GDW/EVENTS/HIGH-LIGHT
オリオン銀河大戦
(2052〜2070年/デザイン・プロフィール)
GDW世界屈指のハイライトの1つが、このオリオン銀河大戦である。
単に“銀河大戦”と呼ばれる場合も、大抵はこの事件を指すと言っていい。
戦場は主にオリオン腕周辺宙域であるが、大戦の影響はアトラス銀河系全域に及び、
後々にまでその影響を残し続けることになる。
また奇しくも、アーク(地球)文明が宇宙進出を果たす、きっかけになる戦禍でもある。
| EUC2052/ | 銀河大戦勃発 |
| EUC2053/ | 惑星RC666戦役 |
| EUC2055/ | オリオン希宙域会戦 |
| EUC2057/ | スペクタス戦役 |
| EUC2058/ | リドリアス戦役 |
| アトラス・テクトラクタ空爆 | |
| EUC2060/ | オルガナス戦役 |
| EUC2062/ | カリヴェル戦役 |
| EUC2064/ | アトラス連合軍反抗 |
| EUC2066/ | ネヴィル封鎖 |
| EUC2067/ | アーク侵攻 |
| EUC2070/ | アーク解放戦役 |
| 停戦協定への道 |
EUC2052/銀河大戦勃発
現在の時代(数百年の幅で考えて頂きたい)における最大の危機の1つ、
オリオン銀河大戦が勃発した直接のきっかけは、
タイランタ連邦軍がリドリアス宙域の惑星ガロヌにおいて、
正視できないレベルの非道な粛清行為を実施したことであった。

ガロヌの反連邦勢力を駆逐する名目でガロヌに侵攻した連邦軍は、
ガロヌ自治政府の猛反発と反連邦組織の激烈な抵抗を受けた結果、
首都であるガロニアスに破壊的な威力を持つ大型ミサイルの投下を行った。
それはガロヌの反連邦組織の拠点を蒸発させたに留まらず、
ガロニアス都心部を壊滅状態に追い込み、直接の犠牲者だけでも1000万を超えた。
これだけでも十分非難に値する行為であったが、
更にミサイルに搭載されていた生物兵器のカプセルが広範囲に飛散し、
生き残った市民をも、怪物的な容姿を持つミュータント“カーボロイド”へと変えたのだ。
(→ガロヌ粛清変動)
もはやそれは、第1次オリオン危機すらしのぐ非常事態で、
銀河の平和にとっての危機と判断したアトラス連合は、連邦を激しく非難しただけでなく、
事態の収拾と沈静化に際し、アトラス連合の指示を全面的に受け入れるよう要請した。
(それは本来、第1次オリオン危機の段階で、ある程度すべきことだったのだが)
しかし連邦政府は、これをにべもなく突っぱねた。
あまつさえガロヌ粛清によって起きた事態を、連邦が保有する“力”だと宣言し、
「連邦の内情に連合が過剰に介入するのは宣戦布告に等しい」と突き放したのだ。
連邦大総統サラス・エルディモアは言った。
「恐怖による支配をする気はない……しかし、強大なる力に反発する行為は愚かであると教えるべきだ」

更に連邦の“暴走”は続いた。
連邦の影響宙域にクサビのようにはまっているオリオン・センター(連合が統治)に、
非常事態治安維持措置と称して機動艦隊を派遣したのだ。
この越境行為に連合が黙っているはずもない。
連合は直ちにオリオンゲイト・テクトラクタの防衛艦隊を出動させ、
アトラス・テクトラクタからも支援艦隊を派遣させた。
やがて両軍の艦隊は、オリオンゲイト・テクトラクタの近傍宙域で激突。
連邦は連合によるこの“防衛出動”を“宣戦布告”と解釈し、
「タイランタ連邦こそが銀河の盟主に相応しい」と宣言、戦時体制突入を発令した。
ここに、アトラス銀河系2大勢力が正面衝突する、大戦の火蓋が切られたのである。
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EUC2053/惑星RC666戦役
間もなく、連邦の中枢タイタニア・テクトラクタから、
何十もの機動艦隊が出撃し、オリオン腕の各地に散っていた。
