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真名子から無名の峠へと続く峠道安藤峠は羽鳥湖近くの大平から二幣地や東山温泉とを結ぶ黒沢林道上の峠だが、東京からの日帰りでこの峠を攻めようとするとなかなか難しい。 なにせ起点になりそうな駅が、東北本線の須賀川駅・新白河駅、それに会津鉄道の会津若松駅・広田駅・湯野上温泉くらいしかなく、昨年度のダイヤでは出発時刻を早く設定することができなかったからだ。 そこで日照時間も考慮して新白河から西武林道を経由し一泊の予定でじっくり時間をかけて安藤峠を目指そうとしたのが昨年の11月である・・・が、到着した新白河駅で待っていたのは視界をも遮るほどの猛吹雪だった。 少量の雪くらいならまだしも「(これはちょっとヤバイか)」との思いが過ぎったほど。そんな折り、今日泊まる予定の宿の主人から携帯電話に「昨晩からの吹雪で宿の軒先にも20cm位積もってて、車もチェーンが無いと無理だから今日は中止した方が良いよ」と連絡が。※宿の主人へは自転車で行くと予約時に伝えていた 正直「(標高900mの宿で積雪20cm?マジかぁ?)」と耳を疑ったが、駅前ですらこんな状況だったのだから信じざるを得なかった。流石にこれは死にに行くようなもんだと素直に宿の忠告を聞き入れその日のツーリングは中止と相成った。※ちなみにその翌週「大河原峠」へ その一件から早半年。今年はなんだかんだと忙しくツーリングに時間を割くことが出来なかったのだが、久々に自由になれる時間が「一日」だけとれることとなり安藤峠への日帰りツーリングを企画する。しかしルートは昨年予定していた「西武林道〜黒沢林道〜安藤峠」※行程の半分位が押しというハードなものではなくオンロードを適度に織り交ぜたものに変更、走り込んでない自分にとってはこれ位がやっとだろう。 |
羽鳥湖(羽鳥ダム)うっすらと晴れ間が覗く程度の中、08:30頃に新白河駅を出発し県道37号を使って目指すのは西郷村と天栄村の境にある「無名の峠」。県道から遠くに見える白河布引山が新緑に溢れ峠道への期待を膨らませる。 水田と集落が暫く続き真名子を過ぎた辺りから緑に覆われた峠道へと雰囲気を変える。しかし標高を稼いでも展望は峠近くまで窺うことができずフラストレーションは溜まる。 加えてオンロードのオートバイがパーティで騒音と共に上がってくるのも鬱陶しい。峠の先には羽鳥湖があるから国道を避けるライダーはこの道を選ぶのかもしれないがシーズン中は相当込み合いそうだ。 九十九折れが切れると何故かアップダウンが出現、その先には天栄村の標識。なるほど、ここが西郷村と天栄村の境にある「無名の峠」になる訳か。展望が無いのは残念だが道の脇には電力塔を整備するための歩道があり、そこで休憩することは可能だ。 峠からは路面状態良く快適な下りが羽鳥湖まで続く。地図上で見ると県道は羽鳥湖と併走しているように見えるが、実際は高度を200mほど落としあたりでようやく湖面が見える程度。ここら辺は「羽鳥湖高原レジーナの森」入り口に設置されていた案内板と随分食い違っている。 羽鳥湖からは一度国道118号に出て大平橋まで下る。大平橋からは県道237号を使用するのだがが、少し進んだ先に赤沢橋※大変小さいがあり、そこを左折すると黒沢の集落、そして黒沢林道へと続く。ここら辺りは標識や目印が特に無いため迷走しやすく注意が必要だ。赤沢橋を見逃したらそのまま馬入峠を経て猪苗代湖に出てしまうかもしれない。 |
