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| 救急車が不足している。要請しても到着時間が遅れ始めている現状をどうすれば打開できるのだろうか? | |
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2005.11.14 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 1.「救急車が絶対的に足りない!」 平成17年9月17日、豊島消防署2部に加わり24時間研修をして、大きな問題を体験した。 それは、「救急車が絶対的に足りない!」ということだ。救急車不在を、ポンプ車が補うという現実(「PA連携」という)。仮眠は疎か、食事をとる時間もままならない救急隊員は年間出場件数が3,000件を超える署所では、24時間の勤務を他の疲労の大きさからポンプ隊と12時間交替で入替るシステムが導入されている。119番通報から現着までの時間が平成11年は5分24秒が、平成16年は6分18秒(東京消防庁)と、どんどん長くなる現実にどう向かい合っていけばいいのだろうか。 宿泊研修で、PA連携出場を実体験した。池袋の繁華街で酔っぱらって救急車を要請した若者たちは、到着した隊員に横柄な態度だった。丁寧に対応する隊員の後ろで、「バケツに水を汲んで、頭からぶっかければ終わりぢゃん」と呟いていた自分が居た。 酔って気も大きくなっているんだろう。要請を乞うたはずの自分たちの立場は理解する由もなく、悪びれた様子もなく明らかに年上の隊員に対する非礼な言動・・・・。お礼や感謝の態度は期待していないが、君たちが119番したからサイレン鳴らして急行してきたんぢゃないか? 現着してみりゃ、この有様である。 この間に、本当に救急車を必要とする人が現れても、同時刻で近くに救急車両はない。 救急車の要請っていったいなんなんだろうか?
2.PA連携の増加の先は? 「救急出場が限界に達している」 これは、未だ一部の人しか気付いていないのではないだろうか? 火を消す目的で装備をしているポンプ車が救急車の代わりに現場に向かうPA連携は、車両本来の役割からすればおかしな話しであろう。しかし、現状は救急車が足りないので、119番救急に対して、十数分もの間、救急車が到着できないのであれば、救急隊の訓練を受けた隊員が乗車するポンプ車が先に来た方が初期対応処置の観点からいいだろう。これは苦肉の策だが。 消防関係各署で「救急車不足」を訴求しているが、出場件数は減るどころかうなぎ登り状態が現実だ。出火報の際、PA連携でポンプ車が出場してしまい、火災現場での活動遅延に支障が生じる事態が起きても不思議ではない(24時間研修でPA出場した際は、ポンプ隊員は救急用の服をまとうが、車内に防火服も持ち込んでいる)。 3.豊島消防署管内の実情 豊島消防署管内には、豊島消防署、巣鴨出張所、目白出張所に各1台救急車が待機している。合計3台だ。 3台の過去の出場状況は、平成14年10,053件、平成15年10,536件、平成16年10,638件。 平成16年を見ると、単純に1台当たり毎日10件出場していることになる。現場へ急行して、病院へ搬送して戻ってくる。現場が狭かったりすれば搬出に時間がかかる、収容病院が見あたらなければ探す、時には距離のある病院指定をされる。実際緊急車両に同乗して気付いたのは、サイレンを鳴らしても一般車両はすぐに避けてくれない。信号が青なら歩行者は横断歩道を渡ろうとするのを何度か見た。道路は慢性的に渋滞している。1時間では到底戻ってこられない。 こんな現状が現場では365日24時間粛々と続いているのだ。 平成17年9月1日現在の豊島区民は251,980人。区内には豊島消防署の他に、池袋消防署がある。池袋消防署管内の人口を差し引くと、豊島消防署(巣鴨、目白出張所含む)管内の人口は126,357人(71,933世帯、約8,300人の外国人を含む)である。 救急車の出場は必ずしも豊島消防署管内とは限らない。他の署隊が管内に出場してくるケースもあるが、自分で調べられるデータの限界では、年間で11.8人に一人が年間で救急車を要請した事になる。これは、多くないだろうか?自分の知人12人のうち、誰かが一人救急搬送された事になる。身辺で、救急搬送された人は居るが、かなり多くの知り合いの中の一人でしかないのだ。自分の年齢層もあるだろうが、これだけ救急車が出場しているという実感はない。こう感じているのは自分だけではないだろう。だから、「救急車が足りない!」といっても危機感も実感も起きてこない。 自分の知らない、老人ホームや病院間搬送、同一人の複数要請が数字をあげているのだろうか?警視庁や、国土交通省の交通事故データでも、交通事故負傷者数は救急出場の増加ほど増加していない。これは、交通災害の救急出場ではなく、病気などが原因となる救急出場が増加していることを物語っていると言えるのではないか。救急車不足を各行政機関が研究しているが、具体性のある打開策はでていない。
