史上最大の侵略 (後編)


 

正面をむきあって対峙する、エヴァ初号機ピンクの怪獣

いや、碇シンジと伊吹マヤというところか・・・

すぐには戦おうとはせず、お互いそのままで相手を見つめてあっていた。

 

(マヤさん・・・)

(シンジくん・・・)

二人は、いつのまにか心の会話を始めていた。

(どうしてマヤさんが、こんなことを・・・)

(レイちゃんから聞いたんでしょう。私達は、先輩の為に立ち上がったの)

(確かに、父さんにも悪いところはあったと思う・・・リツコさんや綾波に酷い事をしたってこと・・・)

(シンジくんだって、被害者なんでしょ。私にはわかる・・・あなたの苦しみや悲しみを・・・)

(マヤさん・・・)

(シンジくん・・・)

(だめだ!やっぱりこんなのは間違っている・・・僕達がやらなければならないのは、戦う事ではない、愛し合うことなんだ・・・)

(シンジくん、その台詞はリツコー総統が一番嫌いな言葉よ・・・交渉決裂ね・・・本当はあなたにも味方になって欲しかった・・・)

(そんなぁマヤさん・・・それじゃネルフを侵略するつもりなの・・・)

(侵略?・・・ネルフを侵略するですって・・・考えてごらんなさいよ・・・あの狂った連中を・・・侵略する価値があると思って・・・)

(じゃぁ、どうするつもりなの・・・)

(私は、先輩の開発した特製N2爆弾を持っている・・・それをターミナルドグマに持っていって爆発させるの)

(そんなことをしたら・・・すべてのことが・・・だいたいマヤさんはどうなるの・・・危険だよ)

(私は、仲間が迎えに来てくれるわ・・・)

そこでシンジは、昨晩見た『他人の星』・・・あっ間違えた、『盗まれたウルトラアイ』の一シーンを思い出した。そして、なんの根拠もないのに口からでまかせを云ってしまう。

(誰もこない・・・君は最初から見捨てられていたんだ)

(・・・・・・)

(この星で生きよう・・・この星とともに・・・)

(・・・・・・)

そう言って、静かに怪獣マヤちょんに近づこうとしたが・・・

ぎゃぁぁす!!!

「うわあああああああああ・・・・・・・・・」

突然暴れだした怪獣に思いっきりぶっ飛ばされる初号機。そして、倒れた所を怪獣に乗りかかれ、マウントポジションを奪われると・・・パンチの連打!!

「うわあああああああああ・・・・・・・・・」

内部電源が切れた訳でもないのに活動を停止する初号機。

いやシンジに痛みが伝わるのを避けようとするユイさんの愛情か・・・

それとも、あまりにもアホな息子を見放したのか・・・

 

 

 

 

 

いっぽう、第三新東京市郊外の小高い丘にある、付近の住民には気味悪がれ近づく者もめったにいない、中世東ヨーロッパの王侯貴族の別荘を思わせる洋館に不気味に猫の声が鳴り響いていた。

ブルニャ〜ゴ

「・・・・・・裁きの時は近づいています・・・不浄に暮らす者は、必ず地獄へと落ちるでしょう・・・・・・正しさを知っていて、それを行わない者・・・罪を行い、言い逃れをする者・・・そして、それを恥じない者・・・・・・これらはすべて悪です!・・・・・・神様・・・・・・ブツブツ・・・・・・・・・」

「ちょっとぉ、なにやってんのよぉ!いいかげんにしてよ!」

アスカ様は、頭部に不気味な黒猫の顔が描かれている十字架に、貼り付けになっていた。

「このわたしにこんな事をして、ただで済むと思ってんの!!!」

「可哀相なひと・・・マナ・・・弐号機パイロットには・・・まだまだブルニャ〜ゴ様の救いが必要ね・・・」

「はい、彼女の魂は悪魔にとりつかれています。悲しい事だけど・・・おそらく見せかけの栄光とひきかえに、メフィストフェレスと契約してしまっているのでしょう」

「弐号機パイロットを本来の姿に・・・崇高なるブルニャ〜ゴ様・・・」

レイの赤い瞳は、すでに別の世界にいってしまっていた。身の危険を感じながらも、なんとか冷静さを失うまいとするアスカ様はマナの表情にレイとは違った物を見つけた。

「マナ!あんたはファーストとは違うんでしょ。わたしにはわかるわ。ほんとはあんた・・・」

「黙って・・・命が惜しくないのアスカさん」

「・・・!?」

「綾波さんは、今神様と交信を始めている・・・不浄な大地に這いつくばるを得ない私達の為に、すべての力を解放しようとしているのよ・・・あなたにはそれがわからないの」

レイの姿がやがて、白く輝き始めていた・・・

「うううううう・・・・・・」

「いやあああ!!!やめてぇぇぇ!!!・・・全てが無になってしまったらどうすんのよ!!!」

「ふううううう・・・・・・」

「やだあああ!!!助けてぇぇぇ!!!・・・ママァ!!!」

「はううううう・・・・・・・・・あや!」

「いまよ!」

バキッ!

