バリトンサックスを買う?!
| ●それでもバリサク欲しいですか? 日本全国のバリトンサックス吹きのほとんどの人がおそらく吹奏楽なりビッグバンドなりに所属しているのでしょう。 バリトンサックスは値段が高いし場所もかさばるので個人所有は難しく、そのためバンドや学校が所有している楽器を吹いているという人がほとんどかと思われます。 が、やっぱり自分専用の楽器が欲しいって思う人はたくさんいるはずです。 現に自分も買っちゃった人間ですし、わたくしのまわりにも大金を叩いてバリサクを買っちゃったって言う人があとをたたないです。 そこで、世界中のバリトンサックスを製造している(製造していた)メーカーを調べてみましょう。 (値段は2001年現在のものです。) |
| 表の見方 | ||
| 型番 | 主な装備 | \\お値段\\ |
| YAMAHA (ヤマハ・日本) 国内最王手の楽器メーカーです。 とりあえず日本中の学校に置いてあるバリトンのほとんどがこのヤマハ製のものと思われます。 ラインナップは二種類。 通称「インペリアルモデル」とよばれるYBS-41と「プロモデル」と呼ばれるYBS-62。 二種類の違いは、フラジオを使わずに高いF#の音を出すことのできるHighF#キーの有無と、ベルの部分が溶接によるものか一枚取りになっているかなどなど。 ちなみにわたくしもこのヤマハ製のバリサクを愛用しています。(YBS-62) 1996年にマイナーチェンジが施され、座奏用の脚が付けられ吹奏楽の女の子たちは好評のようですが、逆にジャズ系の男どもからは軟派な装備を付けられ見た目も悪くなったので現在は敬遠されがちなのが少し残念。(写真参考) 中古でもそれなりに数は出回っており楽器としても良い出来です。 とりあえずおすすめの一本。 なお、ヤマハのサックスには「カスタム」と呼ばれる最上級モデルがソプラノ・アルト・テナーにはラインナップされていますが、なぜかバリトンにはカスタムの設定がありません。 まあ、需要が無いからと言えばそれまでなんですがバリトン迫害の歴史の縮図がこんなところにも現れています。 |
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日本国内ではどこに行っても見ることのできるヤマハの楽器。 左の写真はYBS62IIです。
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| SELMER (セルマー・フランス) 世界最王手のサックスメーカーです。 セルマーにあらずはサックスにあらずという風潮が世界中、とくに日本では強いです。 とりあえず、値段はそれなりに高いです。 が、これさえ持っていればどこへ行っても安心という一つのステータスにもなるサックス。 バリサクのラインナップは現行モデル一種類と少ないですが、同じモデルでも「ゴールド」「シルバー」「サテン」に彫刻の有無などバリエーションは豊富です。 ただ、国産バリトンサックスに慣れてしまったわたくしにはどうもこの舶来モノの楽器は右手の薬指の位置が遠すぎて吹きにくいんですが。 自分、他の人より多少は手が大きいんですがね、フランス人はもっと大きい手をしているのでしょうか? まあ、慣れの問題なんでしょうね。 なお有名な話ですがこのセルマーというメーカー、1970年代まではアメリカでもサックスの生産をしており、特にジャズ系のサックス吹きからはアメリカンセルマー、略して「アメセル」と呼ばれ神がかり的な信仰をされています。 当然、アメセルのバリサクなんていったらモノの数が少ないためものすごく高額な値段が付けられていることが多いです。 また、アメセルの中にも楽器としての程度は悪く、それなのに高額で販売されているものもあります。 これらは通称「駄目セル」と呼びます。 間違っても高い金出して駄目セルを買わないように気をつけてください。 |
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おなじみセルマーのSA80シリーズ2。 それなりの楽器が欲しい人はこれを買うのがベスト。 |
