第五夜 2000年1月20日
(インターバル
変容。昼間、仕事で詰まっていたら思わず「うぐぅ」を連発していた。また。仕事で少しボケていたら、気がついたら手に持っていたペンで「うぐぅ」と落書き
をしていた。
美少女ゲームに挑む者。ダメすぎるやつと人の言う。うーむ、自分でも自分のことを正直あんまりまっとうなヤツだとは思ってはいなかったが、ここまでダメに
なれるとは思っていなかったな。
しかし、考えようでは自分はこれからもまだまだ変化できる、方向を誤らなければ成長できるということか。おおう、そういうのは悪くない。毎日が成長点。ふ
ふふ、いつだったか範馬勇二郎のイメージが湧き出てきたことがあったが、それはこのことの暗示だったのか<考え過ぎ。)
再開。昼休みは川澄と合流してメシを貪るのが日課になっている。
主人公、川澄に横断旗を手渡す。うむ、相手が嫌な顔するものを狙って手渡すというおれのような趣味を持っている。やはり川澄に関しては主人公とおれとの同
調率は高い。
主人公、川澄にアホなことを吹き込み、川澄はそれを実行。ヘンな形で川澄の人の良さが外に出る。いま思わず川澄のことを「舞」と書いてしまった。あわてて
修正したが、結構簡単に防壁が決壊する。うーむ。軟弱だなおれも。
名雪登場。主人公、「少女をして少女らしく見せんとする術を汝知らん哉」(<脚色)と名雪に問う。名雪が「かの者はあはれなるか」(<脚色)といらねー追
及をしてきて、二択「正直にこたえる」「ごまかす」。川澄がかわいいかどうかということになると少し答えづらいが、ごまかすいわれはどこにもない。よって
前者。と思ったら主人公名雪に目つぶしをぶちこみ、茶を濁す。でも当たってはいないとか。何だつまらん。
名雪、何か含むところのありそうな笑い。こいつが腹に一物持つとは珍しい。名雪、廊下の掲示板を指し示す。学園舞踏会開催の掲示。舞踏会会場に魔物が登場
して武闘会になるという展開か。
舞踏。舞を踏む。かなりシュールなイメージ。神への生贄として横たわる川澄の上を学生たちが通り過ぎる。川澄は無表情。これはこれである種の退廃的な美し
さがあるように思ったが、いくらなんでもえげつなさ過ぎるので打ち消す。ダンテの地獄巡りじゃないんだから。
主人公、舞踏会の掲示用紙をひっぺがし、川澄と合流。言いくるめて参加の言質を取りつけようとするが、ドレスなんざ誰も持ってはいない。太陽にほえろの聞
き込みBGMが脳裏に鳴る。演劇部に行って調達するというのはどうだろう、などとおれは思いつくが、さて主人公はどうする?
思いつかないまま、夜。例によって学校へ。ケーキ買って一緒に食う。川澄、モンブランを喉に詰まらし飲み物を所望するが、紅茶の授受が失敗、廊下に缶紅
茶がむなしく転がる。
敵来たる。しゃっくりしながら川澄臨戦態勢。さすが自動的。
とりあえず今日のドンパチが一段落ついたところで二択「自分、邪魔っすか」「頑張れ」。抵抗なく前者。たんなるギャラリーのくせに無責任に応援したりケチ
つけたりできるほどおれは恥知らずではない。川澄肯定。くそ、予想通りとはいえ何だかなぁ。とはいえ「嫌ではない」との回答。やべえ、今のはかなり防壁を
突破されたぜコンチクショー(<死語)。素直に喜ぶ主人公。何て素直で分かりやすいヤツだ。
帰宅。主人公就寝。沢渡が家から姿を消していることを思い出すプレイヤー。
1月19日スタート。
主人公、とうとう名雪を見捨てて登校する。
川澄と倉田先輩に合流。倉田先輩と主人公は密約を交わす。1時限目終了の休み時間にコンタクトを取ることに。主人公が、自分の髪とリボンをいじくっている