とりわけ、オリオン・センターの周囲とグロリアス腕の連合境界宙域には多数の艦隊が派遣され、
その要所で両軍の艦隊同士の交戦が勃発することになった。
しかし、アトラス連合が保有する艦隊には戦艦が少なく、
連邦の機動艦隊に比べて火力が著しく劣っていた。
アトラス連合の防衛艦隊は、原則的に専守防衛の思想で配備されていたためである。
EUC2037年の並行世界で起きたオメガ危機の際に、連合にも新型戦艦が導入されたが、
まだ連邦の戦艦保有数(数万隻)には著しく遅れを取っていた。
このような背景から、オリオン腕からグロリアス腕にかけた各宙域で、連邦は連合の艦隊を退け、
連合に所属する何十という植民惑星を進駐・制圧していった。
しかし連合側もまた、全面的に連邦に押し込まれたわけではなく、
新型戦艦を主力にした艦隊を集中的に派遣して、事態の突破を図った。
(惑星RC666市街戦/工事中)
こうして連合と連邦の機動艦隊同士が激しく衝突した宙域の1つが、
リーヴェアス第666植民惑星、通称“惑星RC666”の軌道上であった。
戦火は軌道上に留まらずRC666の地表にまで及び、
連合軍は1時、RC666の主要都市の1つを掌握するに至ったが、
そこに連邦軍の機動兵団が突入して、大規模な市街戦となった。
この市街戦で、連邦の新型ゼクローム兵団および強化キメラノイド兵団が正式に投入され、
連合軍側は前線を一気に押し戻される結果となった。
連邦軍は連合軍の地上部隊を都市の郊外にまで後退させると、
新開発の生物兵器“エヴィリクス・ミサイル”を放って最終的な掃討を図った。
この結果RC666に進駐した連合軍地上部隊はほぼ一掃されたが、
同時にRC666の住民の1部が巻き込まれて死傷し、
更に生物兵器に侵食されて怪物的な変異を遂げることになったのだ。
(エヴィロイド変異体/工事中)
因みにこの時生まれた後天性ミュータント種族がエヴィロイド・リーヴェアシスで、
理性を維持できた1部の変異体は、後にガロヌのカーボロイドらとも連携して、
草の根の反連邦運動を拡大させていくことになる。
(参考:反連邦連合ATU)
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EUC2055/オリオン希宙域会戦
こうして勃発から数年は、連邦側の攻勢が目立つ時代であった。
アトラス連合はオリオン腕にも幾つかの同盟惑星や植民惑星があったが、
この連邦大攻勢の結果、その7割以上を連邦に制圧されてしまう結果となった。
オリオン・センターも連邦軍に包囲され、オリオンゲイト・テクトラクタはこの年に陥落、
惑星レイオスも事実上の封鎖状態になる。
オリオン腕のほぼ全域を制圧することに成功したタイランタ連邦は、
その勢力を更にグロリアス腕へと拡大させていく。
グロリアス・テクトラクタから出撃した艦隊だけでなく、
オリオン腕側から多数の機動艦隊が出撃し、グロリアス腕の制圧が実施された。
2方からの侵攻を成功されては、アトラス連合の影響力は地に落ちる。
特にオリオン腕からの侵攻を許せば、大軍が一挙にアトラス・テクトラクタ近傍まで押し寄せる。
それだけは何としても避けなければならない。
連合軍は大軍を展開させやすいオリオン腕側に、防御力に優れた防衛艦隊を集結させ、
その前面に高速防衛艦を集めて、機動艦隊との接近戦による侵攻阻止を図った。
長距離決戦砲を保有する主力戦艦をメインとした、連邦機動艦隊の突破を阻止するためである。

こうしてオリオン腕とグロリアス腕の間に海峡のようにまたがる“オリオン希宙域”で、
両軍の何百という艦隊が入り乱れる、激烈な艦隊戦が展開されることになった。
その総参加艦船数、タイランタ連邦側が120艦隊4800隻、
アトラス連合側がペレイラム支援艦隊を含め240艦隊7500隻。
両軍で延べ1万隻を超える艦船が、半径100光年ほどの宙域で数次に渡って衝突、
