけ言葉を飾ろうが、結局さっさと家に帰ってフェラチオさせろと言う事になってしまうのだから。

 
「・・・じゃあ、こう言ったら素直に家に帰ってあげるよ。アスカの望む通りに・・・ね」

 
「・・・え?何を、言えってぇのよ?」

 アスカの問いかけに応じて、アスカの耳元に口を寄せたシンジは小声で説明を始めた。端から見ている限りでは、周囲の目を憚らない恋人達の語らいにも見える。アスカとシンジも、周囲の人々は勝手にそう思ってるだろう。

 例え、実際には天地の間ほども違う関係なのだとしても。

 
「・・・まぁ、こんな所かな」

 
「っ!?そっそそそ、そんな事を・・・っ!」

 シンジの話を聞き終えたアスカは、顔はおろか耳までも真っ赤にしながら飛びすさる様に引く。身体も、精神も。

 
「・・・そんな驚く事ないんじゃない?だって、さっきまで学校でアスカがやってた事だよ?」

 そんなアスカに、シンジは普段通りの表情を浮かべている。どうしてアスカが怒っているか判らない、と言う立場を完全に演じ続けていた。アスカには、付き合う筋など無い茶番を。

 
「っ・・・そぉ言う問題じゃなあいっ!こんな所で、どぉして私がンな事言わなきゃなんないのよっ!?」

 
「そりゃあ、人にモノ頼むんだからさ。何をして欲しいのか、お願いする位は当然じゃない?でも、そのまんまってのも芸が無いなぁ・・・意味が変わらない程度に、アスカなりのアレンジしてくれる?」

 薄い笑みを浮かべながらの身勝手なシンジの理屈に、アスカは憤りを隠そうなどと思えなかった。シンジの理屈を掻き消す様に、更に大きな声でアスカは喚き続ける。

 
「言える訳無いじゃない、こんな人がいっぱい居るのにっ!!」

 
「言えないか・・・そりゃそうだよね。恥ずかしいから。簡単な理屈だよ」

 
「判ってんなら、ンな事言い出すなぁ!」

 シンジの態度も言葉も、アスカの怒りと言う炎にガソリンを放り込む様なものだった。かぶりを振り、相手の理屈を認める。だが、譲る事は絶対に無い。誠意の欠片も無いシンジの対応は、アスカの怒りを煽る以外に役立つ事は無かった。

 
「でもそれって、アスカの理屈だからねぇ」

 そして、ひとしきりアスカが喚き散らすのを見終えてから。シンジは、アスカに現実を突き付けた。仕掛けた者と仕掛けられた者の、立場の違いをアスカに教える様に。

 
「アスカがアスカの理屈を優先する様に、ボクもボクの理屈を優先する。文句を言う筋って、アスカに無いと思うけど?」

 
「・・・くっ」

 結局は同じだ。バイブレーターを入れられた時と。胸のピアスに、ピンクローターを吊らされた事と。

 
「何だかんだ言ったってさぁ、アスカも色々されて気持ち良いんでしょ?だから、思いっ切り声を上げてイきたいんでしょ?だったらさっさとマンションに帰って、部屋に籠もって好きなだけオナニーしたら?別に止めないから」

 発端はシンジが起こした事にも関わらず、自ら頼んで責めを増やされる。それこそがシンジの狙いだと言う事は、アスカにも判っていた。

 にも関わらず、アスカには他に選ぶ道が無い。シンジが言う通りに自慰に耽った所で、根本的な解決にはならないのだから。

 
「っ、そっそんな訳無い・・・ぃっ!?」

 否定しかけた言葉が、中途で遮られる。生暖かいシンジの息が、アスカの耳元に吹きかけられた為だ。びくっとアスカの背が伸び上がり、それから一気に腰が砕けて行く。それでも何とか踏ん張ろうとするアスカに、シンジはダメを押した。

 
「隠そうとするだけ無駄だよ。顔見れば判るって。こないだアスカに、バイブ何本かあげたでしょ?あれで好きなだけ、おま○こでもお尻の穴でもズボズボ抉ってれば?猿みたいに、1人マンションでオナニーに燃えてなよ」

 確かにマンションに帰れば、我慢などする必要は無くなる。だがそれだけだ。各々の刺激が止まる訳では無く、それが止まらない限りは悶々とした感覚を引きずるだけだ。

 この責めを完全に終わらせる為には、シンジに奉仕して精を飲まねばならない。いや、そうしなければシンジは責めを終わらせないだろう。

 
「・・・」

 これも又、責めの1つなのだ。その為にわざわざ、人が集まる所に来たのだろう。楽譜を買うと言う、もっともらしい口実を錦の御旗として。

 実際に言った所で、誰かが聞き耳を立てているとは思えない。所詮は他人である。周囲の人々は、アスカ達には感心も寄せようとせず通り過ぎて行くだけだ。人と呼ばれる無数のモノが蠢く、孤独な空間。見ると会うが違う様に、自分に興味を寄せる者など居る訳がない。

 それでも、人は人である。聞かれたらどうする、その思いを振り払う事など出来なかった。

 
「じゃ、そう言う事で。楽譜見てから・・・あ、そうだ。あの映画、もうやってたんだっけ。ついでに見に行こうっと。アスカ、先にご飯食べてていいからね」

 
「・・・」

 逡巡を続けるアスカに、シンジは2本目の矢を放つ。言えと命令はせずに、自らの意志で決断を促す言葉を。選択肢を提示しながらも、よりアスカを崖っぷちへと追い込む台詞を。

 
「・・・言うわよ・・・言やぁ良いんでしょ!?」

 苛立ちや諦めが胸中を埋めて行く。交渉を続けた所で、シンジが折れる訳が無いのだから。結局、自分が従う他に無い。屈辱以外に感じるものなどない、シンジの提案を受け入れるしか無いのだ。

 
「・・・ふぅっ」

 息を吸い、そして吐く。アスカはそれを、幾度か繰り返した。気を落ち着ける為では無く、自分に言い聞かせる為だ。どれほど屈辱に汚れた行為だろうが、これは仕方が無い事なのだ・・・と。そうする事でしか、自分の願い。絶え間なき快感から、解放される事は無いのだ・・・と。

 覚悟を決めるしか無かった。しかし、だからと言って喜び勇んで言うべき事ではない。口を開き、途切れ途切れにアスカは発した。自らの敗北を認める事を意味する、恥辱に汚れた言葉を。

 
「っ・・・ごっごご・・・御主人様の・・・お、おチ○ポを・・・私に、しゃぶらせて下さい・・・」

 
「・・・それで?」

 
「もっ・・・もう我慢、出来ないんですっ・・・お願いですから、御主人様の精液を・・・わっ私に飲ませて・・・く、下さい・・・!」

 アスカなりにいじった部分は殆どない。シンジが言えと命じた事を、ほぼ忠実に繰り返しただけだ。それ以外の事を言う余裕がアスカに有る筈も無く、そもそも考えた所で彼女から言葉が湧き出る訳も無い為だ。

 ただ、1つだけ異なる所が有る。シンジは奴隷の私と言っていたのだが、そこからアスカは奴隷だけを省略していた。実は他の部分も変えたかったのだが、適当な言葉がアスカには見つからない。自分の事を奴隷などとは呼ばない、これだけが精一杯の抵抗だった。

 
「・・・」

 言い終えると同時に、アスカは周囲をきょろきょろと見回している。シンジよりも周囲の反応が気になって仕方なかった為だ。

 自分ではあらん限りの大声で叫んだつもりだったのだが、それほどの声は出ていなかったらしい。周囲の人々は、1人としてアスカの方に目を向けてはいなかった。聞こえていなかったのか、それともフリをしているのか。どちらにせよ、衆目が集まる事態は避けられたらしい。