まさにリリスの力が開放されようとしたその瞬間、マナは手に持っていたギデオンもどきの分厚い本を思いっきり青い髪の上に振り下ろした。白化していたレイの体は無防備にその攻撃をうけ、静かに地面に崩れ落ちる。やがて体も肌色を徐々に取り戻していった・・・・・・

「はあはあはあ・・・まったく毎度毎度世話の焼ける・・・」

アスカ様は呆然とその様子を見つめていたが、しかし今度は体が小刻みに震え出し・・・おそらく何かを言いたくても言えないのだろう、口をパクパクしている彼女をマナは十字架より解き放ってあげつつ

「どお、恐かったでしょう。あなたにも私が味わったことを体験してもらいたかったのよ」

「あああ・・・・・・あわわ・・・・・・」

「大丈夫ぅ・・・錯乱してるみたいだけど・・・」

「あうあう・・・どうして・・・」

「私の時には、ニャンコ姉ちゃんが止めてくれたのよ。『あや!と言ったときがチャンスよ』ってね」

「マナ・・・あんた一体・・・・・・」

「私が洗脳されていないのが不思議って顔ね・・・ふん、そんなのちっちゃい頃から○○○○姉ちゃんで苦労してたからね・・・怪しげな新興宗教にかぶれて、夜の街を徘徊したあげく次々と男に騙されて・・・家もおんだされて・・・それでもお姉ちゃんは世を呪い、ありもしない神様に・・・けっして助けてはくれない神様に・・・縋ろうとしていたわ」

「・・・・・・・・・(作者、あんたいい度胸ね・・・)」

「まあ、最近は宇宙ロケットパイロットの兄ちゃんの所に世話になっているみたいだけど・・・なにやってんのかしらねぇ」

「リリ・・・リリンリリン・・・リリリリン・・・」

「ニャンコ姉ちゃんの事?今頃は髭眼鏡をしめている所ね・・・。さっき泣き喚くあの男の声が聞えてたから」

「・・・・・・マナ、あんたってしたたかな娘だったのね」

「ふん、行き詰まった人々を救うありがたい教えだってぇ、そんなの所詮みんなの教祖様と言ったって○○○○ニャアニャアニャア・・・・・・ワンワンワン・・・・・・パオーンパオーン・・・・・・○○○○ってなもんよ」

「マナさ〜ん、もしもぉし・・・危ないって・・・作者が東京湾に浮かぶわよ」

 

 

 

 

 

「さぁーお次は、水中クンバカにでも挑戦してもらおうかしら」

「助けて・・・もう許して・・・」

「情けない事言ってんじゃないわよ。もうそんなこったから、すぐダメになんのよね。今度は、首が痛いとでも言うつもり」

「許して下さい・・・リツコ様。もう○○○るのを、言い訳したりしませんから」

「どうだか・・・まだ気が済まないわね。タラン!」

「酷おぃ、先輩!私はガ○ラスの生き残りじゃないですよ」

「伊吹君!・・・君がどおしてここに・・・確か火を吐きながら・・・」

「えへっ、怪獣は私であって私ではないんですよぉ。でも結構可愛かったでしょ」

「レイをいっぱい作れたんですもの、怪獣マヤちょんの一匹くらいわけないわよ」

「私のDNAにゴ○ラ細胞をブレンドしてクローンしちゃってみたんですよね」

「そういうこと、この天才リツコー総統に不可能の文字はなくってよ。オオホホホホホホ・・・」

「君達は科学という物をなんだと・・・」

「あんたに言われたかないわね!ところでマヤ、シンジくんの方はどうだったの?」

「それがぁ・・・こっちの味方になる様説得してみたんですけどぉ、電波まみれになっていたんでちょいっとタコ殴りしてみました。いまユイさんともども完全に沈黙しています。だめですぅ!っていう状態ですね」

