新教育に関する講演・フォーラムなどの記録


 2002年度から公立の小中学校で、2003年度から公立の高等学校で実施される、新学校教育と その中心課題となる『総合的な学習の時間』について理解を深めるために、開催された講演やフォー ラムに参加した記録などを公開しています。 個人が所有している知識や情報を互いに公開し、意見を交わし、色々な学校の取組みや提案に対して 具体的な意見を提出し、積極的に参加することも目的としています。
 また『総合的な学習の時間』に関する私個人の学習や活動については、このホームページの 【「詳細】の中の「1. 新学習指導要領」「2. 総合的な学習の時間」 をご覧ください。

   あなたの率直なご意見やご感想をお聞かせ下さい。


             資料01   「開かれた学校づくりと地域社会」講演前作成資料 
             資料02   講演記録 : 寺脇研氏「開かれた学校づくりと地域社会」
             資料03   フォーラム記録 : 「学習ばなれ」(ベネッセコーポレーション主催)
             資料04   公開シンポジウム参加記録フォーラム記録 :
                      「いま、学力を考える」(九州大学教育学部主催)

資料01


                                       2001年11月17日
 【講演前作成資料】                             エスペラント伝習所須恵
                                       代 表 橋 口 成 幸

   講演「開かれた学校づくりと地域社会」(講演者へ手渡した資料)

 1.私の基礎知識

   (1) 新教育の審議会答申(一次)(二次)
   (2) 文部省発行学習指導要領解説・総則編 H10年12月 (小学校)(中学校)
       時事通信社発行高等学校学習指導要領 H11年3月告示 (高校)
   (3) NHK−TV「日本の宿題・学校」(ビテオ録画あり第5回 − 第12回)
             「こんな学校に行きたい」(1−4回 教育の世紀)
             「真剣・10代しゃべり場」
   (4) 関係書籍
      ・「教科書のない学校」 小松恒夫著 復刊
      ・「21世紀へ教育は変わる」 寺脇 研著
      ・「対論 教育をどう変えるか」 寺脇 研著
   (5) HPで総合学習への理解を発表、「総合学習を知ろう会」を発足し呼びかけ中
 
 2.確認したい事項

   (1) 「総合的な学習の時間」における「総合」の意味(位置づけ)
      ・生涯学習の出発点(芽をのばす機会を与える)という位置づけ
      ・アメリカで実施のチャータースクール(生徒が作るカリキュラム)考え方と同じ視点
      ・多岐にわたる児童生徒のニーズ(関心事・学習心)達成をサポート
      ・理念(基本姿勢)は、学校側が決めたテーマ(環境・国際理解など)を児童生徒が選ぶのではない

 3.私の提案事項

   (1) 各学校空き教室(2室)の住民への開放
      ・目的  児童生徒とのコミュニケーションの場を日常的に設ける(現場重視=接点)
           作品の展示 体験指導 話し合い(雑談) など
           児童生徒に教えたい場所を住民に与える
           運用管理などは住民に任せる

   (2) 21世紀の新教育をひろく国民にPR
      ・目的  現在の問題点への理解を積極的に促す。
           NHK−TV放送の「日本人の宿題・学校」(全12回)を全学校へ無料配付
           国民の希望する者には原価販売(テープ6巻と送料で5000円程度:ボランティア活動)

   (3) 経験学習から抜け出した体験学習
      ・目的  どんな行動にも、そのための何らかの理由がある。
           受入れ側の認識と理解を促進

   (4) 各学校へ使用料無料電話回線を設置(例:100名当たり1回線、最低2回線)
      ・目的  IT革命への布石をすすめる。
           もっと自由にインターネットできる環境
           旧型パソコンでも構内・室内LANは構築可能
            (企業が使用していた旧型パソコンは、次々に捨てられている)

   (5) 空き教室で寮施設
      ・目的  外国姉妹校などとの交換留学を促進する
           特にアジア地域の同世代の人々との接触は、広い視野を育成