そのうち1000隻以上が大破ないし沈没し、数艦隊は全滅する激戦となった。
しかしこの決死の抵抗の結果、連邦艦隊のオリオン腕側からの侵攻は実質的に失敗し、
アトラス連合は本丸を落とされ兼ねない危機を脱することになったのである。
連邦側はこの艦隊戦でグロリアス腕への本格侵攻の機会を失ったが、
それでも粘り強くアプローチをかけ続けた。
こうして戦況は、膠着状態へと傾いていく。
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EUC2057/スペクタス戦役
希宙域会戦でグロリアス腕電撃制圧の機会を失った連邦軍だが、
機動艦隊による侵攻作戦は小刻みに行っていた。
まず穴を開けねば、それを拡げることは出来ないからだ。
惑星スペクタスの軌道上で起きた艦隊戦もまた、そうしてグロリアス腕に侵攻した連邦軍と、
これに対抗して奮戦したカリオス連盟艦隊との戦役であった。
金属生命体カリオロイドを盟主とするカリオス連盟は、文明の質は連邦に近かったが、
体制的にはむしろ連合寄りで、実際連合と同盟関係にあった。
新参ではあるが監視者クラスであったカリオロイドが、
連合の新参監視者種族(レイオシス等)と深い関係を築いていたのが主因であろう。
そんなカリオス連盟にとって、連邦のグロリアス腕侵攻は脅威と受け取られた。
折しもグロリアス・テクトラクタ方面における連邦の侵攻が拡大していた時期で、
連合の主力艦隊はカリオス連盟の影響宙域には十分な戦力を裂けない状況にあった。
そこに目をつけた連邦は、文字通り隙間に食い込むように機動艦隊を派遣。
これを阻止したい、カリオス連盟の連合艦隊とぶつかることになった。
連合への支援だけではなく、連邦の侵攻を許せば連盟の体制自体も揺るぎ兼ねなかったからだ。

こうして本格的に大戦に参加することになったカリオス連盟の連合艦隊と、
侵攻してきた連邦の機動艦隊は、惑星スペクタスの軌道上で激突。
希宙域会戦に比べると規模は小さいものの、それでも両軍で100隻を超す艦船が参加し、
沈没した艦船の残骸がスペクタス地表に流星のように降り注ぐ戦火となった。
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EUC2058/リドリアス戦役
カリオス連盟の参戦によって、連邦はいよいよ連合の体制転覆が困難な状況になった。
しかし連邦には幾つかの切り札があった。
それは当時研究開発中の新兵器を、戦線に投入して戦況の進捗を狙うものだった。
連邦が研究開発してた新兵器は主に2種。
ゼクロームを進化させた機動歩兵システム“ザイローム”と、
カリオス因子によって強化した装甲を持つ、新型戦艦を主力とした特別艦隊である。
いずれも従来の連邦戦力を大幅に引き上げる可能性を有しており、
後はいつ投入するか、そのタイミングだけが問題であった。

そんな折、アトラス連合と深い関係を持つ民間の貨客船が、連邦軍の検問を強行突破し、
連邦戦艦の砲撃を受けて惑星リドムスに不時着するという事態が起きた。
連邦はこの貨客船に、連邦の兵器開発を秘密裏に調査していたディガス大使が乗っていると察知し、
調査の妨害及び、大使に協力するであろう反連邦組織の掃討を目論んで、
リドリアス宙域に誕生したばかりのザイローム機動兵団を派遣した。
(ザイローム兵団強襲/工事中)
連邦の読み通り、貨客船“ヴァロン”には、第1次オリオン危機でも活躍した、
ディガスのヴァルク・ザン正大使が乗り込んでおり、
惑星レセウスにて当時活躍したレジスタンスのメンバーと再会していた。
そこに襲来した連邦のザイローム兵団は、第1次オリオン危機当時より電撃的な奇襲で、
ザン大使らを確実に追い詰めたが、作戦は間もなく失敗に終わる。
ディガスの支援艦隊がリドリアス宙域に飛来したためだ。
(ディガス支援艦隊飛来/工事中)