「親子そろって無様ね!それじゃあ水中クンバカァ〜いってみようか!」

「まってくれぇ!リツコ君、いやリツコ様・・・」

「総統とお呼び・・・」

「総統!条件をおっしゃって下さい。私は何をすれば良いのですか・・・なんでもします・・・本当です。だから・・・だから・・・」

「マヤ、この男を水槽に・・・」

「レイちゃん、いいわね!・・・私が出てしばらくしたら、あの女のところに行くのよ」

「へっ・・・何?」

「りっちゃん、そんな遠くから片手で撃ったって、当たるもんも当たんないよ・・・」

「なによそれ!?」

「レイや加持君から・・・ブハッ・・・」

「マヤ、ストップ!」

「ゲホゲホ・・・はあはあ・・・」

「あなた、何を知っているの?」

「先輩ぃ、どおして止めるんですかぁ・・・おもしろかったのに」

「お黙りマヤ。碇司令、講和会議を始めましょう。もちろんあなたの無条件降伏よ」

「・・・はあはあはあ・・・うぷっ・・・総統、スターリングラードは陥落しました」

「わかったわ・・・」

 

 

 

 

 

場面はパーンして、こちらジオフロント。初号機に対してマウントポジションから今度は腕ひしぎの体勢に移行していたピンクの怪獣は、必死になってギブアップを宣言している初号機の左手を絞り上げていた。

がおお!・・・がおお!・・・

「もういやだ・・・もういやだ・・・もういやだ・・・誰か僕を助けてよ・・・」

「シンちゃん・・・ねえ誰か何とかしてよ・・・なんともならないの!」

「葛城三佐、だめです。初号機はすべての信号を受け付けません」

「パイロットの心音微弱・・・デストルドーが形而下化されています。危険です」

「これ以上はパイロットの自我がもたんか」

「あ〜シンちゃん、どおしてこんな事に・・・神様、罰なら私にお与え下さい・・・」

胸のクロスを握り締め、もはや神頼みしかない作戦部長。他の面々もどうしようもない状態であった。その時である、後方の司令席の頭上より、ウイーンという音が聞えたと思うと天井がぱかっと割れ、顔面白い髭に足を組みながら、今度は沖○艦長のコスプレをした金髪泣きぼくろの女性が移動式の座席に座りながら降りてきた・・・胸には黒猫を抱きながら。

「無様ね・・・一体なにやってんのよ?」

「リ・・・リツコ・・・(あなたってどういうひとなの?)」

「赤木博士・・・君がなぜここに・・・碇は・・・」

「詳しい事は後、まずは眼前の敵殲滅が最優先よ。それとねこれからは私の事を艦長とお呼びなさい」

「なにを君は・・・・・・うわぁ・・・・・・」

突然、副司令に赤木艦長の胸から黒猫が飛び掛かり急所を一噛み・・・沈黙した。

「よくやったわ、これで邪魔者はもうここにはいないわね」

もはや新しい指導者に逆らおうとする者は、発令所内にはいなかった。辣腕の作戦部長でさえも・・・

「赤木艦長、攻撃の指示をお願いします(あ〜なったリツコには誰も止められないわよ)」

「古代くん、ライトンR30爆弾を使用するときが来たわね」

「(誰が古代よ・・・)でもそんな兵器を私は聞いた事がありませんが」

「ふふふ・・・こんなこともあろうかと思って、つい先日新兵器を完成させていたのよ」

「(そりゃ怪獣をつくれるくらいだから、それ様の対戦兵器も準備しているでしょうね・・・)そうですか、それではわたくしめはどうすればよろしいのですか」

「古代くん、そこの正面の席にすわって机の上のボタンを押して」

「あら?・・・いつのまにこんな席が・・・ちょっと日向君どいて、よいしょっと・・・これね。ポチットな・・・」

「ターゲットスコープ、オープン!」

「(はいはい・・・)ターゲットスコープ、オープン!・・・総員対ショック対閃光防御!」

チュイーン

「あらぁ・・・結構これ面白いわねぇ・・・ワクワク・・・このトリガーをひけばいいのね」

「古代くん、よく狙って・・・失敗は決して許されないのよ」

「任せて下さい、艦長!・・・エネルギー充填120%・・・いっくわよ〜ん!」

すっかり作戦部長もその気になっている。だから30代って・・・

「こらぁ〜作者、あんたに云う資格があるってえの!」

すんませんでした。さてピンクの怪獣の方はというと、ネルフの攻撃開始を知ってか知らずか挑発するかのように、初号機をアルゼンチン・バックブリーカーの体勢に抱えあげると・・・「エーステ!」と言い始めた・・・

「シンちゃ〜ん!!!・・・のわぁにすんのよぉ!!!・・・ライトンR30爆弾発射ぁ!!!