川澄の頭をわやくちゃにする。それはなれなれし過ぎるぞ主人公。
授業開始、終了。
倉田先輩と合流すべく動きだしたところに、倉田先輩のでっけー呼び声。プレイヤーは思わず「おれはここだぁ」と脳裏で叫び返す。恥ずかしいと思う前にもっ
と恥ずかしいことを自分でやって開き直る、このメソッドは他人は真似をしない方がいい。TPOを誤ると間違いなく友達をなくす。
クラスのヤツらが主人公を追及。「ヤツは何者だ」違うな、かなり。自分が何をしたか分かっていない倉田先輩。このゲームはボケキャラが多過ぎる。敬称であ
る「先輩」を抜きにして呼んでやろうかと一瞬思いつく。
舞踏会のドレスが何とかなりそう、とのこと。一瞬おれが着るんじゃねーだろーな、と邪推。まあそんなことはあるまいが。何だか話が、舞踏会に川澄のみなら
ずプレイヤーや倉田先輩も参加する、という形になりそう。会場に魔物が出てきて川澄がそいつと戦い、取り逃がしたりしたら会場の悪ノリしたヤツが「頼む
(<じゃないって)、変身してくれェ」と叫び、さらに悪ノリした舞踏会参加者が手拍子足踏みで盛大な変身コールを・・・・・・かなり違うな。川澄が「オレ
の変身、よっくみやがれ」などと叫ぶイメージが出てきたところでこの妄想を断ち切る。
「共に思い出を作るべし」(<脚色)と言う倉田先輩。おれが高校生だった頃は、思い出作る作らないなんてこと一切考えずに、結構バカなことやってたりして
いたものだが。「いま」という時から、「思い出」を意識する。一般的な学生って、そういうものなのかしらん。
倉田先輩「われも汝を好み、また川澄も汝のことを好むなれば」というメッセージに、プレイヤーの動きが一瞬止まる。何で動きが止まったのかはこわくて深く
追及できない。
くそう、結構不意打ちっぽかった。
突然ストレートが来やがる。だからボケキャラというのは嫌いだ。
のうのうとして正論をぶちかまし、何をやったかわかりませんなんてツラをしながら、狼狽えている側をせせら笑うものなのだ。ちくしょ。くそったれ。「好
き」という言葉を連発で放つ倉田先輩。連続技系の通常必殺技をたたき込まれた感じだ。古い話だが、キンターズのラルフのバルカンパンチを思い出した。倉田
先輩と川澄との関係に思いをめぐらす主人公、やがて自分に対して「アホかおれは」と突っ込む。まったくその通りだとおれも思う。いまし方、倉田先輩のこと
を「さゆ」とまで書きかけてあわてて修正した。防壁強度がきわめて脆弱になっているのを自覚。そのことを危険と感じていないことが一番やばい。張り巡らさ
れる泣きの伏線。巧妙に崩される感動情動防壁(<崩される方が悪い)。
舞踏会の準備で本日は半日授業。準備に駆り出されるのは主に1年生とのこと。どの学校でも、伝統というのは厄介だ。時によっては楽しくて楽しくてならない
こともあるけれど。
昼、屋上踊り場へ。川澄と倉田先輩がいる。川澄箸持って弁当の展開を待つ。川澄は一人じゃ生活が出来まい、などとついついいらぬ斟酌。
家路につく。主人公、明朝の準備に追われる一年生らに思いをはせる。プレイヤーはがんばっている一年生らに思わず素直に感謝。裏方さんというのはどんなイ
ベントであれ大変なのだ。
夜、学校へ。最早日課。選択肢すら表示されない。川澄と合流し、納豆ご飯スタンバイ。
敵来たる。納豆メシを食おうとしてたために、剣が弾き飛ばされる。主人公ができること、二択「剣の入手」「逃亡With納豆メシ」。ここは迷わず前者だ。
