(インターバル。
このカノンというゲームに対し、僕がリアルタイムで感想を述べ続ける、という行為の底が割れてきた。言ってしまえば、読書と言う行為のプロ
セスを確かめていくこと。将棋で言えば棋譜であり、野球で言えばスコアブックをつけていくことだ。
冒頭、自分は、このゲームに対するときは人でなしたらんとすることを決めた。が、その実このカノンというゲームが、僕の人でなしと言う防壁をぶち破
り、その奥の自分に対して痛烈な一撃を与えることを待ち望んでいる。言ってしまえば、僕は、そう、感動したがっているのだ、間違いなく。自分が「うわぁ、
おいらこういうのダメッす」と感じるものが、実は美しさと輝きを持っていて、見下していた自分という存在をして感動させしめるというドラマを求めているの
だ。
この段階ですでに僕は、相反する志向を同時に抱いていると言う意味で分裂している。しかも、ゲームの主人公・相沢祐一に仮託している自分、人でなしと言
う防壁でいらだちツッコんでいる自分、防壁の手前で人でなしになりきれず感情移入したがっている自分、それらの情動を言葉に写し取り書き連ねている自分、
と僕という存在はすでに多重化しており、思考という行為に凄まじい負荷がかかっている。
文字通りの多重人格、マルチプル・パーソナリティ。並列しているのだから、発狂と言う段階には至ってはいないが、さすがに少し恐くなる。もしも、カノンが
評判通りに感動しうる話であった場合、構造化されていた多重存在としての自分は凄まじい混乱を来すことが予想される。その時は本気で危険かも知れん。マジ
であっちの世界にイッてしまうんじゃないかしらん。おいらの魂萌えつきる、なんてシャレにもならん……。
と、ここまで書いてきて、正直この行為がつまんなくなっていた自分の中に、ふたたび「やってやる」という意思が湧き上がってきた。ごくごく自然に。うん、
自分の思いや考えていることを「書き記す」、というのは不思議なものだ。なんか、やる気の無さが形となって、自分から離れていったような感じがする。おま
じないで、「いたいのいたいの、とんでいけー」っていうのがあったが、本当にそんな感じ。
うん、やる気が出てきた。傍からみれば、この壮大な徒労、無意味な行為をもう少し続けてみよう。自分の変化を自分自身で確かめられるなんて、そうそうある
事ではないから。けどテンションもたないから、少し感想を書き起こすペースを落としてみることにしよう。それにこのままじゃ、ゲームが全然進められな
い)
ゲーム起動。人でなし防壁を展開。タイトル画面の音楽に、思わず聞き惚れる。
参ったな。
こんなに早く人でなしをやめるつもりはなかったんだけど。
冬の町並みを背景に、まっすぐに伸びる木立。何を意味するのか、思わず勘繰り。そうこうするうちCD−DA音源の悲しさでBGMが終わって、2周目が始ま
る。
かすかな興醒め、その感じを強く自分の中に引き込んで、固定。何とか防壁をたてることに成功。
おもむろにゲームの続きをスタート。
秋子さんと買い物。さすが雪国育ち。主人公が寒がっているこの天気に顔色ひとつ変えない。商店街の風景。
来るなよ食い逃げ、とおもわず念じる。
が、その祈りはあっけなく無視された。月宮登場。何が「あ、祐一君っ」だ。てめえに下の名前で呼ばれる筋合いはない、この食い逃げ女め。と思っていたら無
意味に転倒。だから無理してキャラ立てるなっての。
「祐一君ボクのこと嫌い?」「全然そんなことはないぞ」少なくともプレイヤーはあんまり好きじゃないぞ。
主人公の姿が見えてきたから嬉しくて走ってきた、とのこと。一瞬おれの人でなし防壁が突破され、「かわいいじゃねーか」などと思う自分を散らす。ふう、あ
ぶないあぶない。秋子さんと主人公との関係を話すと、月宮は「やぬしって何?」と真顔で問い返してきた。一瞬プレイヤーの動きが止まり、防壁突破の印象が
きれいさっぱり拭い去られる。