支援艦隊の派遣を要請したのは、惑星ガロヌに潜伏していたディガス大使、
スティル・アイオン高位大使だった。
アイオン大使は当時ガロヌで激化していたカーボロイド紛争(→ガロヌ粛清変動)の調査で、
連邦の非人道的な兵器開発の実態を知ることになり、
しかもリドムスやレセウスでも中断していた兵器開発が再開されたことを突き止めていた。
そんな折、ザン大使を乗せた貨客船が被弾してリドムスに不時着したことを知り、
連邦が動くと察知して支援を要請したのであった。
ディガスは既に1部の艦隊をアトラス連合後方支援のため大戦に参加させていたが、
アイオンは高位大使の権限で、この艦隊を動かすことが出来た。
かくしてリドムスやレセウスに飛来したディガスの支援部隊と連邦のザイローム兵団が激突、
両惑星で激しい市街戦と、それを支援する艦隊同士の戦闘が勃発することになった。
戦闘は最終的に連邦艦隊の撤収によって収束することになったが、
危機はこれだけでは終わらなかった。
(参照/『GUARDIANS』)
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EUC2058/アトラス・テクトラクタ空爆
大戦勃発から6年余り、アトラス・テクトラクタは平和であった。
実際には連邦のシンパや工作員による破壊活動は起きていたのだが、
この巨大都市全体を脅かすほどの事態ではなかった。
しかしこの時起きた事態は、文字通りアトラス連合自体を震え上がらせる危機となった。
タイランタ連邦の新造特別艦隊が、独自に生成したタキオンチューブを解して、
アトラス・テクトラクタに奇襲をかけてきたからだ。
連邦軍が新造艦隊を開発していることは連合も察知していたが、
その進捗状況や戦闘力までは十分に把握しておらず、
それが青天の霹靂のような、連邦の電撃的な奇襲爆撃の成功につながった。
アトラス・テクトラクタの近傍宙域に突如開いた時空ゲイトから出現した真っ青な艦隊は、
長射程のタキオンレールガンを一斉に発射して、リングコロニー群に破壊的な挨拶を行った。
予想もしていない宙域から飛んできた光速の熱線に、これらコロニー群は抵抗する術がなかった。
瞬く間に各所で大規模な破壊が現実となり、巻き込まれた何十万という市民が蒸発した。
更に数分のうちに、パニックに陥ったコロニー群上空に艦隊が飛来し、
熱線を乱射して無差別空爆を実施、広大なリングは至る所から火を噴いて炎上した。
(ハデス・フリート奇襲爆撃/工事中)
間もなく連合の防衛艦隊がリングに駆けつけ、消耗戦になると判断した連邦艦隊は撤退、
危機は終始この連邦艦隊に振り回された形で収束することになる。
連邦軍の目的はアトラス・テクトラクタの制圧ではなかった。
完全に破壊するのが目的ならともかく、制圧するには途方もない時間と労力が必要だからだ。
連邦軍はただ、その気になればいつでも本丸を脅かせる戦力を、
連邦側が保有したことを知らしめたいだけだったのだ。
結局この1連の爆撃により、アトラス・テクトラクタの3つのリングコロニーが被災し、
犠牲者は全体で数億にも上るなど、甚大な被害を被った。
もちろんそれは、総人口が京を超えるアトラス・テクトラクタ全体から見ればわずかであるが、
過去この都市がこれだけ大々的な爆撃を受けることがなかったため、
この危機は鮮烈な衝撃として市民と連合政府に受け止められた。
この爆撃事件はリドリアス戦役(上記)と同時期に置きており、
これらの事件を通じて、連邦は戦力の拡大を見せ付けることになった。
(参照/『GUARDIANS』)
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EUC2060/オルガナス戦役
オリオン腕のほぼ全域とグロリアス腕の1部を制圧した連邦が、
次に目を向けたのはオルガナス腕であった。
この宙域には、連邦はまだほとんど拠点を持っていなかったからだ。
