平成14年度宮崎県綾町政務調査事業報告書
平成15年3月26日平成14年度政務調査費収支報告書

 上ノ国町長 工藤 昇 様

                上ノ国町議会会派・フロンティア21の会

1 収  入   480,000円(会派議員4名X120,000円)
2 支  出

 科   目 支  出  額       備              考
調査研究費 453,199 航空券・192,400円、宿泊費・105,852円、車借上料・77,560円駐車2,000円、食事代・34,387円、資料代・33,200円、お土産代・7,800円
会  議  費 /
広  報  費 /
広  聴  費 /
事  務  費 37,485 事務用品代
合     計 490,684 ▲10,684


平成15年3月26日

      平成14年度宮崎県綾町政務調査事業報告書


 上ノ国町長  工 藤   昇 様

        上ノ国町議会(会派)フロンティア21の会
                     
尾 田  孝 人・池 田   勇・市 山  弘 好・若 狭  大四郎


  調査自治体・宮崎県綾町

   調査日時  平成14年9月3日午前9時〜午後5時
           平成14年9月4日午前9時〜12時

 
調査研究事項

 
1、自然生態系有機農業を通じたまちおこしと観光産業の振興について

 わが町の現状と課題


 上ノ国町の農業は、北海道でも比較的温暖な気候に恵まれているため、古くから稲作を中心に畜産も含めた複合経営を取り入れた農業の振興を図ってきました。しかし、経営耕地面積は管内でも小さく(一戸当たり1.7ヘクタ-ル)水田面積の60%を超える減反が進み、280ヘクタ-ルの作付け面積となって、平成13年度の生産販売高も1億6選万円。畑耕作面積(転作田含む500ヘクタ-ル)2億2千万円。畜産の肉牛・肉豚生産額7千万円余りの生産販売高に止まっている現状にあります。

 このため、町では時代の変化に即応した基礎的研究と生産技術の普及を図るため、平成2年度に上ノ国町農業指導センタ-を設置し、高齢者や女性にやさしい農業、ふところにやさしい農業、土にやさしい農業を推進するため、キヌサヤエンドウ、ほうれん草ニラ、コマツナナドの軟弱野菜を中心とした高収益作物の栽培を奨励して、生産性の高い農業経営に力点を置いた、農業の活性化を図ってきている。

 上ノ国町の農業生産作物でキヌサヤエンドウが高齢者でも作付け出来る作物として100戸の農家が作付けし、1億3千万円の販売高を維持し特産作物となっている。
 しかし、町農業指導センタ-が農業協同組合に管理委託される中で、同センタ-の当初の設置目的が弱体化し、農家への指導機能が、農家の求めに即応出来ない現況を改善する体制づくりをしなければならない。また、稲作から畑作への生産体系の確立に、最も重要である土づくりをすることへの農業者の意識が希薄であり、食の安全が国民的要求になっている今日、食料を生産する者としての自覚の下で、低農薬・無農薬、有機肥料による安全安心な農産物の生産をする体制づくりが上ノ国町農業が未来的発展が展望できるかどうかが課題となっています。

 また、わが町の歴史は、北海道の歴史文化が早くに開けた地としての歴史遺産と、山、川、海の恵まれた自然環境にあるが、これらの環境をほとんど有効に生かした振興策を打ち出せない現状にあり、イベント行事が観光振興策になっているとの錯覚に甘んじていると言っても過言でない状況にあり、多くの人々が再び訪れてみたい町にどの様に町民ぐるみで取り組んでいくか、一人の来町者でも、心からおもてなしを出来るか、産業としての観光をどの様に作り上げていくかが課題である。

綾町役場正面

 9月3日午前8時30分に前日宿泊した民宿「山水」を出発し綾町役場へ9時に訪問。倉前哲夫議長、籾田孝一議会事務局長、畠中純一産業観光課長、有村玄洋綾町有機農業開発センタ-農政顧問が出迎え、倉前議長の歓迎の挨拶を受けた後、有村有機農業開発センタ-農政顧問から綾町の有機農業の取り組みについて説明を受ける。

