【Vol.8】
こんにちは。
ご存知だとは思いますが、来週、エスパニョールのコーチを連れて日本に帰ります。
もはや日本にもいろいろな練習のメソッドや理論が入っているのは承知の事実です。そんな中で一生懸命、日本で試行錯誤されている指導者の方達が、何らかの気づきや、自分が考えていた事に対する確信等が得られればと思っております。
彼は、サッカーをようく知っております、、、(だから連れていきたかったのです)
さて、こちらのスポーツ紙(マルカ)に、先日、元監督とバルサフィジコによる対談が掲載されました。スペインでは賞賛されましたし、ある面これがサッカーの国、スペイン人達の考えだと思います。
下に翻訳したので呼んで見て下さい。
● 体作り(調整・体力トレーニング)は存在しない、、(サッカーにおける) ●
C: Angel Cappa (元監督、コメンテーター)
P: Paco Seirulo (FCバルセロナ、フィジコ)
C:あなたと考えが一致するかどうかわかりませんが、私の考えでは、いわゆる体作り(調整・体力トレーニング)というのは存在しないと思ってます。存在するのは“サッカー選手作り”“バスケットボール選手作り”“テニス選手作り”であり、一般的な、体作り(調整・体力トレーニング))ではありません。
P:私もその考えに同感です。
以前は、間違った考えとして、まず全ての競技選手に対し、アスリートになる為の体作り(調整・体力トレーニング)をし、そして、その後は各々の専門競技のトレーニングをしてました、、、
もし持久力の体力強化をしたければ、山に行ったり、浜辺に行ったりし、その後、各々の種目にあった持久力トレーニングをしていました。
それでは、時間と労力の無駄だった訳です。
全てのスポーツには、その競技特性にあった体作り(調整・体力トレーニング)が必要なのです。
C:スピードについてですが、例えばサッカーにおいては、他の競技とは特性が違います。
スピードの中に正確さがあり、かつプレーの前に周りをみなくてはならない、、、
P:私は以前、別の競技選手も見ていました。
そんな中でサッカーは、最も巧妙さが要求されるスポーツです。
高い知性、判断、感性、スペース察知能力、そして試合時間、、、
どうして? サッカーにおける動作一つ一つが、そのままプレーに直結してるからです。かつ、個人各々の集中力も大切な要素です。
なので、サッカーにおけるタレントは、非常に特別な存在でもあります。
C:以前あのマラドーナと一緒にいた時に、彼が言った言葉を思い出します。
一緒にバスケットのマイケルジョーダンの試合を見てたときです、、、
彼(マラドーナ)にこう言いました、、
“ディエゴ、偉大な選手だよな?(マイケルジョーダンを指し)、、、” そしてマラドーナーが、“たしかに偉大な選手だね、、彼を尊敬するよ、、、 でも忘れちゃいけないのは彼は“手”を使ってる事だよ、、、”
P:たしかに、、、それがサッカーの難しい所です。
足を使ってプレーしなければならず、それによりプレーを更に複雑にしています。
今まで、いろんな選手を見てきましたが、多くの選手達が、、、自分に対し、、“パコ!、どうしてスピードのトレーニングをやらないんだ?” と聞いてきます。
そして、彼ら(選手達)に対し、、、
“それは(スピードのトレーニング)、は毎日やってるだろ?” と、、、
サッカーとは、スピードと、加速が備わったスポーツなのです。
それ以上、必要以上に走るのではなく、ボールと相手(敵)を考慮しつつ、それらに順応していかなくてはならないのです。
適切なスピードで、ボールタッチし、自分の望む所へ移動する、、、
C:パワーについてですが、私の考えでは別ものだと思ってます。
私の考えでは、サッカーにおけるパワーとは、“ずる賢さ”だと思っています。
P:もちろんです。
選手自身のエネルギーを、最も最適で、都合良く使う事です。
そうでなければ、パワーは何の効果も発揮しません、、、
あるパワーのあった選手が居たとします。もし、毎回相手選手とぶつかったりばかりしていたら、いくらパワーがあっても、ボールを取られるか、ファールをしてしまい、うまくはいきません、、、
C:多くの人達が考える間違った事として、背の高い選手がいわゆるヘディングに強くかつ最高だ、、と思ってる事です。
ヘディングと言うのは、背の高さが全てではなく、ジャンプの方法を学ぶ事、そしてどうヘディングするかという事を学ぶ事です、、、
P:実際に、サッカー界史上、ヘディングの得意だった選手というは決して背の高い選手ではなかったと言う事です。
背の高さは普通ですが、ジャンプのタイミングや、浮いているボールの軌道を的確に捉える能力がありかつ、なにはともあれ、ずる賢かったのです。
C:体作りにおいて、今まで、多くの言い伝えが我々のスポーツで(サッカーの事)は言われてきました。まず、“アップ”について、そして“プレシーズン”そして“筋力トレーニング(重りを用いての)”、、、
P:それらの事については、私は3つの重要な事があると思ってます。
まず最も重要なのは、プレシーズンであります。
私は僅か1ヶ月の、プレシーズンで、長丁場のリーグ戦を乗り切れるとは思っていません。
その1ヶ月で、選手達がシーズンを乗り切れる、体作り(調整・体力トレーニング)なんて不可能です。
以前我々フィジコは、選手達に対し、このプレシーズンは大切なんだ、、、と鞭を打ってしていたものです、、、1日2部練習、3部練習を、2週間でするなんて、選手達にとっていい訳がありません。
それらの結果、選手達には疲労が生じ、シーズン開始後の5試合でそれらの代償を受ける訳です。
私の考えでは、プレシーズンは、リーガの最初の試合の為だけの準備だと思ってます。
それから、2試合目の準備、そして3試合目の準備へと、、、なので、プレシーズンの2週間、2部練習、3部練習を、ボールに触る事なく行うのなんて、選手達を傷つけるだけで、効果的とは言えません。
C:以前、私が南米のチームを率いていた時、彼らは1日に4部練習をしていました、、、
それなんて、まさに選手達を殺してるようなものです。
アップについてはどうお考えですか?
