アメリカのSC事情研究(VOL.2)

 


ニュータイプのSCの登場



パワーセンター&アウトレットモール

アメリカのSCの中で80年代以降最も注目されるニューフォーマットはパワーセンターとアウトレットモールです。

パワーセンターとは「家電、衣料、玩具等の業種別の>カテゴリーキラー5店以上を核としたSCで、合計売場面積は3万u以上で核店がその70%以上を占めるSC。商圏は24〜32km、車で15〜20分のお客を吸引。」するSCの形態。

アウトレットモールとはファクトリーアウトレットストア、リティルアウトレットストア、オフプライスストア等を核テナントとしたSC」。中・小型のものは核テナントはないが、大型になると有力なアウトレットストア、オフプライスストア等を核として位置付け大きなスペースを占める。超大型はスーパードラッグや総合ディスカウントストア入れ、更にフードコート、レジャー施設を抱え込んでトラディショナルなスーパーリージョナルSCと変らなくなりつつある。



世界一のアウトレットモール[ガーニ-ミルズ]

ダウンタウンから1時間の郊外立地:ガーニ-ミルズはイリノイ州のシカゴからウィスコンシン州のミルウォーキーに向かって1時間ほどのガーニ-に立地する。周辺にはSRSCやRSCはなく、百貨店や大型店に気がねすることなく出店できる立地です。商圏人口はシカゴ人口300万人、ミルウォーキー人口70万人、が車で1時間足らずの範囲で商圏人口400万人を抱える。

規模は敷地132万uと広大。建物面積は19.4万u、駐車場14000台を収容する。(※第1期工事でオープンし2期工事で増設)
キーテナントは従来のアウトレットにはキーテナントという考えはなかったが、ガーニ-ミルズでは集客力を高める為、有力なアウトレットに大きなスペースをあて、普通のSCの百貨店や総合大型店の役割を果たさせている。主要キーテナントには、「ファイリンズベースメント」・「メイシーズクロスアウト」・「シアーズアウトレット」・「マーシャルズ」等9店を揃えている。


アメリカナンバーワンSC[モールオブアメリカ]

新業態「メガSC」が現れた。カナダの[ウェストエドモントン・モール]に次いで、アメリカにも[モール・オブ・アメリカ]が1992年8月11日オープンした。

[モール・オブ・アメリカ]の概要
●所在地:ミネソタ州ブルーミントン市
●敷地面積:315600u
●延床面積:390000u
●売場面積:230000u
●テナント数:460店
●核店舗:[シアーズ(29000u)]・[ノードストロム(27000u)]・[メイシーズ(25600u)]・[ブルーミングデール(22300u)]
●主な施設:[スヌーピー遊園地]・[ミニゴルフ]・[シネマ]・[ナイトクラブ]他
●駐車場:12750台




「ギャップ」グループが核の[タウンスクエウェア・ウィ-トン]

立地&規模:人口750万人のシカゴ・メトロポリタンは高層ビル群と縦横に区切られた道路で延々と続く2階建て住宅群で、旧市街に比べ、郊外は白人比率が90%(ドイツ・北欧系・アイルランド系)が多い。この白人中心の新興高級住宅地に[タウンスクウェア・ウィ-トン]は立地。
1992年3月にオープン。特徴は、カントリー別荘風の店舗を配して、中央並びに周辺に駐車場1000台分を容易すると共に、「ギャップ」「バナナ・リパブリック」等のアパレル専門店を中核として、28店舗でSCを構成。
道路から道路までの1区画を半分に仕切って、その中に、円形のSCを作っている。正面のエキスプレス等が入っている建物と、正面入口のミュージックランド、タルボットの3棟は2階建てで、他は連棟又は単独の平屋建て。中央にテラス部分があり、自由に休憩が出来る。
敷地面積は18400u、工費4000万ドル(約44億円)といわれている。




