流通業界トピックス:VOL.1

            (参考資料:日本実業出版刊「流通業界最前線」)


[GMS][チェーン理論][外資参入][SC競争]



日本型GMS業態の行方


GMSの行方
日本型GMSの行方


戦後の物不足時代を起点として、経済復興が始まり、一億総中産階級・所得倍増をキーワードとした日本経済は、良質安価な生産力を武器に貿易立国の末、GNP世界第2位の経済大国に成長を遂げてきた。
その基盤は、大量生産・大量消費システムの社会構造の下に成り立ってきた。

流通分野においても、この時代潮流の下、アメリカ型セルフサービスとチェーン経営を取り入れたSM+GMS所謂「量販店=日本型GMS」が小売業界では世情流通革命と称され、百貨店を凌駕し、確かに消費のみならず生活者の生活スタイルを変える存在意義を果たしてきた。

高度経済成長の下、生活者の消費生活は豊かさを求め、まだショッピングセンター専業DVが未成熟だった為、GMS企業は自らGMSを核としたショッピングセンター(DV事業)を経営し、このショッピングセンタービジネスが大きなウェートを持つに至っている。

経済構造はバブルの崩壊による右肩上がり経済成長の終焉、生産コスト高による産業空洞化、IT革命によるビジネススタイルの質的変革等 大量生産・大量消費型から確実に変革を始め、物不足を克服した生活スタイルも豊かさの中で、個性化を求める時代となり、且つ人口ピラミッドの崩れ(少子高齢化)の中でこれまで流通の主役であった日本型GMSは確実に役割を終え終焉の時期を迎えている。

従来GMSの機能は、1ヶ所で何でも揃うという総合性であったが、上記の時代状況の中で生活者から見ると「何でも有るが欲しいものが何もない」という本質的な問題に直面している。
特にカテゴリーキラー業態の台頭により、物不足時代のマーチャンダイジングによる「量の拡大」トレンドでは確実にその存在意義は終焉する局面にあります。
百貨店系の郊外進出、カテゴリーキラーの台頭、パワーセンター、ニューNSCの展開の中、日本型GMS業態の進むべき方向が確実に模索される時期が到来している。

それでは、日本型GMS(総合スーパー)の今後の方向は如何有るべきか?という事ですが、
@SC化・・GMS単体ではこれまでの集客力は見込めない為、足りないところを専門店モールを導入し、SC施設への転換を図る。
Aスペシャリテイ化・・各部門の強化により総合MDを脱却し専門カテゴリー強化を図り総合性の再構築を目指す。(※言うは易く消費者支持を得られる内容を実現するのは困難を伴う)
BバリューDS化・・社会構造は確実に一億総中流化から階層の2極分化方向が進むと推測され、ロワーミドルゾーンをターゲットとしたバリューDS化がGMS本来機能に沿った方向と考えられる。
以上3方向が今後GMSの進む方向ではないかと思っています。




チェーンストア理論に潜む課題


チェ-ン理論
チェーンストア理論に潜む課題


大手小売業は例外なくチェーンストア理論の実践により成長してきた。小売業にとって欠かせない基本理論です。
チェーンストア理論を一言でいえば「標準化した店舗を、エリアをチェーンで繋ぎドミナントを形成し、本部が一元管理することで効率経営を可能にするシステム」です。(※支店経営の百貨店をGMSが短期間に小売シェアーを奪て来れたのも、チェーンストア理論による経営システムを採用したからに外なりません)

その理論の特徴は「3大標準化」による効率経営(店舗運営システム)が可能な点です。
3大標準化とは、
@店舗の標準化・・立地・商圏・規模・店舗企画(内外装・仕様・導線・基本L/O)を標準化し、店舗開発費用のコストダウン並びにスピード出店を可能にできるシステムである点。
A品揃えの標準化・・各店の品揃えを標準化することで、本部一括大量仕入れによるバイイングパワーを高め、商品の効率的配分を可能にするシステムである点。
Bオペレーションの標準化・・店の運営システム・従業員の役割・作業の「マニュアル化」により本部一括の効率運営が可能なシステムである点。です。
以上の様に、小売業の効率運営に「チェーン理論」は不可避な理論なのです。

