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思い出すのも腹立たしい場所なのに再訪を決めたのは神経痛のせいだったかもしれない。 |
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まずはこのふざけた案内板を立てたお役人の神経を疑わねばなるまい。 鎌房林道入口「下郷方面DETOUR」の案内板 国土交通省か、はたまた営林署か役場か、どこの仕事かは解らぬけれど、会津下郷への迂回路に「下郷方面DETOUR」なんて普通書くか?。未だ開通していない国道289号を棚に上げて役人は余程この林道を通らせたくとみえる。前回の時はこの入口がわからずに誤って別の道を進んでしまい到着時間の遅れを招いた原因の一つにもなったほどだ。 だが通行に覚悟の必要な林道であることも事実なのである。オフロードのオートバイすら難儀する鎌房林道に入ってしまえば甲子峠まではほとんどが押し、バイクがお荷物でしかないことを承知した上で再訪するなんざ物好き以外の何者でもない。 700Cサイズの前輪すら引っかかるほど岩場の連続、その中を押す、ひたすら押す。バイクやってるというよりはトレッキングの様相を見せてきたぞ。 |
二度目ともなると前回気が付かなかったことも目に付くようになる。 それは鎌房林道に散見される小規模な土石流の傷痕、一昨々日に降った雨の影響なのか23km付近は顕著にそれが現れていた。ここ一カ所だけならまだいいが要所要所で見られるのは困りもの。そういえば西部林道分岐ですれ違ったセダンがすごすごと引き返してきたのを見て「なんだ?」と首を傾げていたが、なるほど、確かに乗用車じゃこの崩落箇所は越えられそうもない。 土石流と崩落の痕 砂地の鎌房林道と粘土質の甲子林道は「土が水に溶けやすい」のだと思う。それは土石流の跡からも明白で、そのメカニズムは多分こうだ。 1.雨が降ると轍に水がたまり川のように流れ落ちる 2.表面の土が溶け出し、地中の岩が剥き出しになる 3.剥き出しになった岩と溶けた土が流れ出す、いわゆる小規模な土石流の発生 4.土石流で転げ落ちた岩が地面に堆積する こう実感したとき、雨が降った時の鎌房林道と甲子林道がとてつもなく危険だと身を震わした。ヘタをしたら四輪駆動車でもスタックしかねない状況、いやガケ側なら最悪滑落の危険すらでてくる。それはバイクにとっても同じこと、先日に雨が降ったことを考えればとてもじゃないがガケ側は歩けない。紅葉で景色だけは良いのに。 鎌房林道の紅葉 |
鎌房林道・甲子林道ゲートの手前1〜2kmも怖かったが、ゲートを越えて甲子林道に入ってからはもっと怖かった。湧き水の流れる箇所が前回よりも格段に増えていて路面と轍は水浸しの泥だらけ。加えて赤土と粘土を混ぜたような土質なもんだからタイヤが地面にめり込んでいく。 リムまで泥に埋まった時は乗って進むこともできず、とっさに足を着いたものの今度は足首の手前まで沈み込む。慌ててバイクを担ぎ出し足が沈まない所まで歩いていったが今度はスカスカの地面が出現、「崩落するんじゃねえか?」という恐怖心から甲子峠まで脇目もふらずに走りきった。そのおかげか分からぬけど峠に到着してみれば予定より30分も早い 12:30、以前は日暮れで見えなかった展望がそこにある。 ここでようやく自身とバイクが泥だらけなのに気が付いた。タイヤ、リム、ブレーキ、その他至る所に泥を被っていて、さながらケーキのスポンジが生クリームを纏っているような状態。泥が湿った状態では拭いても伸びるだけでキリが無さそうだから、バイクを峠にデポして甲子山行きの準備を始めた。 前回より疲労の度合いは少ないが、この甲子山登山道を登らされるかと思うと気を失いそうになる。実際登ってみても相当な急坂で、ストック無しでは木や岩にしがみつきながらじゃないと登っていけない。気温も10℃を下回っているというのに既にインナーは汗でグッショリだ。 一つ目のピークに差し掛かる直前に甲子峠の方を振り向くと今まで登ってきた甲子林道が目に飛び込んでくる。こうやって見ると感慨深いものがあるが、いつ通行不能になってもおかしくない林道でこれだけの景色を見せるとというのも皮肉な話だ。 甲子山からの展望 |
一つ目のピークを過ぎると猿ヶ鼻と新甲子温泉へ続く歩道に出るが、甲子山々頂は更にこの先にある。しかし二つ目のピークに差し掛かった時は息も続かずペースもボロボロ、休みと登坂を繰り返すも山頂に着いた時には予定を30分も上回っていた。 江戸時代の白河藩々主、松平定信が絶賛した甲子山とその山頂は強風吹き荒れる分水嶺、群生する木々と草が周りの景色を覆い隠している。夏なら「分水嶺の風を」と休憩したいところだが、この気温ではとても長居できそうもない。 休憩もそぞろに、行き以上の時間を掛けて甲子峠へ戻ってきた時には肩で息を整えなければならない程の状態だ。両足に重さを感じながらバイクにこびり付いている泥を全て落とし、日暮れまでに会津田島へ戻るべく会津の谷底へと下っていく。 峠からは舗装とダートの繰り返しでスピードは出せないが、おかげで視線の先に拡がる会津の紅葉が嫌でも目に入ってくる。赤、黄、緑の組み合わせは実に見事だが、目と耳と鼻から色んな情報が同時に得られるのはバイクだけの特権だろう。 会津鉄道の会津田島駅に到着したのは 16:00を回った頃。急げば 16:26発の汽車に間に合ったかもしれないが、駅舎には紅葉を楽しんだ多くのハイカーで溢れていてバイクを持ち込むのは難しそうだった。次の汽車は 17:15と一時間以上待つことになるが、それまでに長い帰路で必要なだけの反省材料を仕入れねば。酒が足りなかったことも前回の反省点だしね。 |