黒沢林道の峠手前で撮影赤沢橋を渡って少し進むと次は黒沢橋があり、その眼下には「明神滝」が音を響かせている。黒沢林道に入る前の休憩場所としてなかなか良さそうな場所だと思ったが、河原へは簡単に降りられそうもなく上から見下ろすのがやっと、ここは先を進むしかないか。 黒沢の集落までは2車線の立派な舗装が敷いてあったが、それが突然1車線強にしぼみ路面がダートに激変する。見た目にも分かりやすいが、黒沢林道の天栄村側起点に着いたようだ。 黒沢林道起点とその路面の写真はこちら 熊笹で覆われた林道はすぐ石と岩でゴロゴロの路面になる。それに岩盤が剥き出しの箇所もあってバイクでの乗車は非常に困難だ。 「甲子・鎌房林道並み」と言えばその酷さは分かってもらえるかもしれないが、そんな道でも乗用車や軽自動車が間々降りてくるから驚きである。バンパーやドアの下部は傷だらけだしシャーシを擦ったのかナンバープレートなんかもボロボロ、故意か他意かは知らないがよくやるよなぁ。 時折、熊笹の奥の方から「チリーン、チリーン」と熊除けの鈴が聞こえてくる時がある。山菜採り?、と朧気に思っていたが林道で出会い頭になったオバちゃん達と話をしてみると、ここら辺は竹の子取りが盛んなのだそうだ。さらに今の時期は刺身で食べられるような「新竹の子」が採れるとのことで山に入っていく人が特に多いらしい。オバちゃんは話のタネにと竹の子をカゴから取り出し、素早く皮を剥いてご馳走してくれた。長さにすれば10cmにも満たないけど、エグ味もなくスッキリとした味わい。 それを食べながら「(ははぁ、さっきすれ違った乗用車や軽自動車は竹の子採りに来たオッちゃん・オバちゃん達なのか)」、と妙に納得した。一方オバちゃんらは、自転車でこんなトコロに来る奴の方が珍しいらしく、檻の中に入れらた動物園のパンダを見るかのごとく此方を舐め回すように見ていた。 |
安藤峠から二幣地へ下る途中黒沢から押し上げること暫く、標高1000m辺りからはうっすらと西郷村方面の展望が窺えるようになり、それを背にしながら安藤峠を目指すこととなる。峠の手前では路面・勾配ともキツかったが、距離にしてみれば6km程度しかないんだから根を上げるような辛さは感じない。 すると何故かこの林道には不釣り合いな真新しい標識が出現、その裏に回ってよく見れば「天栄村」の文字が書かれている。どうもここが安藤峠のようだ。ものの史実によれば会津藩の関守の任に就いたのが安藤氏だと言うことでここを「安藤峠」と名付けたそうだが、会津の峠は会津藩の歴史に関わっている事が多く興味深いものがある。 峠の先はすぐ下りとなるが、深い轍と剥き出しの岩が九十九折れの区間は続きタイヤが左右にズルズルっと滑っていく。路面の振動もかなりあってブレーキを握る手も痛くなるが、制動力のあるブレーキの付いたMTBならここはそれほど気にならないかもしれない。 ノロノロと慎重に高度を100mほど落とすと轍と岩だらけだった路面は砂利状になりバイクのコントロールもしやすくなる。となれば自然と速度も上がり黒沢林道の緑の回廊を走り抜けていくが、ここからダートの切れ目になる二幣地、それと東山温泉までの長い下りの楽しかったこと。この区間を走るだけでも苦労して登った甲斐があるってもんだ。 東山ダムを過ぎ東山温泉に到着したのが13:30頃。ツーリングマップルには「大半の宿は立ち寄り湯不可」と書かれていたためダメかと半ば諦めていたが、東山温泉の入り口に「入浴のみも可」と書かれた看板のある宿がすんなり見つかり風呂にありつく事ができた。東山温泉からなら会津若松駅まではもう目の前だし風呂上がりに走ったとしても汗もそれほどかかずに辿り着くことが可能で、結局、会津若松駅に到着したのが15:10頃と結構早く到着してしまった。 ふつう会津若松から東京に帰るには磐越西線と東北本線を乗り継ぐのが時間的にも最短なのだろうが、今日は会津鉄道と野岩鉄道を乗り継ぎ浅草まで輪行する気でいた。会津若松から浅草までの所要時間は約5時間、尻も痛いが何よりも道中の「お供」をどう確保するかが非常に重要になる。 駅側にある生鮮食品のスーパーで酒とツマミを慎重に選んで会津鉄道に乗り込めばここからは汽車の旅、併走する大戸岳を見ながら一人反省会へと突入した。 |