実益を兼ねた、趣味なのである。


 ぐにゃぐにゃ揺れて、ゆらゆらふらふら。
 ギャグを振りまきつつ血を吐いて、怒るギャラリーにニタリと笑い。
 仕事は素早く、されど失笑は買わねばならぬ。

 完璧。

 私の言葉は狂人の言葉
 聞く価値の無い単語の羅列は時に真実を貫くが、所詮は狂人の戯言だ。
 誰が次のアタリに期待しよう。
 誰が私を信じよう。

 それでいい。
 そうやって私(まあつまり、媒介としての「岩田裕」という「キャラクター」)をやり過ごし、そうやってクルクル世界は回る。

 プレハブ校舎の階段を匍匐前進で滑り降り(滑り落ち?)、腰を回して優雅に立つ。ギャラリー(でも決して、私を観るためにわざわざギャラリーとなったわけではないのだ。)の視線。
 ああまたなんかやってんな。
 そんな思念がピリピリ伝わる。スゴクイイ。




 ふと、目が合った。




 ふわりと、笑った。




 パチクリと目を瞬かせ、まじまじと見返したところにもう一撃。

 強張る顔の筋肉(どうした、岩田)。

 ピエロなメイクが浮き立つ無表情(岩田をツクレ)。

 顔を背けて、スタスタと歩み去る体(ここはギャグでも飛ばすところだ)。




 ややあって、後ろから足音が駆けてきた。
 笑顔の主が何を思ってか追跡してきたらしい。
 この岩田を。岩田裕を。

 媒介としての「岩田裕」を?

 「岩田裕」は、笑顔くらいで自分が制御できなくなるのかい?




 向き直った。
 向き直った私は、未だ「岩田裕」を思い出せず。
 ただの1人の岩田裕のままで、駆け寄るひとを待ち受ける。

 たった一度の過ちが世界を変えるとするならば、きっかけはこんなものなのか。






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