                                              以 上

  ※ この資料は講演会場で講演者へ質問するための資料として講演まえに作成したものですが、講演後に
    質問の時間がなく、直接講演者(寺脇 研氏)へ手渡したものです。


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資料02

2001-11-17

【 講演記録 : 寺脇研氏「開かれた学校づくりと地域社会」】
 ○ 教育費用 ・・・ 小学生一人:90万円、中学生一人:100万円
 ○ 学校や公的な施設は、みんなの税金で運営されている ⇒ 計画や使途について参加する権利がある
 ○ 少子化で生徒数は減少するが、保育園の施設は不足 ⇒ (例) 学校の空き地に保育園の仮施設を建設
    中学生くらいになると、違った環境を目にすることにより生徒自身の意識改革にもつながる
 ○ 子供の仕事 ・・・ (1) 遊び  (2) 勉強  (3) 健康に育つ  ※休日は一日もない
   学校週5日制度の提案は10年前からしている ⇒ どれだけ子供の教育を人任せにするのか問われている
 ○ 過疎の村では学校合併が進み、日中は子供たちに会えない環境に変わりつつある
 ○ 15歳以下の子供1人に対して、大人は6人の割合、戦直後は15歳以下の子供1人に対し大人2人だった
 ○ 専業主婦が現れたのは、サラリーマンが出現してから(昭和40年代以降)
 ○ 団地は増えたが今も地域社会はある ←→ 近所付き合いが無くなっているだけ
 ○ コミュニティは自分で(自分から)つくるもの
 ○ 環境の共有化:教える側の大人がだめなら、全てだめ ⇒ 大人が試されている。(15年前から提案)
 ○ バブル時代は本当に幸せだったのか
 ○ 教育への参加 ・・・ 自分の力で、或いは技量で、やれる事をやろう
 ○ 図書「生きてていいの」 学校での差別、登校拒否、自殺の末アドバイスを受け書いた ⇒ 可能性の提起
 ○ 2002来年は学制発足以来130年と言われているが、正確ではない(公的な資金はでなかった)
    明治5年に学校をつくれという命令がだされただけで、先生はいなかった ⇒ 先生を集めた
    明治6年に師範学校ができた(自分たちでつくり運営した) ⇒ 先生をつくった
 ○ 以前の寺子屋も自分たちでつくり運営した(約10万箇所) ←→ 現在小学校は24000校のみ
 ○  昭和15年から、教育は役所まかせになった
 ○ 現在仙台では、来年度から2学期制になる(9月までが1学期、以降が2学期)
 ○ 地域で考える ・・・ どんな学校、どんな教師、どんな授業にしていくか
 ○ 全国一律に教える事項を30%減にする
    30%減の工夫  (1) 10% ・・・・ 地域または家庭で取り組む
             (2) 20% ・・・・ 学校の裁量で決める
                10% ・・・ 個々人の違いを認めた教育
                10% ・・・ 漁師の町には漁業学習の時間が増えてもよいはず
 ○ すでに地域で沢山のコンピューターを導入しているところもある
 ○ 学習の自由度を拡大する ・良いテレビ番組をみるのも学習
               ・本を読むのもよい
               ・大人と一緒に山菜採りや畑仕事もよい
 ○ 学校の教育方針も、地域で話し合って決めればよい

