SC(商業ビル)投資採算計画の実務
(※本SC投資採算計画の実務の開設に当っては、[LAB-NET]を参考にさせて頂いております)





事業手法について
[事業手法]
SCを開設するに当り、先ず事業の組み立てとベストの[事業手法]を選択しなければなりません。すなはち、「土地」・「建物」・「資金」と、これらを組み立てる[ノウハウ]が重要なのです。それでは、代表的な[事業方式]について整理してみることにします。

[自力建設方式]
土地の所有者が、建設資金を調達し、自力でショッピングセンターを建て、テナントに賃貸し運用駅を上げる方式。事業リスクは全て自らが負う。(土地を所有していないデベロッパーが、土地を購入して建設資金を調達する場合もこれに含まれます。)

[等価交換方式]
土地の一部を売却し、その対価として建物の一部を取得する手法ですが、SC開発にはあまりケースが無いと思われます。

[借地方式]
土地の所有権を手放したくない地主と借地権(地上権)設定を行い、地代を支払ってショッピングセンターを建設する手法。

[定期借地方式]
借地法式のバリエーション(定期借地には3つのタイプがある。)。

[土地信託方式]
信託銀行が、地主から土地の信託を受ける方式。ビルの建設と運営は地主に信託配当を行うのが「賃貸型」で、信託不動産でSCの経営をするケース。

[事業受託方式]
SCデベロッパーが土地所有者から委託を受け、企画・建設からSC運営まで一括して代行する。信託方式と似ていますが、事業はあくまで土地所有者の名義になります。

[一括貸テナントビル方式]
地主が商業施設ビルーを建設し、ショッピングセンターに一括賃貸する方式。ショッピングセンターの建設協力金を建設費に当てる場合が多く、地主は長期アンテイ収入が得られる。(※大型店が一括賃借し、ショッピングセンター運営するケースが多い。)

[地権者法人方式]
複数の地権者が共同ビルを建設する際に良く採用される方式。地主が出資した管理会社が、ビルの建設・運営を行う。(※地権者との兼ね合いでショッピングセンターの統一運営上、SC事例としてよりも、地元主導型商業施設に多い。)


事業収支の仕組み
[事業の方式]
デベロッパー事業には(1)分譲型と(2)長期賃貸型の事業がありますが、ショッピングセンターのデベロッパーは(2)の長期賃貸型であり、収支計画もこの「長期賃貸型」の収支計画について考えることと致します。

[収支計画の仕組み]

[1:創業費]
SC開設までに必要な費用即ち「総事業費を算出します。
項目としては、「土地購入費」・「建物建設費」・「開業費」等オープンに要するイニシャルコストの全てです。

[2:資金調達]
総事業費と同額の資金を調達する必要があります。
調達方法は、自己資金と各種借入金となります。

[3:経年収支]
オープン後は経年的に、毎年単年度毎に収支計算を行っていく。
即ち、毎年の賃料及びその他収入の合計(経常収入)から毎年の必要な修繕費・保険料・管理費・税金等の合計(経常支出)と借入金利息・減価償却費の総計を差し引いたものが、その年度の利益即ち「当期利益」となります。

[4:利益フロー]
一般的に、ショッピングセンターの場合は、オープン後の数年間は赤字が続きますが、5年目前後で黒字転換し、10年前後で累積赤字が解消します。

[5:キャシュフロー]
開業当初赤字が続くのは、初期の減価償却費額が大きい為で、これが、DV事業の大きな特徴です。従って、原価償却額は、全額を借入金の返済等に充当する事が出来ます。その年度の利益と減価償却費の合計が、その年度に実際生じるキャッシュと言う事になります。
このキャッシュを、調達した資金に対して返済して行くことになります。
借入金の返済終了時点から、内部保留金が溜まっていく勘定です。
従ってSCの事業の成立性を検討するには、20〜40年のトータル利益の状況、借入金の返済状況をチェックしなければなりません。


収支計画の主要項目
[初期支出]

土地関係費用
土地取得費、土地取得税・登録税、です。SC経営の場合、時価で取得した土地取得費をカバーして事業を早期(EX:20年以内)に成立させる事は極めて難しい。長期スパンでの事業採算計画を立案しなければならない由縁です。(※土地の評価額は一般的には公示地価の0.3-0.4程度で、取得税は4%、登録税は5%)

敷地整備費用
計画敷地に既設建物等が存在する場合や敷地造成を行う場合などに必要な費用を計上します。

建築関係費用
新設する建物の費用、設計料、建物の取得税、登録税などを計上します。建物の工事費、設計料は、個々のケースによって様々で、必要に応じて詳細見積作業を要する場合があります。又設計料は、ケースによって工事費に含まれることがあります。(※償却区分が出来る内訳かどうかを注意して下さい)建物の取得税は4%、登録税は0.6%(公団融資等の場合は0%)です。