 
「っどぉ!?言ってやったわよっ何か文句有んの!?」

 とは言え、言った事を是来る程アスカはすれてはいなかった。恥ずかしさを何とか隠そうと、アスカは先程とは比べものにならない大声を張り上げている。

 
「いや、文句は無いけど・・・本当に、我慢出来ないの?」

 
「っだからっ!アンタの言う通りに、あんな恥ずかしい事言ったんでしょっ!?」

 アスカの顔からは、少しも赤みが消えようとしない。自分が何を言わされたか、一言一句までもが脳裏に蘇る為だ。間違い無く、トラウマになる。きっと事有る毎に思い出し、言ってしまった事自体に悩み苦しむ羽目になる。アスカは、確信すら抱いていた。

 勿論、そんな事はシンジの知った事では無いが。

 
「・・・そうじゃ無くて。そんなに我慢出来ないって言うんなら、ボクはこの場でやっても良いんだけど?」

 
「いっいぃっ家で充分よっ!お願いだから、こんな所でンなモン出さないでっ!!」

 ズボンのファスナーに手をかけるシンジを、慌ててアスカは押し留める。それが冗談などと、思える訳がなかった。そもそも今自分がされている事も、冗談としか思えない行為なのだから。








17:1 〜scene.4_c〜








 
「それにしても・・・」

 ローソファに座ってTVを見ながら、シンジは股間に顔を埋めるアスカの頭を荒々しく掴み寄せた。

 
「・・・一体どぉすりゃ、上達するんだか・・・」

 
「んぶっ・・・ぐっ、んんんっ!」

 喉の奥を突かれ、アスカは苦悶の呻きを上げる。見る者によっては、哀れみを感じさせるかも知れない。だがシンジには、アスカに情けをかける気にはなれなかった。想像以上の不出来さに、苛立ちすら通り越してしまった為だ。

 このゲームを学校で始めてから、トータルでも8時間以上の時が経過している。にも関わらずアスカは、未だにシンジを射精させられずにいた。

 アスカには、マナと違い技術は無く知識も疎い。更にシンジから積み増された代替条件が重なり過ぎて、奉仕そのものがロクに出来なくなってしまっている。アスカは、泥沼と言う悪循環の中に置かれていた。

 
「ぐっ・・・あっ、ぁふあぁっ!!」

 背を仰け反らせ、アスカはシンジの肉塊から口を離す。堪えようなどとは考えずに、嬌声を放ち全身をびくびくと痙攣させていた。それから再び倒れ込み、ぼやけた視野に入るそそり立ったままのシンジの肉棒の真横で荒い呼吸を繰り返す。

 
「・・・またイっちゃったの?こらえ性が無いねぇ・・・」

 またもやシンジを置いて、さっさとアスカは1人で果ててしまった。シンジも今更その事を、咎める気にもなれない。腰を軽くずらし、アスカの頬や鼻や唇を唾液で汚れた肉棒で突き押しながら皮肉を投げ掛ける。

 
「せぇっかく、さ。アスカのお願い通り、チ○ポしゃぶらせてあげてるのに。ボクをイかせる前に、アスカがイっちゃうんじゃ意味無いよねぇ。それともアスカは、チ○ポしゃぶりながらイきまくりたかっただけなの?」

 
「・・・はぁっ、はぁ・・・ぁっ、はぁ・・・っ、あ・・・はぁっ」

 そんなシンジの言葉にも、態度にも。アスカは何の反論も返す事は出来なかった。時折身体をびくびくと震わせるだけで、ただただ酸素を取り込もうと喘ぎ続けている。

 だがそれも、仕方が無い事なのかも知れない。それほどアスカに化された条件は過酷なモノとなっていたからだ。

 制服は、家に帰るのと同時に脱がされ。皮肉にもアスカの身を包むのは、最も脱ぎ去りたいビスチェだけとなっている。そこにシンジは、様々な性具を追加して行った。アスカの頼みを聞くと言う、建前に基づいて。

 胸は低周波によって絶え間なく揉みしだかれ。家でリングピアスに付け替えられた乳首は、ピアスにそれぞれ2個づつ下げられたピンクローターで振動と共に下方へと引っ張られていた。

 胸と同じパッドが張られ、アスカの包皮に包まれたままのクリトリスは低周波により容赦無く刺激され。学校で入れられたままのバイブレーターに加え、尻の穴にも動物の尻尾を模したバイブレーターが突き立てられている。

 因みに、尻尾に併せて猫の耳を模した飾りも付けられているのだが・・・それは、責めには関係がない。あくまでも、単なる装飾品である。

 
「・・・はぁっ、はぁっ・・・っん、くうぅっ!?」

 シンジの猛り立った肉塊への奉仕を始めて、一体どれだけの時間が過ぎているのか。今のアスカには判らない。それどころか、自分の身に何が起こっているのかすら正確に把握出来なくなり始めていた。

 個々の部位が発する快感や痛みは、アスカに伝わって来る。しかしそれが、アスカの脳裏で1つに繋ぎ合わさらない。意識が混濁し、状況を把握する能力が極度に低下している。次から次へと襲い来る快楽の波に、木の葉が揺られる様に弄ばれるだけだった。

 
「・・・はっ、んっああぁっ!あ、ああんっ!」

 俯せに倒れたまま、アスカは下半身を痙攣させている。モーターの回転音に合わせて、尻の穴から生えた尻尾をゆらゆらと揺らしながら。

 
「ぃっ・・・ひっ、はぁああっ!・・・っ、はぁっ・・・ッ!?」

 既に何度絶頂を迎えたか、アスカには判らない。一度果てる度に、頭の中で激しく光が弾け、光の残滓が散っている所に新たな光芒が次々と煌めいて行く。ばちばちと音を立てて光が弾ける度に、アスカから抗おうとする意志は奪われ思考が消え去っていた。たった1つの、アスカにとって忌むべき感情を除いて。

 
「・・・あ・・・はぁっ、は・・・ぁっ、う・・・っ、ああっ!」

 もはや今のアスカには、反抗を企てるどころか身体を起こす事すら出来ない。俯せに倒れた床の上に、喘ぎながら汗と涎と愛液の溜まりを広げるだけだった。欲を味わう事に狂った、1匹の獣として。

 そんなアスカの姿を、シンジは普段と何も変化の無い目で眺め続けていた。楽しんでいる訳でも無く、かと言って嘲り卑下する訳でも無い目で。勃起したままの肉棒を、アスカの顔に擦り付けながら。

 
「・・・でも、さ。ぐったりしてるヒマなんて無いと思うよ、アスカには」

 ただ、そんな真似にもいい加減に飽きたのだろう。髪の根本辺りを掴んで、アスカの頭を引き起こし。呆けた表情を浮かべたままのアスカに、シンジは冷酷な現実を告げる。

 
「・・・ぁ・・・え?」

 
「だってさ、未だ一度もボクの飲めて無いんだから。アスカ、その事判ってるの?」

 
「・・・っ・・・」

 
「忘れちゃったのかなぁ?アスカの提案を呑んであげる、代替条件を。ボクのザーメン飲んだら、ソレを脱がせてあげるって」

 
「・・・って・・・ま、まさか!?」

 持って回ったシンジの言い方が、アスカを正気に戻した。驚愕に見開いた目をシンジに向け、恐怖が身体を小刻みに揺らし出す。言葉の裏に秘められた、シンジの目論見が見えた為だ。

 
「延々と続けたってねぇ・・・もう、時間区切ろうよ」

 いかにも付き合っていられないとでも言う様な口調で呟きながら、シンジはリビングの時計に視線を投じる。

 今の時間は、午後10時を少し過ぎた程度。アスカが低周波の刺激に晒されて、実に半日を超えていた。奉仕に費やされている時間は、それよりも若干短いが・・・未だに射精に至れない様では、ダラダラ続けているだけと言われても仕方が無いだろう。

 
「あの時計の針が、12時を廻ったら終了。そんな所じゃない?それ以上は、費やすだけ時間の無駄だよ」

 
「・・・それで、もしダメだったら・・・?」

 アスカにも、答えは判っている。それでも、聞かずにはいられない。それが、余りにも信じ難い結論だからだ。自分の頭では無く、他人の口から言われなければ信じる事など出来ない。