 ○ 生涯学習 ⇒ 「いつもの自分と違う自分をみつけること」

 ○ 事例1 町内や学校の仕事(教師代行・事務など)を住民が行う(先生一人増の費用←約800万円必要)
      ・最低常時10名ほどが学校で働いている(町民)
      ・登録者は100名を超えている(町民)
 ○ 事例2 町民加入の施策(和歌山県白浜小学校 町民で全部つくった)
      ・入口に警備員がいる(町内会で雇っている)
        町内全般の簡易修理や見回りなどもする
      ・フィールドアスレチックコースがある(20年前に造った)
        校庭と同じ広さで、立木を生かした自然のコース設計
    ※ 以前に比べて学力は少しも劣っていないが、体力は平成時代以降年々劣化
      ・ビヨトープ(?) (昨年発足した)
        自然観察と自然を守り育てる(オタマジャクシを知らない子供がいる)
 ○ 新教育制度は、15年かけて取り組んできた教育改革である
    当時(15年前)、「子供の心にゆとりをつくってほしい」というのが、国民の希望と願いだった
 ○ 幼稚園児26000人の親への調査(民間:どんな人に成ってほしいか、6項目から3項目まで選択)
   ・1位 やさしく、仲良くできる人 ・・・・・ 90%
   ・2位 自分なりに社会に適応出来る人 ・・・ 66%
       勉強出来る人 ・・・・・ わずか 3.8% しかいない

 ○ 生きる力 = 21世紀を生きる力
   1.自分の考えを持つ力(独自の思考力)
   2.自分の考えを他人に伝える力(コミュニケーション)
   3.他人との意見の違いを調整する力(協調性)

 ○ 教育改革は、大人の改革かもしれない
 ○ 私立大学入試は、すでにやり方が変わった(もう知力一点評価ではない)
    国立は来年から変わりはじめる
                                                                                以 上
               (この講演メモの責任者は、エスペラント伝習所須恵・橋口成幸です)