強力DSが揃うパワーセンター

パワーセンターとは
●パワーセンターの定義:パワーセンターとは、パワーリティラーの核店舗と、ディスカウント専門店(中小型店舗)及びそれに付随するサービス店、ガソリンスタンド等によって構成されたニュータイプのショッピングセンターである。
●パワーリティラーの類型
@ホールセールクラブ(専門品型・食品雑貨型)
A専門店ディスカウントストア(カテゴリーキラー・アウトレットストア・オフプライスストア)
B食品ディスカウントストア(スーパーウェアハウス型・ウェアハウス型・ボックスストア型)
C総合ディスカウントストア(ハイパー型・アップスケール型・総合型)
●パワーリィテラー発生の背景
@消費者世代の交代:「消費は美徳」とした第2時大戦後の中心世代から、今は、ベビーブーマー及びそのこども達が消費の中心消費者となっている。この世代は景気の悪化、所得の減少、失業率の増加等によって生活価値観の違いが表面化して、生活パターンはかっての使い捨て消費から節約型に変化した。
A彼らは、自分なりのライフスタイルを描き、それに必要な消費財により実質的な値打ちを求めている。従って、PB商品よりもNB商品を中心に短時間で買えるワンストップ・ショッピングの場と、ロープライス品を提供する店への願望は、次第に高くなってきた。これに呼応するパワーリティラーとして、カテゴリーキラーと総合品品揃え型のニューDSが80年代に登場した。
●一方、SM・DrgS・GMS・Dptなどの業態が、成熟し、衰退している。その理由は、婦人就業者の増加で外出用商品の購入、買物時間の節約、増えた独身者、少人数所帯への対応不足であった。つまり、自由競争社会のアメリカ流通業界内で既存業態に対抗して、アメリカ消費生活者ニーズに対応し、競争に勝てる業態開発が革新者によって発生したからである。米国の経済社会の変化によって新しい業態が急成長の道を歩んでいる。


パワーセンタ時代を迎えたSC情勢
●RSCは1960年代から、またSRSCは70年代から急激に増加した。
その背景は、アメリカ経済の高度成長と女性の社会進出が加速したことが上げられる。
女性の就業率の上昇による消費動向は、女性のブランド志向が目立ってきた時代である。収入増の追い風にも乗って大規模SCが作られた。
●SCへの多様な商品ニーズからSC専門店や核店舗の数を増やしたSRSCの出現が当然化した。この時代は、建物内にレイアウトされたヱマック方式の為、建築コストが高く、DVはオープン後の管理運営コストがオープンモール方式よりも高くなるので、この高コストが家賃に反映し、テナントの低価格販売を不可能にしていた。更にSC増加が続き、全米SC数は28498(1986年)から38966(1992年)に達した。
SC過剰状態に於ける差別化は、SC規模による差別化に進展してきたが、1980年頃より異質なSCとしてパワーセンターが登場。(1993年現在焼く100箇所)。
一方、アメリカ経済は不況に落ち、収入の低下、低所得層の増大、失業率のアップと言うマイナス成長時代に突入した。
●消費は美徳とした世代は老人化し、新しい世代となった。消費者ニーズは一変し、品質の良い商品を、低価格で購入し、自分なりのライフスタイルで生活する意識が強まった。
●このような時代背景でパワーセンター志向が強まっていった。1960年に大成長したGMSは1970年後半から衰退が始まり、1980年代からNB商品充実した総合品揃え型ディスカウントストアのウォルマートの急成長で始まっている。これと併行して、カテゴリーキラーが登場して一般専門店の売上を侵食していった。
●このような新しい業態勢力によって、3万を超えるSCの内、大型化したRSC,SRSCの集客力が減少傾向を示すようになった。
●1990年代に入ってSM・DSはアップスケール化し、ワンストップ・ショッピング性を強め、他方倉庫式の商店・企業向け纏め売りをするホールセールクラブが成長をはじめた。90年代は、パワーセンターの出店が目立つようになり、大型SC、百貨店やGMSの凋落傾向にある。米国の経済社会変化に伴って消費者ニーズは買物金額と買物時間が節約出来るパワーセンターを、より便利に利用する事と一致している。
(※以上のアメリカの推移は、バブル崩壊後の日本の現状下の小売業の参考となるのではないでしょうか)


