SCテナント[入店・改装]工事管理の実務






SCに於ける内装工事の制約&ルール



「ショッピングセンター」はデベロッパーが一定のコンセプトに基づいて、計画的に開発する商業施設であり、商店街や再開発による区分所有商業集積等と基本的に異なった商業施設です。

例えば、「ファミリーショッピングセンター」であり、ヤング層をターゲットとした「ファションセンター」として、或いはロープライスの「アウトレット・モール」や「パワーセンター」と言った明確な「コンセプト」に基づいて、計画的に作られ、統一運営をされるのが、ショッピングセンターの特徴です。

当然、核店舗や専門店のテナントは「コンセプト」に基づいてデベロッパーによって企画された「業種配置計画」・「フロア構成」によって決定されます。

ルールブックによる統一の取れた内装計画で店舗は造られ、営業・運営面においても「統一営業規約」・「統一販促」によって計画的に、統一の取れた営業活動を実施する事によって他の商業施設にない力を発揮しようとする特徴をもっているのがショッピングセンターなのです。

以上の性格を持っているのが、ショッピングセンターであり、当然のことながら、テナントの「内装工事」についても、一定のルールに基づいた制約が存在します。
ここでは、そのショッピングセンターの「内装工事」に関する実務について考える事に致しましょう。


内装工事チェック事項



[内装工事資料]

内装(改装)図面
どのような店舗を造るのか、最も基本的な資料で、普通S=1/50〜1/100の平面図・立面図を作成します。最終的には竣工図となる基礎図面で、この図面をベースにDVとテナント間で協議・調整する事が多い。

パース
設計図面に基づいて、よりビジュアルに竣工イメージを表現したもので、テナントにとっても、又デベロッパーとしては、竣工時の店舗が、ショッピングセンターの統一コンセプト・統一イメージに合致しているか判断する為の重要な資料となります。

設備図面
後述しますが、デベロッパーは工事区分を定め、基本的にはテナント区画内の工事はテナントの持ち込み工事となりますが、特に「電気」・「空調」・「ガス」・「水道」等、設備はデベロッパーが全体計画において決定している為、個々のテナント区画の容量はその範囲内で施行する事になります。因って、この設備図面は必要不可欠な資料となります。

工事入店許可願
ショッピングセンター全体の管理・運営責任は当然の事ながらデベロッパーにあり、管理責任の上から(特に改装にあっては運営上の制約もあり)工事入店日時・人員・場所等監理上必要な事項が明らかな許可願いを提出しなければなりません。デベロッパーは注意事項・禁止事項を入店者が守る事を条件に許可する事とします。

工事立入り者名簿
デベロッパーは管理・運営上内装工事立入り者を把握し、立入り規則に従って工事してもらう必要があり、工事立入り者を把握する為の資料として、立入り者名簿を必要とします。

念書
工事に際し、工事期間中の営業保証・賃料共益費等の必要経費・内装(改装)に係る官公庁よりの指摘事項の遵守及び再工事の場合の費用負担・工事中の事故による損害賠償責任・他のテナントへの迷惑回避等に責任を持つ旨の念書(同意)をテナントより取り付けた上で工事を認める事になります。

工事工程表
内装工事の実施に工程表は不可欠ですが、特にショッピングセンター内での改装にあっては、他のお店が営業しているケースも多く、ショッピングセンター運営上支障をきたさない様配慮した「改装工事」をしなければなりません。その意味で、工程表の検討・吟味は新設店舗の時以上に重要になります。



[一般規制事項]

共用部分
共用部分は、売場に関してはデベロッパー仕様による統一内装が施されており、その統一イメージに合致した内装仕上げがテナントには求められます。又工事施工に際しては、特に共用部分の機能を妨げたり、埃等で汚したり、傷つけることの無いようデベロッパーの定める「ルールブック」に基づいた十分な養生を必要とします。

店舗区画
デベロッパーは全体統一店舗イメージを維持する必要があり、「ルールブック」による内装規制、例えば間仕切り等の高さ制限、通路よりのセットバック等を設けている場合が一般的です。区画内のテナント内装工事ですが、当然その規制遵守した内装が求められます。

重量
デベロッパーは予定した業種配置を想定して、建築基準法に基づいた構造計算をして建物を建設しており、その区画が当初予定の業種などが入店する場合等(例えば業種変更で飲食テナントの厨房・冷蔵庫、宝石店等が特殊な金庫設置する等の重量物を設置する場合)は重量チェックが必要になります。

建築物損傷
内装工事に伴い既存建築物への損傷が無いように留意する必要があります。特に工事・資材搬入等で生じる埃等による、共用通路、他店舗の商品等の汚損などは特に注意が必要で、目張りを始め資材搬入搬出経路も含めた養生は重要です。

