遥かな御前岳への道[2]
三、帰りの風の流れる道
★頂きを後に、一路ニノ谷へ
御前岳の頂きの余韻を残しながら、 足早に背丈以上の笹藪へ下山して、登り返して花の写真を取りながら、踏み後から竹藪へ下った。自分でVカットした笹を見過ごして、20mほど下って気がついた。稜線からはずれてしまった。
斜めに左へ左へと、賑やかな笹・木々・竹をかき分けて下ったが、稜線から離れていくようであった。立ち止まって思案して、稜線に向かって登って行った。ようやく稜線から、踏み後に出た。安心して休息をとる。
快適に下って行ったが、岩場に出なかった。稜線からはずれた時に過ぎてしまったようだ。この辺りのブナの原生林が、御前岳の余韻を感じさせてくれる。
静かなブナの林よ
聞こえていたら答えてくれ
空の彼方にそびえる御前岳
何を思って見つめている
谷間の風の空間にのって
かすかに聞こえるオクゴセン谷
自然なブナの林よ
聞こえていたら答えてくれ
無き森茂をどう思っている
吹き上げる笹波にのって
かすかに聞こえる三ノ谷
たくましいブナの林よ
聞こえていたら答えてくれ
訪れる登山者をどう感じる
笹木藪に苦戦の香り
かすかに聞こえる御前尾根
自然林も終わり、踏み跡も不明確になり、そのまま、まっすぐ藪に突っ込み下って、三ノ谷とオクゴセン谷の出合いに17時25分に出た。
登って来た御前岳を振り返って暫く想いにふける。付近を散策していたら、登山靴の足跡が見つかった。今日自分が登っている間に、この辺りをうろうろして、引き帰したようだ。
この山に誰が来ようとしているのだろうか
倒木や草をかき分けて
幾度となく川を徒渉して
遠くに感じる三ノ谷の登山口
この山で誰が引き帰そうとしているのだろうか
崩壊を見て崖に立ち恐怖を感じ
人災の爪跡と藪山に狼狽して
早く帰りたい森茂峠
この山に誰が登ろうとしているのだろうか
幸福な藪山に魅せられて
寄ってくる登山者達の影
藪空のかなたにそびえる御前岳

林道によじ登り、ニノ谷に18時ごろ着いた。もぐさを切って、敷きつめてその上にテントを張った。川で靴下を洗い、顔や手足を洗った。弁当の御飯を食べたが、疲れのせいか、まずく感じて食べられなかった。
パンツとTシャッツになり、ゴアテックスの寝袋カバーに入り眠りについた。
真夜中に用をするために、外に出たら雲一つない星空であった。今度の山旅で晴れと思えば雨になる。気まぐれな天気に、なれたせいか気にしなくなった。
★のどかに帰る森茂林道
外で食事の用意をしようと思い、いろいろ外にだしたら雨が降り出してきた。テント内で済ませていたら雨が上がって青い空が戻ってきた。
テントをたたんで、7時30分ごろニノ谷と別れて林道を歩いた。一ノ谷付近にきたら、マムシに御対面する。棒でかまったら怒ったのか、トグロを巻いて、こちらを睨みつけている。
一ノ谷を過ぎて、何故か引きつける魅力的な、小さな川の流れる沢で休息をとる。
まっすぐに水が流れているのを、道の崩れている方に流れるように、石を取り暫く戯れていた。
おだやかな川に流れる水よ
どっちへ流れる
楽しく変えてあげようか
こちらに流れると滝になる
いくつもの石をよけて流れる水よ
どっちへ流れる
優しく変えてあげようか
そこの石あの石どけてあげる
黙ってもくもくと流れる水よ
どっちへ流れる
夢に変えてあげようか
新しい出合い流れる
しだいに暑さが激しくなり、うんざりしてきた。無き森茂部落付近に咲く、月見草の花を見ながらいつしか、森茂橋に着いた。
崩壊し石が転がる沢から、林道に流れる水を、飲む為フキの葉を丸めて杓を作り、水を汲んだら、上の水溜まりにオタマジャクシが沢山泳いでいた。かまわず飲んだら、懐かしい何とも言えない味がした。
山アジサイのさわやかな、紫色に咲きほこる林道を歩く。暫く歩き工事の手前の、斜度50度ぐらいの所に取り付けてあるロープを掴み、15mぐらい上の林道へ登った。ならだかな林道を過ぎ森茂峠に着いた。
森茂の神社にお参りして、トビラを開けてお地蔵様と御対面する。
ここでラーメンを作って食べる。
御前岳の山々に別れを告げ、森茂峠を後にして、工事の済んだ林道を下って行った。植林もしてあるが、特に自然林の中から、
「ホーケキョ・・・」
「ピーチクパーチク」
と、小鳥の声が賑やかにして、御前岳の最後の花道にふさわしい、自然の合掌である。
静寂に緑豊かな林に
鳴き続ける小鳥達が
楽しく話かけている
照りつける日差しが
木々の葉によってさえぎり
仲間の集まる広場にしている
水の音にそよ風流れて
我が心も小鳥に混じって
嬉しく呼びかけている
シダの葉をかき分けて
小枝の葉の漂う香り
御前岳の想い話しかける
小鳥の声に見送られて、森茂峠から流れる川で、水筒に水を入れる。靴下を洗い、暫くして森茂林道最後の歩きをかみしめて、無事に愛車に着いた。
追記
一等三角点研究会、選定の「一等三角点百名山」の最後の登頂、百座目にふさわしい御前岳であった。三ノ谷とオクゴセン谷の間の対岸の大地の木、2本に赤テープをくくりつけた。
三ノ谷から北の稜線、約2kmを整備をしながら、時々赤テープを木につけながら登った。が時間的に余裕が無く、テープなどを割愛したところがあります。
本年中は、登りやすいかと思います。登られる勇士の方は、ルートハンテイングには、的確な判断で行動して下さい。
※御前岳、登りの心得
☆三ノ谷とオクゴセン谷の間の対岸の大地を北に向かって
直登すると踏み跡がみつかり自然林へと登っていく。
☆右へ右へと意識しながら登ると確実に御前岳に登れます。
☆帰りは、左へ左へと稜線を意識しながら下ると、赤テープのついた木の大地につきます。
| 最後の一等三角点百名山目指して |