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篠笛
竹を使って最初に作りはじめた楽器はケーナだったが、ケーナ作りに四苦八苦している内に、試しに横に吹く笛はどうだろうか、と思いついて、作ってみたところ、これは結構うまく行った。
こちらがフルート吹きであった事にもよるのだろうが、構造的にも、横笛の方が、オクターブ関係等も、狂いが少ないし、歌口部分なども、ケーナよりはずっと作りやすかった。
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| D管の篠笛。これは管の内外をカシュウで塗装してある。 最初の頃は結構外見にこだわっていたので、こうしてきれいに塗装していたが、後で穴の位置を修正する場合など、又塗りなおさなければならないのが面倒なので、
最近はほとんど生地のままで使っている。 ちなみに、カシュウとは、カシュウナッツのカシュウの樹脂から作った塗料で、漆に似た感触で、耐久性にも優れている。
漆よりはずっと扱いやすい。 |
この篠笛の方も、基本的には六孔なので、臨時記号が付くとかなり苦労する。当然、色んなキーの楽器が必要に成る。
それで、なんとか一本の笛で全てのキーに対応できないかと考えて、試しに10孔、と云うとんでもない笛も作ってみた。
両手の指を全て動員して使うと云う事になるのだが、この楽器は意外とうまく出来た。
但し、当然ながら、フィンガリングは従来使っていた六孔の篠笛とは全く違うし、他のどの楽器とも違ってくるので、
気が狂いそうにややこしい。
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| 世界的にも珍しい(?)クロマチック篠笛の指孔部分。白く見えるのは修正の為にエポキシで塞いだ部分。 |
それでも、馴れれば、これ一本で、半音階がほとんどクリア出来るのである。
つまり、これ一本で、AマイナーでもAフラットマイナーの曲でも、吹ける、と云う訳だ。特に篠笛と云うオーダーでない時でも、この笛はいつも持っていくようにしている。早い動きにはちょっと対応出来ないが、意外と役に立つ事もある。
| 篠笛の音域 |
この手の民族楽器の音域は、大体は、約2オクターブで、オカリナの場合は楽器の構造上さらに狭いが、篠笛も、約2オクターブである。
私の作る楽器の場合は、夫々のキーのドからドまでの2オクターブになる。 やはり高音域はかなり甲高くなる傾向にあるが、低音域はリコーダーほど、弱々しく成る事はない。
前述のクロマチック・篠笛は別として、半音の変化は、孔を半分塞いだりして出すので、響きは不揃いで、ピッチも不安定、運動性にも欠けるので、かなり不自由になるが、 逆にそれが独特の民族楽器的「味」に成る様な部分も有るのかもしれない。 |
ところで、このクロマチック・フルートにかなり近いものが、歴史上で製作された事がある、とモノの本に書いてあるのを発見して、驚いた。
私の作ったのは、穴が10個だが、こちらはなんと11孔だったらしい。11の孔と、最低音で、半音階12の全てが出せる、と云う訳だ。
10本しか無い指でどうして11の孔を塞げるのか、と思ったら、一番上の孔は、左手の人差し指の腹の部分で操作する事に成っている。
これは、演奏不可能ではないかも知れないが、運動性もかなり欠けるだろうし、どうもあまり実用的とは思えない。
ちなみに、私の笛では、指の足りない個所は、クロス・フィンガリングで、補っている。
| 上記クロマチック篠笛の歌口部分。 右のちょっと細くなった部分は、抜き差しが出来る様に成っていて、フルートのヘッドコルクの様な働きをする。
あまり使った事は無いが、一応微調整が出来る。グレーの部分は、亀裂を生じない様に、糸を巻いた部分をエポキシで覆ったもの。
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下側の鉛筆と比べるとその大きさ(小ささ)が分かると思うが、高音のA管の篠笛。
音域的には、ソプラニーノのリコーダーより長3度上に成る。 普通滅多に使う事は無いが、音域、キーの関係で、こんな楽器が必要に成る場面に、出くわす事も有るのだ。 私の場合、指が普通より少し太めな事もあって、指孔が真っ直ぐに並んでいると、指が重なってしまって、塞ぎ切れないので、少しずらせてある。
スタジオでの過酷(?)なニーズに応えるにはこんなに沢山の楽器が必要になる。 実際はこれでも足りないくらいだ。
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ところで、この笛を「篠笛」と云うのは、厳密には間違っているかもしれない。
伝統的な篠笛の場合、当然の事ながらドレミファの音階を吹く様には作られていないから、洋楽器と一緒に演奏するには、かなりの無理が生じる。
私の笛の場合は、スタジオ仕事の為に、つまり洋楽器と合奏出来る様に、作っているので、
ピッチ(全体のサイズ)も、音程(孔の位置)も、全く違ったものに成っている。
ストレートに吹けば、普通の音階になるので、和楽器には聞こえないかも知れないが、奏法を工夫すれば、結構それらしく聞こえる様だ。
スタジオで使われる我々の「篠笛」は、演奏スタイルも、本来のものとは随分違った、独自のものが出来上がってしまっていると思われる。
★ 詳しい音域、記譜法、性能、等は 「 楽器別性能、音域 」 の方を参照。
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