作成 2002.5.26


Agfa Ambi Silette II型(その4)

マウント分解清掃手順
調子の良いI型と比較してもマウントの動きが渋い感じです。装着時はさほど違和感がありませんが、外すときにはどこかが引っかかっているようでスムースに外れないのです。
マウントの構造も気になるので分解してみました。ちなみにマウント部分から分解してもシャッターにはアクセスできません。

マウントを分解する前にフランジバック(に相当する高さ)を計測しておきます。このためにマイクロメータを購入しましたが、測定用の定盤やゲージ類が用意できなかったので計測数値は非公開とさせていただきます。
組み立て後は分解前と同じ数値であるかを確認してあります。
マウント部の化粧リングはゴム糊系の接着剤で貼り付けてあるだけのようです。ようですというのは、一旦分解された形跡があるのでこれがオリジナルであるとは言えません。

このカメラは距離計連動ピンの長さ調整がマウント側からできるようになっています。製造時の調整しやすさのためなのでしょうか?あるいは1台ごとに微妙な調整が必要なのでこのような設計になっているのでしょうか?

今回はうっかり距離計連動ピンの長さを変えてしまったので、このネジでの微調整が必要でした。
レンズマウントの動きです。これはレンズを外したところ。
マウント内部に出ている爪(レンズと擦れて傷が出ています)が、レンズのマウントの溝に入りこみます。
その状態でレンズを時計回りに約10度回すとマウント内部から金具がせり出してきてレンズ側のマウント溝に入りこんでロックされる単純な構造です。
通常ではこの状態はレンズが装着されているので見えません。

レンズの取り外しが渋いのは、せり出した金具がうまく引っ込まないので引っかかる感触が残るのです。
レンズマウント側です。
撮影角度が悪いので見えませんが、最内周のマウント部(銀色)の外にはぐるっと一条の溝が切られており、ここにカメラ側の金具がはまり込んで固定されます。
マウントを外すには3本のビス(ネジ)を外すのですが、高さ調整機構がついているので、マウント高さ調整ネジ部分を回さぬよう気を付けながら固定ビスだけを緩めて外します。
外したマウント金具の裏側です。爪の動きが3本のピンの動きになっています。
ボディ側の構造です。3つの挺型部品はマウント側の3本のピンがそれぞれ四角い穴に入り、爪(レンズ)の回転が変換されて内側に飛び出してきます。
レンズを外すときは挺型部品がもとの位置に戻るのでスムースに抜けるはずなのです。
しかし、スムースに抜けない理由は挺型部品の動きが悪いのが原因でした。
金具にはモリブデングリスらしきものが塗られていたのですが、
写真でわかるとおり基台の削り目が深く、グリスの潤滑能力が足りないようです。
また、モリブデングリス自身が劣化して動きを妨げているので
清掃して新しいグリスを注入したところレンズの着脱がスムースになりました。

ここで、もう一度距離計連動ピン周りの注意点を書いておきます。

距離計連動ピンの引っ込み量は、レンジファインダー側の無限遠調整と関係があります。
むやみに無限遠調整ネジをねじ込むと距離計連動ピンが引っ込まなくなります。
 その状態でレンズをとりつけてしまうとレンズ側のカム面に傷をつけてしまいます。
細心の注意をしてください!
正常な距離計連動ピンのストロークです。
一番引っ込んだ状態ではつめの先で出っ張り具合を観察すると、化粧板の距離計連動ピン穴からボールの先端だけ出っ張っている位です。これ以上引っ込むと無限遠側で距離計に連動しなくなりますし、出っ張っているとレンズ側に傷を作ってしまいます。
一番出っ張った状態がレンズの近距離側になりますが、出っ張り量が足りないと近距離で距離計が連動しなくなります。この調整は思ったよりもシビアでした。
距離計連動ピンまわりは調整がずれやすいのですが、ずらさぬよう注意する工夫が必要です。

距離計連動ピンの先端にはボールペンの先のようなスチールボールが埋め込まれており、レンズ側の距離計カムの摩擦や磨耗を防いでいます。
しかしボールという形状は一見良さそうですが、力が加わった場合には強烈な圧力を発生してしまいます。このため調整不良で距離計連動ピンが引っ込まなくなっているとレンズ側の距離計カム面に傷を作ってしまいます。
今回は綺麗なレンズのカム面を傷つけてしまい大ショックです。。。

ライカのボディ側距離計連動機構がコロとアームになっていることやロシア製ライカコピー機が曲面のカムで受ける構造になっている理由が理解できた気がします。

作例はもう少しお待ちください。。(2002.5.26)

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