4.救急車を利用できる権限の主張 話しは逸れるが、日本人の文化が「恥の文化」と称されたのはもう過去のことなんだろう。そう思いたくないが、認めざるを得ないのではないか。 自分が子供の時、悪いことをすると「みんなから笑われるよ」と諫められた。常に周囲の目を気にしている感があった。「お天道様が見ている」なんて信じていなかったが、自分の存在は周囲の存在の中にあった。 最近はどうだろうか。若者が大人を押しのけて電車に乗り込み座席に座りる。パンツが見えるほどズボンをずり下げたり、スカートも下着が見えるほどたくし上げることに抵抗がない。深夜コンビニの前で座り込んでカップラーメンをすすっている。 「他人に迷惑をかけてないんだからいいぢゃないか」と決まり文句をいう。 そのくせ自我が通用しないと暴力的になる。自分に反逆的な相手は徹底的に非難する。自分の考えを批判されれば逆恨みしてくる。努力はそっちのけで他人の成功を妬み、自己の権利は日常的に主張する。 あらためてこんな事を述べても、新鮮味も関心も得られない事は十分承知している。これが今の日本なんだから・・・・。 日本人文化は「恥の文化」から「恥知らずの文化」に様変わりしたのである。 変わったのは若者だけではない。終戦直後の老人と言われる層も、確実にこの文化に染まってきていると思う。特に都会ではその傾向が強いと感じている。 これらの人たちが、少し具合が悪くなっただけで救急車を要請するのに何の躊躇いがあるだろうか。「救急車は自分たちの税金で賄われているんだ。利用する権利がある」と考えるのは至極当然の行動だと考えねばならない。以前であれば、近所に救急車が止まればみんな出てきて「どうした、どうした」と騒ぎになったものだ。騒がれる事に恥る気持ちがあるから、やたらに呼ぶことはしなかった。 自分は、こと消防に関しては消防団という形で携わっているから偽善的な見解なのかも知れない。 不足の要因は「救急車を呼ぶ必要性もないのに安易に要請する」人が多くなったからだろう。 5.民間救急は救世主たるか
6.救急車の有料化 このまま、税金を投入し続け、救急車両及び24時間勤務する救急隊員を増強し続けるか、不必要な利用者を排除するかのどちらかしか解決方法はない。 救急車両が増強できるぐらいならPA連携なんて策を編み出す必要はない。となれば、解決策は不必要な利用者排除しかないだろう。誰もが思いつくのは、救急車の有料化だろう。救急車を有料化したらどうなるのだろうか。 第7分団のHPを開設して1年ぐらい経過た頃のこと、オーストラリア人から1通のメールが来た。 「日本の救急車は無料と聞きましたが、運営費はすべて税金で賄われているのですか?」というものだった。今から3年以上前のことだった。当時無知な自分は、堂々と「税金で賄われています」と回答した。誰しもが平等に利用できるシステムを誇らしげに思っていたのだ。 オーストラリア人(名前は忘れた)は、「救急車の利用は、年会費を払っていた人は無料で、払ってない人は有料でしたが、請求しても払わない(払えない)人が多く、運営費が足りなくなりました。そこで、新しい法律ができ、家庭の電気料金を払うときに自動的に3ヶ月に1回22ドルがとられるようになるんです。」と教えてくれた。 このことから、受益者負担は料金回収が難しいんだと実感した。この人が、オーストラリアのどこの市なのかはメールから判らなかった。22ドルはオーストラリアドルを意味すると推測すれば平成17年9月現在の為替は1オーストラリアドル=84.9円。月に約620円の負担で救急が賄えていることになる。おそらく1世帯あたりの料金なのだろうが詳細は判らない。物価も違うし議論の対象とは成り得ないだろうが、救急運営費として電気料金に加算して徴収されていることが重要なヒントだと思う。
7.救急に関するアンケート調査 横浜市消防局が平成16年9月に大がかりな「救急に関するアンケート」をとっている。 これによると、救急車の有料化に踏み込んでおり、こんな設問があった。 夜8時頃、同居しているお子さんがお腹を強く痛がりました。嘔吐もみられ、痛みも強くなってきているようです。 あなたは救急車を呼びますか?