 その点に於いて、シンジは極めて優秀だった。アスカの精神を根底から挫く様な事を平然と、どうでも良い事の様にあっさりと口にする。

 
「ルール通り、アスカはソレを脱げない。それだけの事だよ」

 
「・・・」

 アスカに言葉が有る筈も無かった。自分の導き出した結論通りだと、喜ぶ気にもなれないが。ビスチェやバイブレーターの責めを忘れ、呆然とした顔をシンジに向ける事しか出来ないでいる。

 この下着を脱ぎ捨てる為には、アスカは意地でもシンジから精を絞り出す他に無いと言う事である。と言って、今まで散々時間を費やしたにも関わらず出来なかった事が急に出来る訳も無い。アスカが言葉を失うのも、当然の事だろう。

 
「ボクも出せないけど、仕方ないよね。そー言うルールって決めたんだから」

 
「・・・」

 まるで対等に失うモノがあるとでも言う様に、シンジは肩をそびやかす。へたり込んだアスカを残し、軽く勢いを付けて腰を上げた。脇に置いて有った携帯電話に手を伸ばし、手慣れた動きでボタンを押して行く。

 
「アスカなんかに期待した、ボクがバカだったんだよ・・・まぁ、別にいいけどね。ボクの方は、アスカじゃなきゃダメって訳でも無いし・・・」

 
「・・・やるわよ・・・やりゃあいいんでしょっ!」

 そう返す以外に、アスカに言える言葉など無かった。ビスチェを脱ぐには、他に手など無いのだから。

 こう言う事に関して、シンジは必ず公言を守る。情けなど、期待するだけ無駄だろう。そう長くも無い付き合いだが、その位の事はアスカにも判っている。だから、やるしかない。如何に、不安要素が大きかろうが。

 
「ふぅん・・・今までかかってダメだったのに、出来るの?」

 案の定と言うか、アスカが抱く最大の不安をシンジは無造作に抉った。意気込みだけではどうにもならない、とでも言う様に素朴な疑問で偽った嘲りを投げ掛ける。

 
「っ・・・やらなきゃ、脱げないんでしょっ!?私は、コレを!!」

 確かにその通りなのだが・・・諦めた所で解決はしない。忌々しげに上半身を包む革の下着を指し示してから、アスカは自らシンジの怒張を頬張った。





 ・・・しかし。現実は、常に残酷である。

 
「・・・で。アスカは、何をやるって意気込んでたんだっけ?」

 
「・・・」

 普段にも増して、冷ややかなシンジの声がアスカに降り注ぐ。そんなシンジの言葉に、アスカは返事を返す事など出来なかった。口をシンジの肉棒で塞がれている、と言う事も無論有る。だが仮に、何事も無かったとしてもアスカに反論など出来なかっただろう。

 タイムリミットをシンジが提示してから、1時間半が経過した。それでもアスカはシンジの精を飲む事が出来ていない。

 当然である。今までの時間を費やしても出来なかった事が、急に出来る様になる訳が無かった。過去の経験も、殆ど参考になりはしない。シンジに奉仕をしていたと言うより、シンジに口を使われていたと言うべき行為しかアスカには経験が無いのだから。

 以前に口がどうとか、舌がこうとかシンジが言っていた気がする。だが、それを具体的な行動に移す事が出来ない。気持ち悪い。何で私が、こんな事を。こんな感情が、邪魔をしている為だ。

 
「ちゅっ・・・ぇっ、んんっ・・・」

 従ってアスカの奉仕は、シンジには通用しない弱々しい行為と化す。喉を突かない程度に、頭を前後に動かし。おずおずと舌を動かし、シンジの亀頭や雁首に瞬間的に触れるだけの愛撫を時折行うだけの。

 それでも経験が少なければ、シンジも放ってしまっただろう。だが今のシンジでは無理だ。何故ならシンジは、既にマナと言う優秀な奴隷を飼っているからである。シンジの性感は、マナの奉仕なり肉体が基準となっていた。それと比較をすればアスカの奉仕など、鬱陶しさすら感じてしまう無駄な足掻きでしかない。

 
「もう、一々面倒臭いなぁ」

 ただシンジとしても、いい加減に射精をしたくなって来た。無理に放とうと思えば放てるのかも知れないが、それではアスカの調教にならない。アスカに、思い知って貰う必要が有る。己の未熟さと、無能さを。

 
「アスカって、ボクの想像してた以上に頭悪かったんだねぇ」

 アスカに頬張らせたままシンジは立ち上がり、頭を鷲掴みにしてアスカの口を犯し始める。激しく腰をアスカの顔に打ち据え、口を腔に見立てた様な勢いで。

 
「むうーぅっ!?んむぅっ!?」

 
「テクニックなんて無いんだから、無理矢理ボクから搾り取るしか無いって何で判らないんだろ?こう言う風に、さ」

 シンジの暴力でしかない言葉と行動に、アスカは成す術が無かった。顔全体に打ち据えられる勢いに負けて、身体が後ろにつんのめる。踏ん張る事も出来ず、シンジのモノを口に含まされたまま。

 
「ぐっ!?」

 ごんっと言う音と共に、鈍い痛みが後頭部から広がった。だが、そんな事は今のアスカには些末な事でしかない。

 
「っ、む゛う゛ぅっ!うぇっ、んぶうっ!」

 シンジが腰を振る度に、アスカの頭はごつごつと床に叩き付けられる。そして床が邪魔する為に、シンジの突く勢いは少しも逃げる事がない。

 バイブレーターやピンクローターの感覚など、何も伝わっては来なかった。それらのモノが入っている事すら、アスカは忘れてしまっている。口の中を激しく前後する、シンジの挿入に掻き消されていた。

 
「むぐっ、んむぅっ!っ・・・・ぶっ、んううっ!」

 口の中を乱暴に犯すシンジを止める為に、犯しているモノを噛み千切ろうとアスカも考えた。しかしそれは、容易に出来る事では無い。

 
「っ・・・ぇっ、ぐっむうぅっ!?」

 喉の奥を突かれる度に、アスカは嘔吐いている。口を閉じて噛み締めようとする意志よりも、吐こうとする本能の方が数段強い。そんな状態で、噛み切るなど論外である。

 痛い。苦しい。辛い。気持ち悪い。今のアスカが感じるとしたら、この類の感情だけである。少なくともアスカは、それ以外に感じる事など何も無かった。

 
「んむぅっ、んん゛んっ!?」

 だが、アスカの身体は違う。いや、変化を見せたと言うべきかも知れなかった。思考とは全く異なる、予想もしていなかった反応を脳へと送り始めている。何故と思わずにはいられない、信じ難い感覚を。

 
「んーっんむ゛うっ!」

 ぱちっと、小さな火花が脳裏で煌めいた。それとほぼ同時に、びくっと身体が強張る。今更知らないなどとは言えない、自分が軽くイってしまった感覚。

 
「んんんっ!?んむぅっ、んんーっ!」

 認めたいと、思える訳が無かった。何が悲しくて、こんなモノを銜えさせられて感じなければならないのか。どうして、こんな屈辱的な真似をされて絶頂に至らねばならないのか。

 
「ぐっ、ぅぇっ・・・う゛っ、むうぅっ!?」

 しかし無情にも、アスカの身体は意に反する感覚を脳に伝え続けている。亀頭が喉の奥を突く感覚は、子宮膣部を突かれているのと同様に。雁首が頬肉を擦るのは、襞肉を抉られるのと等しく。女陰を犯されているのと同等の快感を、アスカは口を貫かれる事で味あわされていた。

 
「っ、んんうっ!?んっ、んむぅっ!」

 シンジの腰が、顔に押し付けられる度に。シンジの腰が引け、唇の裏に雁首が引っ掛かる度に。肉穴で激しくピストン運動されている時と同じ、快感がアスカの中を駆け抜けていた。

 
「んーんっ、うむぅっ!」

 アスカの頭の中では、現実と感情が鬩ぎ合っている。こんな事で感じてたまるかと言うアスカの感情と、実際に快感を訴える肉体とが。アスカとしては、抗わずにはいられなかった・・・それが、勝ち目の無い戦いだとしても。

