14.ガンパレードマーチ


 5121の者たちは、声を出すこともできなかった。
 地面に大太刀で串刺しにされた士翼。その光景に、いや、その状況に、声も、動きも止まっている。
 5121本隊の援護は間に合わなかった。
 複座型に避けられた一斉射撃から、士翼が返り討ちにあうまでの間に、次の攻撃の準備をととのえることができなかったのだ。
 士翼は胸を大太刀で貫かれ、大地に縫いつけられている――
 そして、士翼のコクピットは――
「……滝川……返事してよ」
 速水の呼びかける声が、5121本隊の持って来た通信機から聞こえて来る。
「ウソだろ……? ねえ、悪い冗談はよせよ。返事しなよ、命令だぞ、滝川十翼長……」
 速水への返事は、やはりなかった。
 しばらくの沈黙の後、うなるような声が鳴り、やがて絶叫に変わった。
 絶叫にまぎれて、何かを打つような音が聞こえる。何度も何度も。コクピット内部のコンソールを殴りつけているのだろう。
「僕は……! 今まで何のために! 僕のやって来たことは……化け物を生み出すための……! 何が、何が絢爛舞踏だ! 友達ひとり守れないで……!」
 石垣の上に布陣する5121の者たちも、また、今町公園にいる者たちも、誰も速水に声をかけてやれなかった。
 ただ一人を除けば。
 その人間は、石垣の上に置かれて誰も手をつけられずにいる通信機に手を伸ばした。そして、マイクの部分を引っ張り出すと、
「取り乱すな、速水。滝川陽平はまだ死んでいない」
 そう告げた。
 芝村舞だった。今町公園からテレポートして来たのだ。
「今、テレパスセルを起動した。滝川陽平の反応はちゃんとある。彼は今気絶しているだけだ。安心しろ」
「舞……? じゃあ……じゃあ、助けなきゃ! 滝川を助けなきゃ!」
 舞はしばらく間を置いた。言葉を選んで、そしてマイクに向かって話しかける。
「……そうだな。まずお前を複座型から降ろし、その上で複座型本体を沈黙させる。そうすれば、士翼から滝川を救出する作業に入ることもできるだろう」
「そんな……滝川は後回しなの!?」
「仕方あるまい。仰向けに倒れて、しかも串刺しになっている士翼を引き上げるのは大仕事になる。複座型を沈黙させてからでなければ取りかかれぬ」
 舞は顔を上げた。複座型は、士翼を貫いている大太刀を引き抜いて、こちらの方に向いている。
「速水、そなたは複座型の体内にいる。内部から沈黙させる方法を考えよ。わたしは外部から複座型の動きを止める。いいか、絶対諦めるな!」
 舞は通信を切った。
「またテレポートで飛び回るつもりか?」
 瀬戸口が舞に問いかけて来た。舞は応えず、持って来たガムテープを裂いて、腰にカトラスを巻きつけた。そして手近に転がっているボフォースを担ぎ上げ た。残弾を確認。
 彼女は、5121の面々に振り返った。
「これからは芝村の……いや、わたし個人の領域だ。そなたらがつきあう必要はない。生徒会連合に空爆を要請し、今すぐここから離脱せよ」
 厳粛な面持ちの舞に、言葉を返したのは来須だった。
「認めるわけにはいかない……お前はこれからのこの世界に必要な人間だ」
「速水も必要だ。だから救い出すための努力をやめるわけにはいかぬ」
「できるのか?」
 若宮が訊ねる。舞は首を縦にも横にも振らず、若宮の方を見据えた。
「できるかどうかではない……やらなければならない。私は速水に、最後の最後までつきあう義務があるのだ」
 そして敬礼。
「わたし自身を含めて、あちこちから色々な思惑が交錯していたが、5121は面白い所だった。そなたたちとも色々あったが、出会えたのは幸運だったと思っ ている。では、達者で」
 それが別れの言葉――と分かった時には、舞は姿を消していた。
 直後に砲声が轟いた。複座型の正面の空間に姿を現した舞が、至近距離からボフォース機関砲を撃ったのだ。しかし、複座型は身を反らしてそれを避ける。舞 がテレポートする位置とタイミングを把握していなければできない芸当だ。
 つまり、複座型を汚染しているウイルスにとっては、十分先読みができる攻撃だったということだ。
 舞のいた空間を、複座型の拳が打ち抜く。その瞬間には、既に舞は地面に降り立っている。
(できるのか?)
 若宮からの問いが、舞の脳裏で繰り返される。
 ――ハッチが開かないというのならば、外側からこじ開ければいいだけだ。速水を救出した後は、テレポートセルを渡して、跳んでもらう。いくら絢爛舞踏の 能力を複製したとは言え、空爆相手では人型戦車はどうしようもあるまい――。
 それが、舞の次の戦術だった。いや、戦術とさえいえるかどうか――ハッチをこじ開けるには、複座型に取り付かなければならない。テレポートセルを用いて いるとは言え、そんなことが――
(……無理でもやらなければならない)
 こちらに向かって走って来る複座型の向こうには、大の字に倒れている士翼がいる。絢爛舞踏相手の一騎討ち――誰もが無理と思っていたことをやり抜いて、 今は倒れている仲間がいる。
(すまぬ、滝川)
 舞は心中で呼びかけた。
 滝川は生きている。が、それは「まだ死んでいない」というだけのことでしかないだろう。
 自分は彼に無理な任務を押しつけた。滝川は、押しつけられた無理を投げ出すことなく、最後まで任務を全うしようとして、そして――
 滝川だけではない。速水にだって自分は無理を押しつけてきた。幻獣の首級を三百挙げて、絢爛舞踏――ひいては人類の決戦存在たることを求めてきた。
 ならば、自分もまた、無理を承知で挑み続けなければならない。他人を危険にさらしながら、自分は安全な場所でふんぞり返るなど、芝村舞の生き方ではな い。生きている限りは挑み続けなければならない。絶望したり落ち込んだりすることさえ、速水や滝川に対しての侮辱だ。
 勝ち目の有無ではない。自分のために。自分が苦しめてきた者たちのために――
 舞は再びテレポートした。