| YANAGISAWA (ヤナギサワ・日本) 日本が世界に誇るサックスの専門メーカー。 前述のヤマハ・セルマーにこのヤナギサワを加えたのが俗に言う「世界三大サックスメーカー」。(通称・御三家) さすが専門メーカーなので、バリトンといえど多彩なラインナップを誇ります。 通常のモデルも入門器・中級器のそれぞれにラッカー・銀メッキ・脚付が選べ、さらには上級用として管体が銅製のブロンズモデル、銀製のシルバーソニックまでと、じつに12種類のバリサクを用意するという気合の入りよう。 いろいろなメカニズムや新機構を取り入れたり常に前進的な研究を行っているメーカーでクオリティもそれなりに高く、とくに個人用で購入するならコストパフォーマンス重視でこのヤナギサワのバリサクを購入する人がけっこう多いような気がします。 かなりお勧めのメーカーです。 しかしながら、シルバーソニックなんて誰が買うの?ってくらい高いけど、よくよくカタログ見たら「受注生産」となってました。そりゃそうだわな。 |
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ブロンズとシルバーの管体の最高級品。 |
| B & S (ビーアンドエス・ドイツ) 旧・東ドイツの楽器メーカー。 かつて西側諸国とはちがった合金で楽器を作っていたためこの会社の楽器は独特の音がするらしいです。 ただ、現在は東西ドイツは統一し昔のような楽器製造はもう行っていないはず。 特徴はドイツならでは(なんのこっちゃ?)の分厚い音をイメージしてもらえればけっこうです。 分厚いわりに楽器自体は良く鳴ります。 あと、フライトケースみたいケースが付属するはずなので持ち運びにも便利。 じつはコストパフォーマンスがかなりいい楽器なんでわたくしの知り合いでも数名がこのB&S製のバリトンを購入しています。 弱点はHighF#キーが付いていないこと。こいつは気にならない人は気にならないけど気になる人には痛すぎる問題です。 この値段ならみんなもうひと頑張りしてヤナギサワのバリサク買っちゃうよなぁ・・・ |
| B1000GL | ラッカー仕上げ | \520,000 |
| B2001GL | ラッカー仕上げ・フットスタンド付 | \620,000 |
| BUFFET CRAMPON (ビュッフェクランポン・フランス) 現在、サックスを製造しているメーカーでもっとも長い歴史を誇るのがこのクランポンという会社。 クラリネットに関してはたぶん一番人気のある会社なんですが、サックスに関してはどちらかと言えば「知る人ぞ知る」といった感じになってます。 それでも、クラシック系のサックス吹きの一部からは絶大な信頼を寄せられており、とくに最高級品である管体が銅製のプレステージというモデル(銅製のため赤く見えるため通称・赤ベル)はカリスマ的な人気を持っています。 自分が以前聴きに行ったサックス四重奏楽団は見事に全員ここの赤ベルで楽器を統一、かと思いきやバリトンだけは赤ベルではなかったんです。 それもそのはず、バリトンの赤ベルは当時\1,400,000なんて値段で売られてたんですよ。これはちょっとやそっとじゃ買える代物じゃありませんね。 さて、その赤ベルも現在は残念ながらアルトのみの販売、バリトンはもちろんのこと、テナーすら製造中止となってます。 せめて受注生産でもいいからカタログに残してほしかったですね、買わないけど。 ヤナギサワは100万円越えの楽器をちゃんとカタログに載せてるんだから。これがサックス専門のメーカーと何でもメーカーの違いなんでしょう。 バリのラインナップは一機種のみ。バリサク吹きとしてはちょっとさびしいです。 |
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古いカタログからスキャンした今は無きPrestigeのバリトン。 ちょっと分かりにくいかもしれないけど赤ベルです。 1996年当時の値段で140万円! |
| JULIUS KEILWERTH (カイルベルス・ドイツ) ドイツを代表するサックスメーカー。人によって呼び方がカイルベルトだったりカールワースだったりします。 ドイツ語に詳しくないんでとりあえずここでは一般的に呼ばれているカイルベルスという呼び方にしました。 さてこの会社の楽器、わたくしはアルトとテナーしか吹いたことがないんですが、さすがドイツの工業製品。 精密でそれでいて頑強な作り。 重厚で質実剛健ないかにもゲルマン魂のマイスターが作りましたといった感じでした。 音程もとりやすく音色には芯がある、人とはちょっと違ったサックスを吹きたいという人にはお勧めです。 ベンツ・BMW・ポルシェをつくった国の楽器ですからね。 が、実はこの話は一昔前のこと。 東西ドイツが分裂していた頃はゲルマン職人たちが作った楽器を売っていたんですが、いまのカイルベルスは前述のビュッフェ・クランポン社とともにイギリスのブージー&ホークス社(べッソンなんかでおなじみ)の傘下に入ってしまったんです。 だから基本的にはクランポンのサックスとそんなに大差ないはず。 どうしてもゲルマンなバリサク吹きたいという人は楽器屋さんで中古を探してみるしかないです。 シリアルの刻印が「MADE IN WEST GERMANY」になっているのがゲルマン魂なカイルベルスのサックスです。 |