そうじゃなければ男じゃねえ。
剣入手、敵の波動拳をくらって主人公転がり、それでも立って剣構える。川澄こちらにダッシュ、指先を天に向けて。二択「剣を投げる」「天井を見る」。絵的
に燃えるのはどう考えても前者。選択。
天井に刺さった剣を川澄引き抜き、敵に向かって飛び込みの中斬りからチェーンコンボ。最後の大攻撃はスカッたらしい。タイミングが悪かったか。主人公「今
のコンビネーションは良し」と言う。プレイヤーは一瞬技の組み合わせの事を思いつく。多分違うのだろう。つーか絶対違う。
川澄の頭が光っている。マジで変身するのかと思ったら納豆メシをかぶったらしい。文章書いてていい加減「川澄」という呼称が面倒くさくなって来る。だから
といって呼称を「舞」にスイッチすると、何か一線を越えてしまいそうな気がするので、この不便さに耐える。もともとお世辞にも自然体のゲームプレイなんぞ
心がけていなかったのだ。初志貫徹、がどこまで出来るかどうか不安だ。
主人公、川澄の肩口に顔を寄せる。こびりついた納豆メシのカスをなめとるのか、と本気で思う。どうやら違った。発想が不健全。いかん。いくらなんでもこれ
はいかんな。川澄の匂いを嗅ぐ主人公。ちょっとフェティッシュ。プレイヤー危機感。フェチっぽいのはどうも苦手だ。つーかおれが過敏過ぎるのかね。
帰宅、入浴、就寝。
1月20日スタート。
舞踏会に備えておめかしする主人公。横浜銀蠅の「ツッパリハイスクールロックンロール」を思い出す。古過ぎるな、おれも。でもほとんど歌詞が思い出せな
い。脳裏での歌詞の検索作業を早々に切り上げる。
登校し、川澄と倉田先輩とのペアに合流。主人公、川澄の後ろ髪に顔寄せて匂い嗅ぐ。だからフェチるのはおやめなさい。やめんか主人公。倉田先輩「川澄と主
人公、あたかも恋人同士なるが如し」(<脚色)。ムカついた川澄がチョップを倉田先輩にたたき込む。グラップラー刃牙の対マウント斗場戦を思い出す。しつ
こいねおれも。つーか、いい加減ツッコみをいれつつボケるネタというのがワンパターン化しているのに気がついてちょっと危惧。知ってるネタの絶対量が少な
い。精進せねば。
昼休み、1階学食でパン買った主人公は逆に屋上前踊り場に向かってダッシュ。コナミのシューティング「A−JAX」の3Dステージクリアの瞬間を思い出
す。ずっちゃっずっちゃっずっちゃらっちゃらんららららちゃらんちゃんちゃーん(ひーん<SE)。学食というのを変換しようとしたら、最初に「学殖」と出
やがった。何を殖やすんだ、何を。
主人公、倉田先輩、川澄らと合流。不毛なオヤジギャグに興じる主人公と倉田先輩、それを見つめる川澄。今度は倉田先輩というのを「桜先輩」と入力しちまっ
た。桜って誰だよ。
話題は今夜の舞踏会のことに。倉田先輩が川澄に各種質問をする。イエス・ノーで回答できる質問であるのが救いだ。主人公、弁当箱を川澄の前で揺らすことで
首肯を演出。はしゃぐ倉田先輩。つーかバレバレじゃねーか普通。でもこのゲームっておれの常識通用しねーからなぁ。
倉田先輩「川澄は主人公を好むか」。成りゆきで首肯を演出。今度は防壁は突破されない。
その後、川澄が主人公の方を見て「嫌いじゃない」とのたまう。ありがたい、そいつはどうも、と素直に思う。
ダメージこそないが実は防壁突破されたか。まあしゃーない。別れ際、倉田先輩が「放課後は迎えに来る」と提案。二択「頼む」「断る」。即座に後者を選ぼう
として、「前者にした方がいいのかなぁ」などとシナリオ攻略に思いをめぐらし、スケベになっている自分を自覚。そんな自分が何か許せないのでやっぱりお迎