試合前の、25分間のアップは選手達は緊張しています。
あのクライフがアップしていたのを思い出します、、、
軽くボールタッチと、軽いランニングだけのアップでした、、、マラドーナもそうです、、、
事実なのは、アップと言うのは、試合前の選手達の緊張を取り除く事でもあります。
走ったり、ボールに触ったりして、緊張を解きほぐす、、、それが全てです。
P:アップについては、今まで多くの議論をしてきました。
そして、多くの方法も実際に試してきました。
我々(バルサでの)のアップとは、一緒に戦う仲間や、その会場の雰囲気との調和だと思っています。我々のアップの最大の目的はそれであります。
今まで何千回とアップなしで試合に入る選手を見てきましたが、ケガをする選手はアップしてないからではないのです、、、
C:それはバスケットの場面で良く見かけますね、、、
ベンチに座っていた選手達が、交代でいきなりアップなしでコートに入ってプレーしてます。
P:テニス選手に関しては、試合前のアップにて、コートの周りを走ってる選手なんて見た事がありません、、、試合の相手と何本かラリーをし、サーブをし、試合に入ってます。
C:別の無知の言い伝えとして、たくさん走る選手が、良いプレーをする、、、と考えられている事ですね、、
P:我々のスポーツ(サッカー)においては、軽いランニングと体をほぐす動き、数本のパス、そして数本のダッシュだけで、すでにアップされているのです。
そして選手達は、各々好きな動きが出来るのです。
我々が行っているFutbol(サッカー)において、必要以上の大袈裟なアップは必要ないのです、、、
例えば陸上の400m走の選手であれば、競技の性質上(約1分)の為、アップの内容も随分と変わってくるのは当然の事ですが、事サッカーにおいては、そういった類のアップはまったく無駄なのです。
C:以前、某ドクターが言ってましたが、疲れを感じてる、、、と言うのは、疲れている状態ではない、、、と、、、
疲れというのは、ある面心理的な面が大きいものです。
精神的な元気さが、身体的な疲れに多いに影響しているものです。
例えばですが今まで、4-0で勝ってるチームが、疲れを感じてる場面を見た事がありません、、、
P:そう言った場面は、陸上で良く見かけるものです、、、1位でゴールした選手が、パワーを使い果たしたのにもかかわらず、観客に喜んで挨拶したり、走り回っていますよね、、、一方それ以下の選手達は、ゴール後倒れたり、しゃがんだりしているものです、、、
それこそ、まさに精神的・心理的作用が、疲れに影響してると言っていいと思います。
C:プレッシャーについてですが、、、
試合に勝たなければならないというプレッシャーは、身体的にも影響を及ぼしますよね、、、
P:はい。たしかに身体にも影響してきます。
とりわけ疲労回復に関してはなおさらです。
ストレスは、また別のストレスを生じます。
選手という者は、うまくいってない時というのは、疲労回復も良くない事が多いものです。我々バルサの練習では、常に違ったトレーニングをしています。
同じ目的、強度の類の練習は2度する事はありません。
同じ練習に慣れると言うのは、いいとは思いますが、最終的にはいろんな物を失ってしまいます。
選手というものは、新しい練習方法に慣れようとする為に、体に潜んでいる新たなエネルギーを発揮しようとするものです。
チームにとって、それは必要なものなのです。
C:さらに創造性を持って練習をしなくてはなりません。
練習の為に準備した事や用意した事を全て、その日にする事は必要もありません。
その日、その日の練習に起こった出来事や、調子により臨機応変に変えなくてはなりません。
P:私の場合では、一応メニューを作成して行わせますが、数回やって観察後、これ以上やっても無駄だと感じれば、その場で止めます。
選手達は、同じメニューを何回も繰り返してると、飽きるものです。
今までバルサの監督で、良い結果を残してた監督は、これらの事を良く解ってた人物達です。
C:私は監督として例えばディフェンスの練習をする時には、時間の事は考えません、、、
それらはその練習の結果で判断すればいいものです。
P:多くの監督達は、それらの事(練習時間、回数)で不安になるものです。
もし、練習内容であの2セット残ってたとします。それをやりとげなれば、、、といった類の不安が頭をよぎります。
でも、そこで終えても、まったく問題ないのです。