 ばちっばちっと、連続して頭の中で小さな光が弾ける。その1つ1つが弾ける度に、アスカの意識が弱く曖昧になって行く。肉体が、快感を享受する為に邪魔な感情を排除する様に。

 
「んんっ、んんんっ!っ・・・ぁ、ん゛っ!」

 弾けた光の残滓が寄り集まり、1つの巨大な光球と化し。そしてそれが、アスカの頭の中で爆発した。

 
「んっ・・・う゛んんんっ!」

 びくんっと、アスカの身体が激しく痙攣する。果ててしまった事を、シンジに教える様に。そして、その直後。

 
「っ、んぶぅっ!?」

 ばしゃっと、喉の奥に生暖かい液体が激しくぶつかる。息が詰まり、その苦しさに思わずアスカは目を剥く。反射的にシンジを突き飛ばし、何とか顔を放そうとしていた。

 しかし、そんな真似をシンジが許す訳も無い。器用にも一旦放つのを止めて、あえてアスカの頭から手を離しながら非情の宣告を伝える。

 
「一滴でもこぼしたら、やり直しだからね。それから床に落ちた分は・・・そうだ、アスカに舌で掃除して貰おうかな」

 
「・・・ぐっ・・・ぇっ、んむぅっ!」

 そこまで言われてシンジから離れる勇気は、アスカには無かった。やり直しでは、何の為にこんな真似に耐えたのか判らなくなる。それに床にこぼれ落ちた精液を、舌で舐め取る事など絶対にしたくは無い。そこまで屈辱的な真似を、晒す気にはなれなかった。

 
「ぶっ・・・むっ、ぐっ・・・ぅんんっ!?」

 頬張った肉塊が震え脈打つ度に、勢い良く大量の精液がアスカの口の中へと注ぎ込まれて行く。生臭い上に生暖かく、恐ろしく濃い粘ついた白い体液が。

 
「今日は良く出るなぁ・・・さんざんお預け喰らったからかな。ちゃんと味わって飲み干してね、アスカ」

 軽口を叩きながらシンジは、どくどくと精を吐き出している。腰を時折震わせながら、トイレで排泄する如く無造作に。

 
「ん゛う゛っ、ぇっ・・・ぐっ、んむん゛!?」

 口の中に貯めて、後で吐き出す事など考えられなかった。次から次へと飲まなければ、とても嚥下し切れるとは思えない。仕方なくアスカは、注ぎ込まれるままに精液を飲み干して行く。コップの水を飲み干す時とは違い、ぎこちなく喉を鳴らしながら。粘ついた白濁液を、アスカは胃に流し込んでいた。

 生臭い臭気が鼻を突き、その臭気に誘われ胃液が容赦無く逆流して来る。それでもアスカは、シンジの吐き出す精液を飲み干していた。さっさと出し終われと、心の中だけで喚き散らしながら。

 
「・・・ふぅっ・・・一通り、出たかな」

 軽口と共に息を吐き出しながら、シンジは身体を軽く揺すってからアスカの口から肉棒を引き抜いた。ちゅぽんっと音を立て、唾液が糸を引きアスカの唇から離れて行く。

 
「っ・・・げほっごほげほっ!!」

 抜かれるのと同時に、アスカは激しくせき込んだ。何を今更と言われても仕方が無いが、それでもせずにはいられない。喉の奥に何かが引っかかっている様な感覚が残っているし、肺の中に満ちた精臭を根こそぎ入れ替えたかった。

 
「ぇっ・・・げっ、げほっごほげほげほっ!!」

 咳き込んだ所で、根本的な解決となりはしない。それでも咳き込み続けるアスカに、ぱちぱちとシンジが白々しく心の籠もらない拍手を浴びせる。

 
「はい、これでゲーム終了。やっと出来ましたぁ、って感じかな?」

 当然ながら、アスカは少しも嬉しいとは感じていない。今すぐにでも、胃の中に有る総てをブチ撒けてたいと考えるだけだった。だが吐き出す事を、シンジが許すとは思えない。せめてうがいでも・・・それさえも、叶わぬ願いだろう。

 思い出したくは無いが、忘れられる訳が無い。自分の身体に残る感覚が、嫌でも思い出させてくれる。放たれた白濁液がぶつかった、喉の奥が。鼻を突く、自分の身体に纏わりついた濃い精臭が。そして過度に疲労し、軽く麻痺して感覚を失った口や舌の筋肉が。

 
「・・・」

 知らずと、涙が滲んで来た。悔しくて、とは少しだけ違う。シンジの出した条件に乗せられて、はいはいと応じてしまった己の愚かしさに。こんな真似をさせられる迄堕ちてしまった、己の情けなさに。

 
「未だ噎せてるけど、ちゃんとボクのを飲める様になったんだ。ちょっとは進歩してるんだね、アスカも」

 
「っ・・・けほっ・・・ッ!?」

 改めてシンジに言われる迄も無い。もう少し前に気付いてはいたが、改めて突き付けられると言葉の重みの桁が違う。結果的に自分は、シンジの調教に完全に応じてしまったと言う事実を。

 結局自分は、シンジに1日中弄ばれ続けていただけだ。その事を、アスカも事実として認めるしか無かった。釈迦と孫悟空の様に、アスカはシンジの掌で足掻いていただけでしかない。

 つまりアスカよりも、数十枚はシンジが上手だったと言う事だ。選択肢をアスカから奪う事で、アスカの反応そのものを縛り・・・恐らくシンジは、自分の筋書き通りにアスカを誘導していたのである。

 今まではシンジが強要しただけの、実質的には拷問だった。アスカの意志を、シンジは考慮してもいない。だが今回は違う。他に選択肢が無かったとは言え、アスカはむしろ積極的にシンジの責めを受け入れていた事になる。

 いかに発端が、シンジの仕掛けた事であっても。数々の代替条件が、シンジが持ち出した事で有ったとしても。アスカがそれを受け入れたと言う事実は、僅かばかりも揺らがない。

 それはアスカにとって、致命的な失策だった。もしも本気で抗うつもりであれば、最初の時点でシンジの提案を否定すべきだったのだ。マンションのベッドで、耐え難き苦痛に晒されるべきだったのである。その結果、例え正気を失う事になったとしても。

 痛みから逃れる為に、アスカは他の選択肢を受け入れてしまった。シンジへの、口での奉仕。バイブレーターやピンクローターと言った、器具による責めを。それらも確かに、アスカに苦痛を与えはした。しかしそれは、精神的な苦痛である。低周波マッサージの様な、肉体的な痛みではない。

 それは、ある仮説を自分の喉元に自ら突き付ける事を意味している。即ち、快感を与えてくれる行為で有れば構わない・・・と、自分が思っているのでは無いか?と言う疑惑を。

 痛みによる苦痛か、快感による苦痛か。どちらの方がマシか、と言う比較論でしかアスカは考えていなかった。それ故にアスカはシンジの提案を受け入れたのだが・・・そもそも、それが過ちだったのである。

 その事に、今更アスカは気付いた。例えどちらに位置する行為で有ろうが、シンジからもたらされた行為だと見ねばならなかったのである。

 
「それじゃあ、約束通り脱がしてあげるよ。アスカ、背中を向けて」

 シンジが何かを言っている。それはアスカにも判っていた。何を言っているのかも、理解出来ている。待ちかねた、拘束具の様なビスチェからの解放。それはアスカが、待ち望んでいた瞬間の筈だった。

 
「・・・」

 だが今のアスカには、喜ぶだけの余裕は無い。結果として、シンジの思惑通りに動いてしまった自分のバカさ加減に気付いた為に。奴隷としての調教を、積極的に受けてしまった過ちに。これからシンジに、どう抗って行けば良いのか?この一言が、アスカの脳裏の殆どを埋めていた。

 
「・・・あれ?脱ぎたくないの?」

 言葉など出ない。言葉を返す気力すら無かった。しかし沈黙は、シンジの問いかけを肯定する事になってしまう。慌てて首を横に幾度か振り、アスカはシンジの疑問を態度で否定した。