 思いがけない幻獣出現の知らせではあったが、朝からのこの騒ぎに、熊本各地の部隊は出撃準備だけは整っ ていた。彼らは自分たちの戦場に向けて出発した。
 各戦区に出現した幻獣の勢力はまちまちだった。スキュラ級が大量に発生した所もあれば、ゴブリン級やヒトウバン級で済んでいる場所もある。
 それらの多寡の差はあっても、彼らはどこかであきらめていた。
――自分たちが何をやっても無駄なのか。
 「幻獣」と化した士魂複座型相手に、なす術もなく倒され、串刺しにされた士翼号の姿が、モニター越しに強烈に目に焼きついていた。
――戦争なんて……もう終わったって思ってたのに。
――あらかた駆逐したのに……何で出て来やがるんだ?
――また戦わなきゃいけないのか?
 行軍するトラックの中の者たちは、口々にそんなことを言い合った。
 が、こんなことを言う者もいた。
――戻っただけだ……。もともと、おれたちは戦うためにここに来たんだ。
――戦おうぜ、どこかの誰かのためにさ。
――5121の滝川、だったっけ……? 絢爛舞踏相手に、あいつは最後まで戦い続けたんだ。おれたちも、最後まで戦ってやるさ。
――生きて帰れたら、やってみたいこといろいろあったんだけどな……ま、それも夢か。
――いい夢見させてもらったよ、5121には。
――おれたちは、どこかの誰かのために。
――どこかの誰かのために。
 戦場へ往く彼らには、明るさが広がって行った。それは悲愴さを伴った明るさだったが。
 それでも、魂だけは絶望しない――熊本の学兵たちは、皆そのことを無言で誓いあっている。
 その強さを奮い起こすのは、いつだってあの歌だ。

