ミサト


 

「ミサト!いよいよ明日はな、父さんにとっての一世一代の日になるんだ」

・・・・・・

「みんな俺の事をバカにしやがった。嘲笑しながら離れていきやがった」

・・・・・・

「母さんも、おまえを連れていってしまった。俺を見捨てたんだ」

違う!お母さんは最後までお父さんのことを・・・

「こんな寒い所まで連れてきて悪かったな。でももうすぐ日本に帰れるぞ。その時おまえは、国民的英雄の娘になるんだ」

そんな事どうだっていい。私はお父さんの側にいたいだけなのに。

 

 

 

 

 

「・・・・・・お父さん」

「やったぞ・・・ついに俺はやったんだ。誰にも出来なかったことを。俺を見捨てた奴等に復讐してやったんだ・・・」

いったい何が起こったの。どうしてこんな事に・・・

「先に日本に帰りなさい」

「お父さん・・・・・・

 

 

 

 

 

「彼女は、例の調査団ただ一人の生き残りです。もう2年近く口を開いてません」

「それは酷いな」

・・・・・・

「それだけの地獄を見たってことでしょう。身体の傷は治っても、心の傷はそう簡単には癒えませんよ」

「そうだな」

勝手な事ばっかり言わないでよ。あなた達になにがわかるっていうの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、向こうに着いたらアスカのことをよろしく頼むな」

「ちょっち苦手なのよね、あの子」

「そんなことを言うなよ、葛城。確かに傲慢不遜で扱いづらいこともあるだろうけどな。本当は、とても弱い女の子なんだ。いつも誰かが側にいてやらないと・・・」

「そりゃ、アスカは加持君にだけは懐いているもんね」

「最初はそうじゃなかったんだぜ。これでも結構苦労させられたもんさ。でもな・・・」

「まあいいわ。そんなことより、あんたゲヒルン独支部を辞めて何をするつもりなのよ」

「スイカに水でも撒くかな」

「真面目に答えなさいよ。もう・・しばらく会えなくなるんだから」

「実はちょっとな、やっと自分のやりたい事がわかってきたような気がするんだ。やっと本来の目的が見えてきた様な・・・そんなところかな」

「ちょっと、まさかまた危ない事に首を突っ込むんじゃないでしょうね」

「それもあるかもしれん」

「やめてよ!どうしてあなたはいつもそおなの。自分の事ばっかりで、私はどおなるのよ」

「すまん。でもな、男にはどおしてもやらなければいけない時があるんだ」

「答えになっていないわよ」

「葛城・・・前にも言ったよな、セカンドインパクトを起した奴等を絶対許すわけにはいかないと。あの後、俺達がどんな目に遭ってきたか、死んでいったあいつらの為にも、俺はこれだけは引くわけにはいかないんだ」

復讐ってわけ。あなたもお父さんと一緒ね。

「葛城、ほんの少しだけ待っていてくれ。落着いたらまた連絡する。いや俺の方からドイツに会いに行くよ」

「その必要はないわ」

「え?」

「さようなら・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久し振りね、二人で飲むのは」

「ドイツでは大変だったみたいね、キョウコさんのこと聞いたわ」

「・・・アスカ・ツェッペリンが、正式に例の候補者に選ばれたわ」

「そう」

「そういう事で私はお役御免ってわけ。あの子の世話はラングレーさんと、あの馬鹿がやるみたいね」

「加持君ね」

「そう、どういう手を使ったかしんないけど、いつのまにか舞い戻ってきているのよね」

「じゃあ、またすれ違い?・・・それで今日は既にでき上がっているのね」

「そんなんじゃないわよ。あいつとはもう終わったんだから・・・あんな奴・・・」

「ミサト・・これは友人として言わせてもらうけど、あなたは加持君の事を誤解している・・・」

「誤解もなにもないわよ。あいつは私の事なんか見てはいなかった。くだらない自分のこだわりにこだわって・・・まわりの人の気持ちなんか・・・私の気もちなんか・・・なんにもわかってはくれなかった。なによ、セカンドインパクトを起した奴を許さないですって・・・その台詞をこの私に・・葛城・・葛城ミサトに云うわけぇ。自分の言葉が行動が、他人にどういう影響をあたえるのかわかってんのかしら・・・自分の思い込みだけで行動して、自分の判断で勝手な事をして、それですむんだったら誰も苦労しないわよ」

「・・・・・・」

「私じゃ、アスカの教育に不適当っていうの・・・なによ、そんなに犯罪者の娘が気に入らないのなら・・・」

「私は自分のしたい様に生きるわ。他人の幸せなんてどおでもいい。私は自分が幸せになりたいの・・・その為だったら・・・」

 

ばあさんはしつこい・・・ばあさんは用済み・・・

 

「リツコ!?・・・どうしたの、顔が真っ青よ」

「ミサト・・・今晩はとことん飲むわよ。最後まで付き合ってね」

「オーケイ!、いやぁな事みんなぶちまけてやるぅ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『もう一度逢えることがあったなら、8年前に云えなかった言葉を言うよ』

冷たいね・・・ミサトさん・・・

「バカ。あんた、ほんっとにバカよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「御昇進おめでとうございます、葛城三佐」

あんまり好きじゃないのよねぇ、生きかたわざとらしくって・・・

「やっぱり私は、エヴァを憎んでいるのかもしれない。父の仇!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鳴らない電話を気にするのはもう止めるわ。あなたの気持ち受け取ったもの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう・・・これがセカンドインパクトの真意だったのね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「父は命懸けで私達を守ってくれたんだ。誰にも賞賛されることもなかったんだけど、私だけはわかってる。父は自分に誇りを持ち続けて、そして私だけを生き延びさせてくれたんだわ。加持君は私に真実を教えてくれた。本当の仇が誰なのかを。狂った考えにとりつかれて、人類を自分達が救ってやるのだと思い上がっているあの連中を。今自分が何をし何をなさないといけないのかを。私に教えてくれたんだわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミサトさんだって、他人のくせに。何も分かってないくせにっ!」

「他人だからどうだってぇのよ!あんた、このままやめるつもり?今ここで何もしなかったら、私、許さないからね、一生あなたを許さないからね。今の自分が絶対じゃないわ。後で間違いに気付き後悔する。私はその繰り返しだった。ヌカ喜びと自己嫌悪を重ねただけ。でも、その度に前に進めた気がする」

そうよね・・・お父さん・・・

「いい、シンジ君。もう一度エヴァに乗ってケリをつけなさい。エヴァに乗っていた自分に。何の為にここにきたのか、何の為にここにいるのか、今の自分の答えを見つけなさい。そして、ケリをつけたら、必ず戻ってくるのよ。約束よ」

その時あなたは、国民的英雄になるのよ。

「うん」

「いってらっしゃい」

加持君、私・・自分にケリをつけられたのかしら・・・

「大人のキスよ。帰ってきたら続きをしましょう」

 

 

 

 

 

「こんなことなら、アスカの云う通りカーペット替えときゃよかった・・・ねえ・・・ペンペン・・・・・・加持君・・・私・・・これでよかったわよね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミサトさん?」

「そ〜。葛城ミサト、よろしくね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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