 どの様な経緯が有るにせよ、やっと得られた権利を放棄する理由など何処にも無いのだから。





 汗と愛液と涎で汚れた身体を、風呂で清める気力も無く。寝間着を着る精神的余裕も無く、ふらふらとアスカは素裸のままで自室へと歩を進めた。足下に広がった布団を確認すると、糸が切れた操り人形の様に布団へと倒れ込んで行く。

 
「・・・死ぬ・・・こんな生活してたら、絶対に・・・」

 ぼふっと音を立て布団に沈み込むと同時に、アスカはついに弱音を漏らしていた。何とかシンジの精液を飲めたと、喜ぶ気にはなれない。せめてビスチェを脱げた事だけは喜びたかったのだが、何よりも疲労感が総てに勝っていた。

 それにビスチェが脱げたからと言って、素直に喜んでいる場合では無いだろう。脱げた事自体は喜ばしいのだが、脱ぐ為に支払わされた代償が余りにも大き過ぎる。それを思うと、喜びが湧き出る事など無い。

 結局、起きてから眠る迄アスカはシンジに弄ばれ続けていた。気丈なアスカをして、精も根も尽き果てさせるに充分な時間と内容である。神経は限界まで磨り減り、責められ続けた肉体には僅かばかりの力も籠もろうとはしない。

 しかもアスカを苛んでいたのは、単なる機械である。シンジは1度だけ、口の中に射精しただけでしかない。それ以外には何をする訳でも無く、勝手にアスカが悶えていただけだ。

 膣と直腸に埋まっていたバイブレーターや乳首とクリトリスに付けられたピンクローターも、皮の下着を脱ぐのと同時に抜き去られている。その前後の穴を、シンジ自身は犯そうとしなかった。それは安堵して良い事の筈なのだが、今のアスカには何の感慨も湧きはしない。

 肉体も精神も、鉛の様に重かった。疲労によってもたらされたモノも有るが、それ以上に気力が尽きた方がずっと大きい。疲労よりも徒労感で、アスカの総ては圧し潰されている。身体が言う事を聞かないのでは無く、身体に言う事を聞かせる気になれないだけだ。

 
「・・・うっ」

 枕に、アスカは顔を思い切り押し付ける様に埋める。すると途端に、脳裏から消し去りたい臭気が鼻腔を突き始めた。耐え難く、生臭い臭気が。

 アスカの腹の中には未だ、先程飲み干したシンジの精液が溜まっていた。呼吸する度に、吐き出される息は精臭を纏い彩られてしまう。

 
「・・・」

 何時もで有れば洗面台にでも行って吐き出そうとしただろうが、今のアスカにはその程度の事さえも行う気力が無かった。億劫そうに寝返りを打ち、仰向けになっただけで終わらせる。

 過度の疲労感は、人からありとあらゆるモノを奪ってしまう。生存と言う、根元的な本能すらも。それ故にアスカは、シンジの精液を吐き出そうとはしなかった。そもそも、吐き出そうと思う事すら出来ない。疲れた。わざわざそんな事するなんて、面倒臭い。それが、全てに優先していた。

 
「・・・どうなっちゃうんだろう、私・・・」

 何もかも、失敗だった。今日一日の対応だけでは無く、そもそもの発端から。そこから積み重なった挙げ句が、今の自分の顛末である。それが判っているだけに、アスカは自己嫌悪に沈んで行く。諸悪の根元がシンジで有る事に疑う余地は無いが、付け込まれる隙を見せてしまった自分の失策も否定は出来ないだろう。

 初対面の時の印象、写真や人づてに聞いた話から創り上げた碇シンジと言う人間のイメージ。勝手に抱いていた碇シンジ像に、アスカは完全に惑わされた。気弱な、大した事の無い奴だと。

 シンジの本性を見抜いていれば、2人きりで弐号機の輸送船に移ると言う失策を犯す訳が無かった。そこから、始まったのだ。シンジに陵辱されるだけの毎日が。

 実は、状況を一転させる機が有った。第6使徒を撃退した後、シンジがミサトに戦闘結果を報告している時である。あの時に、何もかもブチ撒けてしまえば良かった。そうすれば、こんな目に遭わずに済んだ。

 自分の恥を曝す事になったかも知れないが、どうせ従わなければマナに殺されていただけである。恥を曝した事など、死んだ後で気にする必要など無い。少なくとも、今日迄に繰り返された様々な陵辱に遭う事は無かっただろう。

 恥ずかしい。その思いが、アスカから言葉を奪っていた。誰にも、知られたくない。強固なプライドが、助けを求める事を否定した。

 結局は、そう言う事である。アスカは自らの意志で、助かる機会を放棄していたのだ。シンジに陵辱を受けたと知られる事を嫌った為に、アスカは1人でシンジに立ち向かわねばならなかった。その為に、こうして蹂躙され続ける毎日を送っている。

 シンジに処女を奪われて、おおよそ半月。その間、責めが無かった日は1日も無い。毎日毎日、シンジの精のはけ口として大活躍をさせられていた。

 その行為自体に、どう考えてもアスカに責められるべき咎は無い。シンジが勝手にアスカを性欲処理の道具にすると宣言し、公言通りに実行しているだけの事だ。それを辞めさせる術が無い為に、ずるずると続いてしまっている。自慢の戦闘能力も歯が立たず、誰かに窮状を訴え助けを請わなかったせいで。

 ・・・ただ。

 
「・・・」

 先程、アスカも気付かされていた。それ以上の問題が内在している事を。生死の問題よりも、ある意味では遙かに切実で深刻な問題が。

 アスカの身体は、シンジの与える暴力に等しい性技を快感として受け入れ始めていた。その事は、アスカも気付いている。シンジの責めを受けても、精神的には別にしても肉体的な苦痛は感じなくなり始めている・・・それが、何よりの証拠だった。

 今日一日の出来事も、遠回しに証明しているとも言える。シンジに着させられたビスチェを脱ぐ為に、アスカはシンジの追加した数々の責め具を容認した。仕方ないと自分に言い聞かせ、それらを受け入れている。

 仕方が無い、訳が無い。元々は、シンジに無理矢理やらされた事なのだ。仕方が無い、と思う方がおかしいだろう。拒絶し、抗う事こそが正しい筈だ。それこそが、自分。惣流・アスカ・ラングレーだった筈である。

 にも関わらず、自分はそれを受け入れてしまった。あまつさえ、自らバイブレーターを入れるなどと言う痴態を晒してしまった。ほんの半月前の自分であれば、考えられない愚かしい行為である。取り返しを付けようもない、致命的な失策。そんな真似を、何故やってしまった?

 判っている。アスカにも、自分がそうしてしまった理由くらいは。

 馴れた・・・いや、シンジに馴らされた。嬲られる事を、弄ばれる事を。他に理由などない。だからこそ、こんな程度のモノならば構わないと思ってしまったのだ。以前の容赦無き拷問に等しい責めを思えば、どうと言う事は無い。そう考える様になってしまったのである。

 
「・・・私・・・どうなっちゃうんだろ?」

 再び、アスカは天井をぼんやりと眺めながら呟く。シンジに犯される事に、肉体的な抵抗を感じなくなってしまった自分。好きでも無い相手に言われるまま、裸を曝す自分。愛など小指の先ほども無い相手の挿入に、喘ぎ絶頂に至る自分。

 こんなのは、惣流・アスカ・ラングレーではない。少なくとも、自分が望む惣流・アスカ・ラングレーの姿では無かった。そう思える事こそがアスカの抵抗の拠点で有り、同時に今となってはアスカの縋る最後の砦でも有る。

 だが、どうやってそれを取り戻す?どうすれば、自分の望む惣流・アスカ・ラングレーの姿へと戻れる?その答えを、アスカは持ち合わせていない。身体はシンジが望む様に、造り替えられつつある。既に、進行している事なのだ。それを、どうやって元に戻す?