連邦を実質的に支配するセリオネア帝国の出身はこの宙域であったのだが、
そもそもこの強権国家がオリオン腕に進出したきっかけが、
その強引な統治方式がオルガナス腕を治めるオルガナ同盟に嫌われたためであった。
オルガナス腕方面における侵攻作戦は、同盟を追放されたセリオネア帝国の復讐でもあったのだ。
オルガナ同盟は今回の大戦では、アトラス連合を支持してはいたが、
同盟自体は中立の立場で事態の推移を見守っていた。
そんなオルガナ同盟を触発した事件が、オルガナスゲイト・テクトラクタで起きた。
手中にしたオリオンゲイト・テクトラクタから飛来した連邦艦隊が、
この宇宙都市を電撃的に制圧しようと図ったためである。
オルガナスゲイト・テクトラクタに駐留する防衛部隊はこの侵攻に抵抗したが、
圧倒的な攻撃力を有する連邦機動艦隊の前になす術もなく掃討され、
ゲイト区画は1時、連邦艦隊の支配下に落ちる。
(オルガナスゲイト軍事衝突/工事中)
しかし間もなく果敢な反抗作戦が展開され、戦況は盛り返した。
同盟の連合艦隊が飛来したためである。
オルガナ同盟の防衛艦隊の底力は、通常時はほとんど知られていなかったが、
本気になれば連邦艦隊と対等に渡り合える実力があることが、この戦役で証明されたのだ。
連邦側はザイローム強化兵団を都市区画に転送して勢力の維持を図ったが、
強大な潜在能力を有するオルガナスの戦士がこれに対峙、
激戦の末に都市の実権を同盟側に取り返したのであった。
オリオンゲイト・テクトラクタの場合と異なり、増援に時間がかかったのも、
連邦側の敗退を後押しする結果となった。
最新の特別艦隊なら同盟連合軍の抵抗に耐えることが出来たかも知れない。
だがオルガナスゲイト・テクトラクタに派遣したのは、通常の機動艦隊だったのだ。
連邦は同盟連合軍の戦力を見誤ったのである。
平和主義の同盟が、これほど迅速に艦隊の派遣を決めたことも予想外であった。
そして更に、オルガナ同盟と強い絆を有するディガスが支援部隊を差し向け、
連邦艦隊の敗色は決定的となった。
この敗戦を境に、連邦は徐々にその勢力を後退させていくことになる。
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EUC2064/アトラス連合軍反抗
EUC2060年のオルガナス腕での連邦敗戦を契機として、各地で抵抗活動が一気に燃え上がった。
翌年には民間の反連邦勢力ATUが武装蜂起して幾つかの惑星で連邦軍を駆逐し、
アトラス連合やディガスもこの動きを支持して連邦の封鎖網に穴を開けた。
更に翌々2062年にはアトラス銀河系の外縁宙域に勢力を拡げる新参勢力、
ヴァリングトーリスが連邦軍のグロリアス進駐艦隊に対して本格的な攻撃を行った。
ヴァリングトーリスは元々ナイトアン種を盟主とした帝政を核とした惑星連合だったが、
数千年前の革命で傘下のドーリアン種が政権を奪取して体制を変革、
強権統治を貫いたタイランタ連邦に対抗して、自由主義をPRして同盟を募り、
連邦側からの脱退勢力をも取り込むことに成功していた。
連邦側はこれをヴァリングトーリス側の侵蝕行為として制裁名目に艦隊派遣を行ったが、
連邦の内情を知る脱退勢力によって作戦を読まれて反撃され、
更にオルガナス戦役での連邦反対を好機として畳み掛けられる結果になったのだ。
(アトラス・ディガス連合艦隊/工事中)
ほぼ同時に反対側から攻勢をかけるアトラス・カリオス連合軍の圧力も強まり、
連邦軍のグロリアス腕における影響力が次第に縮小する結果になった。
更にEUC2064年にはディガスでも強大な戦力を持つことで知られる第33艦隊が、
アトラス連合を支援して参戦し、銀河の各宙域で封鎖を展開していた連邦艦隊が、
一気にオリオン腕周辺まで押し戻される展開になったのである。