しかし、現在「チェーン理論」に潜む課題が顕在化しておりこの克服・解決こそが今後の小売業にとって大きなテーマであることは間違い有りません。
チェーンストアシステム「逆回転」の背景
 [経 済]・・・・インフレ型高度成長時代⇒デフレ型マイナス成長時代
 [社 会]・・・・工業化社会(モノ社会)⇒情報化社会(情報社会)
 [消 費]・・・・少品種大量消費    ⇒多品種小量消費
 [ニーズ]・・・・同質化ニーズ(万人受)⇒個性化ニーズ(価値観の多様化)
 [マーケティング]・プロダクトアウト  ⇒マーケットイン〜ユーザーイン
 [商 圏]・・・・画一的大商圏     ⇒個別的小商圏
 [出店環境]・・・先手必勝型出店拡大  ⇒出店拡大リスク(競合激化)
 [小売戦略]・・・売上拡大至上主義   ⇒利益・キャシュフロー重視

問題点:現場と消費者の不満が顕在化
 [チェーンストアシステムに対する現場の不満]
 @現場の店舗で売れそうにない商品を本部が押し付けその消化を要求。
 A地域性・顧客動向に即応した商品対応が出来ない。
 Bマニュアル至上主義で、柔軟・ヒューマンな接客が出来ない。
 C立地・商圏・店の特性に基づく独自の創意工夫が出来ない。
 D現場従業員は単純作業で、やりがいが持てずモラールダウン。
 [既存チェーンストアに対する消費者の不満
 @店舗が同質化していて選択肢がない。
 A品揃え・個性・特徴がなく、意外性・楽しさ要素が欠落。
 B店舗造り・イメージが陳腐で安っぽく購買意欲が湧かない
 C店員の商品知識・情報が乏しく、的確な顧客対応が出来ない。
 Dマニュアル接客で、ヒューマンな温かみが欠落。
 E店のソフト・ハード両面に「もてなし」じゃなく「あしらわれ」の印象を受ける。




外資参入:流通システムの変貌


外資参入
外資企業進出状況(’1990以降)
「大店法」・「コスト高」・「複雑な流通構造」の三大障壁が「大店立地法」への移行・「バブル崩壊」・「流通構造の変化」により、GDP世界第2位の消費大国日本は世界の流通業の”草刈場”になろうとしている。

[総 合]
カルフール(ハイパーマーケット:仏)・コストコ(ホールセール:米)・ウォルマート(DS:米)・メトロ(ホールセール:独)

[ファション]
ザ・ギャップ(カジュアル:米)・ゲス(カジュアル:米)・LLビーン(アウトドアウェア:米)・ティンバーランド(アウトドアウェア:米)・ヱディーバウアー(アウトドアウェア:米)・タルボット(レディス:米)・リズクレイボーン(レディ:米)・オアシスストアズ(カジュアル:英)エスプリ(カジュアル:香港)・コジー(カジュアル:香港)・ジョルダーノ(カジュアル:香港)・ネクスト(メンズ:英)・クレアーズ(アクセサリー:米)・イラック(ネクタイ:英)・ザラ(カジュアル:スペイン)・ナイキ(シューズ:米)・アスリートフット(シューズ:米)

[文化・雑貨]
タワーレコード(AVソフト:米)・ヴァージンメガストア(AVソフト:英)・HMV(AVソフト:英)・ザ・ボディショップ(フレグランス:英)・トイザらス(玩具:米)・スポーツオーソリテイ(スポーツ:米)・REI(スポーツ・アウトドア:米)・オフィスデポ(オフィス用品:米)・デイズニーストア(キャラクター:米)・ウォルグリーン(ドラッグ:米)

[住・食]
ピアワンインポーツ(ホームファション:米)・キャンディエキスプレス(菓子:米)

[飲食・その他サービス]
サブウェイ(サンドウィッチ:米)・スターバックスコーヒー(コーヒーチェーン:米)・タリーズコーヒー(コーヒーチェーン:米)・シアトルズベストコーヒー(コーヒーチェーン:米)・セガフレードザネッティ(コヒーチェーン:伊)・ケニーロジャースロースターズ(チキン料理:米)・バーガーキング※撤退(ハンバーガー:米)・タイムワーナー※AOLと合併(シネマコンプレックス:米)・ユナイテッドシネマズ(シネマコンプレックス:米)・ヴァージンシネマズ(シネマコンプレックス:英)・ブロックバスター(レンタルビデオ:米)・キンコーズ(オフィスサービス:米)