指定容量
特に電気等区画専用設備の容量は一定の指定容量が定められており、例えば容量以上の照明計画で店舗計画をして容量オーバーになるようなことにならない様、充分指定設備容量を確認の上設計段階で店舗企画を立案しなければなりません。

設備機能
テナント独自で必要とする設備、例えば本部とオンラインで直結した特定レジの設置、単独BGMの導入、電話等直結通信設備等を導入する場合は、事前にデベロッパーと導入の可否乃至与件を打ち合わせておく必要があります。

空調障害
店舗企画に当っては、空調設備の状況を充分確認した上で設計する必要があります。確認せずに竣工後、空調障害が生じるような事態が生じた場合、自店のみならず周辺店舗へも影響を及ぼしますので、充分注意する必要があります。

持ち込み器具
デベロッパーは安全性・良好な環境維持責任を持っており、環境をを乱したり危険性を生じる器具の持込を禁止している場合が一般的です。例えば喫煙器具類は禁止で、喫茶店の客用灰皿等の設置はデベロッパーの指定する管理規則に従った運用をする必要があります。

バックルーム
ショッピングセンターの後方施設はデベロッパーが統一運用の必要性の為指定スペースを指定している場合が一般的です。バックルームも普通売場と分離している場合が多く、特別売場区画内にバックルームをどうしても必要とする場合は充分デベロッパーと協議し、承認を取り付けることが必要です。

怪我防止
当然のことながら、通路と売場内床の段差を付けるような場合、躓き等による転倒が懸念され、設計時点で危険防止に配慮した計画を心がける必要があります。これからは、単に危険防止のみならず、「バリアフリー」を考慮したお店造りが望まれます。

看板
ショッピングセンターによっては統一看板を義務付けるなど、統一イメージを重視しデザイン計画を持っておりますので、サイン計画を立案し、デベロッパーと協議・承認を取り付けることが大事です。

諸官庁規則
飲食・薬店・古物商適用業種等官公庁の許可・届出・指導を要するテナントは当然官公庁規則を遵守する必要があります。

メーター位置
分電盤等設備(メーター計量)の設置位置は、売場重視・店舗デザイン重視の点から、ともすれば軽視され、極端な場合は、商品・什器等の配置で管理困難な場所に配置されたり、極端に高い場所に取り付けられ、脚立等を持ち込まなければ管理不能な場合すらありますが、本来施設運営上重要な機能であり、売場レイアウトを充分検討し、売場を生かし且つ機能上支障を来たさない位置に設置する必要があります。



[防災関係の規制事項]

一般不特のお客様が来店される「商業施設」であるショッピングセンターは、その性格上安全面確保の面で「建築基準法」・「消防法」等によって、厳しく規制されております。当然の事ながら、店舗計画に当っては、この制約条件のもと計画されなければなりません。

排煙設備
防災規制の一つに「排煙設備」がありますが、その例として、煙による火災事故防止の為、一定の条件で「防炎垂壁」の設置が義務付けられています。又排煙ダクトもその1つですが、それら「排煙設備」は売場レイアウト上ともすれば軽視され勝ちですが、意匠・デザイン処理で違和感のない工夫をし、機能阻害が生じるような内装は許されません。

スプリンクラー感知器:
「排煙設備」同様、「スプリンクラー」についても同様の配慮と工夫が絶対条件となります。

避難通路
商業施設は不特定多数の来店者が集まる施設であり、一般の施設以上に「消防法」・「建設基準法」上で防災上の規制が強く、避難通路の確保もその一つで、厳密に遵守する必要があります。

誘導灯
誘導灯についても、避難通路同様厳密にその機能維持を図る必要があります。

クロス・カーテン類
内装に当っては、特にクロス・カーテン類は不燃性の高い材質を使用する必要があります。

床材
床材についても同様に不燃性に考慮し、又転倒防止も考慮して安全性の高い材質の使用が望まれます。

間仕切壁
ショッピングセンター全体として、商業施設の防災施設を装備しており、想定していない間仕切り等をテナントが設置する場合は、防災基準に照らして、スプリンクラーの増設始め防災基準を満たす増設する必要性が出てまいります。また、デベロッパーの想定する店舗イメージとの整合性もあり、デベロッパーのルールブックを十分遵守した上で、間仕切りとうの計画を立てる必要があります。

防火シャッター
防火シャッター重要なも防災設備の1つで、その機能を阻害するような造作は認められません。

消防隊進入口
壁面区画には消防隊員の非常時侵入口として赤い印表示された窓等の進入口がある個所があります。その場合、当該進入口を阻害するような造作は出来ません。

非常口:指定個所に、夜間でも青く点灯表示された「非常口」が指定されている開口扉が設置されていますが、その機能阻害する造作は認められません。



[空間規制]