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EUC2066/ネヴィル封鎖
オルガナス戦役の敗退、グロリアス腕での後退と続き、
連邦の内部にも大戦の敗退予想が拡がり始めたEUC2066年頃。
連邦内で声を大にして停戦を主張する2つの勢力があった。
ネヴィル公国(→参考)とリーヴェアス連合(→参考)である。
保守派が公国議会の大多数を決めるネヴィルは元々が戦争に批判的であり、
リーヴェアス連合はというと、この戦争で失ったものが大きかった。
10数年に及ぶ戦火で植民惑星の1割が被災し、犠牲となった市民の数も数十億に上る。
更に100億を越す難民が発生し、連合の勢力を著しく弱体化させていた。
この動きに加え、連邦で軍事の面で強い影響力を持つアナリム連邦(→参考)でも、議論が過熱。
アナリム連邦はタイランタ連邦の思想に忠実な勢力の1つであったが、
大戦の引き金となったガロヌ粛清で数十億の同胞を失ったことがかなりの痛手となり、
継続か停戦か、内部分裂し兼ねない激論を引き起こしていたのである。
このままでは戦争の勝利はおろか、最悪連邦が分裂し兼ねない。
そう判断した連邦総統府は、またもや強硬措置に訴えた。
リーヴェアスとネヴィルに艦隊を派遣したのである。

特にネヴィルはアークに近かったこともあり、強襲空母の特別機動艦隊が派遣された。
リーヴェアスに対してはただの圧力に過ぎなかった(戦火で疲弊していたためそれで十分だった)連邦が、
ネヴィルに対しては軌道封鎖とも言うべき強硬措置に出た最大の理由が、実はアークだった。
なぜならアークには、オメガ因子があったからである。
連邦は銀河で支配的な影響を行使するために、幾つかの新兵器を開発した。
実はこれら新兵器のうち、兵士強化部門に絡むほぼ全ての研究に、オメガ因子が使われていた。
元々連邦がアークに目をつけた最大の理由が、オメガ因子の軍事利用だったのである。
オメガ因子を使えば遺伝子の合成が容易となり、兵士強化に都合がいい。
EUC2037年のオメガ危機で、因子の元である“魔神”オメガの影響力を見せ付けられたことも、
連邦の黒い野心を増大させるきっかけとなった。
ガロヌ粛清とリドリアス戦役(前述)により、
ディガスもまた連邦のこの目論見を察しており、それは同時に連邦も気付いていた。
そうして連邦が下した判断が、アークに対する完全な支配権の行使であったのだ。
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EUC2067/アーク侵攻
EUC2067年、惑星変動と内部抗争で疲弊した惑星アークの上空に、それは突然飛来した。
封鎖状態に置いた遊星ネヴィルを事実上の前線基地とした、
タイランタ連邦宇宙軍特別機動艦隊の空母編隊が、この青い惑星の空を覆ったのだ。

それはアークの住民たち=アークス(人類)とその亜種にとって、衝撃的な事件であった。
並行世界のアークにおいては、EUC2013〜2037年にも宇宙勢力による激動を経験しているが、
この世界の住人にとって、宇宙の脅威と言えば惑星変動で降り注いだ隕石群と、
EUC2037年に飛来した金色の破壊獣ギドラであった。(→オメガ危機/ギドラ危機)
ギドラの襲来はアークスたちに、宇宙に強大な能力を持つ生命体がいることを知らしめたが、
連邦艦隊の飛来は、ヘタをすれば宇宙怪獣以上の脅威が、宇宙にいることを知らしめたのだ。
もっとも、アークの支配権を実質的に握っていたエグゼクターは、このことを知っていた。
連邦とエグゼクターは、EUC1950年代に既に密約を結んでいたからだ。
エグゼクターは連邦から提供されたオーバーテクノロジーにより、この星の支配者となったが、
皮肉にもそれが単なる傀儡政権に過ぎないことが、この事件によって露呈する形となった。
連邦艦隊の直接的な後ろ盾により、エグゼクターは更に強大な影響力を行使できたが、
