| 最後の一等三角点百名山目指し |
2001年8/5のMMM投稿作品
ボロディン作曲[ダッタン人の踊り]
MIDI制作(すももさん)
遥かな御前岳への道[1]
一、御前岳は、遥か遠くに
★青嶺を見上げて、雨の青葉光る森茂への道
岐阜県の荘川村の岩瀬から、左に御母衣湖(みぼろこ)を見ながら、崩壊した土砂を取り除いたばかりの道を走る。
雨が降った後だけに、車道が土でベトベトになっている。左下の崖を気にしながら、四輪駆動に切り換えて走る。
お昼ごろ赤谷付近のゲート前の、比較的安全な、広場の回りに木々の緑豊かに生える所に愛車を止める。
いつの間にか日が照ってきた。広場の回りの草を刈る。あまりの暑さに汗がダラダラたれてくる。ビールを飲みながら、また草を刈る。
車中でうとうとと眠りにふける。太陽がサンサンと照らしているのに、いつの間にか雨が降ってきた。慌てて乾かしてあった、雨具を愛車に入れる。
降ったり晴れたりの、くり返し中で、御飯を炊きおかずを作り、今晩の食事と明日の弁当の用意に備える。
今日の天気不機嫌なれど
御母衣湖の水面が
青く美しく引きつけて
明日は歩く天の道かな
雨が風が何ぞと気高く
湖から見えぬ森茂川へ
幻の輝く森と渓谷美へと
明日の御前岳登る道かな
暑き日が照り雨が降る
山若葉の森林に囲まれて
名も知らぬ蝶々と戯れ
心は御前の頂きかな
真夜中を過ぎたころから、雨が降り出してきた。時々愛車を叩きつけるような雨が降る。
いつの間にか雨の音とともに夜が明けてきた。小雨をみはらかって、出発する。道が二股に別れる当たりの、二番目の通行止めのカンバンを見ながら林道を歩く。道を[コの字]に回りながら工事箇所を過ぎると、土砂崩れの爪跡を幾度と超えて行く。
左に湖を見ながら1時間半も歩いたところに、道が二つになっていたので、左のみちへ歩く。
少し下った当たりから、木々が雨に打たれて、森の妖精がさまようような香りがする。何と素晴らしいのであろうか。雨の降るのも忘れて思いにふける。
雨に打たれる木の葉よ
大きな雫をぽたり落とす
ほらあの葉もぽたり
賑やかな妖精の涙かな
雨に打たれる木の幹よ
長い雨の雫幹に流れる
ほらあの幹も流れる
嬉しき妖精の涙かな
雨に打たれる林よ
雨のもやがただよう
ほらここの美しき森に
楽しき妖精の涙かな
ガレ場に囲まれた盆地のような中を歩いて行ったら、道が行き止まりになった。
首をかしげながら、行き止まりのガレ斜面を登ったが、道らしきものが見つからなかった。引き返してもう一つの道へ歩いていったら、土砂崩れで道が無くなっていた。
土砂の上を歩いて、トンネルを探したが見つからなかった。時々大雨も降っているので、諦めてリタイヤして帰ることにした。
雨に濡れた美林の中を歩いていると、あっちこっちの水たまりに沢山の動く物がいる。何だろうと思い、棒でひっくり返したら イモリであった。すぐに起きてシャンとしている。逃げるイモリは、一匹もいないで目がこちらを見ている。人に会うのが初めてのように見ている。
コウモリをさしながら、水たまりの中に入って暫く戯れていた。
イモリ君こっち向いてごらん
我と仲良くしよーう
ちょっとそこのイモリ君も
こっちへきなさーい
顔をもちあげて雨に打たれ
何処を見ている
木々の葉から垂れる
水滴に浮かれているのか
雨が好きなイモリ君
また雨の日に会えるかな
ちょっと仲間が呼んでるよ
早く水溜まりに行きな
いつの間にか小雨になり、地面から湯気が上がり、薄いもやをなびかせた道を、ひたすら歩く。時々えぐれた斜面から小石がリズミカルに落ちてくる。
歩き始めて3時間30分の歩く旅も終わり、一路清見村の大谷へと愛車を走らせた。
★森茂林道ゲートから御前岳をこめて
赤谷付近のゲートから引き返して、いつしか晴れて、お昼ごろ清見村の大谷へ走って、森茂林道1号線のゲート前の広場に、愛車を止める。
森茂林道延長16kmで、2001年8月31日まで工事の為通行止めのカンバンを確認する。
濡れた雨具や靴下・ザックを乾して、広場の草を刈る。時々タンクローリが、来て田んぼの小川で何やらしているようだ。昼寝をしてから、食事の用意をして明日の準備をした。
もろこし畑を見つつ
小鳥のさえずりの囁き
暑さにビールを飲む
小鳥川から森茂峠へ
明日の歩く道定かかな
心配にかずけビール飲む
大空に晴れのシグナル
されど入道雲ちらほら
開き直りビール飲む
林道の工事関係者も下って、小鳥の声も静かになり、夕暮れになるとともに眠りにつく。
夜中に起きて空を見上げたら、雲が見えず夏の星空が素晴らしく輝いている。心は弾んでわくわくと眠れなくなる。明日の御前岳が、緑豊かな森に誘われながら、快適に登る姿が浮かんだ。
二、御前岳は、藪の空のかなたに
★雨上がりの道をテクテクと三ノ谷へ
あんなに星が輝いていたのに、未明から雨になる。登山を中止したくなるほど、しだいに激しく降る。
