引き続き「その2」をレポ−トします。「その1」では、憲法と自衛隊をテ−マに国会での政府見解の推移をレポ−トしましたが、今回はわが国の防衛政策の基軸に係る諸問題について以下レポ−トします。(資料:防衛庁)

 

B.防衛政策の基本

 わが国は、憲法の下、外交努力の推進及び内政の安定による安全保障基盤の確立を図りつつ、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、日米安全保障体制を堅持し、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力を自主的に整備してきたところである。

(参考)国防の基本方針(昭和32年5月20日国防会議・閣議決定)

  国防の目的は、直接及び間接の侵略を未然に防止し、万一侵略が行われるときはこれを排除し、もって民主主義を基調とするわが国の独立と平和を守ることにある。この目的を達成するための基本方針を次のように定める。

(1)   国際連合の活動を支持し、国際間の協調をはかり、世界平和の実現を期する。

(2)   民主を安定し、愛国心を高揚し、国家の安全を保証するに必要な基盤を確立する。

(3)   国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する。

(4)   外部からの侵略に対しては、将来国際連合が有効にこれを阻止する機能を果たし得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する。

 

(参考)平成8年以降に係る防衛計画の大綱について(平成7年11月28日安全保障会議・閣議決定)

 

  V.我が国の安全保障と防衛の基本方針

   1 我が国は、日本国憲法の下、外交努力の推進及び内政の安定による安全保障基盤の確立を図りつつ、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、日米安全保障体制を堅持し、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力を自主的に整備してきたところであるが、かかる我が国の基本方針は、引き続きこれを堅持するものとする。 

 

1.              専守防衛:憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢(相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使、その態様も自衛のための必要最小限にとどめる、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限る など)

2.              軍事大国にならないこと:自衛のための必要最小限を超えて、他国に脅威を与えるような強大な軍事力を我が国が保持することはないということ

3.              非核三原則:核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずという原則。昭和42年   12月の臨時国会及び昭和43年の通常国会において、佐藤総理(当時)が「三原則」との言葉で公式に表現。

 

(参考)

     昭和42年12月11日 衆議院本会議 佐藤内閣総理大臣答弁

私どもは核の三原則、核を製造せず、核を持たない、持ち込みを許さない、これははっきり言っている

     昭和46年11月24日 非核兵器並びに沖縄米軍基地縮小に関する衆議院決議

〜政府は、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずの非核三原則を遵守するとともに、沖縄返還時に適切なる手段をもって、核が沖縄に存在しないこと、並びに返還後も核を持ち込ませないことを明らかにする措置をとるべきである。

     昭和51年4月24日 核兵器不拡散条約採決後に衆議院外務委員会において採択

された決議

核兵器の不拡散条約の批准に関し、核拡散の危機的状況にかんがみ、政府は、左の事項につき誠実に努力すべきである。

〜政府は、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずとの非核三原則が国是として確立されている事にかんがみ、いかなる場合においても、これを忠実に履行すること。

   

 

     政府は、従来から、自衛のための必要最小限度の範囲内にとどまるものである限り、核兵器であると通常兵器であるとを問わず、これを保有することは憲法の禁ずるところではないとの解釈

     しかしながら、@一切の核兵器について、政府は、国是である非核三原則によりこれを保有しないこととしており、また、A原子力基本法によりわが国の原子力活動は平和目的に厳しく限定されている。更に、B核兵器不拡散条約(NPT)上の非核兵器国としての核兵器の製造や取得等を行わない義務を負っている

(参考)昭和53年3月11日 参議院予算委員会 真田法制局長官答弁

  1.政府は、従来から、自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは憲法第9条第2項によっても禁止されておらず、したがって、右の限度の範囲内にとどまるものである限り、核兵器であると通常兵器であるとを問わず、これを保有することは同項の禁ずるところではないとの解釈をとってきている。

  2.(略)

  3.憲法上その保有を禁じられていないものを含め、一切の核兵器について、政府は、政策として非核三原則によりこれを保有しないこととしており、また、法律上及び条約上においても、原子力基本法及び核兵器不拡散条約の規定によりその保有が禁止されているところであるが、これらのことと核兵器の保有に関する憲法第9条の法的解釈とは全く別の問題である。

