二上山
(517m)


彼岸花と二上山


 
生駒山地と葛城連山の間に位置し、標高こそ低いものの、奈良でも屈指の歴史をもつのが二上山である。

「うつそみの 人なるわれや 明日よりは 二上山(ふたかみやま)を いろせ(弟)とわが見む」と

大津皇子の悲運を姉の大来皇女(おおくのひめみこ)が詠んだ万葉集の歌も知る人ぞ知るところであろう。

 ダイヤモンドトレイルの始発地でもある屯鶴峰から、雄岳・雌岳の頂を踏み、當麻の里へ抜けるルートをとった。



 
 近鉄大阪線関屋駅・・・屯鶴峰・・・ダイヤモンドトレイル北始発点・・・馬の背・・・二上山雄岳  
 

・・・馬の背・・・二上山雌岳・・・岩屋峠・・・傘堂・・・近鉄南大阪線当麻寺駅


【明神山】

近鉄大阪線関屋駅から南へ、某女子大沿いに住宅街の坂道を登っていく。

振り返ると明神山(標高275m)の稜線が見える。

古代、聖徳太子が斑鳩から上の太子へこの山を越えていったという。

頂上には、水の神様水波能当ス(みずはのめのみこと)が祀られている。

山なみの向こうは高安・信貴山地と対峙して、

大和川(亀ノ瀬渓谷)が東西に流れている。


【屯鶴峰(どんづるぼう)】


国道165号線(長尾街道)を超えると屯鶴峰に入る。白い凝灰岩層が露出した景勝地で奈良県選定の天然記念物である。

ちょっとした岩峰歩きが楽しめる。凝灰岩の白とアオマツの緑のコントラストが鮮やか。   
 


【ダイヤモンドトレイル始発点】

二上山北麓から槙尾山まで、金剛・葛城山系の主稜線を走る縦走路が

ダイヤモンドトレイルである。

屯鶴峰南入り口から近鉄南大阪線に沿って大阪方面へ10分程歩いたところに

この縦走路の北の始発点がある。

かつては屯鶴峰南入り口を始発点としたルートがあったが、

現在は廃道となっているようである。


【ダイヤモンドトレイル】


ダイヤモンドトレイルに入るとすぐ山道となるが、整備が行き届き、とても歩きやすくなっている。

二上山まで幾たびのアップダウンが続くが、気持ちのよい尾根歩きが楽しめる。



【大阪の街なみ】

途中、西側の展望が開け、大阪の街なみが大きく広がっている。

右奥に見えるのは、PL教団の塔である。

余談になるが、このあたりからなら夏のPL花火の全景が楽しめそうである。


【大阪側から見た二上山】


左が雄岳(標高517m)、右が雌岳(同474m)。

奈良側から見た二上山のイメージとは、趣きが違う。


【馬の背】


雄岳と雌岳の鞍部、馬の背。

名前の割には売店やベンチがあり広々としている。

ここから祐泉寺経由で、當麻寺方面へ降りる道が通じる。

馬の背から雄岳へ向かうの登り道は

岩がむき出しており、多少歩きにくい。



【雄岳山上】

雄岳山上は展望こそきかないものの、葛城坐二上神社と大津皇子御陵があり、歴史に彩られた二上山を象徴するかのようである。

ちなみに美化協力金として200円徴収される。


  葛城坐二上神社。

  祭神は豊布都御霊神(とよふつみたまつかみ)と

  大国魂御神(おおくにみたまつかみ)であり、

  文武両道と縁結びの神様を祀っている。


大津皇子御陵。大津皇子は天武天皇の皇子であったが、

皇位継承に絡み、天武死去後に義母の持統天皇により謀反の

罪で抹殺されたとされる。

【雌岳三角点】


雌岳山上は日時計やベンチが置かれ、公園のように整備されている。

写真手前は三等三角点であるが、非常に保存状態がよい。

奥の小高く平たい感じの山が、雄岳である。



【雌岳からの展望】


雌岳山上からはほぼ360度の展望が開けている。


大和側の眺め。奈良盆地がゆったりと広がっている。

大和三山の畝傍山の向こうに、音羽山の稜線が南北につたわる。

  南方面へは、手前から岩橋山、大和葛城山、金剛山が重なって見える。

  ダイヤモンドトレイルは、この主稜線を南に向けて走っている。


【岩屋峠】

雌岳山頂から南へ急下降すると岩屋峠に降り立つ。

ここからひとつ南のピークを超えると日本最古の官道・竹内街道が通る竹内峠である。

東への下り道は、祐泉寺で馬の背からの道と合流し、當麻方面へ抜ける。

石碑から峠の由緒
が感じられて、味わい深い。



【當麻への下山道】
岩屋峠から東へ下るルートは、結構な角度のある急坂で、

背の高い桧に覆われた道は昼なお暗く、

振りかえれば、時おり射す陽光がなんともまぶしい。



【傘 堂】


山道を抜けて當麻寺に近くなってくると、當麻山口神社の参道脇に、

ひっそりと佇む傘堂がある。

宝形造りの瓦屋根を真柱一本で支えるめずらしい建築物で、まさに「傘のお堂」。

江戸前期に当地の郡奉行が、主君の郡山藩主の菩提を弔うために

建立したものとされている。





 関西は歴史に恵まれたエリアであり、ことさら大和の国はこれを代表するであろう。

山を標高や雄大な自然の観点でなく、歴史のみでとらえたなら、

 この二上山は、日本の山のベストテンに推したい山である。


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