 その答えは無い。たった1つの、否定したい解答を除いては。

 
「・・・っ!?」

 脳裏を覆う暗雲を振り払おうと、アスカは軽く身体をよじった。その途端、胸を激しい痛みが襲う。

 
「・・・」

 理由の見当は付いている。乳首に付けられたピアスが、ほつれたシーツにでも引っ掛かったのだろう。それが乳首を引き、自分に痛みを与えた。億劫そうに首を巡らせて、アスカは自分の胸に投げやりな視線を投じる。

 
「・・・」

 わずか半月程の間に、量感も感度も増された双房。そして、細い銀のリングピアスを通された乳首。そのどちらにも、哀れみを感じずにはいられない陵辱の痕跡が痛々しく残っていた。ピンクローターの重みで引っ張らていた乳首は鬱血し、ビスチェで覆われていた部分は殆ど例外無く赤紫に変色している。

 余りにも痛々しく、そして惨めさを募るだけの光景だった。見ているだけでも、先ほどの無茶苦茶な責めを思い出し苦痛が蘇って来る。

 
「・・・」

 だからと言って、この胸に罪が有る訳ではない。少しでも痛みを和らげようとして、アスカはゆっくりと自分の胸に手を伸ばす。

 
「・・・あっ」

 指の腹で胸に軽く触れただけで、甘く弱い電流に似た感覚が発せられ伝わった。

 
「んんっ・・・あんっ」

 思わず、小さな吐息が漏れる。じんじんと、麻痺した感覚を訴えるだけだった自分の胸が。まるで落ち込んでいた自分を慰める様に、快感を発しアスカに伝え始める。

 それに呼応するかの様に、心臓は鼓動を早めていた。身体全体が熱を帯び火照り始め、皮膚には薄く汗が浮き出す。

 
「はっ、ぁふっ・・・あ、あんっ」

 違う。心の中で、アスカは叫ぶ。そんなモノを求めているんじゃあない、そんな為に手を胸に持って行ったんじゃあない。そう、幾度も幾度もアスカは自分に喚き散らしていた。

 
「あはっ・・・あ、ああっ!」

 だが、止まらなかった。汗ばんだ肌に掌が吸い付き、胸から手は放れようとしない。逆に握る力は強まり、アスカは自分の胸を形が変わる程に激しく揉んでいた。

 アスカも自慰くらいは日本に来る前から知っていたし、何度か行った事も有る。ただそれは、歳相応の大人しい方法でしかない。胸を揉み、陰裂を撫でる。この程度の事でしか無いが。それでもそれなりに満足は出来たし、ちゃんと果てる事も出来た。

 だがそれも、所詮は過去の話でしかない。

 
「ふっ、あ・・・あんっ、あはぁっ!」

 その時と同じく胸を揉んだだけでも、アスカに伝わる感覚の桁がまるで違う。今までが穏やかなさざ波だとしたら、今の感覚は暴風に煽られた津波にも等しい。

 
「うあっ、は・・・あ、ああんっ!」

 胸の受けた刺激が、背を抜け首筋を泡立てながら脳へと至り。小さな火花を弾けさせる。線香花火の様に細やかでありながら、いつ絶えるとも知れず連続して。

 
「あ、はっ・・・あぅっ、う・・・ん、んあっ!」

 頭の中で火花が1つ弾けると共に、アスカは自分の意識が霞んで行く様な気がした。まるで完成していたジグソーパズルから、1つずつピースが抜け落ちる様に。自制しようとする自分の意志がじわじわと弱まり、その空白から何かが鎌首を擡げて行く。

 
「ひ、くぅっ!ぃ、ぃ・・・いあっ!」

 その何かに命じられるがままに、アスカは指先で乳首を摘んだ。親指と人差し指で、ピアスのリングを跨ぐ様に。

 
「はっ、あんっ!あっああ、あはぁっ!!」

 その間も、右手は遊んでいる訳ではない。親指と人差し指で陰唇を拡げ、その指を幾度も潤み切った肉穴に出し入れしながらアスカは快楽に酔っていた。膣から発せられる感覚と、くちゅくちゅと耳に響く淫猥な音に。

 
「はんっ、あっあんっ!ぁっ、ひっ・・・あふっ、はっあぁんっ!」

 右手で淫裂を撫で廻し、左手で胸を揉む。指の動かし方や力の籠め方を変化させる度に、アスカは快感に喘ぎを上げ続けている。

 隣の部屋にはシンジが居るのだが、そんな事もアスカにはどうでも良かった。気にする精神的余裕など無い。快感を貪る事しか考えられず、それ以外の事を考える気にもならなかった。

 
「ぁっ・・・うんっ、はっ・・・あ、あぁ・・・っ」

 何となく、アスカは自分の胸へと視線を動かした。薄暗い闇の中で、ぼんやりと浮かび上がる自分の乳房に。てらてらと汗を光らせ、身体を捩る度に張りの有る揺れを見せる・・・シンジに改造されてしまった、性器へ。

 
「・・・はぁ・・・っ」

 身体を前に屈めると同時に、胸を掴んだままで左腕を思い切り持ち上げる。だが、アスカの思っていたよりも距離は縮まらない。張りが強い為だろう、余り持ち上がりはしなかった。

 
「・・・はっ・・・んっ・・・ふぁっ!?」

 口を開き、舌を伸ばしてみる。当然、届きはしない。アスカの舌は、空を虚しく蠢くだけだった。しかし、全く届きそうも無い訳ではない。顎は胸を僅かに押しているし、胸で吐き出された息を感じる事も出来るのだから。

 
「・・・もうっ!」

 もう少しで届くが、未だ届かない。自分の望みが叶わぬ事を知り、アスカは訳の判らない苛立ちを感じている。自分の胸を舐めてみたい。舌を胸に埋める様に転がし、乳首を口に含んでみたい。その程度の願いも満たされない事に。

 
「・・・ぁんっ!」

 指先で、ピアスを弾く。乳首を支点に銀色の輪が回転し、アスカの口元へと追いやられた。これならば、届く。リングを口でくわえ、妥協案とでも言うべき行為にアスカは没頭し始めた。

 
「んっ・・・くぅん、むうぅっ!」

 汗と金属の味がアスカの口の中に広がっている。胸から伝わる快感に、がくがくとアスカの身体は震えた。ぞくぞくっと何かが背筋を幾度も駆け抜け、自分のうなじが泡立って行くのが判る。

 無理矢理持ち上げられた胸の根本が、痛みと等しい喚き声を上げていた。アスカのくわえるピアスの根本も、同じ声で叫んでいる。激しく責められる、悦びを。

 
「んむぅっ、むぅんっ!」

 自分の身体が、こうも感じるのか。こんな事でも、自分は感じてしまうのか。身体中から伝わる悦楽の叫びを聞いても、アスカは驚いてはいない。ただ、知っただけだ。今の、自分の身体の事を。シンジに調教され続けた、結実を。

 頭の中では、相変わらず光が弾け続けている。爆竹の様に、絶える事無く連続して。ただ、その光の1つ1つが大きさを増し始めていた。まるで、脳細胞そのものが爆発している様に。

 
「っ・・・んむぅっ、ぅっああんっ!」

 声を上げる事を、何時までもアスカが堪えられる筈も無かった。唇が開き、リングが離れて行く。ぶるんっと音を立て、引かれ歪んでいた胸が弾む様に揺れながら元へと戻ろうとする。

 
「はふっ、あんっああぁっ!」

 その振動すら、今はアスカに快楽をもたらす手段でしか無い。根本からじんじんと浸みる様に響く、痛みすらも。歓喜を訴え、謳歌する手段の1つにしか過ぎなかった。

 ただ今のアスカの身体には、それさえも生易しい感覚なのかも知れない。引っ張られ、歪んでいた胸が訴える。愛液を撒き散らしながら、指の挿入を受け入れている膣が騒ぎ立てる。愛撫を求め、ひくつき震える肛門が喚いている。足りない。もっと与えろと、アスカに求め続けていた。