迷いながら食事をして、登山の用意をしていたら、しだいに晴れ上がってきた。青い空が見え小鳥の声が聞こえてきた。
川沿いの土手に雑木林が続いて、舗装のない林道入り口から、5時ごろ出発する。杉林の林道を歩き、峠の方面から流れてくる川を渡り、小鳥の声を聞きながら、いくつかの道路工事の終わった所を通り過ぎて、森茂峠に着いた。
乗用車が2台止まっていた。夜中と朝方、車がの音がした。土日で工事関係者が、休みであることを知って来ていたようである。
工事の爪跡を見ながら右へカーブして行くと、その先で工事中で泥んこの土で歩きにくい状態である。なんとか通過した。暫く歩いたら、釣り人が帰ってきた。
「おはようございます」
「あー駄目だ ゼンゼン釣れない」
「今日は、帰りだ」
「リック背負った人、行きましたか」
「自転車乗った人行ったよ」
暫く車道を歩いて行くと、道が半分以上が崩壊している。橋に倒木が重なって遮断している。自転車を担いで、倒木の山を超えている。
橋を渡り、森茂川を右に見るようになった。大谷橋を渡りカンバンを見る。引き返して林道を歩く。左の沢から土砂が崩れていて、道に倒木や石が散乱している。暫く行くと橋が無くなっている。川に入り林道に這い上がって、少し歩くと森茂橋が見えてきた。
無事な森茂橋を渡り、もぐさやススキが道に生えて行く手を邪魔する。雨で濡れた草が、衣服を濡らす。平坦な林道を暫く歩くと、寸断されて、川になっている。
川に下りて70mぐらい徒渉して再び、林道に這い上がる。いつの間にか森茂部落跡らしきところを過ぎて林道が林の中へ大きくカーブして、一ノ谷に着いた。
ザックを下ろし、写真を取りながら、休憩をする。
沢を渡りまもなくニノ谷に着いた。ニノ谷の手前がテント地に最適な場所である。
橋が落下した残骸を見ながら、落石が散乱している林道を行く。右から小川が流れて、その付近がテントにほど良い林道の広場になっている。
三ノ谷が見えた来た。土砂が崩れて完全に林道が、くさがっている。滑落しないように慎重に渡る。林道が削り取られ、狭くなったところに、もぐさや小木が生えている。草や木の枝に邪魔されながら橋脚の前に、9時20分ごろ着いた。
★藪尾根から御前岳に向かって
橋脚の右の崖を下り、川を徒渉して三ノ谷と、オクゴセン谷の間の林に着いた。ザックを下ろしてオクゴセンの水を飲む。弁当を食べながら、地形を見る。
確認の為、三ノ谷を20m程登って、右斜面を見たが、道らしき跡は、見つからなかった。草が踏み荒らされた形跡が全く無い。そこからザックのところまで、林の中を通って行った。
水場が最後なので、たっぷりと水を飲んだ。
覚悟を決めて10時ちょうど、目の前の道無き岩斜面を登り始めた。直登のせいか、かなりきつい登りである。小枝を握ったりして、暫く登ると植林された杉林の、下草刈りした後に、元気良く伸びているリョウブの木や、タラのき木などが、行く手をさえぎっている。また刈り取った木が足元を不安定にしている。
バラや小枝を握って30分も登って行くと、自然林が見えてきた。いつの間にか道らしき跡が出てきた。ホットして休息をとる。時々青枯れの、折れた小枝があった。若葉が出始めたころ、誰か来ているようであった。
踏み跡をたよって、高度を稼ぎ快適に登っていくと、突然消えてしまった。道を開拓しながら登って行った。
右手が断崖になっている岩に出た。岩の稜線を登って、再び竹藪をかき分けて登った。しだいに自分の背丈以上の竹藪になり、見通しが効かなく、歩く隙間も無いほどの藪尾根である。なるべく右へ右へと意識しながら登って行った。
突然御前岳の稜線が見えて来た。そのうちに、腰ぐらいの笹藪になり、踏み跡にでる。そこで休息をとる。笹の中に、ニッコウキスゲが咲いていた。踏み跡を下っていくと、ササユリがあちらこちらに咲いていた。そのうちに踏み跡が無くなってしまった。しだいに背丈以上の笹藪に苦戦しながら、下り登り返して、ようやく15時10分、御前岳(1816.48m)の頂きに着いた。

猿ケ馬場山から御前岳を見つめて、いつか三角点を自分の手で触ってやろう。そう思いながら登る機会を待って、幾度となく、御前岳への登頂意欲駆り立ててきだろうか。そして今ついに、頂きに立ち、一等三角点に静かに触り、語りかけてしまった。
この遥かな御前岳にやってきた
静楽な山々の彼方を見つめて
登頂の感激に酔いしれる
静かに目を閉じて耳をむけると
御前岳の歌声がこだましている
この遥かな御前岳にやってきた
一等三角点を触って見つめて
登頂の感激に酔いしれる
静かに目を閉じて耳をむけると
三角点を運んだ人の苦労が伝わる
この遥かな御前岳にやってきた
標識御前岳1816mを見て
登頂の感激に酔いしれる
静かに目を閉じて耳をむけると
めっこ山岳会の苦労が伝わる
この遥かな御前岳にやってきた
東方の頂きに登り見上げると
登頂の感激に酔いしれる
静かに目を閉じて耳をむけると
御前岳の雄大な姿が呼んでいる