秋子さんと月宮との対話。月宮について、秋子さんが何か気になった様子だが、本人はそれを打ち消す。やっぱり月宮と主人公とはいわくがあるのか。
その後、主人公と月宮とのまともな会話。引っ越しの荷物整理を手伝おうか、という申し出に対して二択。「手伝ってもらう」「遠慮しておく」逡巡。「遠慮し
ておく」ことに。これは月宮が嫌いだから、とかいうのではなくて自分の仕事だから、というごくごく素直な礼儀。その後の対応は、まあ確かにあどけないとい
えばあどけない。
月宮め、人でなし防壁を今度はちゃんと突破したかも。ふっ、やるじゃねえか。
帰宅後、引っ越しの荷物整理を終えて、風呂へ。と、だんご頭と激突。ぬぬ、突進系必殺技か、レバー+大パンチか。勝負か、よし来い、と思ったら激突は単な
る事故か。けっ、つまんねーの。
「祐一が悪いのよ、家の中で突っ立ってたりするから。言うことがムチャクチャね、祐一は」の台詞に硬直。一体、このゲームに登場するキャラクターというの
は一般常識をわきまえているのか。
その後、だんご頭の要請で家族(つっても単にこの家にいるだけのヤツらだが)全員が集結。
だんご頭の名前は沢渡真琴。呼称は沢渡に固定。下の名前でなぞ呼んでやらん。名雪の場合は、名字が思い出せなかったがために下の名前で呼んでいるだけだ。
まあ不都合も感じないし、「水瀬」だと家主の秋子さんをも呼び捨てにすることになる。名雪の場合は下の名前呼びで差し支えあるまい。
自分の名前を好き、と断言する沢渡。負けを認める主人公。プレイヤーもまあ、認めてやらんでもない。どこぞのカミーユ・ビダンとは大違いだ。
深夜、沢渡からの襲撃。コンニャクの逆襲。「騒いでカウンター」「あえて受ける」の二択が出たが、あえて食らってやることにしよう。この微笑ましい意地悪
が懐かしく感じられる時が来るのだろうか。ま、その時はその時だ。
1月11日。
待ち続ける夢のイメージ。自分が待っているのは、「戦う相手なのだ 」と意図的に誤解する。最近「子連れ狼」を読んだせいかもしれん。
新たな日常に慣れてきた主人公。プレイヤーのおれも慣れてきたのかもしれない。登場人物の大ボケぶりも以前ほど癇に障らなくなってきた。
防壁を強化しようか? いや、めんどくせーからいいや。
玄関で靴を相手に格闘する名雪を評して主人公「犬だな」。まったくその通り。が、この台詞が脳裏で碇ゲンドウ声で語られたのは問題があるな。
この状況で、靴をはけねー犬の名雪がよろけた揚げ句主人公に抱きつくという展開を一瞬予測し、少し防壁の強化を意識したのだが、その危惧は杞憂に終わっ
た。安心。が、狙ったように用事を思い出し、登校ダッシュにつこうとしない名雪にムカつき、脳裏でケリをたたき込む。
登校風景に際し、太陽にほえろのOPを口ずさむ。が、まったく別なBGMが鳴りくさっているもんだから必然あちこち音程がずれる。くやしいがあきらめる。
近道探索するか否かで二択。危険なのでわき道は止めることを即断。
校門到着。美坂姉と会話。名雪「もしかしてふたりであたしの悪口言ってる?」心中で力強くうなずくプレイヤー。
平和な授業風景。さしたる感慨も持たないで流し、ゲームをすすめる。
昼休み。いつも同じAランチを頼むという名雪に「栄養が偏るぞ」と心中でツッコミ。昼食後、美坂姉は部室に寄り道するという。名雪は美坂姉を待つ、といっ
たところで二択「待つ」「先に教室へ」。迷わず待ちを選択。おれも甘くなったもんだ。
本日の授業終了。主人公は商店街に寄り道し、CD屋の探索に。また月宮登場すんのかな、ひとり転倒は勘弁してやるが、また食い逃げだったらただではおか
ん。
そこに月宮、ダイビング気味に後方からスリーパーホールドをかけて来る。(<脚色 ひょっとしたら粉飾表現)登場が「普通」と言い張る月宮に、おれは同意