 

     そもそもわが国による核兵器保有の選択肢は、わが国を巡る国際環境を不安定化させるのみであり、わが国の平和と繁栄の維持という、国の目的に何の利益ももたらさないもの。唯一の被爆国として特別な国民感情からも採るべきものではないことは明らかである。

4.              文民統制の確保

     シビリアン・コントロ−ルともいい、民主主義国家における軍事に対する政治の優先又は軍事力に対する民主主義的な政治統制を指す。

     ・国会が、自衛隊の定数、主要組織などを法律・予算の形で議決し、また、防衛出動などの承認を行う。

     国の防衛に関する事務は、内閣の行政権に完全に属し、内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊に対する最高の指揮監督権を有する。

     シビリアン・コントロ−ルの制度は整備されているが、これが実を挙げるためには、国民が防衛に対する深い関心をもつとともに、政治・行政両面における運営上の努力が引き続き必要。

 

C.奇襲対処について

○自衛隊法第76条は、

@     特に緊急のある場合には、国会の事前承認を受けてないでも防衛出動を命令することができる。

A     防衛出動命令は武力攻撃が現に発生した事態に限らず、武力攻撃のおそれのある場合にも許されることとしており、いわゆる奇襲攻撃に対しても基本的に対応できる仕組みとなっている。

○防衛庁としては、情報能力の強化、即応性の向上等に努めているところ。

(参考1)いわゆる奇襲対処の問題について(昭和53年9月21日)

1.       自衛隊法第76条の規定は、外部からの武力攻撃(そのおそれのある場合も含む)に際して、内閣総理大臣がわが国を防衛するため必要があると認める場合に国会の承認を得て自衛隊の全部又は一部に対し、いわゆる防衛出動を命じ得ることを定めており、この防衛出動を受けた自衛隊は、同法第88条の規定により我が国を防衛するため必要な武力を行使し得ることとされている。

   このように外部からの武力攻撃に対し自衛隊が必要な武力を行使することは、厳格な文民統制の下にのみ許されるものとされており、したがって、防衛出動命令が下令されていない場合には、自衛隊が右のような武力行使をすることは認められていない。

2.       自衛隊法第76条は、特に緊急のある場合には、内閣総理大臣が事前に国会の承認を受けないでも防衛出動を命令することができることとされており、しかも、この命令は武力攻撃が現に発生した事態に限らず、武力攻撃のおそれのある場合にも許されるので、いわゆる奇襲攻撃に対しても基本的に対応できる仕組みとなっており、防衛上の問題として、いわゆる奇襲攻撃が絶無といえないとしても、各種の手段により、政治、軍事その他のあらゆる情報を事前に収集することによって、実際上、奇襲を受けないよう努力することが重要であると考える。

3.       自衛隊がいわゆる奇襲攻撃に対してとるべき方策については、右に述べた見地から情報機能、通信機能等の強化を含む防衛の態勢をできるだけ高い水準に整備するよう努めることがあくまで基本でなければならないが、更に、いわゆる奇襲攻撃を受けた場合を想定した上で、防衛出動を下令前における自衛隊としての任務遂行のための

応急的な対処行動のあり方につき、文民統制の原則と組織行動を本旨とする自衛隊

の特性等を踏まえて、法的側面を含め、慎重に検討することとしたい。

 

 

(参考2)昭和61年4月22日 衆議院内閣委員会 防衛庁西廣防衛局長答弁

  現在の自衛隊法を初めとするもろもろの諸法規というものは、奇襲に対してこれに対応できるだけの基本的な枠組みはあるというように私どもは考えております。ただ、要は、そういったことが重要であろうということでありまして、その点については逐年の予算その他を通じまして情報能力の強化等に引き続き力を入れているところであります。

 (中略)

領空侵犯に対しては、我が方としては、状況によって武器使用も可能だというように

考えております。また、そういった領空侵犯のような形の航空からの攻撃でない場合については、それなりの状況というものが把握できると考えておりますので、その時点で、「おそれのある場合」ということで防衛出動下令も可能であろうというように考えております。

 (中略)

  奇襲対処の検討は一応終わりまして、それに基づいて、奇襲に対してより即応性のあるような自衛隊にすべく現在整備に努めているところでございます。

 

 


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