そして
ウィッシュリスト.......
私に想いを寄せているものの、どうやってそれを表現したいか迷っている貴女。
私は物質的な豊かさよりも真心を大切にしたいと思っています。
メルセデスのSLKとかビンテイジ・ライカなどで表現していただく必要はありません。
しかし、どうしても何かの形に託して胸の内を告げたいと思われるのであれば、
左の画像のBSAでも十分です。
高価なものよりも、このような廉価な(きっと貴女にとっては....)ものの方が
かえって真心が伝わるように思います。
(2004年都内にて撮影)
M422A1 Specifications ( TM9-2320-225-20)
Truck, Utility: 1/4-Ton, 4x4, Lightweight, M422A1 (2320-753-0103)
ENGINE Model : American Motors AV-108-4
Bore : 3.25 inch(82.55 mm), Stroke : 3.25 inch(82.55 mm), Displacement : 107.84 cu.inch(1,767.17cc)
Compression Ratio : 7.5:1, Cylinders : 4 in V formation, Firing order : 1-3-4-2
Compression pressure at cranking speed 150 rpm : 130 psi(0.91 kg per sq cm)
Compression pressure mean effective : 125 psi(0.87.5 kg per sq cm)
Brake horsepower (Gross max without accessories) : 54 at 3,600 rpm
Brake horsepower (Net with all accessories) : 52 at 3,600 rpm
Torque (Gross max without accessories) : 90 lb ft at 2,500 rpm
Torque (Net with all accessories) : 88 lb ft at 2,500 rpm
Oil capacity : 5 qts
Weight (Less accessories) : 219 lbs (99.34 kgs) Weight (With all accessories, as installed) : 296 lbs (134.27 kgs)
CLUTCH Make : Auburn Model : Pressure plate : 10213-1, Drive disk : 10212-1
Type : Single dry disk, Size of disk : 8 inch, Clutch pedeal free plar
1/2 to 1/4 inch
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CCV39 (2000年発行)より
資料協力:大塚康生 MVJ-7
珠玉
人との会話の中で車の快適さについての話をしていると、返答に窮することがある。それは、暖気や冷気の微妙な流れのことだったりするからだ。そこまで気にするのは、一種の過敏症か虚弱体質ではないかと思うことすらある。そんな人達には理解出来ないことだと思うが、このスパルタンそのものの小さなCCVで寒風の中をオープンエア走行することは楽しかった。
この米海兵隊専用に作られたマイティーマイトの居住性からすれば、初期のジープやジムニーですらファミリーカーに感じられるほどに「最低」である。基本的に幌はなく、あったとしてもサイドカーテンやドアはない。冷房はおろか暖房すらない。こんな車を南関東という比較的温暖な地域とは言え真冬に運転するのは、良く言われて「好きだね」、悪く言われれば「酔狂な」、であろう。ところが確かに「楽」ではなかったが、「楽しい」ドライブであった。
M422 #243239