できん。「うぐぅ」を真似する主人公。きっと小馬鹿にした目で月宮を見て、明らかに嘲笑した感じのわずかに高いトーンの声で「うぐぅ」と言ったに違いな
い。
「いじわるぅ」と言う月宮。
ふん、今ごろ気づいたか、それ以上におれは人であることをやめているんだぜ? 防壁を再確認。
二択「謝罪」「敗北を認める」。逡巡。負けを認めるような先方の得点もこちらの失点もない。謝罪するいわれはあるが、こいつに頭下げるのはなんかイヤだ。
しゃーない、心のこもっていない謝罪をすることにしよう。
機嫌を直す月宮。
「ボク、祐一君と話をするだけで嬉しいから」と屈託なく笑う。意図的におれは引く。
防壁展開「今のおれは、お前の知っているおれじゃないぞ、多分。7年という月日は、伊達じゃない。本当に、伊達じゃないんだからな」。
が、展開は少し遅かったかも知れん。
「大切なものを落とした」と困惑する月宮。
過去にとらわれるな。思い出なんざこれからいくらでも作ればいいんだ。
ったく、どうしていちいち昔にこだわるのかね。
いいか、お前はまだ若いんだ。過去を振り返るな。今と未来を考えろ。ついでに食い逃げはもうやるな。さらに言うなら、必要以上におれにこだわるのもやめ
ろ。
二択「探索に協力」「応援してやる」。迷わず協力を選択するが、探索の協力に際して心の交流のイベントがあった時のために、防壁を強化(知るか知るか知る
か、てめえのことなんざ)。
「じんかいせんじゅつ」の提案に、自然に引く自分。ふん、用心するまでもなかったか。
月宮の失くしものは今日じゃないことが判明。
こだわるなって。「なくしたものは大切なものなんだ」ということに酔うんじゃない。
ともあれ探索開始。「スコップとか用意しなくていいかな」ほざく月宮に、脳裏でチョッピングライト。その後の会話の展開にチェインコンボをたたき込む。お
とといだったら龍虎乱舞が入っていたところだ。が、おまけでラウンドハウスキック。チャランボは勘弁してやる。次にボケたらバップソーカウだ。
探索は、なんか体よく引きずり回されてるだけじゃねーかと感じるが、防壁越しに付き合ってやっている自分を確認。よしよし。この調子だ。
月宮が声をあげ、クレープ屋のメニュー増加を確認。予定通りに、脳裏で間合いを詰めて打ちおろしのヒジとヒザ蹴りをぶちこむ。
今日の探索は終了した。月宮いわく「探し物はきっと見つかる。何であるかが思い出せたんだもの」。
その正体、主人公を好きだったという気持ち、とかって言うんじゃねーだろうなあ。泣きの伏線を感知して、二重三重に防壁シャッターがおれの中に下りる。く
そが。泣かねーぞおれは、馬鹿野郎。
帰宅。自室にもどりざま沢渡が登場する。脳裏で無敵対空技をスタンバイ。が、バトルが開始されることもなく、沢渡コミックスを抱えて自分の部屋に帰還。プ
レイヤーは思わず自分の本棚を確認。文庫判子連れ狼に小池田マヤ、丹沢恵、未読の京極夏彦・・・・・・っとこれはマンガじゃなかったか。あとカムイ伝なん
てのも蔵書にあったな。ずいぶんと渋い趣味してるな、沢渡。目を輝かせて読みたまえ。うんうん。
しばらくして沢渡再び登場し、主人公の手にあるものに目を向ける。きっとそれは「戦闘妖精・雪風」の続編、「グッドラック」に違いない。さあ、どう出る、
沢渡。「白くて柔らかそう」へ? グッドラックはまだハードカバーだ、違うのか。ブツの招待は肉まんだったようだ。
沢渡と会話。こいつ、未開地からやってきたのか、と本気で疑念。商店街に駆け出す沢渡だが、止めた方がいいんじゃないかと思う。
二択「惚けて過ごす」「沢渡の部屋に侵入」。ホントなら沢渡の所在を確認したいところだ。商店街で実は食い逃げしてました、なんつったらシャレにもなら
ん。女の子の部屋に押し入るのは気が引けたが、それで向こうがかんしゃく起こすようだったらこっちのものだ。ストリートファイトが始まるぜ、へへへへへへ
へへへ。