ドッカーン

爆弾は見事怪獣に命中!

すると、パン!とちゃちな爆発が怪獣の胸当たりで炸裂、続いて怪獣は突然、気を付け!の姿勢をとると、ゆっくりと倒れた・・・そしてワンテンポおいて大爆発!

持っていた特製N2爆弾が炸裂したのか・・・炎となり燃え上がる物体・・・

「やったぞー!葛城三佐、お見事です!」

発令所に沸き上がる大歓声・・・皆が次々と喜びに満ち溢れながら作戦部長のところに集まっていった。

ぐおお!・・・ぐおお!・・・

「まるで、泣いているみたいですね」

「この広い宇宙のどこにもあなたの逃げ場はないのよ、怪獣マヤちょん。でもそれは自業自得というべきなの。宇宙でも地球でも、正義はひとつなのよ!」

「ちょぉっと、リツコ。なに無責任なこといってんのよ!・・・マヤはあんたの為にこんなことに!」

「燃えているのは、マヤではないわ・・・今の台詞は冗談よ・・・よく見てご覧なさい」

「えっ?」

炎の中をよく見てみると、燃えているのはピンクの怪獣ではなく・・・

「あああああああああ!!!・・・・・・シンちゃぁぁぁぁぁぁん!!!」

すでに炭化を始めていたのは、ただ一体・・・初号機であった。

「アスカがぁ振っていた〜、真っ赤なぁスカーフぅ・・・ドラ猫くわえたリツコさん、お追っかけて〜・・・クスクス・・・ここにいてもいいんだぁ・・・・・・」

「シンちゃん!誰がこんな酷い事を(←あなたです!)・・・早く助け出して!」

「だめですぅ!オートエジェクション作動しません!」

「・・・マヤ・・・あなたもどおしてここに・・・」

「えへへ・・・先輩恐かったですよぉ、神経接続をはやく解除してくれないんだからぁ」

「ふふふ・・・マヤ、最近ちょっと生意気になっていたから少〜し懲らしめてやろうと思っていたのよね」

「酷いですぅ!先輩、私はいつだって先輩一筋ですよぉ」

「じゃれあっている場合じゃないわよ、私のシンちゃんがぁ・・・」

「オヤジは水の中・・・オカンとムスコは火の中・・・悲劇的な・・・いえ喜劇的な親子ねぇ・・・(やっと気がすんだわ、母さん)」

「碇くん・・・あなたは死なないわ・・・わたしが守るもの・・・(霧島さん、覚えてらっしゃい)」

「シンジ・・・早く元気になってね・・・またデートしましょ・・・(綾波さん、いつでもどおぞ)」

「みなさん、酷いですぅ・・・シンジくん、可哀相・・・(今度私が、慰めてあげるわね)」

「あんたらぁ、散々やりたい放題やっておきながら・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

火はまもなく消えた・・・S2器官を搭載した初号機は不死身だ・・・やがて白エヴァの様に復活するだろう。やりたい放題やられた、碇親子・・・特にユイさんがこのまま黙っているとは思えない。はたして、作者が勝手にアダムだと信じている彼女の復讐劇はどの様にして始まるのか・・・おごれるブルニャ〜ゴ一派はひさしからず・・・の歴史はくりかえされるのか・・・

 

最後に、シンちゃんとアスカ様の言葉でこの話をしめさせてもらうとしよう。

「明けの明星が輝く頃、ひとつの光が宇宙に向かって飛んでいく。それが僕なんだ」

「シンジィ・・・あんた、死んで帰っていってしまったの・・・スンスン・・・」

 

光は、やがて星の中に消えた・・・

 

 

 

 

 

終わり

 

 

 

 

 


<後書き

もうなにがなんやら・・・

伏せ字ばっかりで申し訳ありませんでした。

だってそのまんまの文章を校正していたら恐くなったんだもん。

感想お待ちしています。柴レイでした。


柴レイさん、本当にありがとうございました!!

柴レイさんへの感想メールを!
fwje9785@mb.infoweb.ne.jp
までお願いします。


「投稿作品展」へ戻ります。

「落書き部屋」TOPへ戻ります。