[通販・ネット]
ランズエンド(衣料:米)・ニーマンマーカスダイレクト(DPT通販:米)・サックスフィフスアベニュー(DPT通販)・ブルーミングデールスバイメール(DPT通販:コメ)・バイキングオフィスプロダクツ(事務用品:米)・アマゾンドットコム(書籍ネット:米)・eトイズ(玩具ネット:米)・トイザラスドットコム(玩具ネット:米)オートバイテル(車販売仲介ネット:米)・eベイ(ネットオークション:米)

[デベロッパー]
チェルシー(SCDV:米)・モルガンスタンレープロパティーズジャパン(※:不動産プロパティ)


注目外資クローズアップ
大店法規制の廃止・バブル崩壊によるコストダウン・流通機構の流動化等出店環境が整いGDP世界第2位のマーケットに雪崩を打って外資参入が始まって、日本の流通システムは既に大きく変貌を始めており、今後一層加速することは確実である。
唯し、マーケットに対応出来ず撤退する外資も当然の事ながら多い。ここでは、個々の企業にスポットをあて、具体的な流通システムの変化要因になっているかを探りたいと思います。

[カルフール]・・・カルフールの研究
2000年12月幕張に1号店を開店注目の的となったが、日本のマーケット特性とフィットしない点もあり、実際苦戦を強いられ「外資恐れるにたらず」とマスコミサイドはトーンダウンしている。事実従業員がローラスケートで移動する長い食料品売場はデイリーニーズ主流の主婦には煩わしいし、年末年始のシーズンセール(EX:福袋)を理解出来ないフランス人支配人の運営では、日本流習慣に対応するのに苦労するはずである。しかし、現時点では実験店・アンテナショップの位置付けで、今後展開が進むに連れ脅威の存在である事に変わりない。

[ウォルマート]・・・ウォルマートの研究
かってイトーヨーカドーの売場でウォルマート商品が苦戦した経験を持っており、日本のマーケットに対応した進出でないと失敗することを学んだウォルマートは進出方式も単独進出や商社等との提携方式は取らず、西友の経営権取得方式を取っての進出である。
ウォルマートの脅威は1店1店のローテクでアナログなヒューマンウェアによる社員の帰属意識と先端ITによるハイテクでデジタルな情報システム融合させたパワーと言われているが、聴くところによると技術的なノウハウより先ず西友マンからウォルマートマンへの意識改革に取り組んでいるそうです。このパワーが根付いた時、恐るべしウォルマートです。

[トイザラス]・・・トイザラスの研究
日米構造協議で規制緩和による開国のモデルケースとして、パートナーとして日本マクドナルドと提携して1991年に1号店を開店したトイザラスは2002年予定通り玩具市場の20%を占め、他の追随を許さない。売場面積は3000uと従来の玩具店の考えられない売場に18,000品目の圧倒的品揃えで先発のハローマックやバンバンも敵ではない存在で、独走している。当社が破壊したのは同業玩具小売店のみならず流通経路にも及ぶ。メーカーとの直接取引きは80%強で、大手玩具メーカーも当社の年間販売計画・シーズン戦略を無視した生産は出来ない存在です。
運営で特質すべきは、米国で確立した業態、独自コンセプト・フォーマットを崩さず、且つ日本のマーケットを見据え日本流にアレンジする点です。この事例と同様の進出ケースを採る外資こそが今後脅威となる外資といえるのではないでしょうか。





SC大競争時代


SC大競争時代
商業の主役の座:ショッピングセンター

’91〜2000の10年間で1094件の増加で、2001年のSC総数は2,603件を数え、近年のSCは大型化傾向が著しい。当然商業活動におけるSCシェアーも高まり、2001年度の総売上高は27兆円、リース面積は3774万uに達し、全小売販売額シェアーの19%、売場面積シェアーの28%を占める日本商業の主役の位置にある。
この本質的な要因と背景は日本経済が「生産」から「消費」にシフトしなければならない点にある。つまり、日本の土地利用そのものが「モノを作る(生産)」機能から「モノを売る(流通)」機能と大きくシフトしているところに有ります。不況にもかかわらずSC増加の構造的背景がある為です。

大競争時代に突入

この競争激化の中、大多数を占める中商圏型CSC(コミュニティsc)が空洞化の危機に瀕している。
CSCはGMSを核店舗とし、ナショナルチェーンや地元専門店・飲食店・サービステナントを30〜50店入居の10,000u前後のごくごく不通の中型SCで、無競争時代には最も効率よく顧客を取り込めたSCですが、特徴と個性が明確な様々な新設SCに包囲され「全方位総花性」の面白みのなさが露呈し、急速な客離れが生じている。
CSCに限らず、従来型のSCは特色と存在理由が明確なSCに押され、愈々未曾有の大淘汰時代が始まろうとしている。

