今朝の農林関係部会で、1月29日から2月2日まで実施された自民党BSE欧州調査団の報告がありましたので報告します。
昨年秋のBSE発生以来落ち込んでいる消費に歯止めをかけなければ、日本の酪農畜産が壊滅的な状況に追い込まれる、加えて雪印食品問題で負の影響が付加されつつあり、極めて深刻な事態を迎えています。
自民党では、上記の日程で谷津義男自民党総合農政調査会顧問、松岡利勝総合農政調査会会長代理、金田英行農林水産部会長が渡欧、イギリス、ドイツ、フランス各国で政府関係者他に会い当面する日本政府並びに与党の対応について調査されました。
以下、その概要です。
1.各国のBSEの経過と現状
(1)発生の状況について
@イギリス
1986年11月に発生。 これまで約18万頭発生。 ピ−クは1992年3万7千頭。 2001年は1000頭に減少。
Aドイツ
2000年11月に発生。 これまで146頭発生。
Bフランス
1991年5月に発生。 これまでに535頭発生。 2000年162頭、2001年274頭と、最近になって増加(検査の強化によって発見が増加)。
(2)発生原因について
@イギリス
発生原因の特定に至っていないが、牛などの反すう動物の脳、脊髄等の危険部位が肉骨粉原料として使用され、これが牛の飼料に使用されたことが主な原因と考えられている。
Aドイツ
発生原因の特定に至っていないが、英国と異なり肉骨粉を牛の飼料に使う習慣がそれ程広まっていなかったこと等から、小規模酪農経営で使用されていた代用乳が原因とする考えや、小規模飼料工場での製造ラインで豚鶏用飼料に使われていた肉骨粉が代用乳として使用され、それが牛の飼料に使用されたことが主な原因と考えられている。
Bフランス
発生原因の特定に至っていないが、牛などの反すう動物の脳、脊髄等が肉骨粉原料として使用され、それが牛の飼料に使用されたことが主な原因と考えられている。
2.各国の牛肉消費回復対策
(1)食用としての安全性確認のための検査方法と安全措置
@イギリス
SRM(特定危険部位)の完全除去、30ヶ月齢以降の牛は全て買い上げ焼却し、食用に出回らないようにしている。 30ヶ月齢以上の根拠は、英国でのBSEの発生が全て30ヶ月齢以上であるためとしている。 BSEの検査は、一部にしか行っていない。 30ヶ月齢未満の牛は、と場でのBSE検査は行っていない。
Aドイツ
SRMの完全除去、24ヶ月齢以上の牛のと場におけるBSE検査を実施。 なお、24ヶ月齢未満の牛は検査していない。
Bフランス
SRMの完全除去、24ヶ月齢以上の牛のと場におけるBSE検査を実施。 なお、24ヶ月齢未満の牛は検査していない。
(2)消費の落ち込みと回復状況
@イギリス
1996年3月にBSEとヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病との関連が発表され、牛肉に対する信頼が低下し、96年は対前年比19%減少した。 その後徐々に回復し、99年には95年の水準を上回るまで回復した。
Aドイツ
2000年11月のBSE発生により、牛肉消費は発生直後の数週間は通常時の15〜20%に激変。 2001年1月には3割程度の減少。 その後、徐々に回復し、2001年末には95%まで回復。
Bフランス
牛肉消費は、第1次は96年にBSEとヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病の関連が発表された時、第2次は、2000年秋にBSEの肉がス−パ−で販売されていることがわかった時の2回、大きく減少。 その後回復し、現在は10年前の消費量を10%下回る水準まで回復。
(3)消費回復の政策ポイント
@イギリス
1996年にBSEとヒトのヤコブ病の関連が問題となり、それまで牛肉は安全といっていた農魚業食糧省は、消費者の信頼をなくしてしまった。 消費者の信頼を回復するため
@行政機構を改革し、独立した食品基準庁(FSA)を設立、ABSE専門家からなるBSE諮問委員会(SEAC)を設置し、科学者が政府の政策の評価やアドバイスを行い、国民に情報を公開した。
30ヶ月齢以上の牛の買い上げ・焼却、SRMの除去、肉骨粉の使用禁止等の政策に加え、このBSE諮問委員会の設置と食品基準庁の設立が、特に消費者の信頼回復に効果があった。
食品基準庁は1997年の労働党の選挙公約で設立が打ち出され、2000年4月に設立された。
SEACは、政府から完全に独立した委員会で、1990年に設立され、1996年以降、組織や機能が強化されている。
委員会のメンバ−は、大学教授、科学者、研究者などの専門家等から構成されている。
Aドイツ
2000年11月のBSEの発生は、自国は万全の対策をとっており大丈夫だと考えていたドイツに大きなショックを与えた。
このため2閣僚(農相、保健相)が辞任し、直ちに組織編制が行われた。
組織再編は、消費者重視の観点から、保健省の食品管理部門と経済省の消費者部門を食料農林省に移管し、食料農林省を消費者保護食料農業省に改称した。
Bフランス
SRMの完全除去、24日月齢以上の牛のと場でのBSE検査、飼料及び肉骨粉の給与禁止等の対策を実施。
1999年に食料及び動物用飼料全般の科学的なリスク評価を統一的に行う食料衛生安全庁が設置され、食料安全の監視体制の強化が図られた。
3.損失に対する助成措置
@イギリス
・BSEと診断された牛は、市場価格等で補償。
・30ヶ月齢以上の牛の買い上げ、焼却は100ECU/生体重100kg 生体重560kgの時、560ECU(78000円)を補償。
Aドイツ
・BSEと診断された牛の同居牛は、通常価格で補償(1頭あたり6000マルクを上限)
・30ヶ月齢の牛の買上げ制度(2001年上期で終了 1kg=1.7ユ−ロ、300kgの時6万円/頭)
Bフランス
・BSEと診断された牛の同居牛は、専門家の評価額を補償。
・発生農家は、平均100万フラン(約1800万円)を受け取っている。
岩倉博文
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