試乗したのは、軍用車の研究でも知られMVJという研究誌も発行されている大塚康生氏の所有車である。興味あるCCVなので必ず紹介したいと思っていたが、大塚氏のところにあるからいつでも出来るとのんびりと構えていた。ところが近い内に手放されるという連絡を受けて急遽お借りした。氏は、貴重な軍用車は研究の対象であると同時に、飾り物ではなく乗って楽しむものというお考えである。「オフロードも思いきり走らせてもいい」とのお言葉を受けて、4日間ほど走らせ観察した。MVJ-7(1992)によれば、日本には20〜30台しか無いと言われるマイティーマイトの中でも、オリジナルモデルである短いホイルベースのM422は数台しか無い稀少車である。
調整の出来ないシートや一般的なMシリーズとも少し違う操作系に慣れるには時間がかかったが、ある程度は手足のように走らせることが出来るようになると、寒さや騒々しさを楽しさが上回るようになった。極端に短いホイルベースと、軽い車体に55馬力の空冷V4エンジンと言うことからも予測は出来ることだが、ライトウェイトスポーツ的に楽しめる。シートの形状はクラシックなバケットタイプであり、フロアとの段差は少なく足元はフラットなので、運転姿勢もジープとは全く違って、膝も肘も割合に伸ばした姿勢となる。ステアリングホイルも一回り小さくされている。ギアボックスとリンケイジを観察する限りではトラック的なのだが、フィーリングはとてもクイックである。それはトレッドに対してホイルベースが極端に短いことと、全体に軽量だからだ。4速ギアボックスの1速は前輪駆動を入れないとシフト出来ないようになっているので2-3-4速のみで走るのだが、クラッチは軽くシフトに節度感がある。ブレーキは4輪共ドラム式であるが、車重に対しては十分に大型なので効きは良い。ただ停止時に少し車体に揺り戻しがあるのがインボード式だと感じさせる。いくら軽い車でも、55馬力というのは現行のジムニー以下の出力と言うことになるが、さすがに排気量は2.5倍あるのでトルクでは勝っていて扱いやすい。
しかし数字を見て本当にこのパワーで楽しいかと思われるかも知れないが、たとえば名前は同じくスポーツカーでも、重くて大馬力のスカイラインGTRと非力なマツダのロードスターとでは、楽しさの質が違う。同様に、このマイティーマイトの3倍の重量があるがエンジンの出力は4倍というCCVであれば、計算上は楽しい筈だが、そうはいかない。
リッチな50's
東西の冷戦状態が続き朝鮮動乱、そしてベトナム戦争へと地域紛争が続いた頃、アメリカは潤沢な国防予算を使って装備品の開発を行っていた。このマイティーマイトもその産物である。内容の高さとアイデアの斬新さから比較的新しいCCVかと思われるかも知れないが、1950年代初めに設計が行われ、1960年1月から63年1月にかけて3,922台が作られた。つまりM38A1やM151と同時代であり、日本ではJ3/J4の時代である。
この柔軟な発想は、大メーカーのサラリーマン設計者から生まれたのではなく、今で言うところのベンチャービジネスの提案である。ジープよりもはるかに軽量で空挺作戦に使いやすい1/4トン4×4の要求は海兵隊からあったのだが、それに対してマイティーマイトを提案した会社があった。それはMid America Research Corporation略称MARCOで、設計したのは元レーシングドライバーであったベン・グレゴリーという男であった。マルコ・マイティー・マイトと呼ばれた試作車は、後のM422とほぼ同じシャーシーであったが、エンジンは44馬力のポルシェ製空冷水平対向4気筒で、マルコ社自製の3速メインギアボックスと2速のトランスファーを持っていて、全長は96インチ(2,438mm)しかなく、重量に至っては1,486ポンドつまりたったの674kgしかなかった。そして着目すべきはフルタイム4×4式であったことだ。
余談になるが、元富士重工の設計者で自動車技術評論をされている影山夙氏によれば、MARCOはM422を日本にも持ち込んで国内メーカー数社に国産化の打診がされたのだと言う。勿論実現はしなかったのだが、その理由を考えると、防衛庁がジープの装備を進めてしまっていたことと、民間に対しては商品性が乏しいと判断されたと思う。そんな販売面だけではなく、恐らくは技術的にも無理であったかも知れない。このエンジンやパワートレインそしてアルミのボディーが作れないとなると、アメリカから輸入となる。当時の高関税ではそれも難しかったと思われるし、厳しい米軍の規格(MIL-SPEC)に適合させるのもコスト高の要因となっただろう。いくら日本の人件費が安かった時代でも、三菱ジープに対抗し得る価格でこの高品質なCCVを作ることは無理ではなかったのかというのは憶測ではあるが、当時作られていた車を思い起こせば無理な憶測でもない。