生き残り策
SCには集客の要となる「核:アンカーテナント」が不可欠です。都心立地の駅ビルやファションビル、アウトレットモール等は別として、SCの核店舗は概ねGMS・DPTといった総合業態です。問題は、この総合業態の吸引力低下傾向にあり、同質化魅力劣化に悩むSCにあって最大の課題です。

この課題克服策として、最近のSCは独自性と魅力強化の為、
@サブ核の導入:大型のh-ムセンターや強力カテゴリーキラーを導入し第1核を補完する。
A外資テナントの導入:差別化と話題性強化策として、カルフール等第1核に外資を導入する。
Bエンターテイメント性の強化:テーマレストランやアミューズ等非物販機能集客の目玉とする。
等の強化策を図っている事例が見られる。
従来のアンカーテナントである従来型総合核業態の弱体化に変る集客手法として、「スーパーストア集積(各部門に専門特化した人気大型店ミックス)手法」を開発している。この典型事例として、「ららぽーと」が挙げられる。

スーパーストア集積手法の開発
従来型総合核業態変る集客の決め手として各部門に専門特化した人気大型店をミックスし、従来型アンカーテナントの弱体化をカバーしょうとしている。この人気大型店は事例として次のようなテナントに代表される。
[ファション業種]ファイブフォックスユニクロ無印良品ユナイテッド・アローズビームスシップスライトオン・ポイント・ワールドサザビーサンエーインターナショナルオンリーイトキントゥモローランド・フランドル・ベイクルーズABCマートザギャップベネトンサラブランドクレアーズリズ・クレイボーンLLビーンエディバゥアーローラアシュレイボディショップJクルー
[文化・雑貨業種]ヨドバシカメラビッグカメラソフマップベスト電器赤ちゃん本舗マツモトキヨシサンドラッグスーパースポーツゼビオムラサキスポーツアルペンビレジバンガード新星堂紀伊国屋書店ジュンク堂旭屋書店ブックファースト山野楽器ダイソーキャンドゥドンキホーテトイザラスタワーレコード・ヴァージンメガストア:HMVスポーツオーソティオッシュマンズ
[住関連業種]大塚家具フランフランアクタスダブルディワンズリバンス・Madu・ニトリ・等
[食品・総合]成城石井クイーンズ伊勢丹紀ノ国屋明治屋エース新鮮館イカリ・生鮮カテゴリーキラー(ニュークイック九州屋魚喜等)等
[飲食・サービス]キハチ・クイーンアリス・グローバルダイニング紅虎レインズインターナショナルワーナーマイカルシネマズスターバックスタリーズハードロックカフェキンコーズAMCヴァージンシネマズユナイテッドシネマズ

21世紀型SCの模索

これからの商業施設に求められる条件
新たな時代に向けたSCの開発は今、過渡期とも言える産みの苦しみの中で行われている。その最新開発トレンドとして
@街づくり型SC:1SC当りの平均面積は2000年で2万uを越え時間消費を喚起する街づくり型SCが定着。
AエンターテイメントSC特に都心部で顕著なEX:アクアシティお台場etcのエンターテイメント性を武器とする。
BニューNSC:近隣の小商圏の近隣ニーズに徹し利用頻度とシェアーアップを狙うニュータイプNSC。
等が挙げられるが、未だ21C型具体的フォーマットは提示されていない。
しかし、2000年代は「新たなるSCエイジ」となる事は間違いない。
その方向は、「周辺環境に配慮し、地域社会に融和する」商業施設です。開発者自らが、「消費者、生活者、地域住民利益優先時代」における新しいSC開発を模索しなければならない時期に差し掛かっている。そうした施設でないと、21C型のSCとして、消費者の支持を得る事が困難な時代が到来したといえるのではないでしょうか。

21C型SCフォーマットの追求
□その1:「ショッピングセンター」から「ライフスタイルセンター」へ。
     大店立地法時代のエコタウン型SCへ。
     その具体策は?
□その2:現在は次世代SCを模索する過渡期で、新たなスタンダードフォーマット
     を追求すべき時。
□その3:何時の時代もSCの中身がその魅力を決定する、とりわけ核となる業態が
     不透明で、ポストGMSとなる強力核業態の模索がテーマとなる。


流通業界関係HP