というわけで沢渡の部屋へ。ふう、無事だった、と思ったが「室内にあるもの、ちゃんと買ってきたものなんだろうな」と不安になる。なにせ食い逃げが登場す
るゲームだ。実は全て万引きゲットで入手したもんじゃねーだろうな、と思う。さらに言うなら、持ってた財布だってネコババゲットという公算が高い。
ほんの少し、恐怖を感じる。
おれの知っている常識が通用しない世界観。「いいのかこんなんで」という危機感が首をもたげる。沢渡の室内はコミック本やら雑誌とかが山積。部屋を辞した
後、おれの中にこのゲームの世界観に対する違和感が広がる。「いいのか、こんなんで」。
名雪登場。貸してあったノートを返せ、とのこと。しかし学校に起きっぱなしらしい。するとここでは深夜の学校に忍び入り、ノート奪取という展開なのか。
カノンの画面で、満月をバックに剣振りかぶってるねーちゃんの絵があったことを思い出す。その時、「カノンってどういうゲームなんだよ」と思ったことも。
オープニングのビジュアルで、その剣持ちのねーちゃんが「わたしの役目は魔物を討つこと云々」と言ってたっけ。
ほほう?
自分が色めき立つのが分かる。
そーかそーか、魔物を討つのが役目か。おめー実は自動的なんだろ。うふふふふ、楽しみだ。出会うのが楽しみだ。出会ったら、問答無用でそいつの事をブギー
と呼んでやろう、決定。何だかブギーポップのファンに殺されそうな思いつきだが、思いついたものは仕方がない。やーい、ブギーだブギーだ。どんどんぱふぱ
ふー。
と、ここまでやったところでさすがに疲れたので休憩。
(インターバル。小腹がすいたのでコンビニに行って食い物を調達。その時、レジ脇に肉まんのガラスケースがあり、おもわずさっきの沢渡のイベントを思い出
す。そういや、カノンやった友達がタイヤキとか肉まんとかに無意味に過敏に反応してたな。何かムカついた。当分肉まんとタイヤキは食えん。)
二択発生「汝は我に学校に行きノートを持ち帰れとのたまうか」「汝は我に風呂に入りて湯冷めせぬ前に寝よとのたまうか」。まよわず前者。さすがに申し訳な
さそうになる名雪。
気にすることはない。
おれは望んで深夜の学校へ挑む。
ヤツがいる。剣持つブギーが待っている。
冬の夜道、震えながら学校に向かう主人公。反面プレイヤーはこのゲームで初めて特定の女の子に会いたいと願っている。何せブギーだからな。万一ここで、ブ
ギーに殺されてゲームオーバーになったとしてもおれには全く悔いはない。
その時はすまんなあ、沢渡。おまえの恨みと憎しみは晴らせないよ。
その時はすまんなあ、月宮。お前の探し物には二度と付き合えそうにないよ。
その時にはすまんなあ、名雪。まあまめに予習復習してるんだったら、授業が分からなくなるなんてこともそうそうはないさ。
名雪がねぼすけなのはきちんと勉強しているからなのか、と思うとなんとなく見直したくなった。
ともあれ、校舎に侵入。教室に到着、ノートをゲット。
BGMが鳴り、来た、ブギー(仮名)だ。
抜き身を持ってヤバさ全開。カメラ目線でめんちを切ってる。
っしゃあ、待っていた、おれはお前に会うのを待っていた。
さあ、どう出る?
主人公が話しかけ始める。「話がしてみたかった」そうだ。おおぅ、シンクロしてるぜ、いける(<何がだ)。と思っていたらいきなりアクションシーン。おれ
の心がわき立つ、来い、来い、来い! 見えないものとドンパチしているブギー(仮名)。
校舎から生還してから、非日常のイベントを反芻する主人公。
そうか。おれにとっちゃたった今、この時がカノンのスタートなのかも知れない。また会えればいいな、と思った。
主人公「胸を高鳴らせている自分がそこにいた」。そうとも。それでこそだ。それでこそ、このおれの存在を仮託する、虚構世界の依代としてふさわしい。
深夜、何者かの気配。沢渡の笑い声とともに何かが部屋の中に置かれる。立ちこめる煙。
野郎め、バルサンでも炊きやがったか。二択「反撃」「放置」。当然反撃だ!
