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待ち合わせの時間である10:00に新白河駅へ降り立ったのは自分を入れて6人。Little tunaさん、へっとこさん、コギさん、美好さん、えのさん。まあ、飲み屋でお馴染みの面々である。 駅前でバイクを組み立てているとコギさんが早々に異常を訴えた。組上がったバイクから聞こえる妙な異音、どうもフロントブレーキがリムに当たってしまっているようである。フロントフォークをよく見るとブレーキ台座の右側に亀裂が入っていていてなんとも今にも取れそう。コギさんは駅の側にあったコンビニで瞬間接着剤を仕入れ亀裂を自分で修復していた。なんとも波乱含みな出だしであるけど、氏のパーツ破壊歴を考えれば我々は「またか」と妙に納得していた。普通なら壊れないんだろうなあ、きっと。 甲子峠への入口となる「鎌房林道」を目指して登り基調の国道289号を行く。しばらく走り続け川谷に近づくと雪割橋の案内がある。この雪割橋、ツーリングマップルによれば「雪割橋からは迫力の絶景」なんて書かれてたけど、橋の左右にはクリアーパネルで覆われていて風情もなにもあったもんじゃない。しかし橋の真ん中まで歩いて下に目を向ければ、目も眩みそうな渓谷がそこに拡がっている。今までかいた汗も冷や汗に変わりそうな感じ、クリアーパネルはこのためか。 雪割橋の情景はこちら 雪割橋を渡ると道は二股に別れ、ここは熊供養塔のある左側に進んで由井ヶ原へ出る。高原状の農耕地が拡がりノンビリとしたムードも漂うが、困ったことに鎌房林道の入口がなかなか見つからない。通り過ぎたのか、はたまた道を間違えたのか。コギさんは来た道を戻って鎌房林道の入口らしき場所を探し当ててくるが、そこには一目で分からないような小さな看板が立っていた。その上えらく小さな文字で「下郷detour」と看板に書かれている。「detour」って一体? 「detour」という意味について、あ〜でもない、こ〜でもないと議論する面々。この時はとりあえず下郷には行けるのだろうと判断したが、後日調べてみれば「detour」は「迂回路」という意。ただでさえ見逃しやすい小さな看板にパッと見でようワカラン案内、考えれば考えるほど悪意のようなものを感じざる得ない。 |
道は舗装から拳大の石や岩が目立つダートへと変わり甲子林道まで道は良くならない、いや非道くなる一方である。MTB組でさえ乗車と押しを繰り返すほどで、私のバイクには 700×30Cのシクロクロス用タイヤを履かせているけどこれでも役不足の感が否めず甲子峠までの行程をほとんど押す形となった。 「下郷detour」の看板が標高約700m前後だから甲子峠の1,380mまでは700m近い登り。岩でガレているとはいえ距離にして18kmもないしカローラ※1も通るような所だから2〜3時間で着くと思っていた。しかしそんなムシのいい話が有る訳も無く、岩に脚をとられることもあって思うようにペースが上がらない。序盤は冗談を言えるような余裕もあったが、西部林道分岐で休憩した時には口数も減っていた。 砂利、というような生やさしいレベルではなく大小取り混ぜた岩がゴロゴロしている「岩場」。あるホームページでは「握り拳大の砂利道」※2と表現していて、実に上手く表現したモノだと感心してしまったが、この状況には悲壮感が募る一方だ。みんな黙々と登っているけど、その時の心情は察するに余りある。「誰が甲子峠へ行こうなんて言ったんや」、そんな心の声に「スミマセン、私です」と肩身は狭い。 ※1:鎌房林道を進んでいる途中ですれ違った車の中にカローラの姿が。先へ行ったきり帰ってこないところを見て「甲子峠を無事通過できたんだ」なんて思っていたが、今考えると恐らく西部林道の分岐で二岐温泉方面へ抜けたようである。 ※2:「握り拳大の砂利道」とは蓑上氏製作のホームページ「峠と旅」の「甲子峠」上で紹介された一語。実に的確な表現であるが、もし行く前にこのページを見たとしてもこの言葉に含まれる本当の意味は想像できなかったと思う。 蓑上氏製作「峠と旅」のアドレスは:http://www.fsinet.or.jp/~minoue/tohge.htm |
ゲートのある鎌房林道終点に着いたのは陽も少し傾きかけてきた17時未明。流石にこの時間では宿を取った針生へ18時に着くなんてのは絶望的、それどころか20時到着でも危うい。加えて我々自身、暑さと疲労で身体がやられてしまっている。そこで甲子峠を越えた後は会津田島か何処かにバイクをデポし、タクシーで針生に移動しようかと話がまとまった。 休憩している鎌房林道終点からこの先は甲子林道と名前を変え、路面もよく締まった赤土に変わる。これなら当然乗車していける訳で、標高1,300m付近の稜線沿いに甲子峠目指し走っていく。空は薄暗くなりはじめ霧も出ていたが、稜線から見た展望は水墨画を思わせるほどの風景を見せる。そして待望の甲子峠への到着。 峠に着いたのは18時も過ぎた頃。峠からの展望は会津側がチョットだけで、脇に延びる大白森登山道からじゃないと展望は楽しめそうにない。