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資料03



2002-03-17


【フォーラム記録:「学習ばなれ」】
(ベネッセコーポレーション主催)
【 教育フォーラム参加メモ 文責 : 橋口成幸 】 テーマ : いま「学習ばなれ」とどう向き合うか       〜子どもたちに学びの意味と面白さを伝えよう〜 主催者 : 株式会社ベネッセコーポレーション 会 場 : アクロス福岡4階国際会議室 日 時 : 2002年 3月 17日 13:30〜16:30 参加者 : 一般希望者の応募(200名)・・・当日実参加者数は約150名 1. 開会挨拶   九州支社長 桜田満志氏     (1) 最近の学習意欲の低下 ・・・・・ 問題視されている        近代化の良い面もある ・・・・・ パソコン操作に嬉々としている(積極的)     (2) ベネッセは10年程前から学力調査を続けてきた        学習環境の変化に伴って、学習意識の変化も出てきている 2. 基調提案   教育研究所研究員 木村治生氏     (1) 学習の実態報告       @ 「学習ばなれ」の実態       A その背景 ・・・ 子どもの変化、大人の変化       B では、どうしたらいいか ・・・ 具体的な対策・改善策     (2) 傾向を中心に報告 ・・・ 意識の多様化と到達度合いの関係     (3) 文部省の学習指導要領における教育テーマ       @ 1971年  教育内容の現代化       A 1980年  ゆとりと充実       B 1992年  生涯学習構想の推進       C 2002年  ゆとりある教育の実現     (4) 実施したアンケート結果から       @ 勉強はわかっている(特に小学生) ・・・ そのわかっている尺度が問題       A 18歳人口の減少は大きい       B 学習の目的はなにか ・・・ 生徒には不明       C 「学習ばなれ」の原因           学校に行きたくない ← 学校に魅力がない       D 「総合学習」は、面白いという感想がけっこうある       E 家族との会話 ・・・ 国語力  〔相関関係はないはずだ〕          家族との会話が多い生徒の成績は良いようだ ・・・・・ ??? 橋口疑問あり 3. パネルディスカッション  テーマ「子どもの学習意欲をどう高めるか」     パネリスト 安藤和津(司会:エッセイスト)     友村 忠(中間市立中間東小学校教諭)           耳塚寛明(お茶の水女子大学教授)    中野真一(教育研究書総括責任者)   〔M〕 @学びの価値・受験競争の価値について       A学習時間が減少しているのに、理解できているということの意味        その理由 教師陣の指導力の向上・・・妥当だとする顕著なものが見当たらない             学習内容の低下・・・ある程度考えられる             回答の偽り(理解度は向上していない) ・・・かなり考えられる             生徒の主観的授業の増加・・・生徒の判断を誤らせているかも知れない       B高学歴志向のかげり         よい成績をとりたいという意欲のかげり         親からのすすめ回数の減少        その原因 大学の門が広くなった・・・競争の減少             学歴を低める風潮(世論)・・・増加       ※ 学校や教育政策の設定が変わってきた       C学習への動機付けをどうするか         受験競争の弊害・・・真の学習ができない         時代は変わった・・・教師の真価が問われている    〔T〕 20年間ほど教師(元新聞記者)・・・現在小学校一学年の担当          ビートルズ・バンド編成・・・社会教育          自然とのふれあい(自費でクルーザーヨットを購入)・・・精神的な開放の一手段          人生に関する副読本を執筆  西日本夕刊でコラム執筆中       @週五日制でどう現場はなっているのか・・・司会の質問          英会話に10時間、コンピューターに10〜20時間・・・『総合学習』の扱い          残り70〜80時間は生徒自らのテーマ・・・テーマ設定方法に付いての報告?       