 綾町の概要


 綾町は、宮崎県のほぼ中央部に位置し、宮崎市の西北方23キロメ-トルのところにあり、町の西北部には国内最大の照葉樹(常緑広葉樹)林2,455haがうっ蒼と生い茂った植生が優れていることら、昭和57年5月、「九州中央山地国定公園」に指定されている。

 この貴重な照葉樹林をはじめ、恵まれた綾の自然環境を守とともに、自然の摂理をふまえた農と食の心を取り戻し、これを世代に伝えるため、昭和63年に「自然生態系農業の推進に関する条例」を制定して、農業の振興と食の安全運動を一体的に推進している。

 さらに、平成12年3月には「農畜産物総合価格安定基金制度」を発足させ、生産者が安心して自然生態系農業に取り組める環境を整備。さらに、平成13年11月からは、平成11年に改正された日本農林規格(JAS)に基づく、有機JAS登録認定機関として、消費者が求める有機農産物を生産者が責任をもって提供していくための認定業務を行い、農村と都市との共生交流を図り、真に豊かで活力に満ちた親子三代が楽しく住めるまちづくりに取り組んでいます。


綾町中心市街地 有村農政顧問から説明を受ける
自然生態系農業の概要
平成7年統計
/ 農      家       数
/ 総 数 専 業 第1種 第2種
平7 642 220 146 276
/ 農家率 農家人口 農 業 就 業 人 口
総 数 うち65歳以上
平7 24.6% 2,494 1,111 398
耕地面積(単位・ha)
普通畑 樹園地 牧草地
平7 338 169 90 10 607
農業粗生産額・平成10年44億3千万円
野   菜 37.5% 17億6百万円
6.5% 2億8千7百万円
果   実 5.2% 2億2千9百万円
花卉 2.3% 1億3百万円
工芸作物 1.6% 7千2百万円
22.6% 10億円
肉 用 牛 16.3% 7億2千4百万円
5.8% 2億5千7百万円

 
自然環境に調和した農業の推進

大規模キウリハウス団地と水田

 

し尿の液肥化事業の導入

 
綾町は、昭和53年に町全部のし尿の液状堆肥化施設を建設。本施設は水中エア-レ-タ-を利用し酵素を使って、その動力源と発酵エネルギ-をしにょうに作用させ、し尿の高温酸化処理を行い、寄生虫やハエの幼虫、大腸菌などを殺菌し、し尿は完全酸化処理され、衛生的な液肥を生産し、農家の注文を受けてバキュ-ムカ-でほ場に散布されている。


 生ゴミ利用による堆肥生産

 また、家庭から排出される生ゴミの減量化・資源化と綾町の自然生態系農業の基本となる「土づくり」を推進するため、家庭雑廃の生ゴミと家畜の堆厩肥を混合攪拌し、発酵させ、完熟堆肥を得る目的で昭和62年に家庭残飯堆肥化施設を建設している。
JA綾町は、有機農業を推進するためには莫大な堆肥が必要だとし、肉用牛増産運動、町営の肉用牛肥育センタ-を設立し、県連運営の肉用牛肥育センタ-を綾町に誘致している。

 綾町有機農業開発センタ-

 開発センタ-の主な仕事は、土づくりのための土壌検査、改善のための指導(JAと町が一体となって)、有機農産物の認証制度を実施するの3本柱からなっている。同センタ-では、常勤職員3人と病虫害、土壌、営農の嘱託職員4人からなり、JAが常勤職員1名をだしている。

 施肥目安となる土壌分析を行い、バランスのとれた土づくりを指導し、綾町産の自然生態系農産物について、8作物、53成分についての農薬残留の検証結果と、日本食品標準成分表と綾町産自然生態系農産物の成分比較表を紹介している。また、17億円を生産しているハウス生産のキウリ苗を各生産農家へ一貫育苗生産を行い供給している。





 
地域の合意形成と組織化(役場の隣に設置されている本ものセンタ-)


 
有機農業を推進する体系母体として、有機農業推進協議会が全町の各階層、組織から代表がでており、この下部に実践協議会がある。この会は、集落実践組織である支部と各生産組織から成立している。この両協議会を綾町有機農業開発センタ-がつないでいる。役場の隣に町が本ものセンタ-を設置し、農家の皆さんが朝取り野菜を出荷し、一農家当たり200万円から400万円の安全でこ栄養分に優れた、自然生態系農産物の販売をしています。