 
「ひっ!?ぃっ、あ・・・あっあふぁっ!」

 そして、それに抗うだけの精神力がアスカに残っている筈も無く。また、抗おうと思えるだけの判断能力も有してはいない。それが当然の事の様に、心の声のままアスカは更なる快感の上積みを図ろうとする。

 左の肩を回し、アスカは半身を後方に捻った。右手で秘所を弄びながら、胸から離した左手を菊座へと伸ばして行く。

 
「はっ・・・あ、ぁうんっ!あっ・・・は、うぁっ!?」

 普段、精々トイレットペーパー越しにしか触れる事など無い部位。増してや指や異物を入れる事など、絶対に無い。そこに躊躇無く、アスカは指を突き入れた。まるで待ち望んでいたと主張でもしている様に、ぱくぱくとひくつく肛門へ。

 
「んくっ、っ・・・はっあふぁっ!」

 ぬるっと指が飲み込まれると同時に、アスカは歓喜の声を上げていた。最初はゆっくりと指を出し入れするだけで、次第に荒々しく激しいピストン運動へと変化させている。

 
「あっは、あぁっ!ひくっ、あふっ・・・っ、ああんっ!」

 指を出し入れする度に、ぐちゃぐちゃと湿った音が響く。その音に自らの嬌声を重ね、アスカは更に指の動きをエスカレートさせていた。

 指を曲げ、腹と関節を突起と化して腸壁を擦り上げる。指に絡み付く肉の感覚と、その肉が指に圧される刺激にアスカは酔って・・・いや、狂っていた。

 
「は、あんっ!あっ、あっ・・・ぅっ、あ・・ああっ!」

 連日のシンジによる調教の結果、性感帯として開発されてしまった尻の穴を自分で弄びながら。アスカは悦びを覚えている。快感を感じ、快楽を貪っていた。もう理性など追い付かない。歯止めなど効く訳が無かった。そんなモノは今のアスカを支配する、たった1つの単純な感情の前では何の力も持たない。

 
「っ、も・・・もっと、っ!!」

 周囲に唾をまき散らし、付け根から涎を溢れさせた口から発せられた言葉。理性に覆い隠されていた、恥知らずな感情。そして肉体に屈した精神が言わせた、現時点に於ける唯一無二の行動原理。その言葉に抗う事も出来ず、本能の赴くままにアスカの身体は更なる刺激を欲し動き出していた。

 膣口を撫でる様に這い回っていた手首の角度を変えて。親指と人差し指を膣から抜き取り、その代わりに残った3本の指を奥深くへと押し込んだ。

 
「・・・あふっ、あっ・・・あぁっ!」

 指の付け根が邪魔をするので、そう深く挿入は出来ない。普段シンジとの性交で叩かれる、子宮口に迄は遠く届かなかった。ただ、それはそれでアスカも構わない。その代わりに、指の付け根で淫唇を割る刺激を味わえるのだから。

 
「あぅっ、あっあぁっ!あんっ、あふぁっ!」

 柔肉を捏ね回す、ぐちゃぐちゃと言う音にアスカの嬌声が重なっていた。痺れる様な快感に身体を震わせながら、前後の肉穴を指で更に乱暴に掻き混ぜる。

 
「はふっ・・・あ、あああっ!」

 膣への挿入から取り残されていた親指と人差し指は、飛び散った愛液の飛沫を浴びているだけだった。その2本の指がそろそろと動き、皮に包まれた肉の突起に触れる。

 
「ひぎっ!?ぃっ・・・っ!」

 それが、痛みなのか快感なのか。咄嗟には、アスカにも判らなかった。凄まじく敏感な部位が訴える、強烈過ぎる感覚。ただ、アスカの脳はそれさえも快感だと感じていた。

 
「いっ・・・あはっ、あっ・・・はぁっ・・・」

 だからこそ、指の動きは止まらない。3本の指を膣口で扱きながら、親指と人差し指は包皮越しにクリトリスへの愛撫を続けている。

 
「ひゃうっ、あ・・・ぁふっ!ぅっ、んあうっ!」

 クリトリスが発する甘く強烈な刺激は、アスカの脳に強く響いていた。ボタンの様に押し込むだけで、薄くは無い皮の上から擦るだけで。がくがくと身体が痙攣する様な強い快感がアスカを襲う。

 
「あふっ・・・はっ、あくっ・・・っ、ああっ!」

 理由など無かった。それが当然の事の様に、アスカは包皮を剥き取って行く。邪魔な皮を取り去る事で、もっと強い感覚を得ようとして。

 頭で考えた、思考の結実による行為では無い。身体が考え、自分のもっと奥底の何かが承認した手段である。より強く、より激しい快感を得る為の。

 
「ひっ!?」

 包皮が剥かれ、陰核が顕になる。初めて空気に触れ、それだけでアスカに膨大な反応を返す。普段であればパニックに陥る様な、常軌を逸した感覚が。

 
「ぃひっ、はっあ・・・あはぁっ!」

 少しだけ浮いた腰が、アスカとは別の生き物の様に大きく痙攣する。目を剥き泡を吹きながら、それでも両手は自分の肉体の陵辱を止めようとはしない。剥いた陰核を、アスカの指は弄り続けている。

 
「はぁんっ!ひっ、あああっ!」

 指の腹で剥き身の小さな突起を撫でる度に、アスカの身体は弾む様に揺れていた。胸が波打ち、周囲に様々な液体を飛び散らせて。それは部屋に染み込み、塊の様に濃い臭気と化しアスカを包み込んでいる。

 
「あふっ、ぁあんっ!はふっ、あっんああっ!」

 その臭いも又、アスカを酔わせる要素の一因でしかなかった。愛欲に飢えた、牝の臭い。それを発し、嗅ぐ事で更にアスカは酩酊し堕ちて行く。人間らしさの欠片も無い、より強い快感を欲し求めるだけの牝の獣へと。

 
「ぃっ、いっあ・・・あっ!」

 撫でていた指を立て、アスカは小さなピンク色の肉の芽に軽く爪を立てた。まるで乳首を摘んだ時の様に、そうすればより強い刺激が得られると確信して。

 
「っ、あがっ!?」

 だが、その刺激は余りにも強すぎた。許容出来る限界を、あっさりと振り切る程の快感がアスカの身体を貫く。赤く焼けた鉄杭が、クリトリスから子宮を経て。背筋を抜け脳を突き抜けるかの様に。

 
「あ、あ゛ああぁっ!!」

 ばちんっと、頭の中で何かが弾ける音をアスカは聞いていた。今までの感覚とは、桁が違う。頭が吹き飛んだのではないかと思うほど、その刺激は強く大きかった。肉体を突き破り、魂が四散するかの様な巨大な感覚がアスカを襲う。耐えようとも思えない、凄まじい快感が。

 
「っ!?」

 びくっとアスカの身体が大きく跳ね上がる。首と踵を支点にして身体全体が浮き、弓なりになったままでアスカはがくがくと震え続けていた。そして身体が跳ねると同時に、陰裂から音を立てて透明な液体が再び吹き出しシーツを湿らせて行く。

 
「はぁっ、はぁっ・・・はぁっ」

 浮いた身体を布団に沈めながら、アスカは全身で喘ぐ様に荒い呼吸を繰り返していた。果てながらも未だ、身体の奥に残り火が燃えている様な感覚に包まれて。そこかしこの部位が訴える、もどかしさや物足りなさを聞きながら。

 
「・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」

 その逆に、頭の中には何も無かった。先程の巨大な閃光を見た瞬間、本当に頭が吹き飛んでしまった様な気すらしている。

 
「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・」

 自分の呼吸音が、やけに大きく聞こえていた。シンジの精臭を覆い隠す程に濃い、自分の欲に溺れた残滓が鼻腔に満ちている。

 
「・・・はぁっ・・・ぁっ・・・はぁっ・・・」

 中途半端に開いた足の付け根からは、未だ透明な液体が零れ続けていた。アスカの鼠蹊部を濡らし、シーツへと滴り落ちて行く。

 筋肉が緩みぽっかりと開いたままの肛門も、捏ね廻され無理に開かれた淫唇も。ひくひくと呼吸でもする様に蠢き、更なる刺激を求めアスカを誘っている。乳首もクリトリスも、愛撫が途絶えた事に不平を訴える様に痛々しく尖ったままだった。