小型軽量のCCVというとジムニーとの対比が考えられるが、M422は全く異次元の発想からスタートしているCCVである。ジムニーは1940年のジープの設計から少しだけ進歩したものを、軽自動車の枠内で実現したものに過ぎない。ただわずかに共通点が見出せるのは、ジムニーの前身とされるホープ自動車のホープスターである。シャーシーについてはジープの焼き直しに過ぎないホープスターは比較にならない古さだが、ボンネットまわりの意匠という外観だけでなく、車体の作り方にM422を手本にしたようなところが見られる。
軽いが高価な例外
基本的な設計思想は、大戦中にアメリカあるいは英国で作られた軽量型ジープであるが、MB/GPWの肉を削ぎ落としたものではなく、全くゼロから考え出されたものである。あるいはジープが生まれるきっかけとなったアメリカ政府の要望した厳しい条件を、ジープ以上に具現化したものだとも言える。あの条件、特に重量について言えば、1940年当時でも技術的に不可能であったとは思えない。車体とギアボックスやアクスルのハウジングに軽合金を使用して、エンジンを軽飛行機のものでも転用すれば可能であったと思う。ところが航空機技術の転用をしたのではコストが高くついてしまうので、考えもしなかったのだと思う。よって、軽合金なんてピストンとキャブレイターくらいにしか使われていないMB/GPWが1.0トンをはるかに超えてしまったのは、仕方の無いことであった。
しかし実際の運用での要求は1940年も1950年も同じで、1/4トン車は軽いに越したことはないし、エアボーン・ヘリボーンにも耐えるという新しい要求も出てきた。そこで海兵隊がコストが高くついても性能重視ということで制式化したのがマイティーマイトであったのだ。軍用だけでなく民間用のCCVであっても、自重というのは性能を左右する大きな要素であるにも関らず、ジープタイプのCCVの歴史の中で「軽くなった」例は少ない。量産車ではマイティーマイトとジムニーでしかない(ジムニーも初代の倍の重さに近づきつつある)だろう。後は肥大化の一途で、いくら快適で大型になったとは言ってもジープで1.5倍にはなっているし、ジープの後継とされるハンビーについては、2.5倍はあるだろう。価格も目方と比例して高くなっているので、大きいとか重いのだから、あるいはそれを走らせるのに必要なエンジンの大きさからして、価格が比例して高いのは仕方が無いように感じてしまうが、それは錯覚に過ぎない。あるいは「目方でいくら」というのは素材や加工(ソフトウエアも含めて)のレベルの低い車両の場合である。普通の乗用車や貨物トラックがそうで、小さくても内容がいいから高価だという商品を作っても売れないジャンルである。残念ながら現在市販されているCCVの多くも、そんな目方・サイズ:価格が一定の係数で比例しているようなものでしかない。ごく先鋭的なスポーツカーの分野では大きく反比例しているケースが多くあるが、CCVでそんな例は少なく、マイティーマイトが最初で最後の例外かも知れない。
AMCが生産
このプロジェクトは、にアメリカン・モータース(AMC)に買い取られた。後にジープ・コーポレーションを吸収してジープの生産を行ったAMCであるが、当時はまだジープの製造権はウイリスやカイザーのものであった。AMCがカイザー財閥からジープ部門を買ったのは1970年の2月であったから、マイティーマイトは彼らがジープを生産する10年も前に作った1/4トン4×4であったのだ。AMCは、M422の生産が終わりかける頃からはフォードの設計であるM151の生産を政府との契約で行っている。
そして海兵隊への納入モデルはM422と呼ばれることとなり、その設計にあたっては多くの変更が行われた。まずエンジンは55馬力の空冷V型4気筒となった。ギアボックスは4速となりトランスファーは副減速のないセレクティブ式のものとなった。そして電装は、全て当時確立されていたMシリーズに共通の24ボルトのシールド電装となった。よってロッカーアームカバーと同じくらいの大きさのレギュレーターや、エンジンのバランスが悪くなるかと思われるような大型発電器が装備された。