 とりわけ、綾町の自然生態系農産物を販売する本ものの店、青空市場、宮崎市の直販店、生協・グリ-ンコ-プが、有機農業で作った物を売る組織として確保していることは、重要な核をなしていることである。また、前郷田町長は、地域農業の振興のためには農協の合併は、町の農業の衰退を期するものとして、一町一農協の政策を打ち出し、宮崎県内でただ一町の単独農協として、自然生態系農業振興の確立に大きな役割を果たしている。


 有機農産物等認定業務と環境保全型技術の特徴と普及



 
有機農業の内容は、土壌消毒剤、除草剤を一切使用せず、化学肥料を全然使わないか少量に制限するという仕組みであり、化学肥料、合成化学農薬を使わず、土づくりを3年以上行った農地からとれた農産物に、開発センタ-がゴ-ルド認証シ-ルを貼る。土づくりを2年以上3年未満行い、化学肥料を三要素施用成分総量の20%以下、合成化学農薬を慣行防除の1/5以下使用した農地からとれた農産物にシルバ-の認証シ-ルを貼る。土づくりを1年以上2年未満行い、化学肥料はシルバ-と同じだが、合成化学農薬を慣行防除の1/3以下使用した農地から取れた農産物にカッパ-の認証シ-ルを貼ることにしている。

 これらの農地は、前もって開発センタ-に登録され、有機農業の中身がわかる標識板が立てられる。農家は、管理日誌を付け、開発センタ-の4人の検査員と実践振興協議会の19支部の推進員の補助によって、ほ場の検査、書類の提出が行われる。この制度に登録している農家は450戸を上回っている。

 自然生態系農業と環境保全型技術の奨励は、何よりも土が健全で肥沃出なければならないものであり、ただ単に、堆肥を入れるだけでなく、深耕を行うよう、農業機械銀行が支援する体制が出来ていることである。さらに、連作から発生する連作障害克服のため、コブトリソウ、ラッカセイの作付けを奨励し助成制度を行っていることである。

 綾町の環境保全型農業の成果

 
綾町の農家は、作れば売れるという生産者の喜びを遊技農業を通じて感じ、消費者の喜ぶ声、顔を直接目のあたりにして、農業を行っている誇りある姿が、本ものセンタ-に自分の農産物を自ら運び販売している高齢者農家の姿からもうかがい知れたことである。

 
安全でおいしく、新鮮な農産物を消費者に渡す自信と、農薬を使わない、あるいは少量に押さえることで、自分自身の健康をも守っていることである。同時に、この農法を行うためには、作物の作付け順序、適期栽培、厳密な管理が要求されており、このような自然を愛する心は、農業を営む人だけでなく、町民全体に、子供にまで育っている。前日宿泊した民宿「山水」の女将さんが、すべて綾町で生産された農産物を使用していますと誇りにし、町の商店の方、小学生まで誇りをもって話すことには、これまでに体験のしたことの無かった、大きな驚きを感じ得なかったところである。

 更に、すべて本ものづくりの町として、日本一広大な照葉樹林と、日本一の大吊橋、綾城、綾馬事公苑、綾国際クラストの城、綾の紬、染物、酒泉の杜、綾てづくり本ものどころなど、本ものづくりの日本の名工の工房(45工房)があり、年間240万人もの観光客が綾町を訪れ、本ものを買い求めている現実は、本ものの産業興しが観光産業の振興になっており、私達がこれまで「観光産業の振興」と発言してきたことが、綾町を調査したことで、産業振興が他の産業の活性化を誘発するものであることを、身をもって体験したことである。

 倉前哲夫議長様、籾田孝一議会事務局長様、畠中純一産業観光課長様、有村玄洋綾町有機農業開発センタ-農政顧問様には、公務ご多繁の折りにもかかわらず、特段のご配意をいただきましたうえ、懇切丁寧なるご指導、ご説明等をいただき、おかげさまで調査研究も順調に済ませていただくことが出来ましたことに衷心よりお礼申し上げます。



HOMEへ戻る