パワーリティラー及びパワーセンターの出店立地
●多様化しているパワーリティラーの出店立地
小規模のカテゴリーキラー(300〜500u)を除いて、トイザラスクラスの大型カテゴリーキラーやディスカウントストアは、単独での集客力を持っているので有利な立地を選んで単独出店する方向とパワーセンターの核店舗として出店する方向を持っている。
●最近の動きは様子が変ってきたが、これまで日本で今まで作られたSCの場合、ディスカウント店の出店は見られなかった。理由は異質の店舗が同居する事は、消費者の買物動機が異なる為統一コンセプトに欠けるテナントミックスとして否定してきたからです。
●しかしアメリカのSCでは、専門店テナントの中に小型カテゴリーキラーの靴店、衣料品店が混在している。又[モールオブアメリカ]など最近のSCでは、DPT・GMS・DS・カテゴリーキラー・専門店・アウトレットストアが同居したテナントミックスになっている。勿論、業態別の配置計画の適正化、店内ムードの差別化が行われているので消費者は購入動機、目的に沿って店を選択している。
●パワーリティラーのケース別出店事例
@NSC・CSCの隣接地への出店するケース。
ACSC・RSC・SRSCのリニューアルへの出店するケース。
BRSC・SRSC造りの核店舗として当初から組み込まれるケース。
C既存RSC・SRSCの至近距離に出店しSCの集客力を利用するケース。
D新規のパワーセンターに組み込まれて出店するケース。
●パワーセンターの出店立地
規模別には大中小があり、2つの方向性がある。1つは、商圏特性を考慮して旧タイプの既存SCの至近距離への出店と、2つ目は立地創造型の開拓立地である。

ウェストビュー・センターの実態
●ウェストビュー・センター(シカゴ郊外のリージョナル型パワーセンター)の概要
@開店日・・・・1989年
ASC形式・・・・オープンモール
B建 物・・・・1階建
C敷地面積・・・45.3万u
D総店舗数・・・38店
E核店舗・・・・6店
F物販専門店・・25店
Gその他・・・・7店
H建物建設費・・78.7億円
●核店舗と店舗面積
1.ウォルマート(ディスカウントストア)・・・・13830u
2.サムホールセールクラブ(会員制卸店)・・・・24000u
3.ベンチャー(ディスカウントストア)・・・・・7630u
4.ファーモア(ディプディスカウントドラッグ)・4730u
5.バーリントンコート(衣料品ディスカウント)・5530u
6.カブフーズ(食品ディスカウントスーパー)・・6200u
●専門店(ディスカウント性を持つ店)
家電店、靴店(2店)、紳士服、1ドル専門店、書籍店、自転車部品店、玩具と手芸店、子供服店、ペット店、ピザ店、カジュアルレストラン、クリーニング店、その他12店。
●特徴
@45.3万uの広大な敷地で、地形は幅約400m長さ約1100m。横に3本の公道が走っており、公道を跨いで買物する事になる。(ウォルマートから食品ディスカウントSM間はおよそ1Kmで徒歩で10分はかかる。2店を利用する場合、車を買物店舗前に止め入店する事になるが、目的店舗の前に駐車するので、買物時間は短い事になる。)言い換えれば、金より時間を大切にする時代に適合するSC形態といえる。
ARSCやSRSCには食品SMはなく、ファション商品中心のショッピングセンターであったが、リージョナル型パワーセンターでは必ず食品ディスカウントSMが核店舗として存在する。
Bディスカウントタイプの核店舗と専門店が個性を発揮して安い店舗運営コストで営業している。
Cウェストビュー・センターが強力な核店舗を6店持つリージョナル型パワーセンターであり、商圏内に旧来型SCがあっても価格破壊力と日常生活に欲しいものは殆ど全ての商品を豊富に品揃えしており、競合に強い体質を備えている。



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