それまでこの惑星で行使してきた強権は事実上形骸化され、
銀河に影響力を行使するこの超大国の傘下に過ぎないことを、逆に市民に印象付けたのである。
連邦軍がアークに電撃的な侵攻を行った理由は、もちろんオメガ因子の独占にある。
ディガスやアトラスがこの惑星を保護下に置いてしまえば、オメガ因子の供給は停止するからだ。
そのために連邦は高速空母を主力とした特別機動艦隊を差し向け、
他の艦隊がディガスやアトラスを牽制している隙に、制圧しようと図ったのである。
そしてその作戦は、表面的には成功したかに見えた。
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EUC2070/アーク解放戦役
(別名“太陽系会戦”)
しかしアークの地底では、反抗の機会をじっと待っている者たちがいた。
ディガスが支援する反エグゼクター組織アクエリアスと、
アクエリアスの活動を支持する地底の異人類社会であった。
(→エグゼクターとアクエリアス)
これに加え、2つの大きな動きがあった。
1つは、惑星変動を遠因としたアークスたちの理性開花による反エグゼクターのうねり。
より高いレヴェルの知性段階に達した彼らは直接的にはエグゼクターを攻撃しなかったが、
その支配が無意味であることを理解し、アクエリアス摘発に反対する立場を取ったのだ。
もう1つはディガスと反連邦同盟ATUによる、アクエリアス支援作戦。
複合的な陽動作戦により連邦の封鎖網に穴を開け、
アクエリアスのエグゼクター反抗作戦を支援する者たちをアークに送り込む狙いだ。
作戦に気付いた連邦の猛攻でディガスの支援宇宙船を大破させながらも、
アクエリアスの戦力拡大作戦は何とか成功する。
こうしてEUC2070年、北米の大地で最後の決戦が幕を開ける。
もちろん連邦側もこの抵抗を放置する気はない。
リドリアス戦役でやったように、強化された機動兵団を投入し、
機動艦隊自らこの抵抗勢力をいぶり出そうとしたが、そこで邪魔が入った。
アトラス連合の機動艦隊が乱入し、空爆の阻止を図ったのである。
(アーク圏内宙域会戦/工事中)
それはオメガ危機の時にも参戦した、アトラス最強クラスの戦闘部隊であった。
実のところアトラス連合政府は、この艦隊をアークに派遣することに気乗りではなかった。
万一作戦が失敗し、この艦隊を失うことになれば、連合にとって痛手だからだ。
既に魔神本体が撤退したアークに、連合でも最強クラスの艦隊を何故派遣せねばならないのか。
しかし艦隊の指揮官であったエレム・アーヴィン准将は、その難色を押し切って派遣を決めたのだった。
彼女こそオメガ危機当時、同艦隊の先陣を切った、新型戦艦の艦長であった。
過去の縁だけではなく、彼女は本心から、アークの保護は優先事項だと考えていた。
アークがたどってきた混沌の歴史は、アトラスも責任を持つべきだと考えていたからだ。
(参照:オメガ銀河大戦)
「これ以上、彼らを苦しめるわけには行きません……我々は責任を取らねばならないのです」
こうしてアークの軌道上から周囲の宙域まで巻き込んだ、大規模な会戦が勃発する。
彼らの参戦により、空から爆撃される危険性が激減したアクエリアス連合部隊は、
苛烈な激戦の末、ついにエグゼクターの黒い支配欲の炎を消すことに成功したのであった。
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EUC2070/停戦協定への道
その頃、タイタニア・テクトラクタでも予想外の緊張が起こっていた。
機動艦隊の1部が前線から取って返し、あろうことか自身の本丸に砲口を向けたのだ。
反逆の決意をしたのは、ネヴィルとリーヴェアスの1級准将たちであった。
といっても、本当に撃つ気は彼らになかった。
停戦は今しかないことを、総統府に訴えるために艦隊を使ったのである。
その背後には、ディガス大使による粘り強い交渉があったことも影響していたが、