結果として少し長くなり、重量も増えた。しかし、長くなったと言っても全長は107インチ(2,718mm)でしかなく、重くなったと言っても約1,700ポンド(771kg)でしかなかった。
そしてM422が配備されてしばらくすると、流石に短か過ぎたのか、ホイルベースを延長したM422A1が作られるようになった。生産数のほとんどは、このM422A1であり、オリジナルなM422は少ない上に前線に投入されて消耗した確率も高くて、珍しい。
目的ありき
M422の最大の特徴はそのサイズにあるが、それは前述のように顧客である海兵隊の要望を満たすためであった。
落下傘やグライダーを使った空挺作戦は第二次大戦中から行われていたが、主に奇襲作戦の域を出ないものであった。それが戦後となると、火砲や小型車両という装備も投下して、まとまった戦力を陸上の戦域を越えて投入する手段として研究されるようになった。その背景には輸送機の大型化もあったが、もっと局地的に運用出来るヘリコプターの発達があった。これがヘリによるエアボーンを略してヘリボーンとも言われる作戦だ。輸送能力を高めるには、ヘリコプターの能力向上と同時に搬送する装備の軽量化が求められた。個人火器の小口径化、重い火砲に替わる無反動砲や携帯出来るロケットの採用もそれに呼応したものであろうし、一寸した装備も鉄製から軽合金製へと変わっていった。これに特に熱心だったのが米海兵隊であった。
ジープもM38やM38A1も空挺作戦に使われたが、とちらもMB/GPWに比べるとはるかに重くなってしまっていた。そこで海兵隊に対して、MARCOが軽量ジープではなく新しくてジープの半分近くの重量しかないマイティーマイトを提案したのであった。
エンジン
大きいボンネットの中には、見るからに軽そうなエンジンが見える。軽合金製の空冷V型4気筒は1,770ccという排気量で、ボアとストロークが同じで圧縮比は7.5:1と低い。それを24Vの他のMシリーズとの共用をとっているであろう大きなスターターでクランクするので始動性は良い。
スターターにソレノイドは無くて、室内からノブを引っ張ることでピニオンがリングギアに噛み合う。それから更に引くと接点がつながってクランクするのだ。この時代の米軍車両では、つま先でロッドを押し込んでピニオンを前進させるタイプはあったが、このノブを引くタイプの方が使いやすい。電装は全てシールドされているのだが、スターターのソレノイドを廃して手動にしたりワイパーがバキューム利用であるのも、水分によるトラブルを嫌ってのことだろう。
ギアボックスは、エクストラローを持つ4速に単速のトランスファーというもの、でM151系に似ている。トランスファーは、ギア系列で垂直にパワーを下げたものである。リアへの出力はUジョイントの付いたプロペラシャフトだが、フロントデフへはアルミのトルクチューブに守られたシャフトでつながる。ドライブトレインは左右対照であるが、フレームに固定されるデフの位置は高いので、デフ下は9インチ(229mm)と十分に高い。
サスペンションは、前後共あまり長くないアームでハブを支えるタイプで、シトロエンの2CVファミリーと似ている。サスペンションスプリングは、リーフスプリングと言うとジープと同じに聞こえるが、1/4楕円リーフスプリングと呼ばれるもので、ハブを支えるアームに作用するものだ。つまり、違うのは形状だけではなく、最も違うのはリーフスプリングであるがホイルの位置決めを一切負担していないということだ。
ブレーキは、運転席の床下にフレームに固定されたマスターシリンダーがあり、前後のインボードドラムブレーキに油圧をかける。よって最小限のブレーキパイプはあるが、フレシキブルホースは1本しか使わないで済んでいる。このマスターシリンダーの位置は整備性に劣るが、ファイアウォールの強度を下げられるので、軽量なアルミ板で済ませられるという軽量化にもつながることだ。
独特な外観のプレスホイルは、4.5-16というサイズは他のジープと同じだが、大きな軽量穴が開いている。インボードブレーキであるし低速な車だから、冷却のための穴ではなく、軽量化のためのものだろう。M422の外観上の最大の特徴であり、どれほど軽いのかと思って手持ちのタイア/ホイルのセットと共に計量してみた。すると思ったよりも軽くはないことがわかった。
