十月十八日に召集されたこの国会は、会期五十七日間ではあったが、実質審議日数は三十日余りという短い国会であった。
この短い国会に重要法案を含め、継続案件が二十七件(閣法十七件、議員立法が十件)ある上に、新たに閣法が七十一軒提出され、法案の件数は通常国会に匹敵する数であった。
冒頭、所信表明演説・代表質問の後、特殊法人等改革基本法に基づく、特殊法人などを統廃合し、独立行政法人化する関連四十六法案を一括審議するため、特殊法人等改革に関する特別委員会を設置した。
その後、委員会は一週間あまりの間に集中的な審議を行い、関連法案を参議院に送付した。
参議院においては特別委員会を設置せず、各委員会に付託して審議を行い、会期内にすべてを成立させた。
これにより「聖域なき構造改革」はまた一歩前進した。
今国会の最大の焦点であり、直面する最重点の課題は厳しさを増す環境の中にある日本経済の再生であった。
デフレ克服に対して総合的に取り組む中、金融システムと経済の安定を図り、金融機関などの経営基盤を強化するため、ペイオフの2年間延期を中心とする預金保険法、金融機関組織再編特措法や日本経済を活性化させる大きな柱となる構造改革特別区域法案を重要広範議案として成立させた。
北朝鮮問題については、小泉総理が九月十七日に日本の総理大臣として初めて北朝鮮を訪れ、日朝首脳会談を行い、朝鮮半島地域の安定的な平和と協調関係が国益にかなう選択であるとして日朝共同宣言を発表した。
その後、十月十五日には北朝鮮による拉致被害者五名が帰国した。
これを受け、与党は北朝鮮拉致被害者等支援プロジェクトチームを立ち上げ、拉致被害者支援法を取りまとめ、与野党国対委員長会談を開き、野党の協力も求めて衆・参の厚生労働委員会で審議し全会一致で成立させた。
このほか、特筆すべき法案として、知的財産の創造、保護及び活用を国家基本戦略として進める知的財産基本法、司法制度改革の一環としての法科大学院関連三法、継続となっていた地方自治体のオンライン化を進める行政手続関連三法、母子及び寡婦福祉法、議員立法の銀行株式保有制限法、社労士法、有明海再生特措法、自然再生推進法などがあり、これらを成立させた。
一方、議会制度協議会では、綿貫議長から諮問された「衆参合同での所信表明演説等の実施」「政治倫理審査会の活用」「秘書制度」などについて議論したが、引き続き協議会において検討していくこととなった。
野党民主党は今臨時国会前に代表選挙を行い、鳩山代表が再選されたが、その後の党内人事、衆・参補欠選挙の敗北、党支持率の低迷、野党連合構想による混乱などの理由で国会終盤に辞任表明を行うところとなり、会期末を控えた十二月十日に両院議員総会で新代表に菅直人君を選出した。
このような野党第一党の党内事情から野党は終始結束ができず、足並みが乱れたままの国会であったが、与党は限られた日程の中で許される範囲内で譲歩しつつ、ぎりぎりの国会運営を強いられた。
会期末に与党三党は党首会談において、「現下の臨時国会においては新たに提出した全法案の成立を期すとともに、個人情報保護、有事両継続法案については次期通常国会において与党の責任で必ず成立させることが確認できる会期末処理を行うこと。」
また、「次期通常国会は平成十五年一月二十日を目途として召集し、デフレ不況からの一日も早い脱出を図る見地から平成十四年度補正予算の冒頭処理と平成十五年度予算の年度内成立を期す。」などを合意した。
今臨時会の審議件数は当初、新規閣法七十一本、通常国会からの継続閣法十七本の合計八十八本であったが、閣法七十一本はすべてを成立させ、成立率を100%とした。
新たに提出した与党議員立法も五本すべてを成立させた。
その他、継続の閣法は十七本中、七本成立させ、継続の議員立法も十本の内、四本を処理した。
この臨時国会での法案審議は103本であり、成立した法案の合計は八十七本であった。
残された継続閣法のうち、個人情報保護法関連五法は、与党修正を提出し審議を求めたが、野党が審議に応じないため一旦廃案とし、次の通常国会において新たに提出し、必ず成立を期すこと、武力攻撃事態対処法関連三法も与党で修正案を提出し、次期通常会での成立を期すことを与党として確認した後、委員会において修正案の提案理由説明を聴取し、継続とした。
心神喪失等医療観察法は慎重審議を行い、会期終盤で衆議院を議了し参議院に送付して継続とした。
また、議員立法では永住外国人地方参政権法案、民法(夫婦別姓)、防衛省設置法案、少子化社会対策基本法案、祝日法案、酒類小売業者経営改善法案も引き続き継続となった。
非常に限られた会期の中で通常国会に匹敵する数多くの法案を成立させたことは、自民・公明・保守の与党三党が結束を堅持し、衆・参が連携を緊密にしてした結果であり、与党として国政運営の責任を果たしたものであり、大いなる成果であった。
岩倉博文
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