 ――その心は闇を払う銀の剣
   絶望と悲しみの海から生まれ出て
   戦友たちの作った血の池で 
   涙で編んだ鎖を引き
   悲しみで鍛えられた軍刀を振るう
   どこかの誰かの未来のために 地に希望を
   天に夢を取り戻そう 
   われらは そう 戦うために生まれてきた

 ――それは子供のころに聞いた話、
   誰もが笑うおとぎ話
   でもわたしは笑わない わたしは信じられる
   あなたの横顔を見ているから

 ――今ならわたしは信じれる
   あなたの作る未来が見える
   あなたの差し出す手を取って
   わたしも一緒にかけあがろう
   幾千万のわたしとあなたで、
   あの運命に打ち勝とう

 ――遥かなる未来への階段を駆け上がる
   私は今ひとりじゃない

 ――ガンパレードマーチ 
   ガンパレードマーチ……

 戦場に向かう全ての兵士たちが合唱するその歌は、熊本の空と、大地に響き渡る。
 これから迎え、そしてずっと続いて行くであろう激戦と、その中で散っていくだろう自分たちの命。今の世界と時代がもたらす運命は過酷で、変えて行くこと などできそうになかった。
――じゃあ、おれたちはそいつに屈するしかないのか? 負けることしかできないのか?
 そんな問いかけに、「否」と答える力をくれるのが、この歌だ。
 運命を変えられないことが負けなのではない。運命の前に、心が、魂が尊厳を失うことが負けなのだ。
 だから、心と魂だけは折られてはならない。例え命を失っても、そいつをなくさない限りは大丈夫だ――そんなことを信じさせてくれるのが、この歌だ。
 熊本中のその歌声は、無線の電波にも乗った。熊本を、ひいては人類を守るために戦って来た――そしてこれからも戦う――勇者たちの大合唱は、5121の 無線機からも鳴り響いた。
 司令の来須は、生徒会連合本部に空爆を要請した後、自分たちの仲間に訊ねた。
 ――自分はここに残り、芝村舞と、ひいては速水厚志の援護をする。死にたくない者は早急にここから離脱するように。離脱しても、おれはそいつを腰抜けだ とは思わない――
 逃げ出す者は、ひとりもいなかった。