M422用ホイル+6.00-16-6PR 21.8kg
ジムニー用ホイル+6.50-16-6PR 21.5kg
三菱Jeep用ホイル+6.50-16-6PR 23.2kg
オフロード
このM422に限らず、軍用のCCVはスポーツ用のバギーとして作られたのではなく、戦場での移動手段・輸送機器として作られているのだから、極端な悪地形ではトライアル競技車なんかに対して走破性が高いわけではない。その理由は、エンジンの出力にしても寿命や整備性が優先で控え目な出力となっているし、肝心のサスペンションは積載や牽引、あるいは落下傘による空中投下を考慮した設定にされるからである。積載にしても、民間の積載量は良路でのものだが、軍用の場合はクロスカントリーが可能という条件での積載量である。
冒頭に述べたように、オンロードでの走りが楽しかったのも積載・牽引のための堅めのサスペンションの設定が、たまたまスポーツカー的なものになっていたのである。
ホイルベースは約1.9メーターの軽トラックよりも更に短いのであるが、ボンネット型でタイアサイズも大きいので不安感は少ない。それはJ53/55よりも広いトレッドを持っていることも効いている。
ドライバーの着座している位置は、ジープと同じくらいにリアアクスルに近いのだが、リアアクスルへの荷重は少なく、舗装路の路肩に砂が堆積しているような場所での発進では簡単にホイルスピンが起こる。それが砂利の上となると、クラッチ操作に気を使って発進しないと簡単にスリップする。舗装路でグリップしている時でも、発進時の姿勢変化が極めて少なくサスペンションの堅さを感じていたが、軽さだけではなく接地性の低さも大きな要因だ。迷わずフロントドライブを入れてやると、グリップすると飛び出す様にスタートダッシュする。
下の表のように極端に縦横比が小さい四輪の配置なので、小回りは効く反面、タイトコーナーブレーキング現象が起こりやすいのではと心配だった。それは起こるのだが、情けないことにタイアが細くて荷重も軽いのためにスリップで逃げてしまうので、強いブレーキはかからない。
車名 WB/トレッド 比率
M422 1,611/1,321 1.220:1
M422A1 1,803/1,321 1.365:1
ハフリンガー 1,500/1,130 1.327:1
ピンツガウアー 2,200/1,520 1.447:1
ジープJ53/55 2,030/1,305 1.556:1
排気量は大きいので、絶対的なトルクが不足しているのではない。しかし堅く動きの鈍いサスペンションなので、這うような走りをやっても無駄である。トランスファーには1.085:1のハイレンジのみで、4×4時のみにシフト出来る1速を選んでも総減速比は約30:1と低くはない。2速になると約20:1だから、実用上は1速だけで走ることとなる。それでは助走をつけて慣性で乗り切るかと言うと、軽い車体なので勢いが乗らない。フロントにリーディングアームを使っているのだが、発進時の浮き上がりは少なくバンパー下の穴開きガードは地形に当る。しかしガードが曲がるのでも泥を掘るのでもなく、軽いノーズが持ち上がる。
心配していたのがサイドパネルで、これはフロアから下にアルミパネルだけで垂れているので簡単に曲がっていまうかと思っていた。このシンプルなCCVなので、デザイン上の飾りとして垂れ下げているのでは無いと思うが、多少は泥跳ねの防止になるのだろう。しかし、位置は十分に高くホイルベースも短くトレッドも広いので、狭いところでも地形に当ることは少なかった。
試乗した車両は、デフに組み込まれているLSDがほとんど効いていないようであったが、もしも効いていたとしても、格段に走破性が高まるとは思えないサスであった。ステアリングホイルは小径なのだが、思ったよりも重くはない。しかし足を伸ばした乗車姿勢に合わせてステアリングコラムが寝ているので、クロスカントリーの場合には回し難い。
ブレーキの容量は、ドラムの大きさからするとジープ並なので、効きそのものは強いのだが、インボード式らしい感じで、効いてからサスの動きとジョイントの遊びの分だけ動揺が起こる。