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この写真だけでは分かりにくいかな? ベルが少し大きく肉厚なのが特徴。 |
| C.G.CONN (コーン・アメリカ) かつて1945年頃までは世界でもっとも優れたサックスメーカーとして人気のあった会社です。が・・・・現在は残念ながらアメリカで学校教材用にサックスを作っている程度のメーカーになり下がってます。 現在の日本にコーンのサックスが新品で入ってくるなんてのは極めて稀だし好き好んで買う人も見たことは無いです。 さて、それほどの大メーカーがなぜここまで落ちぶれたかというと、ひとえに企業努力が足りなかったということ。 比較的サックスという楽器は歴史が浅いので製造会社はいつもいつも新たな技術を投入してサックスを進化させてきたんです。 1900年代の初頭、当時は新鋭だったセルマーはこうした努力を着々と行い現在の地位を築き上げ、対して当時大会社だったコーンはその努力を怠った。 ユーザーを舐めてはいけないという典型的な例ですね。 それでも現在のコーンには魅力は無くとも、かつてのトップメーカーだった頃のコーンのサックスには今でも根強いファンが多いです。 しかもバリトンサックスにおいては、あのジェリー・マリガンがこのコーンのバリサクを使用していましたからね。 ちなみにマリガンの使っていた楽器は今ではあまり見ることのない最低音がBbのバリサク。 もしマリガンにあこがれて同じ楽器を購入しても一番低い”ラ”の音は出せないからアンサンブルでは使えない事が多いですよ。 |
| 82M | 特になし | \680,000 |
| JUPITER (ジュピター・台湾) 安いです。おかげで世界中の学校用教材として納品されてるという実績があります。 実を言うとわたくしの母校の高校にもこのジュピターのバリサクが備品として置いてあったため、自分が一番最初に吹いたサックスがこれなんです。 一昔前ならば「安かろう、悪かろう」で片付けられた楽器なんですが、話を聞くと最近ではかなり楽器の質も向上していて侮れないとか言うことらしいです。 安物の国産を買うくらいならばおもいきってこれを買うってのも手かもしれないですね。 ただし、サックス吹きたちの間では依然として「台湾製?」と聞いただけでバカにする風潮があるということをくれぐれも肝に銘じておいてほしいです。 |
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ジュピターの最高級モデル。 銀メッキ製でこの値段ならお買い得? |
| L.A.Sax (エルエー・アメリカ) アメリカの新進気鋭のサックスメーカー。 マーブル模様のカラフルなサックスとか、ストレートのアルトやテナーなんかを製造しているのでゲテモノサックスかと思われがちです。 バリトンサックスでももちろん、お得意のマーブルカラーのものをラインナップ。 アルトやテナーは見たことがあってもバリトンはなかなかお目にかかる機会はほとんどないですけど。 使っているという人にもお会いしたことはありません。 バリトンサックスを扱っているお店を見たことが無いので日本円での価格はちょっと判らなかったんです。 手持ちのカタログにもストレートテナーは載っていてもバリトンサックスは載ってないですし。 ネットで調べたかぎりマーブル模様のバリが5300ドルとのこと。 まあそんなもんですかね。 楽器メーカとしては賛否両論はあるとは思うのですが、実はこのL.A.社は世界でも数少ない「コントラバスサックス」を製造しているメーカーなんです。 気になるコントラバスのお値段のほうは$39,000とのこと。 ちなみにコントラバスにはマーブル模様のモデルは無いみたいです。 ちょっと残念。 |
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ちまたで噂のマーブル模様サックス。 これを人前で吹くには勇気がいるなぁ (LA-900C) |