えは断ることに。
放課後、光の速さで倉田先輩並びに川澄らと合流しようとして、北川に呼び止められ、掃除当番の任務を課される。くそ、やべぇ。そう思っていたら、倉田先輩
がなぜか登場し、掃除をやっている。ありがとう、倉田先輩。あんたはいい人だ。
と思っていたら、なんか川澄も来ているらしい。何でもムカデと戦いこれに勝利したとのこと。
なんてこったい。川澄も倉田先輩もいい人じゃねーか。けへへへへへ。
が、さすがに倉田先輩の「また迎えに来ん」という台詞にプレイヤーは心中で「来んな」と答えた。絶対来んな。が、川澄の対ムカデ戦勝利で一部女子から人気
が出たことを知り、何か安心。
舞踏会での、川澄登場の演出について議論する主人公と倉田先輩。「ロープ伝って登場」という案に「それは男役」と倉田先輩は言うが、川澄だったら逆にサマ
になると思うが。が、主人公がその役は自分がやろうか、などと言い出す。なぜか映画のバットマンを思い出した。うわー、バットマンのコスプレは恥ずかし過
ぎー。
8時。舞踏会会場、体育館。「自販機でエロ本買うのは、店で買うのよりも勇気がいると思いませんか」などと突然モノローグぶっこく主人公。確かに恥ずかし
いかもしれない、自販機エロ本購入は。が、幸か不幸かエロ本自動販売機は家の近所にはないので、挑戦することはおれにはできない。そういや誰かが罰ゲーム
で、本屋のレジに女の子が立っている時を狙っておホモだち雑誌を買わせるというのを言っていた。実に恐ろしい罰ゲームだ。自分でやらされるのはもちろん、
人にやらされるのも避けたい。
川澄と合流。ドレスアップしている。「誰だおめー」とかって本気で思った。狙ったようにこちらの防壁突破を企む台詞が繰り出される。が、あいにく状況が露
骨にアレっぽいものになると、必然こちらの防壁も高くなるのだ。「離れないで」なんて言われたところで、ダメージなんざかけらもない
ぞ・・・・・・・・・・・・多分。
席を外す倉田先輩。さらに防壁が高くなるのを自覚する。
BGM止まり、雰囲気が変わる。敵来たる。二択「河岸を移す」「倉田先輩を探す」。迷わず前者。目の前に吹き飛ばされて来る倉田先輩の体。川澄臨戦態勢。
倉田先輩の生存を願う。本当に願う。冗談ではない。こんなところで誰かに、よりによって倉田先輩にくたばられては困るのだ。
川澄ブチ切れ。舞踏会会場で大破壊活動。倉田先輩は無事。
1月21日開始。
川澄、退校処分。主人公には止める気はない。依代がそれを望むのであれば、プレイヤーの方に自ずと波及。見送りつつ、言葉にすらならない祈りを向けるの
み。二択「自分は川澄を好きだった」「何でもなかった」。前者。
もはや認めざるをえない。
川澄は完全におれの防壁を突破した。
呼称がスイッチしないのは実に下らんおれの最後の意地だろう。
下らなくて下らなくてしょうがないが、それもまぎれもなきおれの姿。
何かが終わろうとしているのを目前にして、むりやりに美しく物語を締めくくろうと画策している。
ちっぽけで陳腐な、そして実に汚らしい狡猾さ。それを自覚。わざとらしく短調のBGMがいくたびもCD−DA音源でループする。
いい加減何かに酔うのに飽きてから、ゲームをさらに進める。残りカスでなにが残るか。せめてその程度は確かめなければならない。
放課後、川澄と接触。「いくのか」と主人公は問う。「もうこの学校の生徒じゃないから」と彼女は答える。「わかってる、でも・・・」と主人公は食い下が
る。
何に?