これがリジッドアクスルであればとも思ったが、独立式サスにしたのは、ホイルベースからして仕方が無かったのだろう。トランスファーの出力の高さを変えないままでリジッドアクスルにすると、プロペラシャフトの角度が無理なものになってしまうからであろう。
トランスファーが直立しているので、下端は低くなってしまう。これを補強するかのように、フロントデフとトランスファーのケースは太いチューブでフランジ結合している。このお陰でフロントデフを後ろから支えるし、チューブがトランスファーに急に地形が干渉するのを避けている。この部分だけ見ると、タトラ/スタイアーのバックボーンシャーシーのようだ。
フレームはキックアップがないストレートなものだが、位置は高くなっている。サスのアームの支点やリーフスプリングのシャックルは中央部に集中しているので、フレームの強度はこの部分に集中すればよく、全長にわたって強くするよりも軽量に作れる。
独自調達
米軍で陸海空の三軍に対して海兵隊は独自の任務を課されているが、それだけに独自に装備品を調達することも許されている。最も目立つのが英国製の垂直離着陸機ハリアーの導入だろう。他の三軍とは全く異なる装備もあれば、同じものを海兵隊仕様にしたものもある。MB/GPWにも海兵隊仕様があって、細かいところでは5ガロンのジェリ缶も彼らは口がドイツ風のものを使っていた。
機能優先での調達とは言っても、兵器市場にあるものの中から選んだのであるが、このマイティーマイトだけは特注品に近いものであった。軍の呼称はUtility Truck 4×4 Lightweight 1/4-Tonとなっているし外観はジープに類するものだが、車両と言うよりはモーターサイクルに近い感じ、あるいは小銃や雑嚢のように、彼らが身につける装備のように見える。
考えてみる
このマイトを考える時に、最も興味深いのが設計思想が非常に個人臭い気がする。たしかにMB/GPWは評価されるべき名車ではあるが、戦闘の形態が劇的に変わった時代には合わないように思える。そんなジープという枠組みにはとらわれずに作られている。海兵隊が求めている性能は何なのかという分析を行うと共に、能力追求に忠実に設計されていると思う。
コストのかかったCCVではあるが、要所要所にアイデアが盛り込まれていて、設計上の熱意が強く感じられる。この設計のままでは、現在の安全基準や排気規制には対応できないが、ジュラルミンのロールケイジを付けて、エンジンはスバルの水平対向4気筒でも搭載出来ればどうだろうか。ギアボックスは、プロトタイプのようにフルタイム4×4として、サスペンションを1/4トン積載や牽引から解放してやれば、素晴らしいボブキャットになるだろう。
潤沢な国防予算を使って作られたM422は、ジープやM151よりもはるかに高い調達価格であったと言われている。4,000台弱という少なさもあるが、開発費をかけて高品質な内容のものなのだから、費用対効果が低かったわけではない。本当に高くつくのは最近の新車であって、いかに安上がりに作り、玩具のような付帯機能や安酒場的飾り付けという付加価値を付けて、少しでも高く販売することに血道を上げているとしか見えない。それはご商売としてはやむを得ない面もあるが、民間用・国防用共にCCVとしての目的の優先順位が狂っていると思う。もっとも、これについては顧客であるユーザーの多くが海兵隊のような精鋭ではなく、財布は厚いものの要求が甘いのだから仕方がないとも言えるのだが。
軍用車のような車両に優れた才能が使われない社会の方が、平和で望ましい社会かも知れない。しかし平和な社会だからと言って、物作りの人々が職人意識を無くして給与生活者として安住してしまうと、後世に残るものは作れないだろう。また軍用車については、その平和を維持するための装備の一つなのだから「治にいて乱を忘れず」でいて欲しい。
産業用や軍用のCCVに優れた設計やスタイリングを見出せた時には、古い映画「第三の男」の中の有名な台詞をウロ覚えながらに思い出す。ローマ帝国時代の圧政の時代はラファエロやミケランジェロという芸術を生んだが、スイスの何百年かの平和は何を生んだか。鳩時計だけではないか。というものだ。
A OILY Days WITH M422A1 Mighty Mite
石川雄一 2009年9月〜