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昭和57年7月15日 発行 “ひろば” <会員の頁>
良識喚起の方向付けと建築士のもう―つの責務
(大阪府建築士会会員・「欠陥及び違反建築を予防する会」 代表幹事) 笹 本 浩 規
建築の質の時代を迎え、先ず建築業界と施主(消費者)の 質の向上の必要性を痛感する。
ほんの―部を除き、多くの零細な建築事務所や中小請負業者は、生き残る為に堅い事を言っていては
“法律など無視の業者”に仕事を取られるからとか、心ない施主に“違反する勇気”を 強要されたりして、
大なり小なり違反建築(85%以上と聞く)や 劣悪な建築づくりに手を貸すことで多数の建築関係者が 生活しているという現実を誰も否定出来ない。
この現状を放置するならば,建築業者,設計事務所の過剰も 相俟って 建築界は益々泥沼化するのは明らかであり, 地位の向上など望む方が無理であり、建築界の未来は無い。
今、知識を詰め込むこと以上に重要な事は、これら多くの設計 事務所、請負業者、施主の“良識を喚起する”
ことであり、 悪徳業者を締め出し、その質の向上を目指すべく“方向付けを する”ことこそ急務である。
私達「欠陥及び違反建築を予防する会」が、既に提唱している モラル向上の、良識喚起の確実な方法は、
役所に登録さえ すれば悪質な仕事でも出来る現行制度を改善し.各設計事務所や請負業者の遵法精神の程度を
毎年ランク付けし、常時関係各所で名簿を公開することだ。
ランク付けの基準は、各社の年間の確認申請件数に対する検査済証の取得率によりA、B、C、D、E のランクを付ける。
方法は自己申告制でなく、建築主事が確認通知時と検査済証交付時に、各事務所及び請負業者の登録をしている都道府県へ報告するだけでランク付けは簡単に出来る。
この名簿公開により、建物を建てたい人が設計事務所や業者を選ぶ時、どこが誠実で良心的かを知る重要な資料となる。
又,一般の人々に対し合法的な建築の啓蒙や,建築業界の質の向上、浄化刷新などあらゆる面で飛躍的なレべルアップが期待でき、又 建築関係者の社会的地位の向上にもつながる。
尚、―方では関係法規の矛盾点、問題点の洗い直し、法文解釈の統―、罰則規定の強化も早急に着手すべきであることは言うまでもない。
出来てしまった不十分な法律を、我々はただ国民に守らせるというだけでなく、私達建築士は常にいろいろな分野で実務に接し、活躍しており、最も詳しいのであるから、矛盾点の改正、「ただし書き」の追加など国民の側に立って、不当な規制を押しつけること無く、人々が守れる法律に改正するよう国に働きかけるべきである。
このような働きかけは、各分野での建築士―人―人の重要な責務であり、士会としても十分な受け皿を用意すべきと思う。
今こそ建築界の将来を思い55万建築士の決起を熱望する。
美匠―級建築士事務所 笹本 浩規
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