救急車を必要としている当事者が本人か、大人か子供かによっても呼ぶ率は違ってくるが、幾つかの設問を見ても5万円以上となると躊躇うようであった。5000円以下だと安心感の得られる救急車を呼ぶ率は高くなっていた。
8.交通災害による救急要請 交通事故はどうか? 自分の少ない経験から、平成17年9月の交通災害は、道路上で倒れたまま、頭部出血だったので救急要請は躊躇なかった。平成14年6月の救護はどうだったか?尋ねるとうなずくが立ち上がれない。救急車を呼ぶ前に、もう少し話しかけて様子をみる必要があったのではないか?水を飲ませてみるとかの処置を試みるべきではなかったかと思い起こさせる。もし有料だったら、当人は「余計なお世話だ」怒るかもしれない。平成15年12月の交通災害はどうか?乗用車同士がぶつかった直後は、ドライバーも気が高ぶっていただろう。痛みを訴えなかったが、少しすると足を引きづりはじめた。本当に痛みが襲ってきたのか、相手に対するアピールなのか判らなくなってくる。むち打ち症は後遺障害にも至る。ここで救急車を呼ぶのは誰か?足を引きづり始めた本人か、居合わせた自分なのか。この時も、自分が救急車を要請(オイル漏れもあったので、併せて危険物流出通報)したが、有料化となったら即座に救急車の要請を判断できたであろうか?呼ぶかどうかを相手に確認する行動をとったのではないだろうか。 (私が立ち会った災害 http://homepage2.nifty.com/CENTURY21/t7/saigai_syutuzyou.htm) 有料化は、自ら救急車を呼ぶ事への抑制になると同時に、居合わせた目撃者が通報することへの躊躇いにもつながりかねないのではないだろうか。これは良い方向とは思えない。 9.有料化は抑止効果になるか? 適正な金額の有料化は、間違いなく抑止効果につながる。これは自信がある。自分の本業は不動産業だが、営業部署からあるマンションの自転車置き場が満杯になっていると報告があった。管理部署が片づけても一考に減る様子はない。きれいに並べた分のスペースに、別の自転車が入り込んできた。ここのマンションの駐輪場は無料であった。入居者から同意を得て月額400円の駐輪代金を1年単位で徴収することにした。支払い済み自転車には専用シールを交付して車体に貼ってもらう。毎年シールの色を変える方式にした。 これで、約3分の1の自転車がなくなったのだ。子供が中学生になっているのに、補助付き自転車が放置されていた。引っ越した人が置き去りにしていった。新しい自転車を買っても、今までの自転車を処分していなかった。中には盗難車まで放置されていた。月400円の負担を強いたことで、自転車置き場は見違えるようにきれいになった。 無造作に放置された自転車も、有料化で整然と並ぶようになった。きれいになった駐輪場を見て、入居者から有料化に対しての不満はでていない。
10.救急車利用料を誰が、いつ、いくら払うのか? 救急車の運営費を「誰が」、「いつ」、「いくら」払うのか。 「誰が」は当事者だろう。救急車を利用した人で、子供や高齢者ならその扶養者や親権者になる。 「いつ」、「いくら」は難しい。 特に「いくら」については、中段で1万円と答えたが、それは強引な回答であって、実際はもう少し細分化されるべきだろう。
東京消防庁では、「覚醒している」から「刺激しても覚醒しない」という要救助者状況を数字で表す。他の消防局でも内容は若干異なるが、救急車から搬送途中、帰署時に要救助者のレベルを報告していることだろう。これは途上の伝達であって、実際のレベルは医師が判断を下す。例えば「呼びかけると開眼する」程度の利用を1万円とし、それより軽微な利用者は段階に応じ数千円づつ割高に、逆は割安にして最終段階は無料とすれば公平性が保てるのではないだろうか? 軽微な利用者は、価格を考慮して民救を選択するだろうし、医師が同乗しない、或いは高度器材をを必要としない病院間搬送の多くも民急が請け負うことになるだろう。 「病院までの足代わり」なんて輩には、民救やタクシーより数倍高額な料金を請求する一方、緊急性を要する利用者は従来通り無料でいいと考える。要請の多い高齢者は老人医療費の助成扱いになるか否かは議論する知識を持っていないので分からない。ただ、救急車の有料化が国民健康保険料や社会保険料の増額につながるようでは実現はおぼつかないだろう。 最後は「いつ」だ。 病院到着時に代金回収は現実的ではない。東京消防庁名で請求書を発行しても、オーストラリアの例ではないが、未回収金が膨らむ。その額が数千万円、数億円ともなれば別の意味で社会問題化してくる。では、病院治療費に合算してはどうだろうか?医療機関が治療費の他に救急車利用料金を合算して徴収し、後日東京消防庁に清算する。近年病院でもクレジットカード利用が増えており、未回収が減少していると聞く。 また、損害保険に組み込む事も考えられるだろう。自動車保険やファミリー交通傷害保険に「救急車特約」をつけて、万一の事故による救急車要請時に生じた費用を保険会社に弁済してもらう。一部負担で済むなら年間数百円程度の特約保険料で賄えるのではないか。住宅総合保険に特約をつけるとか、特養ホームなどは施設保険に包括で加入できる特約を付保することでかなりの広がりを保持できると考えられるが、保険で救急車の負担を賄おうとすると、それを反故にして安易に要請するケースも考えれば現況打開とは方向性が違ってくることになる。保険による担保は原則交通災害のみに留めるべきで、他は現金やクレジットによる当事者支払が良いのだろう。 恐らく、このレポートは掘り下げが浅く、有料化に向けなんら問題提議には至らないだろう。稚拙な妄想とまではならなくとも、有料化には各方面の法規・条例が判っていないとだめだと痛感した。 残念ながら一人の消防団員としては、災害現場で救護の処置をすることはできても、救急車の出場減少につなげられる手段も術も見あたらなかった。 アンケート実施中 参考にさせて頂いた先 ・自治省消防庁 ・東京消防庁 ・東京消防庁豊島消防署 ・横浜市消防局 ・豊島区役所 ・国土交通省 ・警視庁 ・全国民間救急サービス事業者連合会 |
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