A現在の児童          小中学生の80%がアトピー性体質・・・身体の変化          リーダシップのとれる児童の減少・・・自己中心者の増加          靴のヒモが結べない(かたむすび)・・・マジック・フック使用の激増          「他人に認められていると思うか」の回答・・・小学生は8%、中学生は3%          体力がない児童が増えている・・・疲れた子どもの増加          体温が低い・・・36度以下がほとんど    〔N〕 意味のない勉強とは       @大学生の勉学に対する認識・・・(「社会における自己実現」という表現)       A労働者の感覚では(フリーターは150万人)・・・そこそこ生きられるという感覚       B入試方法で、学校を選択した理由が明確にわかる方法はないだろうか    〔司会〕当日参加者へのアンケート「これからの学校教育に望むことを2つ選ぶ」集約から       1. 社会的な規範やルールを身につける・・・・・・・・ 42人       2. 人間関係づくり・・・・・・・・・・・・・・・・・ 75人       3. 発展的・応用的な学習内容の習得・・・・・・・・・ 12人     ※ 4. 多くのことに興味関係を持つこと・・・・・・・・・ 43人     ※ 5. 得意な分野をのばすこと・・・・・・・・・・・・・ 27人       6. 学校で学ぶ内容を確実に理解すること・・・・・・・ 23人     ※を、私(橋口)は選択しました     〔N〕 「土日のすごし方」        @学校外での学習時間・・・・・約165時間        A新しいものを創り出す力          自分で何をやるのか どうしたらよいのか どんなやり方が自分に合っているのか        B少しずつ、自分のスタイルを探して行く教育が求められている        C全てを与えない教材の設定が、創造力を育てるのではないか       ※ これらの実現には、家庭・学校・社会の協力が必要である     〔M〕 学習の動機付け        @教育システムも重要         例:シンガポール ・・・ 小4、中2の成績で進む高校が決まる           このシステム(選抜制度)は透明性がある           低い能力の者でも意欲を持っている     〔T〕 「子どもが勉強に向かう」テクニックはあるか        @生徒の学習実態をまず分析        A自校の生徒の「総合学科」に対する感想           先生以外の人と出会うことができた           学校で聞かない話だった           知らないことを知ることができた        B「絶対評価」のとらえ方・・・生徒本人と教師との二つの評価           項目を幾つもわけて評価し、その総計で該当ランクにする       ※ 生徒の好奇心は旺盛で、教師の評価点と大きくズレている   ≪家庭・学校・地域の連携≫     〔T〕 これからの教育は三者の協力なくして成り立たない         忘れられている言葉・キーワード・・・年より、ハンディキャパー、遊び場         異年齢集団、取組みの枠組みは「ゆるくゆっくり」         祭の中でのふれあい     〔N〕 多摩市の小学校は人口減少           遊びながら学ぶ取組みを試行・・・民間各社が取り組んでいるが実態は困難     〔M〕 連携は、相互依存ではなく、責任依存が基本になるはず   ≪具体的な方法とは≫     〔T〕 新しい生き方・やり方       例: Jリーグが始まって子どもの価値観は揺らいでいる・・・髪の色          真面目な出合い(本音での接触)・・・子どもには必要          正面から向き合う・・・子どもには特に大切     〔N〕 理解できているところから始める・・・習熟度別学習         将来につながる目線で始める・・・少子化で競争が必要なくなってきている     〔M〕 受験競争は、ある特定の層により残っていく・・・県教祖の総括にもある           大学受験などしなくてよいという家庭層と受験を目差している家庭層とがある         どういう社会がほしいのか・・・私たちが考えるべきでは                                           以 上