多くの選手達は、多くの場合、その練習においてどの場面が大切で集中して行なわなければならないのか、はっきりと知りたいものなのです。
それらがわかった時でいいのです。
なので、私はいつも、やめるタイミングを計っているものです。
練習という仕事をしにきた、、、という事にはしたくはないのです。
そうする事によって、選手達のモチベーションもあがるものです。
しかし、サッカーにおいて最大のモチベーションはゴール以外何ものでもありませんが、、、。
C:器具を使った筋肉トレーニングについてお伺いします。
これらについてはいろいろと言われておりますが、、、多くの人達が、筋肉トレーニングをして沢山筋肉がついている方が、良いプレーが出来、またケガが少ない、、、と思っています、、、
でも、そうではないですよね、、、
P:間違った認識があります。
ケガというのは、体作り(調整・体力トレーニング)と密接な関係があります。
サッカーにおいては2つの事が言えます、アクシデントとケガ。
今まで我々が持った多くの、アクシデントは、防ぎようがなかった物です。でも我々が持ったいくつかのケガは、そうではありません。
器具を使った一般的な筋力トレーニングというのは、動作やプレー時の負荷等、サッカーでの動作とはかけはなれています。少なくとも芝生の上(サッカー選手の事)でプレーする選手にはやらせるべきではないでしょう、、、
またそれらをする事により、筋疲労を増大させるものです、、、
サッカー選手における、筋力トレーニングというのは、サッカーというスポーツにおける動作を最高に行われるようにトレーニングべきです。一般的な器具を使った筋力トレーニングではないのです。
また、16歳〜19歳までの間と言うのは、地域でやってたサッカーから、大人のサッカー選手へと変わるために、筋力トレーニング(サッカー選手の為の)をしなくてはなりません。
可能な限り、ボールを使ったトレーニングをすべきです。
なぜかと言えば、サッカーは常にボールと相手を考慮したスポーツだからです。
もし、器具を使って、ジャンプのトレーニングをしたとしても、ボールがなければ、それらのトレーニングの価値は下がります。
ボールを意識しつつ、、、、、どこで飛べばいいのか、、、どうやって着地するのか、、、
それらのトレーニングに常にボールを入れる事で、全てが変わってきます。
なので、必ずそれらのトレーニングにはボールを使わなくてはならないのです。
ジャンプするのが目的ではなくて、ジャンプ後にちゃんとパスしたり、コントロール出来るようになるのが目的なのです、サッカーにおいての体力作りには、いつもボールを使うべきなのです。
体力作り(調整・体力トレーニング)のコンセプトを間違えてはいけません。
両足の筋力をつける事ではなく、グランドで両足を使ったプレーを出来る様になる為に、調整する事なのです、、、
筋力トレーニングばかりやり、そういったサッカーのプレーの調節をしていないと、ケガが発生してしまうのです、、、なぜかというと、筋力はあるけど、そういったサッカーの動作の準備が出来ていないからなのです、、、
C:今日、サッカー選手はシーズンを通しかなりの数の試合をこなし、かなりの量のプレッシャーを受けている事を付け加えなくてはなりません。
さらにビッククラブにいる選手達は、常に勝利が要求されています。
P:さらに所属クラブとは別に代表へ行かなければならない選手もいます、、、
ビッククラブともなると、ほとんどの選手が同じ練習をする事なんてありえません、、、
所属クラブでの練習、そして代表での練習と、違うコンセプトでの練習をしなければならず、選手達にとってはかなりの負荷になっているのは事実です。
C:私は監督として、シーズン途中から新しいチームを率いる時、必ず、どういった体作り(調整・体力トレーニング)をしていたか、フィジコに聞いていたものです。
P:選手達のコンディション不良の原因の多くは、我々フィジコにあったものです、、、
我々フィジコ達が、間違った言い伝えの元、各々が独自のトレーニング(調整)を選手達に課しており、それにより選手達がその報いをうけていたものです、、、
C:終わりに、私の考えは、サッカーというスポーツを考えた上での筋力トレーニング、そして、なによりも実際のプレーの事を考慮したトレーニングが重要だと思われます。
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