嬉しいことだ、全く嬉しいことだ。アクション系のイベントに続けて出会えるとは。バルサンを沢渡の部屋に放りこむと、野郎は部屋の中で暴れ回っている様
子。
よし、勝った、おれの勝ちだ! うふふ、1月11日、この日のおれは絶好調だぜ!
その後、秋子さんと主人公とで沢渡尋問モード。カツ丼と電気スタンドとそれとない故郷の話を準備するのだ、主人公よ。
その後、夢の回想シーン。月宮とのファーストコンタクト、じゃない最初の出会いの場面の続き。タイヤキへの異常な執着の一端が判明。露骨にノスタルジック
なBGM。
何か悔しいので防壁を展開(食い逃げはいかんぞ。金を払って食え)。
防壁を突破、侵入して来る月宮との記憶。得体の知れない悔しさが跳ね上がり、脳裏で侵入してきた「もの」を殴りつけて追い出す。「An
intruder has penetrated our force-field」。
防壁の外に撃退することに成功。しかし、まずかった。油断していたらすかさず足元をすくわれる。
1月12日、開始。
夢。誰かが泣いているらしい、泣き顔が思い出せないとかなんとか。
起床し、夕べのこちらの反撃に懲りていない沢渡との会話。それでいい。それでいいんだ。おれは逃げも隠れもせん。防壁を展開するだけだ。
食卓に、カエルのぬいぐるみを持って来る名雪。もはや驚かん。こいつはこういうヤツなのだ。
朝食後、「ここからが勝負」と主人公。おれも太陽にほえろのOPを鳴らす(<いいかげんしつこいな。もうやめようかしらん)。パジャマ姿でぐずってる名雪
に対しておれは変身コールを送る。あいかわらずボケている名雪に脳裏でラウンドハウスキック。
ダッシュの登校途中で二択。「寝るな」「学校に泊まれ」迷わず前者。
カエルのぬいぐるみは、主人公なら枕にするそうだが、おれならプロレスの技の練習台だ。とりあえずパイルドライバーの練習台になることは決定。
一時限目は体育、しかもマラソン。消耗する主人公。負けるな主人公。苦しい時こそニヤリと笑え。漢になれるぞ。
昼休み、定食買って教室に持ち帰るという提案を名雪は蹴る。なるほど、そういうものか。うちの母校では当たり前だったのだが。ま、男子校だったしな、しか
も県下で一番ファンキーだったとかいう評判の。いや、アナーキーだったかな? まあいいや。とりあえず教室に戻るその途中で、お、ブギー(仮名)だブギー
(仮名)だ。今日はいい日だ。
二択「魔物とは?」「夕べ会ったよな」。思わず後者を選びたくなるが、なれなれし過ぎるのはおれの美意識に反するので前者をチョイス。なんか会話が成立し
ない。そこに新キャラ登場。新キャラはブギーのことを舞と呼ぶ。
なるほど、彼女の名前はブギー舞か。ダサダサな女子プロレスラーの名前みたいで何か嫌。と思っていたら何か一緒に飯を食う、という状況になだれ込む気配。
二択「一緒に昼食」「これ以上関らない」。逡巡。
ずん、とプレッシャーが腹に来る。
本来なら、友達相手の約束を違えるようなことはおれはしない。
しかし、ここでブギー舞とのつながりが消えてしまうのはとても惜しい。
妄想。「いまやぼくは、あなたの敵だ」とかほざく主人公が、ブギー舞にぶった切られてこときれる。くっ、ロマンだ。生きがいとは死にがいなり。
すまん、名雪、美坂姉、北川。おれはおれの命を絶つかもしれない相手との2度目の対決(<絶対考え過ぎ)の方を選ぶ。蔑んでくれ、あざ笑い、なじってく
れ。イベントと選択肢が許すのなら、好きなものをおごってやる。
昼食会場は屋上前踊り場。何か秘密基地、という風情があり、ちょっとだけ胸が高鳴る。舞の相棒の名前は佐祐理という。名字を教えろ、名字を、と思っていた
ら倉田というのが名字だった。こいつの呼称は倉田先輩、で固定。