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資料04



2002-03-17


【公開シンポジウム参加記録:「いま、学力を考える」】
(九州大学教育学部主催)
【 公開シンポジウム参加メモ 文責 : 橋口成幸 】  学力に関する公開シンポジウムに参加しましたので、その概要を私の責任記録で報告するものです。 従って討論者の発言内容と異なる部分があるかと思いますが、過去の記録同様に十分注意しましたので、さほど大 きな違いはないと考えています。発表者ご本にか、当日参加された方で、ご指摘のある方はメールでご指導下さい。 ≪私の感想≫  新教育が求めているの「何か」と問われるとき、「疑問を解決する意欲の養成」だと私は答えます。この実現の 場が『総合的な学習の時間』(以降『総合学習』)であることは言うまでもありません。パネラーからの表現が幾 つかありましたが、このことに触れた明解な発言は無かったようです。そして、その評価方法についての留意点や 問題点は述べられても、具体的な評価方法(技術及び記録)についての提案もありませんでした。いまや教育現場 である学校だけでなく、管理部門の教育委員会、さらには文部科学省においても、この評価方法は命題のひとつと 成ってしまった観があるとさえ言えます。  その原因は『総合的な学習の時間』で、どのような意義に基づいて、どのような授業を展開するのか、十分には 理解できていないからだといわざるを得ないでしょう。また、今回資料のPTAアンケートで準備された設問の中 に、「相手を理解する力」の項目がないことも問題だと思います。そして保護者自身が理解できていないこの問題 を解決する施策を、学校や地方行政自身が積極的に取り得ていないことも問題だと言えます。  最も重要なことは、『総合学習』という場で、教師及び地域有識者が何らかの形式を作って子どもたちを指導し ようとする従来の方法による指導に対して、私の意見は根底から異なることであります。『総合学習』の意義は、 わかり易い表現をすれば「気兼ねなく学習意欲を発揮できるより自由な時間枠の創造」ということなのです。  本格実施に入った2002年4月からやがて一年を経過しようとしている今日でさえ、教育関係者に十分理解されて いない原因の一つには、『総合的な学習の時間』を短く『総合時間』『総合学習』などと呼んだために誤解が生じ たからだとも言えます。最近では、『総合的な学習』(第13回日本カリキュラム学会で頻繁に使用されていた)と いう言葉も使用されていますが、「時間枠設けた」意義を理解させるためには、やはり不十分な表現だと言わざる を得ないでしょう。  これらの点に注目して明瞭な提言をされたパネラーは、今回もなかったことを残念に思います。  なお、私の『総合的な学習の時間』に関する見解や提案は、下記のホームページに掲載していますので、ご一読 下さいますようご案内いたしておきます。       学校教育(総合学習)と国際語エスペラント            (「こどもとおとなの土曜日」主宰、「エスペラント伝習所須恵」代表 橋口成幸)
1.概要 テーマ:「いま、学力を考える」    主 催:九州大学教育学部    開催日:2003年03月15日    時 間:13:30〜16:30    司 会:望月研吾    パネリスト:     (1) 大槻達也(文部科学省初等中等課長)プレゼンテーション〔13:45〜〕     (2) 野上兵一(日本PTA全国協議会) プレゼンテーション〔14:10〜〕     (3) 石川史郎(竹中工務店顧問)    プレゼンテーション〔14:25〜〕     (4) 中留武昭(九州大学教授教育学部) プレゼンテーション〔14:45〜15:10〕 2.発表要旨  大槻達也(文部科学省初等中等課長):新教育及び学力にいて  (1)これからの時代に求められる学力    単なる知識の量のみでなく学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力など含めた学力と考える必要がある。  (2)子どもたちの学力の現状   ・知識、技能やそれを活用する力は国際的にも上位。   ・学習内容を十分に理解できていない子どもが少なくない。   ・勉強嫌い、学習習慣がない、自然体験や社会体験が不足、などの問題がある。  (3)新しい学習指導要領のねらい   基礎・基本を確実に身に付けさせ、「自ら学び考える力」や人間性となる「生きる力」の育成が基本。   @教育内容の厳選 A個別指導の充実(発展的な学習、補充的な学習)   B体験的、問題解決的な学習の重視 C「総合的な学習の時間」の創設 D選択学習の幅の拡大  (4)評価の充実   @子どもの学習評価 : 学習指導要領の目標に照らして、実現状況を見る絶対評価   A学校の教育評価  : 学校の自己評価と情報提供の推進、開かれた学校づくり   B国家の政策評価  : 全国的な学力調査の実施、教育課程の 恒常的な見直し  (5)確かな学力の向上を目指した取組み   @「学びのすすめ」(H14年1月)   A個に応じた指導の充実   ・小人数授業や習熟度別指導によるきめ細かな指導、教職員定数の改善   ・学力向上アクションプラン(H15年度予算案)   B学習意欲の向上   ・「授業がよく分かるとき」「授業が面白いとき」「やりたい職業に関心を持ったとき」等。  (6)〔資料1〕「平成13年度小中学校教育課程実施状況調査」    〔資料2〕確かな学力の向上のための2002アピール「学びのすすめ」(H14年1月)   〇五つの方策   @きめ細かな指導で、基礎・基本や自ら学び自ら考える力を身に付ける   A発展的な学習で、一人一人の個性等に応じて子どもの力をより伸ばす   B学ぶことの楽しさを体験させ、学習意欲を高める   C学びの機会を充実し、学ぶ習慣を身に付ける   D確かな学力のための特色ある学校づくりを推進する    〔資料3〕「学習意欲に関する調査研究」(国立教育政策研究所)(H14年)  野上兵一(日本PTA全国協議会):「学校教育改革についての保護者の意識調査報告書」(H14年9月)  (1)調査概要 @目的:学校教育における新たな取組みや進行中の教育改革について、PTA会員(保護者)    がどのように理解し、また何を期待しているかについてのアンケート調査。 A調査対象:小中学生の    保護者(PTA会員)6000人。地方協議会=61、回収数=4827人、回収率=80.5%    B調査内容:完全学校週五日制・新学習指導要領、総合的な学習の時間について/学力低下にいて/     学校評議員制度・学校評価について/学校選択・コミュニテイスクールについて/教育基本法について    C調査期間 H14年 5月22日 〜 H14年 7月19日  D調査実施機関:株式会社 「インテージ」
 (2)〔抜粋〕