 複座型のコクピットは、ひどい状態になっていた。
 コンソールのあちこちが壊されていた。スイッチはあらかたむしりとられ、レバーはへし折られ、モニター類は割られている。壊されている箇所には血の汚れ がこびりついていた。
 言うまでもなく、速水がやったことだった。
 速水は今、モニターの部品をコンソールから引っ張り出しているところだ。
(コンピュータの基盤は……パネルの奥にあったはずだ!)
 ウイルスが複座型のコンピュータに巣食っているというなら、そのコンピュータを壊してしまえばいい。どれだけ派手に暴れていようが、所詮は樹脂ボードに シリコン部品が刺さってるだけだ。一発ぶん殴れば死ぬはずだ。
 いや、バケツ一杯の水でもあれば、それをパネルの中に注いで、それだけで電気系統は吹っ飛ぶだろう。そんなことをしなくても、今ここに一本ドライバーが あれば……!
 わき上がる気持ちを抑えつける。今は、中からこの複座型を止めることに集中しなければならない。
 複座型のコクピットは恐ろしく頑丈だった。人型戦車は、人間の肉体能力を大幅に向上させるウォードレスを着た人間が操縦するのだ。それを見越して設計さ れているため、生身の状態での破壊作業は難渋を強いられた。
 手首全体が熱い。殴ったりちぎったりしているうちに、尖っている部分でいくつも傷がついたのだ。
 コクピットの中が激しく揺さぶられる。どんな軽業をやってるのか知らないが、少なくとも攻撃を受けてひっくり返ったわけではないことのは分かる。外部の 状況をパイロットに伝えるようなものは、通信機をのぞいてあらかたぶち壊してしまったために、何がどうなっているかは見当もつかなかった。
 突然、天地がひっくり返った。コンソールパネルから引きずり出したモニター部品が手から離れ、むしり取られた小さなパーツと一緒に狭いコクピット内を暴 れ回った。表面が真っ黒になった液晶パネルのフレームが速水の額を直撃し、長さ数センチほどの傷をつけた。
――死んじゃうくらいに打ち所が悪ければ良かったのに。
 その気持ちを打ち消す。自分が死んだ所で、複座型が暴れているという事態は好転しない。逃げるのは、舞の「諦めるな」という言葉を裏切ることでもある。
 その時、パネルの壊れていない部分が発信音を鳴らした。飛びつくようにして手を伸ばし、スイッチを入れる。
「こちら速水!」
「やあ、速水。調子はどうだい?」
 人を小馬鹿にしているような声。茜だった。
「茜……! 君は今どこにいるの?! 他のみんなはどうしてる!? 空爆の要請は!?」
「空爆の要請は、さっき来須がやったよ。もうすぐ爆撃機が飛んで来るだろうね。核でも落とすかな」
 通信機の向こうで、茜が鼻で笑った。
「それから他の連中だけど、みんなまだそこにいるよ。複座型を止めるためにミサイルやら何やら派手にぶっ放しまくってる所さ……って、君はそこにいるんだ ろう?」
「コクピットのコンソール、壊しちゃったんだ……でも、何でみんな逃げないんだ! 君はもちろん避難したんだろう!?」
「僕たちはまだ今町公園だよ。そっちの方からの砲声がよく聞こえるよ」
「逃げろよ! 何が起きるか分からない!」
「逃げるわけにはいかないね。こんなスペクタクル、もったいないじゃないか」
 いつもの口調で、茜は答えた。
「そっちの方に行ってるやつらってばさ、仲間の絶体絶命の危機に、見捨てないでついててやるつもりなんだって」
「……!」
 速水は声を失った。
 そういえば、外から聞こえる砲声や爆発音が、少し前からずいぶんとうるさくなっている。
(……このバカ!)
 心中で叫ぶ。自分が言われていた台詞だった。
「ここに来て、芝村以外の連中もうるわしい友情ってのに目ざめたらしいよ……笑っちゃうね、本当」
「どうして……バカみたいじゃないか、そんなの!」
「バカなんだろ、5121のやつらは」
 茜の答えは、皮肉を混ぜて返って来る。が、速水はそれが嫌なものだとは思わなかった。人を見下すようなものではなく、優しいものが含まれた「バカ」だっ た。
――このバカ。
 そう言えば、何度も自分が言われた台詞だった。悪口なのに、どこか暖かみのある言葉だった。
 ああ、そうか。みんな、こんな気持ちで僕に「バカ」って言ってたんだ――
 その時、またコクピットの天地がひっくり返った。今度は悲鳴を上げた。
「大丈夫か!?」
 呼びかけて来る茜の声は、切迫したものだった。いつもの皮肉な調子はない。
「……大丈夫さ……みんながついててくれるんだから!」
 速水は言い切った。
「久しぶりだよ、こう思ったのって。僕はひとりじゃないんだって!」
「おいおい、芝村の立場がないぞ?」
「慕ってくれる人は、多い方がいいじゃないか! 僕は負けない! 絶対あきらめない!」
 茜の口調は、今度は熱を帯びたものになっている。
「じゃあ負けるな! 僕はここで見届けてやる。ののみや狩谷と一緒に、最後の最後まで見届けてやるから!」
 速水は頷いた。正面のパネルには、モニターをほじくり返してできた穴が開いている。
 その穴の中に腕を突っ込んだ。手に触ったものを片っ端から引っこ抜き、パイロットシートの脇に投げ捨てて行く。
 速水の脳裏に、5121に来てから過ごした時間が、浮かんでは消える。
 らしくないな。速水はそう思った。過去を懐かしんだりする自分も、皮肉以外を口にする茜も。そして、自分のために命を捨ててくれる5121のメンバ ――?いや、「仲間」たちも。
(何だか昔に戻ったみたいだ)
 自分がまだ、ただの学兵だった頃――たった二ヶ月前だっていうのに――辛い時や苦しい時に、意外な相手から意外な気遣いをされて、ちょっぴり嬉しかった ことなんかあったっけ。
 他にも、意外な人間の意外ないい所を見つけたりして、ちょっとだけ好きになったりしたこと。知らないうちに自分が慕われているのに気がついて、何かくす ぐったくて、照れくさかったこと。
 出撃の時は大変だった。みんな必死で、自分は死なないように、でも、味方も誰も死なせないように、全力を出してがんばっていた。あの頃はまだ、自分が絢 爛舞踏になることなんて思ってもいなかった――
 5121に来て、自分の周りで起きたこと。それらのひとつひとつが、とても愛おしかった。
 だから、守りたいと思った。学校で教わるような「どこかの誰か」のためなどではなく、目の前にいる人々、目の前にある物事のために、命をかけて戦いたい と思った。
 ――けど、別なやり方もあったのだろう。
 愛おしさの中に、もうちょっと無防備に身をゆだねていく方法もあったのかも知れない。「守る」なんていう大上段な構えではなく、時にはケンカしたり、一 緒に泣いたり笑ったりするような過ごし方も――。
 ずきん、と胸が痛んだ。
 5121に来てから、おそらく一番最初に、そんな時間を共に過ごした滝川陽平はもういない。「死にたくない」という叫びが、胸の中で疼く。
(滝川は……ずっと滝川のままだったね)
 臆病な所も、臆病をその都度抑えつけて戦場に立つ所も、思ったことや感じたことをすぐ外に出す所も――。
 舞もずっと変わらなかった。自分自身にも他人にも厳しくて、そしてとても優しかった。世界の運命とみんなの運命を気遣って、僕の側に居続けたのはずっと 変わらなかった。
 出会えて良かった――速水は心底からそう思った。
(すぐに会える)
 滝川だけじゃない。舞とも、5121のみんなとも。
 だからといって、戦うのをやめるつもりはない。
 空爆まで、あとどれくらいあるのだろう。
 速水厚志は、外で戦う舞と、仲間たちのことを思いながら、コンソールの解体を続けた。

