テニス関連書

テニスに関する本というと、テニスがうまくなるためのガイドブックの類いか、入門書の類いばかりであるのだが、テニスを題材とした小説とか、ノンフィクションとかでも面白い本が多少はあったりする。
ここでは、そういった本をコツコツと拾い集めていこうと思っている。


テニスボーイの憂鬱(上下)
村上龍
集英社文庫

 テニスを題材にした小説を読んでみたかったのだけれど、ぜんぜん面白くなかった。まったく僕の好みにあわない小説だったのだ。ひたすら四文字言葉が乱発されるし。巻末の解説には「いうまでもなく、この作品は、三浦雅士の云う「メランコリーの水脈」に属する戦后文学のもっともみのり多い部分に属する。と共に、「スポーツの人類学」の魅惑的なテキストにもなっていることを申し添えておこう。」とのことだが、何を言っているのか僕にはまったく理解できない。

 うーん、面白い本をとりあげるつもりが、しょっぱなが詰まらなかった本ていうのも…。
ウィンブルドン
ラッセル・ブラッドン
新潮文庫

 息子に読ませるつもりで買ってきて、けっきょく自分が読んでしまった。再読であるが、以前に読んだのは1983年である。ひゃあ、20年以上前のことだよ。その前後に読んだ本のタイトルを見ると、ひたすら冒険小説やらSFやらを読んでいる。
 それにしても『ウィンブルドン』、いま読んでもぜんぜん色褪せていない。面白い。ソ連出身のテニスプレイヤー、ツァラプキンのキャラクターがとにかく素晴らしくて、サスペンス仕立てにせずとも充分に楽しめるテニス小説に仕上がっていたと思わずにいられない。というか、テニス描写の素晴らしさに比較して、サスペンス描写の方はやや物足りないのだ。
 次の日曜日がウィンブルドン男子シングルの決勝戦なのだけれど、小説と本物のゲームとどちらが面白いだろうか?
 いまからでも、誰かこの小説を映画化しないかなあ。
サーブ&ボレーはなぜ消えたのか テニスに観る時代の欲望
武田 薫
ベースボール・マガジン社新書

 大会の終わったウィンブルドンの芝は、現在は「三」という形になっている。真ん中の横棒がネットで、上下の横棒がそれぞれのベースライン。つまり、相対した選手はベースラインに沿って左右に走り回って、そこのところの芝生だけがはげ落ちてしまうのだ。
 ところが、ほんのちょっと前の大会では違っていた。すべてのゲームが終わったウィンブルドンの芝は「王」という文字の形に芝が削り取られていた。つまり、サーブを打つなりネットにむかってダッシュする「サーブ&ボレー」を採用する選手が多かったので、ベースラインからネットに向かってタテの線も描かれていたのだ。
 つまり、かつては多く見られた「サーブ&ボレー」がいまではまったく見られない。それはなぜなのだろうか?
 その謎を追って、テニスの歴史をそもそもの最初から現在のフェデラーまで解説したのが本書であるのだけれど、なぜ「サーブ&ボレー」が消えたのかという肝心の部分の回答がすっきりしない。なんだか、謎の提出は魅力的なんだけれど、解決篇がごちゃごちゃしていてすっきりしない謎解きミステリー小説を読まされたような気分だ。
 初期のテニスを解説している部分なんかは、けっこう面白い蘊蓄がたっぷりなんだけどねえ。
二つのファイナル・マッチ 伊達公子、神尾米、最後の一年
佐藤純朗
扶桑社

 プロテニス選手、伊達公子と神尾米の引退前の1年間を追ったノンフィクション。国際的な大会におけるゲームの描写が迫真で、ドキドキさせられてしまう。また、ゲームの機微をきっちり説明つきでレポートしているので、テニスというゲームの奥深さもしっかりと伝わってくる。本当にほんのちょっとしたことでゲームの流れが変わってしまうということもよく分かった。メンタルな部分の大きさもよく分かった。トップクラスのプロテニス選手の生活というのもよく分かった。いやはや、ハードな世界なのだ。
 というわけで、本書はテニスを題材としたドキュメンタリーとして、むちゃくちゃ面白い1冊であった。こういう本をもっともっと読みたいのだけれど、テニス関連の本てあまりないんだよなあ。
 たとえば、マリア・シャレポワの1年間を密着取材したノンフィクションとかがあったら、すっごく面白いんだと思う。ああ、こういう本をもっともっと読みたいぞ。
晴れのちテニス 伊達公子のプロツアー転戦記
伊達公子
日本文化出版

 上記の「二つのファイナル・マッチ」が伊達公子の引退前の最後の1年間の記録なら、こちらは伊達公子デビューの年から4年間の記録。伊達公子が自分で書いて「テニスクラシック」に連載したもの。
 プロテニスプレイヤーの生活というものが、いかに忙しいものであるのかが実によく分かる。世界中のあちこちで年がら年中、テニスの大会があって、それでそれなりの成績を残していかないと、大きな大会に出る資格を得ることができなかったり、予選から勝ち進まなければならなかったりするのだ。結果、どこかしら怪我をしたりして、必ずしもいい状態で試合に望めなくなったりする選手が多くなったりするわけだ。デビューした直後の伊達公子も、肩を痛めたり、脚を痛めたり、さんざん体の不調に泣かされている。
 また、プロの選手であっても、その時その時で、プレイの出来にいろいろと波があるのだなということがよく分かる。プロともなれば、もっと安定しているのかと思っていたのだけれど、実に実に微妙な世界なのだ。
しゃにむにGO
羅川真里茂
白泉社 花とゆめコミックス

いま、いちばん気に入っているテニスマンガ。もともと陸上ジュニアのホープと目されていた主人公が、ひょんな動機から高校でテニス部に入ってしまい、そこで出会った仲間たちとともに、才能を開花させていく物語。
なぜか、何度繰り返し読んでも飽きない。
いまも「花とゆめ」に連載中で、単行本は2008年1月現在、第27巻まで出ている。
以下は今後とりあげる予定の本
       青が散る(上)
青が散る(下)
宮本輝
文春文庫

昔読んでそれっきりなので、今度機会を見つけて再読する予定。
やわらかなボール
上前 淳一郎
文藝春秋

ずっと探しているのだけれど、なかなか見つからない。いまに手に入れて読む予定。
さらば麗しきウィンブルドン
深田 祐介
中央公論社

いずれ見つけて読む予定。
熱風
福田 隆浩
講談社

テニスを題材にした児童文学のようです。なかなか面白そう。