個々の店舗にはそれぞれ自店の空間を創造する為、当然独自の店舗設計をする必要がありますが、一方ショッピングセンターは商業集積全体として、統一コンセプトの下、一体感のある商業施設を創造する必要があります。その為、どのショッピングセンターに於いてもそのショッピングセンターとしての「内装に関するルールブック」を持っています。その規制の一つに間仕切り・ショーウィンドウ等の高さ制限なりセットバック等の空間規制を設けています。その規制の理解と遵守が当然ショッピングセンターでのお店造りには欠かせません。又当然の事ながら、防災上の避難通路確保の遵守は言うまでも有りません。

散水障害
防災施設として指定個所に散水栓が設置されており、その機能を阻害する造作物の設置は出来ない。

防煙壁
防災施設として指定個所に防煙垂壁が設置されているが、その変更・撤去・機能阻害する造作は出来ない。

排煙口
防災施設として所定個所に排煙口が設置されているが、この機能を阻害する造作は出来ない。

非常ベル
防災施設として、所定個所に非常ベルが設置されているが、この機能を阻害する造作は出来ない。

各種操作ボックス:防災のみならず、通常施設運転の為にも、各種機器操作ボックスが設置されているが、その操作機能を阻害する造作は出来ない。



[電気関係の規制]

電源
設備、特に施設運転上の「エネルギー」である「電気」については、その用途に応じて、「動力」・「照明」等用途別・機能別に系統配線されており、テナント専用区画の「電気」設備は区画内に設置された電源(「分電盤」)より取らなければなりません。店舗の設計に当っては、当然のことながら、この電源の内容を十分熟知した上で計画する必要があります。

指定電気容量
ショッピングセンターのテナント区画には各区画ごとに専用の電源(「分電盤」)が用意されており、区画毎に使用可能な電気容量がありますので、その容量範囲での照明計画・動力を要する什器(冷蔵庫等)計画を立てる必要があります。

ショーケース安定器
ショーケース等の安全器はショーケース故障時等「ショーケース」の機能停止に止まらず、設備系統全体に波及することもありますので、安定器の設置及び管理は特に注意する必要があります。

200V機器
普通一般テナントの場合、100V電源の設定がされているケースが多く、200V電源を使用する什器の必要な店舗は、その区画電源に200V系統が配線されているか、事前に確認しておく必要があります。(もし配線されていなければ、新規に配線増設することになり、可能かどうか費用面も併せデベロッパーと調整する事になります)

埋め込み配線
電気等設備の配線は、取り替え等維持メンテナンスを想定して、極力埋め込み配線は回避したほうが良いのですが、どうしても埋め込み配線をする場合は、維持管理対応を予め検討しておく事です。いずれにせよ、デベロッパーと協議・承認の上施行実施することです。

ネオン工事
ネオン工事についても、電源状況を確認の上計画を立てる必要があります。

配線保護
電気の配線は、鼠が齧ったり、雨水等の漏洩により漏電・ショート等の事故を引き起こす危険性がありますので、電線の材質選択並びに配線保護対策に留意した施行が望まれます。

絶縁測定試験
同様に、常時安全な管理運営、メインテナンスに心掛け、絶縁測定試験の実施が欠かせません。

インライン・(オンライン)レジ工事
最近はレジにインライン・オンラインを採用するケースが多くなって参りましたが、電源始めショッピングセンターの設備対応状況をチェックしておく必要があります。
安定器高力率
電気系統の故障事故は、一に当該区画のみならず他の系統へも波及する可能性がありますので、安定器装置の機能を軽視することがあってはなりません。



[飲食関係の規制]:飲食業種にあっては、「防災対応」に加え、「保健上の安全性」の規制が伴いますので、内装工事に際しても、特に「衛生管理面」でのチェックが欠かせません。

厨房内材料
特に厨房の衛生管理は重要で、什器の材質も含め、十分なチェックを欠かせません。

消火器
飲食業種は、調理を伴う為、火気使用をしますので、特に防災に配慮した設備対応が必要になります。消火器の常備もその重要な対応の1つです。

指定容量
指定容量を超えた厨房設備は当然の事ながら事故原因であり、絶対チェックをし、容量遵守しなければなりません。

ガスゴム配管
ガスのゴム管破損は大きな事故原因であり、その材質の選定及びメンテナンス(点検・取り替え)は必ずしなければなりません。

器具検査
ゴム管のみならず器具類は、事故・保健面で材質の選定及びメンテナンス(点検・取替え)を実施しなければなりません。

実演販売
実演販売を行う場合は、常設の場合は、シースルーの遮蔽壁(ガラス等)で仕切る等調理場の衛生管理対応する等の対策を実施する必要があります。

ディスポーザ
衛生面からディスポーザの設置及び清掃管理は重要です。

油かす入れ
脂粕入れの設置もディスポーザ同様重要です。

手洗い器
食品に拘る従業員は、調理人のみならず全て衛生管理が必要で、特に専用手洗い器の設置は保健所の義務ずける施設となっています。

温度計等
食品材料の保管は厳しい温度管理を要し、温度計による温度管理は重要です。



[電気設備]

