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欠陥及び違反建築を予防する会作品
昭和58年(1983年)6月10日 (金曜日) 讀賣新聞 『都心や住宅密集地での敷地の有効利用として 注目される3階建て住宅』(大阪市旭区で)
“注目される都心の3階建て”
【狭い敷地を有効に】
狭い敷地を有効利用する手段の一つとして,三階建て住宅が 注目
されだした。
二階建てに比べ割高という理由から敬速されがちだったが,
大都市の住宅密集地を中心に 関心が高まっている。
大阪市旭区の淀川堤防沿いに建築中のKさん宅を例に、三階建て住宅を建てる際のチェックポイントなどをまとめてみると…。 三階建て住宅のメリットは何と いっても土地の有効利用だ。 住宅が密集する 都心部では、現在の敷地を広げようにも思うにまかせない。
といって、生活が便利で 住みなれた土地を離れるのも 気がすすまない。 三階建て住宅の建築に踏み切るのは,大体こういうケースだ。
Kさんの場合も、子供の成長などで家が手狭になって三階建て住宅の建築を決めた。 敷地面積は77.6平方b。大阪市内とはいえ、決して広いスペースではない。
ここに「設計料込みで二千万円で三階建ては建たないか」と いうのが発端だった。
この話を受けたのは近くで建築事務所を営む一級建築士の笹本浩規さん(欠陥及び違反建築を予防する会 代表幹事)。 昨年六月以来,基本設計にほぼ半年を費やした。
【建設時のチェックポイント】
基本設計段階で問題になるの
は、まずその土地が法律などで どんな規制を受けているかだ。
大阪市内の場合、防火地域なら三階建て以上は耐火建築でなけれぼならないし、準防火地城の三階建てだと、
簡易耐火構造が認められる。
また、道路の広ざや隣地との境界の状況で、建物の大きさや形状が制約される場合もある。
どこでも思い通りの三階建てができるとは限らない。
Kさんの場合,家の前の道路幅が挟く、道路用地分に約3Mをさかなければならなかった。
隣接住宅への日照問題は,住宅の高さが十b以下で支障なしだった。
基本構造は鉄骨と決まったが,間取りの各階への配分や水廻りの位置などでは Kさんと笹本さんが何回も協議した。
その基本的な考え方は @二階に居住の中心を置く A現在の家具をどの部屋に置くかを決め、それを考えた上で
部屋が正味 何畳分の広さが確保できるか B子供室の採光が十分とれる…などだった。
内装はできるだけ節約,基礎工事など三階建ての "生命"にかかわる部分は最優先項目とする。
セントラル・クリーナー、掘りごたつ(二か所)太陽熱温水器など“ぜいたくな部分”も入れる…といった点も考慮された。
全体の建築費用を抑えるため、建物にあまり凸凹をつくらないようにもした。
延べ面積は123.7平方b(ガレージ分を除く)。
これらを原則に笹本さんが設計作業に入るとともに、流し台はどこ製のどれ、サッシの強度はこれ、
といった細かい項目を盛り込んだ 膨大な特記仕様書を作成、建築業者三社の競争入札に進んだ。
入札結果は一番札の業者と二番札の業者で210万円、一番札と三番札では470万円の差があっだ。
建築費を2000万円とすれば、一割から二割以上も 請負額で違いが出たわけだ。
業者の施工能力、信用度などを総合判断、結局、一番札の業者者に発注したが
「同じ設計,仕様」で競争させても210万,470万円の開きが出だ。
「一社だけに見積もりをさせた場合の危険性がよくわかる」と笹本さんは指摘する。
【大切な設計・監理】
工事は八月に完工(工期は四か月)するが「設計と並んで重要なのは監理」(笹本さん)というわけで、
基礎が設計通りに施工されているか、コンクリートの強度は十分か、鉄骨の溶接部分は支障ないか、 屋上の防水は大丈夫か,
など 工事中もあらゆる角度からチェックが続く。
「三階建てに限ったことではないが、建築業者にとって逃げ道のない しっかりした設計図を書くのと、工事現場で
設計図通り工事が行われているか 厳しくチェックすることが大事だ」 というのが笹本さんの持論だ。
「設計・監理料は、最初高く思えても、入札価格で何百万円も差が出たのでもわかるように、それで十分カバー できる。
図面,仕様どおりの住宅を 間違いなく建てるという意味では 決してムダな費用ではない」 ともいう。
Kさん宅は施主(建築主)、設計者、工事業者が十分に意志疎通を図った一つのモデルといえそうだ。
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