  5.学力低下の問題について
   (1)現代の子どもに低下している「力」
    57.6 % 自ら学び自ら考える力       
    47.7 % 自分の考えを表現し伝える力
    43.6 % 物事に進んで関わり解決する力
    40.3 % 想像力やコミュニケーション力
   (2)現在進められている教育改革によって低下が心配される「力」
    39.5 % 読・書・算など基礎・基本の力
    36.0 % 基礎的な教養や深く考える力
    25.0 % 自ら学び自ら考える力
    23.8 % 学ぶ意欲や関心
   (3)新しい学習指導要領による学力低下への心配
    49.3 % 多少心配している
    25.3 % かなり心配している
    17.8 % あまり心配していない
     4.2 % わからない
     1.7 % 不明
     1.6 % 全く心配していない
   (4)記述回答より抜粋
    @学校の授業で充分という学力を。塾の指導に対抗できる授業技術を教師も研さんすべき。
    Aゆとり教育は本当に必要か。地域活動への参加は親も忙しくて無理。
    B読・書・計算の基本をもっと徹底して欲しい。家庭での協力方法について話し合う機会が必要。
    C子どもは先生の人格によって、クラスも一人一人も変わる。
    D競争を悪とみなしているのか無理やり横並びにさせていないか。体力や学力はその子の能力。
     それぞれの能力を皆が認める機会を奪ってはいないか。小人数クラスで先生と関わり合いのあ
     る学校生活を希望。
    E「なぜ勉強するのか」 目的をしっかり教えてほしい。
    F能力・学力には、子どもの個人差がある。そのことを先生はよく理解してほしい。
    G授業についていけなかったら、どう対処するのか。
    H子ども中心で教育改革を行なっているのか疑問。


 石川史郎(竹中工務店顧問):学力を考える −企業等の面から−    (1)教育は未来に対する投資である。    (2)学力を考える。     @企業では、各人の目標と業績評価、能力把握、自己申告、適正職務、評価など多目的に行なう。    (3)なぜ学ぶのか・・・内からのエネルギー。    (4)企業における人材確保・能力開発     @情熱(熱意)・意欲のある人を採用、重視 A興味・関心のある人 B経験する場を設定    (5)企業が抱える人材活用上の悩み(30歳前後から40歳代)     @若い社員:変化適応力がない、応用力が弱い、想像力が貧しい     A問われる管理職の力量    (6)あらためて子どもの学力を考える     @如何にして子どもの興味・関心を呼び起こすか     A如何にして智恵を得る場をつくるか     B「わかったつもり」ではない真の知識の習得を図る    (7)おわりに     @学力を「虫の目」と「鳥の目」で見る    特記〔統計表より〕「学校へのパソコン、インターネット普及状況比較」(調査年不明)

             日 本        米 国          英 国

   (1)概要     ハードウエア、  ハードの整備は進んで    ハード整備を着々と
           ソフトウエア、  いるが教員の育成が課題   進める一方
           環境の整備など  低所得者層に対する教育   教員育成も強力に推進
           全体的に不十分   の不平等に配慮      低所得者層に対する教育
                                   の不平等に配慮

   (2)パソコン整備  20名/台       6名/台      初等:18名/台 中等:9名/台

   (3)インターネット 接続校 18%      接続校 89%        接続校 28%
     整備         全学校接続目標    全教室接続目標       全学校接続目標
             2001年         2000年          2002年

   (4)教員の育成  指導にパソコンを   指導にパソコンを   指導にパソコンを使える教員   
            使える教員 22%   使える教員 20%    初等:65%  中等:61%

 中留武昭(九州大学教授:教育学部): 
   学力を問い直したカリキュラムマネジメント −学力の定着をめざした学校づくり−
   (1)「学び」からの逃避が起きている。
   (2)カリキュラムを変えなければ「新しい学習力」はとり入れられない。
   (3)これまでの知識を仮に「伝統的な知識」と考えれば、これからの「生きる力」を柱に据えた智恵
    「新しい教育で育まれるもの」は、相反するものとしてではなく、これまでの者を活かす教育環境
    が必要である。
   (4)これまでの教育で行なわれてきた一方的に教えるという行為から、子どもたちの関心を引き出す
     教育へと変換しなければならない時代になった。
   (5)「総合の樹」の解説
   (6) 「学力観と総合的な学習との関係」の解説=見える学力(枝と葉)と見えない学力(根)
     見える学力=これまでの伝統的な知識 見えない学力=これからの新しい智恵(学習力)
   ※ 中留武昭教授の理論は、私のホームページの中の「第13回日本カリキュラム学会傍聴記録」で
     少し紹介していますのでご参照下さい。