電灯容量(既設容量・新設容量)特に新しくテナントを導入する場合、新規入店テナントの店舗(内装)計画を検討し、その計画が、現在当該区画の電源へ配分されている電灯容量範囲の計画であるか否か、チェックをする必要があります。万一容量を越えていた場合には、増容量対応をする必要がありますが、全体容量の範囲内で当該区画の容量増設を実施可能か?又増設の為の費用を見積、その費用負担をどう負担するのかを検討し、入店テナントと調整する事になります。費用が増大し、又負担に耐えられない場合、テナントはプランの修正をする事になります。

動力容量(既設容量。新設容量)動力容量についても、電力容量と同じ検討を要します。動力容量の場合、特に「物販業種」であった区画へ「飲食業種」を導入しようとする場合には、十分その対応検討を詰めておく必要があります。


工事区分



[SCの工事区分]
ショッピングセンターへ出店する場合、他の商店街や、ロードサイドへの出店する場合と基本的に異なります。SCはデベロッパーによって、コンセプトに基づいて計画的に造られ、統一的運営がなされる商業施設であるからです。そのことはSCの工事区分にも現れます。一般的にSCでは、「甲(A)工事」・「乙(B)工事」・「丙(C)工事」の3つの工事区分に分けられています。

[甲(A)工事]
建物の構造部分、ビル本体の工事でデベロッパーの工事負担でデベロッパーが施行する工事です。共用の施設・共用通路・店舗区画等、又用途に対応した標準的な設備(メーター迄、又は店舗区画迄)等の工事が含まれる。

[乙(B)工事]
テナントの統一的に必要な部分でテナントの為に、デベロッパーが行う工事で工事費はテナントが負担します。主に、ビル全体の施設・安全性・工程に影響を与える工事です。(例:分電盤・給排水工事・防水工事・厨房給排気工事・防災・空調設備等のA工事の追加変更工事等)

[丙(C)工事]
テナントがデベロッパーの承認の基に施行する工事です。(例:店舗内内装工事・什器備品・照明器具・電話工事等)


以上の工事区分はデベロッパーによりそれぞれ微妙に異なっており、デベロッパーに確認する必要があります。しばしば問題になるのがB工事の所有権ですが、費用を負担しながらデベロッパーの所有になりますので、出展者がリース等を利用される場合は注意してください。


現場管理の実務



STEPT:資料提出

書類提出:
契約に基づき、必要書類をデベロッパーへ提出します。

必要書類:
(入店・改装)図面・設備図面・工事入店許可願・工事立入者名簿・念書・工事工程表、等


STEPU:打合せ

審査・協議・打合せ:
デベロッパーはテナントから提出された書類をチェックの上、修正・変更を要する場合はテナントと協議・打合せを行います。

関係者:
(デベロッパー):SC管理運営担当責任者、施設管理(設備・警備)担当責任者
(テナント):出店関係責任者(店舗開発担当・オーナー等)、工事施工責任者(含む施行業者)

打合せ内容
(工事内容)施行図をもとに、ルールブック内容に沿って計画されているかどうかについて確認します。
(設  備)電気・ガス・水道等容量範囲内かどうか確認します。
(工事区分)A・B・C工事区分の範囲(取り合い)について確認します。
(工程管理)SC運営上支障のない様、施工時間帯等の制約下での工程調整をします。(※営業時間外施行:夜間工事・休館日工事等)
(施  行)資材搬入・工事立入りルール・火気使用・養生、等施行上の留意事項について協議・打合せをします。
(その他)保健所、警察、消防等営業上必要な届出・許可事項その他必要事項について確認します。



STEPV:工事の施行

工程会議
工事進捗について、逐次、定期的に工程会議を開催し、報告・連絡・確認をします。(※工事業者の無断での変更は重大なトラブル発生原因となるので、必ず工程会議にて報告・調整・確認をします。)



STEPW:工事完了

引渡し
工事完了時には、テナント・施行業者・デベロッパーで現場確認をしてダメ工事等を要する場合はダメ工事を実施の上施行業者よりテナントへ店舗の引渡しをします。

竣工図
テナント(含む施行業者)より、デベロッパーへ竣工図を提出します。




SCテナント内装工事関係のHP
飲食店舗設計(厨房)の基礎知識







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