更新日 2004年02月05日 10:58 am
研究会の情報の抄録等の掲載許可を頂きました

●第7回日本リピドーシス研究会●2001年12月1日(土)

教育講演1

クラッベ病の病態解明・治療への多面的アプローチ

乾幸治(大阪大学医学部小児科)


 クラッベ病はミエリンの主構成脂質であるガラクトシルセレブロシドを分解する リソソーム酵素であるガラクトセレブロシターゼの欠損により、ミエリン形成細胞(オリゴデンドロサイト、シュワン細胞)が障害を受け、脱髄を来す常染色体 劣性の遺伝性脳白質変性症である。

 本疾患の病理学的特徴としては、脱髄、グリオーシスとマクロファージー由来と考えられる白質でのグロボイド細胞の存在で あり、別名グロボイド細胞変性症とも呼ばれる。本疾患のもう一つの特徴として は、他のリソソーム病では酵素欠損の当核基質がリソソームに蓄積するのと異なり、リソソームにはガラクトシルセレブロシドの蓄積が認められず、他の基質で あるガラクトシルスフィンゴシン(サイコシン)が蓄積することである。このサ イコシンが強い細胞障害性があり、ミエリン形成細胞の障害を来し、ガラクトシ ルセレブロシドの蓄積が認められないと考えられている。

 臨床像的には発症年齢の違いにより乳児型から成人型までに分けられる。 乳児型は、生後3−6ヶ月で、発熱、易刺激性、運動発達の停止をきたし、その後、退行、痙攣を来たし、1年以内に死亡する。顔貎、骨変化、肝脾腫はない。 発症年齢が遅くになるにしたがい、運動失調が目立ってくる。成人型では、10−35歳で発症し、知能障害が目立ち、その後、錐体路兆候、視力障害がでてくる。

 日本人では数例の報告があり、主な症状は知能障害、運動障害であった。検査所見で、髄液での蛋白の増加、伝導速度の遅延が認められ、MRIにて、T2 強調画像で脳室周囲、小脳白質、錐体路に一致し高信号域を認め臨床的に疑われる。確定診断は白血球やリンパ球を用い、アイソトープラベルの基質を用い診断 可能である。患者では酵素活性値は正常の10−20%である。

 遺伝子レベルで の解析では基本的には遺伝子変異は多様であるが、日本人4家系の乳児型に認め られた、12塩基欠失し3塩基挿入の変異は乳児型に多い可能性がある。また、G270Dは若年型−成人型に認められ、166Mは成人型に複数認められる変異である。

 治療法は現在のところ対処療法以外ないが、若年型では骨髄移植療法も行われた が、乳児型では効果はない。酵素診断にて、出生前診断も可能である。本疾患に は同じ酵素欠損によるモデルマウスが知られており、このマウスを用いた骨髄移 植療法・遺伝子治療・基質の産生抑制療法が試みられ、延命効果が報告されてお り、サイコシンがどのようなメカニズムでオリゴデンドロサイトなどにアポトー シスを引き起こすことを解明することが治療につながり重要であると考えられる 。

 

前へ<<<
>>>次へ
>>>日本ライソゾーム病研究会TOPへ
1
このサイトの著作権は日本ライソゾーム病研究会に帰属します

http://homepage2.nifty.com/GaucherHouse/index.html/

Copyright (C) Japanese Society for Lysosomal Storage Disorders All rights reserved.