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手の内を整える 弓道・弓構えの心得 弓は縄文時代に出現し、弥生時代には日常の利器として利用された。 わが国の弓は、西洋のアーチェリーや、蒙古型の短くて反撥力の強い弓とは形を異にしている。わが国の弓はニメートル二十センチ前後の長弓で、上から三分の二に分ける点で矢をつがえる。いわゆる上長下短方式がとられている。古代、日本では弓の素材に恵まれなかったので、素材を木に求め、木の寿命を長くするために長弓になった。 また、木弓を使って強い矢を発する方法として、上長下短方式がとられるようになった。 上長下短方式は、弥生時代に開発され、まもなく現在のよう両端がそろった半湾弓になり、平安時代には木と竹を接着した弓も作られ、強力な武器として使用されるようになった。 平安時代には「射礼」など、公家社会の儀礼としても発達している。 鎌倉時代には、武家社会に弓道が形成され、射術が奨励された。人体攻撃はしないで、的を主体の射術の技を競うことができるので、「流鏑馬(やぶさめ)」や「笠懸(かさがけ)」など、競技スポーツ的側面もいち早く生まれた。保元・平治の乱など平安末期に戦乱が続き、鎧・兜など防護が強化されると、槍や刀剣に武器の主力の座を譲った。しかし、修行・修錬の手段としての弓道は、戦国時代から江戸時代にかけて大衆化していった。 弓道の修行は、「射法八節」という法則に従い、弓を引いて矢を放つ動作を繰り返して「心気の働き」を充実させることを行なう。弓道はまた人対的という環境の中で成立するという点で他の武道と区別される。射法八節とは(1)足踏み (2)胴造り (3)弓構え (4)打起し (5)引分け (6)会 (7)離れ (8)残身のことで、一本の矢を射る一連の動作を示している。足踏み・胴造りは矢を射る体の体勢を整えること。弓構えは弓矢を待ち構える準備動作。打起し・引分け・会・離れは、弓矢をあり絞って放つまでの動作。残身は、矢が離れた後の姿勢のことである。 「手の内を整える」は弓構えに含まれる動作で、的中に影響を及ぼす大切なポイントである。力を体のどこにも集中させず、自然体となり、弓矢を堅く強く握らないで形を整える。次に、つがえた矢にそって的を注視し、心気を充実させて矢をふりしぼっていく。 「手の内」は一連の射術ではほんの一瞬の動作かもしれない。しかし、的を正確に射る弓術は精神の自己統制を修行の目的とする。品性を高めるための基礎的な心身をつくる武道である。精神の緊張と弛緩を一連の動作の中で交差させることが大切なのである。 「手の内を整える」ことは心の緊張をほぐし、自分と弓道を客観的に見つめることである。行動を起こす前に、こうして自分を客観的にしかもリラックスした雰囲気で見つめることも大切だ。 (現代に活かす勝負の鉄則 武道のことば/PHP研究所)
(現代に活かす勝負の鉄則 武道のことば/PHP研究所)