開業等準備費用
開業準備期間中に要する人件費、テナントの仲介料、宣伝広告費などの費用を計上します。

期中金利
開業前の工事期間中に発生する金利で、開業後の金利とは別にして、開業前の費用として総事業費に含めます。

事業所税
人口30万人以上の都市および首都圏、近畿圏の規制都市で、述べ床が2000u以上の事業所を設置する場合には、u当り6000円の事業所税が課せられます。

抵当権設定費用
借入金に対して抵当権の設定を行う場合に必要となります。税率は抵当権設定金額に対して0.4%です。※一括で大口テナントに賃貸する場合等は、保証金・敷金に設定するケースもあります。

その他費用
事業に係る上記以外の事業開始前の費用で、仮設費、移転費、負担金、近隣対策費、測量費等を計上します。
※以上各項目について、それぞれ消費税の要否チェックをし必要項目には設定をします。

[初期収入]

自己資金
資本金等で金利のかからない資金がある場合は、この項に計上する。必要があれば配当率と配当を行う条件を設定します。

敷金,br> テナントから家賃支払の保証を裏付ける資金として集めるもので、契約解消後返済する資金です。

保証金テナントから建設協力金的な性格で一定条件をつけて集める資金で、契約継続中でも返済する資金です。

長期(銀行)借入金
各種銀行等金融機関と公的資金の調達について、その条件を設定する項目です。設定する条件は、償還法(元利金等、元金均等など)、償還年数、金利(途中変更の償還年数、金利も含みます)、元金の据え置きの有無と期間、無利子の期間などです。

短期(銀行)借入金
総事業費即ち初期支出から初期収入の@自己資金A敷金B保証金を引いた残りが銀行等からの借入金となります。通常、前述の長期借入金を設定しますが、長期借入金で調達できない部分をこの短期借入金で調達する事になります。
※資金調達時に長期借入金だけで間に合う場合でも、長期の収支計算に於いて資金ショートした場合には、この項目が必要ですから、必ず設定しておきます。

保留金運用益率、短期銀行借入金金利事業の収支計算に於いて内部留保金が発生した場合、その運用益率と短期的な借入金が発生した場合、その金利を設定します。

[経常収入]

賃料収入
全区画テナント入店を想定した家賃収入金額を設定します。
駐車場収入駐車場利用運営計画に基づく駐車場収入を設定します。

その他追加収入
その他必要に応じて、共益費、販売促進費等、その他収入を設定します。
※以上の各項目について、毎年度の値上がり率と設定条件に対する稼働率と消費税が必要かどうかを設定します。


[経常支出]

人件費
ショッピングセンターの管理運営に必要な人件費を設定します。

修繕費
設備の保守点検費や外壁の清掃塗装替え等デベロッパー負担の維持管理に必要な費用を設定します。実際には各年度毎に金額の大小がありますが、通常はそれらをならしたものとみなして計上します。(一般的に建設工事費の0.5%−2.0%程度)

火災保険料
敷地の立地状況、建物の構造、用途に異なりますが、RC造りの場合、建築工事費の1-2/1000の範囲で設定しておくのが適当です。

借地料
敷地が借地の場合、借地料を設定します。

土地公租公課
税率は固定資産税評価額に対して、固定資産税が1.4%、都市計画税が0.3%で合計1.7%です。経年のアップは、地価評価額が変りますので特に注意を要します。又地価税が必要な場合は別枠で設定します。

建物公租公課
税率については土地公公課と同様です。経年のアップは一般的に物価の上昇率と資産価値の低下を相殺して通常は考慮しません。

諸経費
様々な雑費が含まれますが、ショッピングセンターの場合は、専従管理運営人員以外の諸費用として人件費相当額を設定します。

その他追加支出
その他に水道光熱費等の共益費、販売促進費の経費や上記項目以外に必要な支出があればその費用を設定します。
※以上の各項目について毎年の値上がり率と設定条件に対する稼働率及び消費税の有無をチェックし設定します。

[減価償却費]

建物
償却法は「定率法」と「定額法」がありますが、平成10年4月以降の建物については、「定額法」によることになっています。残存率、償却年数は法定に従って設定します。

設備
設備の償却も建物の償却と同様です。

開業費等
開業の為に必要とされる費用、各種の税金等を含むもので、初期支出の金額から土地関係費用と建物関係費を差し引いた額を必要に必要によって設定します。
※減価償却する必要がなければ0とします。