 今迄に、した事が無いと断言出来る程の激しい自慰。にも関わらず、身体が満足はしていない。

 
「・・・」

 判っている。どれだけ激しく達しようが、これだけでは足りない事が。自分の身体が、納得などしない事が。

 皮肉にも自分で慰めた事で、アスカも思い知った。自分が未だ、これでは満たされない事を。どれだけ息を荒げる様な激しい自慰をしても、身体の奥に何かが燃え残っている。ぱちぱちと、弾け切らなかった火花が頭の中で微かな音を立てていた。

 至っていないのだ。未だ、シンジに犯されている時に味わった絶頂に。それを知っている身体は、今の程度の快感で終わる事を許してくれない。中途半端に高ぶった感覚は、行き場の無いままにアスカの身体を駆け巡ったままでいる。

 
「・・・」

 と言って、アスカは道具に頼とうとは思わなかった。シンジに渡されたバイブレーターも部屋の隅に転がっているが、それを使う気にはなれない。今日1日シンジから受けた責めを思うと、余りにも虚しい結論に繋がってしまう為だ。

 シンジは己が肉棒を、アスカの柔肉へと突き立てはしなかった。だから、アスカは代わりにバイブレーターを陰門へ埋める・・・と。そしてそれを正解としない為に、アスカはバイブレーターに手を伸ばそうとはしなかった。例え、どれだけ身体が疼こうが。どれほど身体がソレを欲しても。

 
「・・・」

 ただ、流石にアスカも現実から目を反らせる気にはなれなかった。そう言う身体に、自分が造り替えられてしまったのだと。欲に溺れ切り、底の無い快楽の泥沼に喘ぎ続ける身体へと。否定する事など許されぬ解答となって、しこりの様にアスカの胸中を埋め尽くしていた。

 ・・・もう、戻れない。今の生活が続こうが続くまいが。どう足掻いた所で、この身体が元に戻る事などあり得ない。それが、アスカの思い知らされた現実である。

 
「・・・どうすりゃいいのよ、私は・・・」

 見慣れた天井を虚ろな目で眺めながら、ぽつりとアスカが呟いた。ただ1つとして頼るモノの無い、恐ろしい程の孤独を感じながら。





 
「っ!?」

 鼓膜が破れんばかりの衝撃が、唐突にアスカを襲った。爆発音では無い。時計のアラームの様な、耳障りな電子音が鳴り響いている。尋常ならざる音量で、それも自分からさして離れていない所で。

 とても眠り続ける事など出来ない。耳の奥はずきずきと痛むし、何より近所迷惑だろう。閉じていた瞼を開け、半身を起こし。アスカは騒音の源を探そうと、周囲に視線を巡らせる。

 
「・・・これって・・・」

 それは、枕の直ぐ横。即ちアスカの耳元に置かれていた。やや乳白色がかった、細長い樹脂製の円筒が。それが何か、判らない訳が無い。忘れたくても、忘れたなどとアスカに言える筈もなかった。昨日、学校で自分を苛んだバイブレーターである。

 
「・・・」

 圧力センサーの反応が無くなれば、音が鳴り響く。そう、シンジが言っていたのをアスカも思い出した。布団の上に置かれただけなら、センサーに圧力が加わる訳も無いだろう。だから、当然の様に盛大な電子音を鳴り響かせた。

 引き抜いた後、洗いも拭いもされなかったのだろう。バイブレーターの表面には、汚れたガラスを中途半端に拭いた後の様な模様が張り付いていた。乾いた愛液が不規則に彩る、アスカの膣を掻き回した痕跡が。

 自分の体液での汚れだが、それでも綺麗だと思える訳も無かった。かと言って、このまま放っておけば騒音を撒き散らすだけでしかない。その騒々しさに顔をしかめながら、アスカはバイブレーターを力任せに握る。

 
「・・・なっ」

 途端に電子音は鳴り止み、静寂がアスカの部屋に戻った。しつこくも振動し続ける、バイブレーターのモーター音を除いて。

 
「何考えてやがんのよ、アイツは・・・」

 慄然としながら、アスカは手に握ったバイブレーターに視線を投じた。もしこんな音が鳴り響いたら、誰もが自分を注視しただろう。教室だろうが、街中だろうが関係は無い。気にもしない者を探す方が難しいに決まっているだろう。

 
「コレを抜いたら、こうなっていた・・・ってのを、実証してあげたんだよ。ウソ付き呼ばわりはされたく無いから」

 
「!?」

 唐突に投げかけられた声の方に、勢い良くアスカは身体ごと顔を向ける。其処には、シンジが立っていた。柱に体重を預け、掌にリモコンを握って。

 
「おはよう。朝寝坊が得意なアスカには、丁度良い目覚ましになったんじゃない?寝覚めは悪いかも知れないけどね」

 
「・・・」

 確かに目覚ましにはなった。言うまでも無く、寝覚めも最悪に近い。だがそんな事を今更シンジに言っても始まらないだろう。あえて何も言わずに、手近な所に丸まっていたタオルケットでアスカは遅ればせながら身を隠そうとする。

 
「そうそう。もう、今日の分の注射は射っといたからね。あと朝御飯は作っといたから、食べたかったら御自由に」

 
「・・・」

 バイブレーターを握った掌が、じっとりと湿り出す。汗が急に噴き出したのか、それとも熱でこびり付いた愛液が溶け出たのか。そんなモノは別にどちらでも構わない。今は、他に気にすべき事が有る。

 注射は射っておいた。それはつまり、シンジは一旦部屋に入って来たと言う事である。その事にアスカは、全く気付かなかった。

 確かに昨日の責めと自慰で、アスカは疲れ果てていた。とは言え侵入者に気付かない様では、あまつさえ身体に小細工されても気付かない様では。幾ら何でも、警戒心が無さ過ぎるだろう。バイブレーターは、その後の置き土産にしか過ぎなかったと言う事なのだから。

 ・・・だが。警戒心が云々と言った所で、アスカに出来る事など何も無い。アスカを責めているのはシンジなのだから。アスカが何をどう言おうが、アスカがどの様な対応を取ろうが。シンジは自分の気が済む迄、アスカの身体を弄び続ける。嬲り、犯し続ける。気を失う迄シンジの性の玩具とされているのに、何をどうやって警戒する?

 
「・・・そうそう。もう1つ言っとかなきゃ」

 
「?」

 
「昨日の夜、随分とオナニーに燃えてたけどさ。あんなにイきまくった癖に、未だ欲求不満だったの?」

 
「っ!?」

 
「どんな風にするのかなと思って、あえて邪魔しなかったけどね」

 アスカは、自分の気が極限まで沈み込んで行くのを実感していた。どうするか知りたかったから邪魔しなかったと言う、シンジの言葉の裏が見えてしまった為に。

 
「・・・アンタ・・・見てたのね・・・」

 つまりは、そう言う事になる。喘ぎ声を聞かれたと言う、次元の話ではない。気が沈まない方が、どうかしているだろう。

 
「そりゃあねぇ。ああも派手に喘がれたら、見に行く方が普通だと思うよ。ボクに限らず、ね」

 
「・・・」

 そう言われてしまうと、返す言葉がアスカには無い。昨夜の欲に狂った行為の異常さ加減は、誰よりもアスカが一番良く思い知っているのだから。

 
「そんなに飢えてるんなら、ボクに言ってくれれば良いのに。足腰立たなくなるまで、存分にハメまくってあげるからさ。アスカの欲求不満が、解消されるまで」

 
「・・・」

 ・・・ともかく、もう自分で慰めるのは止めよう。母親に叱られた子供の様に、床に視点を落としたまま。そう心の中で誓う以外に、アスカに出来る事など何も無かった。

 

 

つづく

 


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