何より彼ら自身が、この悲惨な大戦を早く終わらせたがっていたのだ。
総統府で指揮を取っていたサラス・ヴァクティルナ大将は抗戦を主張したが、
兄である大総統サラス・エルディモアはこれを制した。
連邦軍の士気の低下がもはや修復不能であると分かった今、戦争の継続は無意味であった。
「銀河を統一するのがこの戦いの目的だ……連邦内で潰し合うなど何の意味もない」
間もなく総統府から声明が出された。
連合とディガスが矛を収めるならば、我々にもその用意があると。
こうしてEUC2070年、約18年に渡って続いた戦闘は幕を閉じ、
数ヶ月の外交交渉の末、アトラス・タイランタ間で停戦協定が締結、
アトラス銀河史上屈指の激戦である、オリオン銀河大戦は終結したのであった。
間もなく各地の戦場から艦隊が引き揚げ、アークにおいても同様の展開となる。
既にエグゼクターも陥落し、地上における支配力もなくなっていた。
こうしてアークは事実上解放され、銀河列強のどす黒い勢力争いによる、
悲劇的な抗争の宿命からおよそ120年振りに自由を得るのである。

こうして戦禍は終結した。
だがいくばくかの謎が残された。
そもそも何故、連邦はこれほどまでに強硬に、しかも長期に渡って戦争を続けたのか?
ただ、銀河の覇者になりたいだけとしては余りにも安直で、不毛な戦いだったからだ。
2万年という時間をかけて粘り強く勢力を拡げてきた、連邦の外交力はそこにはなかった。
確かに強硬な軍事大国には違いなかったが、余りにも軽率な戦禍に見えたのだ。
そしてその謎が解き明かされるには、更に12年の歳月が必要であった。
(→第2次オリオン危機/ヴァーツ危機)
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| 【デザイン・プロフィール/脳内妄想の軌跡】 オリオン大戦のルーツは、カルト神話の1つである「超古代の宇宙戦争」にある。 加えて『スターウォーズ』等のスペースオペラがモチーフに関与している。 GDWの原形となった妄想ストーリーをイメージした1994年頃に設定したが、 当時は上記の神話に影響を受けた“古代戦争”として考えていた。 そして別途、近未来の宇宙戦争を考えていたところがある。 脳内妄想を再編成した2002年頃、この近未来の戦争をオリオン大戦として、 古代の戦争を魔神オメガの反乱(オメガ大戦)に設定変更している。 (参照:メイキング・オブ・GDW) 地球が物語に関与する宇宙SFは、ほとんどの場合地球が中心舞台となるが、 GDWでは地球もまた“複数ある惑星世界の1つ”となっており、 より大きな“銀河文明世界”のハイライトとして、再設定したのが今のオリオン大戦だ。 GDWの基準年を2050年、つまりオリオン大戦の“前夜”に置いたのもそのため。 多様性重視前の“光と闇の戦い”はオメガ大戦に振り分け、 より利害関係の露骨な国家間戦争を現代(近未来)に置いた構図である。 その方がディテールを詰めやすい、と判断したところもある。 『スターウォーズ』等の異世界タイプの宇宙SFの影響は否めないが、 脳内妄想を再編した2002年頃、「宇宙から見た地球」を主軸にしてもいい、 そういう考えから、オリオン大戦を始めとする“銀河社会の激動”に、 地球が“巻き込まれる”構図を基本的な世界観として定義している。 「地球が宇宙の中心であるかのような」構図は傲慢であると思えたためだ。 ただ地球を単なる“宇宙の辺境”として描くのも味気ないので、 魔神オメガの因縁という“火種”を設定したわけである。 GDW宇宙は決して戦国の世界ではないが、オリオン大戦は重要なハイライトだ。 (戦国時代ではないからこそ重要と言うことも出来る) そしてこのウェイトの高さは、GDW本編3部作として小説展開中の、 『ガーディアンズ』の前2部の背景を占めていることでも明らかである。 |