 生徒会連合本部では、会議が空転していた。
 準竜師・芝村勝吏を始めとする芝村勢力の反対により、熊本城跡空爆はいつまでたっても決定されようとはしなかった。
「もう少し様子を見よう。5121が全滅してからでも遅くはない」
 それが芝村準竜師の意見だった。

 ――尚敬学園。
 学校の敷地の片隅にある5121のハンガーは、真っ白い血液で周囲を汚して崩れている。
 小隊長室は大太刀で両断され、また、尚敬学園の校舎のほうも、舞と複座型の戦いの巻き添えで半分壊滅している。
 半ば廃墟と化した校舎の屋上から、「ぶなぁ」と鳴く猫のダミ声が聞こえて来る。
 屋上には、一匹の――一頭というべきか――巨大な猫がいた。赤い半纏をまとって、座って熊本城の方を見つめている。
 ブータだった。
 この猫は、複座型が熊本城に向かってから尚敬学園にやって来た。そして、遠くで行われている士魂同士の対決を、ずっと見ていた。
 今は、5121と複座型との戦いと――そして、串刺しにされて地面に横たわっている士翼を見ていた。
「ぶなぁ」
 ブータがもう一度、鳴いた。
 すると――
 士翼のコクピットの中で、微かにうめき声がした。

 


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