ここでのフルネームが川澄舞であることが判明した。ブギーと付けるのもアレなので、呼称は川澄としよう。固定しきれない所に自分で不安を感じる。防壁のこ
ちら側に川澄はいる。でもやっぱりボケっぽいから結構あっさり防壁の向こう側に追いやれるかも。ま、このキャラについちゃどうなったって構わん。
主人公は下の名前で呼ぶようだ。川澄は無口だ。さすが自動的なキャラクター、一味違うぜ。何か悪だくみを思いつく主人公。二択「試す」「行儀よく食べ
る」。少し迷ったが試すことにする。何を思いついたかは知らんが、よしんばこれで川澄との絆が断ち切れたとしても、それはそれで仕方がない。
悪だくみとは、川澄の有効射程距離より、展開している弁当を隔離、主人公の周囲に再配置することだった。川澄は「タコさんウィンナー」を要請。ポイント高
しと感じる主人公に、プレイヤーも同感。
教室に戻ると名雪にうそつき呼ばわり。返す言葉なし。
放課後、どうするかの二択「商店街に」「まっすぐ帰る」。商店街を選ぼうと思ってから、商店街に行くと月宮がいることが予想された。
が、だからといって無視して帰るのもためらわれる。
おいおい、本当に甘くなったな、おれは。さっき、川澄相手に防壁かなり解いちまったからなあ、それのせいもあるのかな? ま、いい。即座に飛び出した自分
の答えに従おう。かわりに月宮と出会ったら、イベントはできるだけおれの中では流すことにしよう。あいつに防壁突破されるのは、なんか悔しいのだ。と思っ
たら沢渡と遭遇。
先程抱いた違和感が甦る。心理的なスタンスが、思わず構えを作ってしまう。「こいつはいったい何者だ、いや、いったい何なんだ」。沢渡はお使いを頼まれて
商店街に行く途中だという。二択「エロ本頼む」「タバコも頼む」。大人とエロ本というのは個人的には密接な関りがあると感じる。しかし、その関係性に挑戦
するのは男の義務だ。じゃあタバコを買わせるのか、というのも何かしっくり来ないが、ゲームの進行上止むを得ず、タバコを頼む。ゲームの作り手としては、
エロ本を狙っているのだろうけど、選択するのはゲームをプレイしているこのおれだ。
主人公、商店街へ。背後から声。主人公は体をかわし、突進技を使っていたであろう月宮を自爆させる。話題が先日の探し物に。だからこだわるなよってば。
二択「探す」「見送る」。このまま見送れば、こいつとの根底的なレベルでのつながりは絶たれるだろうという予感がした。じゃあ、一緒に探してやるのか?
逡巡。本気で迷う。
彼女の探し物が、かつての主人公との絆である、というのは、何だか自意識過剰という気もする。
7年だ。
7年という時間は、主人公のみならず月宮の上にも流れている。
なくしたものが、おれであるとは限らない。おれでない公算のほうが、高い。
何だか、何かに言い訳をしているような自分を意識しつつ、探索を手伝うことに。月宮のくそが、そんなあどけねー顔でこっちを見るんじゃねえ。「いまやぼく
は、あなたの敵だ」いや、これは言う相手が違う。やばいな、今度こそ防壁突破されちまったか? 主人公「あゆの笑顔を見ていると、おれは苦笑するしかな
かった」同感だな、ははは、ちくしょーめ。
が、日も暮れて月宮が腕にしがみついた辺りでわずかに歯噛み。間合いを詰めるな。調子に乗るんじゃない、この野郎。「どっから見ても子供にみえるぞ」とい
う主人公の月宮への台詞に、「それはこのゲームの登場人物全員に言えるって」と今さらのようにツッコミを入れた。「祐一君、いじわるだもん」いいかげん気
付け、月宮。おれは人でなしだ。
3日めはここで切り上げ。うむ、やばいな、かなり。全然ゲームが進んでいないし、それから・・・・・・いや、何でもない。
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