[事業主の条件]

事業主の人格
事業主が法人か個人かを設定しなければなりません。法人の場合利益に対して法人税を計算し、個人の場合利益に対して累進税率による所得税を計算する事になります。地方税についても同様に法人の場合と個人の場合とでは異なる計算を行う事になります。

法人税率、所得税率、地方税率
事業主の人格が法人の場合、法人税率と地方税の都道府県税・市町村民税・事業税の税率を設定します。各税の税率およびその計算手順は「法人税等計算表」に拠ります
事業主の人格が個人の場合、所得税率と地方税の都道府県税・市町村民税・事業税の税率を設定します。各税の税率及びその計算手順わ、「所得税等計算表」に拠ります。

消費税の扱い
消費税の計算に必要な条件を設定します。消費税を計算するかどうか、する場合は事業当初2年間の消費税計算の方式、消費税率など。消費税の計算手順は、「消費税計算表」に拠ります。

[賃料・敷金・保証金]

賃料・敷金・保証金
この設定が、事業が成立するかどうかの最大ポイントとなります。計画の立地条件や近隣のショッピングセンターの動向・事例などを十分調査研究の上、実現可能な数値を設定する必要があります。
この内、「敷金と保証金」は入店契約時に受け取る権利金的なもので、「賃料」は月々のデベロッパーの収入です。テナントサイドから見ますと、入店時に支払う保証金と敷金も、入店決定の大きな要因であり、他の出店条件と比較する場合、これらを包含した「実質賃料」で出店検討する必要があります。
※「実質賃料」とは、保証金とソ基金の金利相当分を月々の家賃に加算する考え方です。

敷金
テナントの賃料支払保証を裏付ける資金で、契約解消時に返還するものです。場合によっては全額を返還せず、一部を契約解消後の原状復旧の費用にあてる考え方もあります。

保証金
建設協力金的な性格で、一定条件を付けて、テナントの契約継続中でも返済する資金です。

[再投資]

工事中につき今しばらくお待ちください。


収支計画書の作成
損益計算書の作成

収入合計
毎年の経常収入の合計に雑収入(消費税計算上発生する事業主の収入)と保留金運用益(前年の保留金に保留金運用益率を乗じたもの)を加算して求めます。

支出合計
経常支出の合計と減価償却額の合計と借り入れ金利の合計を合算して求めます。

税引前損益
収入合計から支出合計を引いたものが、税引前損益です。この額がプラスであれば、税金が発生する事になります.

課税対象額
税引前損益から前年の事業税と未償却額と計算年度以前の繰越欠損(累積赤字)を引いて税金計算の根拠の課税対象額を求めます。法人の場合は前5年間、個人の場合は前3年間の欠損は、計算当年に繰越が出来るように税法で定められています。

税金の計算
税金の計算は、法人か個人かによって異なります。税率等計算式は「法人税・所得税等計算表」を用いて算出します。当期損益税引前損益から税額を引いたものが、税引き後損益となります。この額がプラスであれば、「資金源」となります。事業の最終的成果です。

資金計算書の作成

資金収入合計(資金の源)
経年後に資金の源泉となるものは、損益計算における税引き後損益のプラスの場合即ち損益後利益と減価償却引当金が主なものです。減価償却費は、会計上損金として支出されているだけで、実際は出て行かない費用で、資金となります。この他に遅れて入金する保証金・敷金、消費税還付金があります。当然の事ですが、追加資金として新しく資金を借り入れた場合はそれが加算されます。事業開始時(0年度)は、初期収入の合計です。

資金支出合計(資金の使途)
資金の使途の主なものは、借入金の返済で、借り入れ条件による元金の合計です。無論税引き後損益がマイナスの場合は、欠損金として計上する事になります。この他に自己資金の配当などがあります。無論追加資金があれば、それが加算されます。事業開始時(0年度)は、初期支出の合計です。

保留金
資金源と資金使途の差額が、プラスの場合は、資金に余裕があることになり、内部留保金が発生する事になります。

資金ショート
資金源と資金使途の差額が、マイナスの場合は、資金が足りなくなっていることになります。前年までに保留金があれば、その足りない金額を保留金で補うことになります。保留金が無い場合は、一時的に資金を充当しなければなりません。いわゆる「資金ショート」で、年度当初や途中から借入金の返済を始める場合などに発生します。

資金の残額:工事中につき今しばらくお待ちください。

損益、資金を一本化した「長期収支計算表」の事例


DV投資採算計画関係のHP
LAB-NET(ビル投資採算計画の手引き







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