.弓引三昧 about YUMIHIKI

↑に紺色の帯がない場合はをクリック

 □ BACK

Part 45

NEXT □ 

文 学 鑑 賞


あまりに有名なあのシーンです。
(平家物語巻十一「那須与一」より抜粋)

ころは二月十八日酉剋(とりのこく)ばかりの事なるに、をりふし北風はげしくて磯うつ浪(なみ)もたかかりけり。舟はゆりあげゆりすゑただよへば、扇も串(くし)にさだまらずひらめいたり。おきには平家舟を一面にならべて見物す。陸(くが)には源氏くつばみをならべて是(これ)を見る。いづれもいづれも晴(はれ)ならずといふ事ぞなき。与一目をふさいで、「南無八幡大菩薩(なむはちまんだいぼさつ)、我国の神明、日光権現(にっくわうのごんげん)、宇都宮(うつのみや)、那須(なす)のゆぜん大明神、願はくはあの扇のまンなか射させてたばせ給へ。これを射損ずる物ならば、弓きり折り自害して、人に二(ふた)たび面(おもて)をむかふべからず。いま一度(いちど)本国(ほんごく)へむかへんとおぼしめさば、この矢はづさせ給ふな」と、心のうちに祈念して、目を見開いたれば、風もすこし吹きよわり、扇も射よげにぞなッたりける。与一鏑(かぶら)をとッてつがひ、よッぴいてひやうどはなつ。小兵(こひゃう)といふぢゃう十二束(そく)三伏(みつぶせ)、弓は強し、浦響くほどに長鳴(ながなり)して、あやまたず扇のかなめぎは一寸ばかりおいて、ひィふつとぞ射きッたる。鏑は海に入りければ、扇は空へぞあがりける。しばしは虚空(こくう)にひらめきけるが、春風に一(ひと)もみ二(ふた)もみもまれて、海へさッとぞ散ッたりける。夕日のかかやいたるに、みな紅(ぐれなゐ)の扇の日いだしたるが、白浪(しらなみ)のうへにただよひ、うきぬ沈みぬゆられければ、奥(おき)には、平家ふなばたをたたいて感じたり。陸(くが)には、 源氏箙(えびら)をたたいてどよめきけり。

 使用画像は、年賀状素材集に収録されていたもので、矢先稲荷神社 の天井画の一つ。ホームページを見てみると「天井画Tシャツ」なるものが(那須与一もあります)。しかし、表記は外国語……。

 □ BACK

□ 弓引三昧 □

NEXT □