「ちょっとぐらい話に付き合ってくれてもいいだろう?」。「・・・少しだけ」と彼女は答える。「なぁ、舞」「・・・・・・」「俺は心底呆れた。馬鹿らし
くなったよ、自分が」「・・・・・・」「佐祐理さんはいつも言ってたよな。お前はいい奴だって」「・・・・・・」「はじめは・・・何て無愛想な奴だと思っ
ていた。お前に興味があったのも、魔物の存在があったからだ。興味本位でお前に会っていた。魔物を狩る少女がいる。魅力的じゃないか。それだけでお前に関
る動機は充分だった」まったくその通り。「でもな、佐祐理さんの言葉通りだったんだ。佐祐理さんがお前と一緒に居続ける理由が分かったんだ。おまえはな、
いい奴なんだよ。野犬に弁当食わせてやったり、どんな濡れ衣だって黙ってかぶってみせたり・・・。無愛想なだけでいい奴なんだよ。いるか、そんな奴。きっ
といないぜ。だから俺も佐祐理さんと同じことを思うようになった。お前と一緒にいたいってな。それで少しでも・・・お前のそのいいところってやつを、みん
なにもわかってもらえるようにはできないか、と試行錯誤し始めた。心底、悔しかったからな。お前の評判がよくないことを知って。お前もよく頑張ったと思う
よ。認める。でもな、無理だったんだ。はなからお前には無理だったんだな。おまえはすべてを簡単にぶち壊しにしてくれた。たくさん築いてきたものがあった
のにな。おまえはなんとも思わずにそれを壊した。俺なんかがいくら頑張ろうが、無理だったんだよ。それがわかって自分が馬鹿らしくなったんだ。お前をいい
奴だと思っていた俺が馬鹿に思えてきたんだよ。遅かったか? いや、こんなもんだよな。長く友達でいなくてよかったと思ってるよ」「・・・・・・」「そし
て今こうやって顔色ひとつ変えず、去ってゆくんだな、おまえは」「・・・・・・」「佐祐理さんも可哀想だ・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」
「・・・・・・」「もういい。足止めして悪かったな」「・・・・・・」彼女は背中を向け、去る。救いなし、と主人公は断じる。「でもな、俺は舞と一緒に居
たいぞっ!」と主人公は叫ぶ。お前が好きと彼は叫ぶ。聞こえているのか、おれは馬鹿だから、と。彼女の足は止まり、「何て言えばいいと思う」と問いかけ
る。「今思っていることを口でいえ」「ごめんなさい。わたしもいっしょにいたい。祐一は嫌いじゃないから。佐祐理と3人で」。主人公、うなずき、帰宅。
夜、彼は家で悶々とする。
1月22日、スタート。
嫌な目ざめ。倉田先輩と合流。話し合う。離れ離れの現状に対し、反撃を企てる。
(インターバル。
主人公である相沢祐一とおれとは、完全に分離した。
カノンというテクストに、ともすれば織り込まれていたおれ自身の一部はいまや完全に追い出され、カノンの方がおれに対して防壁をおろす。しかし、それはガ
ラス張りの防壁だ。
カノンは告げているのだろう、「そこでお前は黙ってみていろ」と。「お前のちゃちな防壁と、つまらぬお前の本心とによるひとり遊戯の時間は終わりだ。これ
からはおれ自身が物語をつむぐ。そこで見ていろ。黙って座ってゲームを進めろ。お前は熱くなっている。ついさっきまで落ち込んでいたお前の心は、逆襲に転
じようとする主役の姿にざわめいている。このおれがおもしろいのか、つまらないのか、最後まで見届けてから見極めろ。そしておれが面白いのか、つまらない
のか、ダメなのか、決めるがいい。最後の最後まで見届けて、その上でお前が決めた価値ならば、それは確かに意味のある判断結果だ。逃げるな。見届けろ。そ
して最後に言ってみろ。おれは何か、どうだったか、そしてそれを決めたお前が何者なのかを」。
かくて。
ゲームとしてのカノンは俺の中で終わった。
もはや俺は完全にカノンの中から弾き出される。
ならばこそ、見届けなければならない。話のゆくえと、おれ自身のあり方のゆくえを。
あらためて、最初にゲームを始めた時の決意を思い出す。
ああ、そうだな。変わってやる。変わってやるさ。
だめだだめだと思っていたこのゲーム、いや、貴様に価値を認め、心を動かされるという変化をおれは自分に許可してやる。
ただし、その代わりにちゃちな変化で終わらせたらただじゃおかない。
おれは何かのリミッターを外す。防壁が外されていく。小説「カノン」。
さあ、来い。もはや逃げも隠れもせん。あらためて言ってやる。「おれを感動させてみろ。 おれを泣かせてみろ」と。本日はこれで中断。)
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