大体、今の我々に展望を堪能する時間も余韻に浸る時間も残っている訳がない。記念撮影だけを済ませた後は夕暮れの中での下りがはじまる。舗装とダートを繰り返す路面では否が応でも慎重に為らざるを得ず、特に道が木々に覆われるような所では暗さも増してくるので余計だ。早く舗装路のある所まで下りたいと気持ちも焦るが、事故を起こしては元も項もない。 やがて道はセンターラインの引かれた舗装路になると一安心。取り敢えずここまでは順調だが、こんな時こそクリティカルな事象は待ち受けているものである。それは道路工事の現場を過ぎた辺りで私に起きた。段差のようなものに乗り上げ身体に衝撃が伝わったあとの後輪振れ、何もこんな時にパンクなんか起こらんでも。 修理に要した時間は15分位だったと思うが、この間に辺りは完全に真っ暗になっていた。街灯が無いのは勿論だが誘蛾灯になるのを嫌ってか民家も灯りが漏れないようカーテンを閉めたままになっている。県道389号で会津田島を目指しうっすらと見える白線を頼りに進んでいくが、突然、フッと方向感覚が無くなる感じは何とも言えない恐怖を呼び起こす。この状況は乗り手の精神を激しく消耗させ、結構な距離を走ったつもりが数kmしか進んでいないと言う現実も一層の疲労を呼んだ。 県道の分岐で道の確認と休憩をしていると、目の前にある何やらチンマリした建物が目に入る。暗がりのなか目を凝らしてよく見てみると・・・「アレッ?ここ駅じゃん!」。そう、ここは会津鉄道の養鱒公園駅であった。しかし「この時間に汽車は来ないよなあ」と、恐る恐る中に入って時刻表を見ると・・・「スグ来るじゃん!」。何という幸運。ここでの顛末は省略するが、ワンマン列車の運転手さんの厚意で何とか会津田島まで無事に辿り着くことができた。 後は針生にある宿までタクシーで行けばよい。と、安堵に包まれれば次に欲するのは酒だが、会津の夜は更けるのが早く辺りを見回しても開いている酒屋が見当たらない。仕方なく酒屋を目指して夜の田島を徘徊する へっとこさん、えのさん、そして私の三人。バラバラに探していたのに気が付けば同じ酒屋に到達するという恐るべき嗅覚には恐れ入る。これも酒に対する愛情(執着ともいう)が為せる技であろうか。 へっとこさん、えのさん、私の三人が田島の街を徘徊する頃、会津田島の駅前には @nifty FCYCLETフォーラムの各面々が集まっていた。聞けば彼ら、東京から北海道の函館まで自走で行くそうで、ここ田島は一日目の宿になっているという。これを聞いて「(何もこんな暑い時期に行かんでも)」と呆れたが、逆に彼らにしてみれば「(わざわざ甲子峠なんか行かんでも)」と呆れ返ってるのだろう。 全く、どっちもどっちな話である。 |
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駒止湿原での散策後は、湿原と峠の茶屋の間にある玉川林道を使い「冷湖の冷泉」へと向かう。小石が多いものの道はよくしまったダートで走りやすい。所々にある車の轍にタイヤもとられるが、MTB組は前日の鬱憤を晴らすかのようなスピードで下っていく。 Little tunaさんお薦めの「冷湖の冷泉」。その名前に違わぬ冷たさに思わず取った行動と言えばお飲物を冷やすこと、5分も入れておけばキンキンである。ここまで冷たいなら次にやることはソーメンしかない。茹で上がったソーメンを冷泉で揉むと締まっていく感じが手に取るように解るのは驚きだ。冷やしたツユと一緒に食すとソーメンはその喉ごしといい冷たさといいまさに絶品、夏の間だけの至福の一瞬である。 後は会津田島に戻るだけなのだが、その前にもう一仕事残っていることをスッカリ忘れていた。それは「舟鼻峠」への登りである。玉川林道を下りきり国道401号で昭和村方面に向かう一行だが会津田島へと続く国道400号に出た時にはバテバテになってしまった。やはり昼食で飛ばしすぎてしまったのか。 チョット休憩。と思いきや、往来に座り込んで鼾をかくのは えのさん、へっとこさん。「しょうがねえなあ」と言いながらも往来で横になって鼾をかく コギさん、Little tunaさん。そういえば何台かの車がこんな我々の姿を見てUターンしたような気もするが、多分気のせいだろう。 舟鼻峠までの緩やかな勾配すらキツく感じるほどだが、先程の休憩が効いたのだろうがなんとか登っていける。標高も900m近くなると昭和村方面の展望が利いてきて峠道の様相を見せはじめてくる。しかし舟鼻峠に着いてみればそこは国道400号と県道346号の分岐で味気ない峠、しかしここまで来れば後は下っていくだけ、と谷に吸い込まれるかのような道を会津田島まで下っていった。 会津田島駅到着後はノンビリする間もなく飛び乗るように汽車へ。へっとこさんの「秘境駅」という本を肴に反省会は盛り上がったが、酒がなくなると先日の疲労からか誰ともなく鼾をかき出す。しかし往生際が悪い男もいるもので新藤原・鬼怒川温泉・下今市と停車時間が長い駅ではビールを求めて走り回る輩がいた、何を隠そう私である。 |