「降伏の儀式」 ラリー・ニーブン&ジェリー・パネル 創元SF文庫
原題 FOOTFALL
1985年 原著
1988年 邦語訳初版
1998年 第8版
いわゆる"異星人との遭遇もの"だ。
なんといっても、登場人物が非常に多い。読むなら一気に読まないと、途中で誰が出てきたかわからなくなること請け合いである。(笑)
まぁ、それはいいのだが、異星人たちの恒星間飛行の方法、燃料調達の仕方、など裏づけになるアイデアが非常に面白い。
そして地球への攻撃はなんと、あのダイノソールスキラー...、いや、これ以上は読書時の面白さをそぐので止めよう。(ここではSFとして描かれたミサイル制御法が、1991年の湾岸戦争では実用化されていることに驚く。)
対する地球人の急造の巨大宇宙船の駆動方法は...、武器の原理は...うーん書きたいが、ねたばらしになるので書けないのが苦しい。でも、ふと気づく。これ"ディープインパクト”じゃないかなぁ。あっちが真似したんだろうけど。
これは書いても良かろう。母艦に取り付けられた小型シャトルは、現役スペースシャトルのアトランティスと、今は亡きチャレンジャーである。なんせ急造の宇宙船なので、新たな技術開発の時間が無い。そのうえ、スペースシャトルの熱遮蔽シールドが実は重要なのだ...。
ちなみに、現実のスペースシャトルは、失われた1機を含み現在5機まである。
初代であるコロンビアは1981年製で、1994年には向井千秋さんを乗せている。1999年の飛行時には水素漏れと電気ショートを起こし、このため、1999年に予定されていた毛利衛氏搭乗の飛行が延期されたことは記憶に新しい。老朽化がささやかれ、全機の点検が行われたが、実は作業員の靴の踏みつけによる配管と配線の損傷だった。アメリカ人はこういう点大雑把だが、原因追求が徹底的であるところが、ロケット制御の不調を"配線に足でも引っ掛けたせいかも...。"なんていまだにうそぶいているどこかの国とは体質が全く違う。
さて2代目は1986年に爆発事故を起こしたチャレンジャー号である。この本が書かれた1985年にはまだこの痛ましい事故もおきていなかった。
3代目はディスカバリー。最近ハッブル望遠鏡の修理で活躍したのがこの機である。
4代目がアトランティスで、1999年の映画"アルマゲドン"ではしょっぱなで隕石があたって爆発してしまった不幸な機だが、この小説では活躍するので楽しみにしてほしい。結局、最後は微塵になるのだが...。
5代目はエンデバーで、1992年と2000年に毛利衛さんを乗せたシャトルである。
時代背景も、いまだに東西両陣営が健在な設定となっており、異星人の侵攻により崩れた統治力のため、ポーランドに紛争が起こるなど、鋭い予言的社会描写も欠かしていない。