3.討論:(15:30〜16:30)
〇 「学びのすすめ」については、文科省の説明不足もあったようだ。
〇 中教審の答申でも、「ゆとり」について述べている。
〇 学力・表現力を含む広い学力観・新しい学力観(指導・支援の扱い、理解の違い)
〇 「ゆとり」についての認識・位置付け

【質問01】「実際のゆとりとは」
現状1.始業式の直後、終業式の直前にも授業が行なわれている。
現状2.行事が減った。取り組み時間も減った。
〇 「ゆとり」とは、小さくても達成感や感動を味わうこと。
〇 自動車のハンドルに【遊び】がある。これと同じものが「ゆとり」である。

【質問02】「完全学校週五日制」
現状1.授業で 7%減、 教科で10〜20%減もある。
現状2.「私立との差」が生じる。
現状3.大学入試の出題範囲が、以下の組織の授業に影響している。
〇 これまでの10年間の検討経緯があり実施に移ったものである。
〇 「私立との差」は、基礎概念をキチンとやることで、ある程度カバーできる。

【質問03】「40人学級の解消」
現状1.公立小学校の平均クラス生徒数は、26.5人、 中学校では、31.3人
〇 学級の数・・・ひとつの集団としての位置付けを考えるべきだ。
         数学 = 小人数可能、 体育や音楽 = 大人数も可能

【質問04】「6・3・3制度の再考」
〇 幼稚園を含めて小中高校の連携を指向すべきだ。

【質問05】「学力低下と幼児期」
〇 子供に接する時間を長く取った方が良い。(絵本読みなど)

【質問06】「企業と学力との関係」
1.企業が求める能力と学校での学力との関係は・・・直接の関係はない。
2.人材確保と能力開発との関係は・・・企業では能力開発を重視している。
3.知識とパワーは、どちらが企業で必要か・・・パワーである。
〇 優等生は、他人のことに耳を傾けない人が多い。
〇 最近は、筋道を立てて説明する能力に欠けている。
〇 「感性」が「新しい教育観」に入っていない。

【質問07】「精神的な自立」
〇 企業でも「出勤拒否」現象が現れている・・・「登校拒否」の延長ではないか。
〇 自然体験・社会体験をすることが、「道徳的」にも成果が出ている。

【質問08】「総合的な学習」
〇 「学力低下」の矢面にたっている・・・教師の自主性が必要である。
〇 教師がカリキュラムを動かしているという実感がある。
〇 【責任】従来は行政に対して責任を感じたが、これからは生徒に対して、保護者や
  住民に対して、責任をとるべきものとなってきた。
〇 ひとりの教師では取り組みが困難。
〇 主任層のリーダーシップが、大きく影響する。
〇 学校組織としては、学校長・教頭のリーダーシップが不可欠。

【質問09】「新しい学力観」はこれまでの伝統的学力観と対立しない。
〇 見方や切口を変えて、見直し生かしていくのが「新しい学力観」につながる。
〇 「総合的な学習」の中で、教科での学力不備も見つかる。

【質問10】「土壌の文化」
〇 地域・家庭の問題を「土壌」として考えるべきだろう。

【質問11】「数学の内容削減」
現状1.この40年間で、33%減、 今回で 30%減。 ついに半分以上が削減された。
〇 ハードルを下げ過ぎではないか。
〇 化学の元素記号数は、 以前に12個に減り、今度で5個となった。

【質問12】「支援と指導の割合」
現状1.公開授業は、教科が避けられている。発表者のみに負担が掛かり過ぎている。
〇 自主学習・支援:35分。 授業:10分。 内容によって異なる。

                                     以上

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2004-05-11:管理者:
エスペラント伝習所須恵