2004−01−25筆 波高し沖の島[妹背山]
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黒潮流れる彼方の海に浮かぶ
白亜の断崖に秘められた伝説
四国の西南端に沖の島あり
亜熱帯植物に囲まれて
伸び伸びと暮らす島民に
海の幸を齎して幸せを与える
ロマン秘めて人を呼び
訪れて人々に安らぎを与える
沖の島に聳える妹背山に
登って青い海を見つめ
見渡せば何を得るのか
文明の道が分かるのか
そんな島に訪れて歩いてみたい
1月24日(土)夕方の4時頃、四国・高知県、宿毛市の舟乗り場(片島)に着いた。大きなフエリーが止まっていたので、明日乗る船かなと思って近くに居た釣り人に聞いたら
「ちょっと詳しくないので、あそこの案内所で聞いて下さい」
と言われて行ってキップ売り場の売店の女の子に聞いたら九州へ渡るフエリーであった。外に出て教えてもらって沖ノ島へのキップ売り場に行った。トイレに行ったら丁度乗船の関係者の人と出会って待合室で詳しく聞かされてから、愛車を沖の島の船乗り場の海辺にある無料駐車所に止めた。
御飯を炊いておかずを作って、お酒を飲みながら夕食を澄ませて次第に沈みゆく日の入りに見とれたりして、釣り人を載せて帰ってくる船を見たりして過ごした。駐車所は次第にガラガラになって小生の愛車を含めて3台ぐらいになった。
夜の10時頃から次々と乗用車やワゴン車が波止場に来て駐車所に止めていた。朝4時頃までエンジンかけっぱなしでいる車もいたので熟睡は出来なかった。駐車所は一杯になってからは、家と家の隙間などに止めて賑やかな夜明け前であった。殆どの人達は釣り人で5時ごろまでに車内から消えて小舟に乗って海に出て行った。
フエリーに乗るために朝方やって来た車の人達か止め場がなくてあっちこっちに走って駐車所を探していた。早めに朝食を澄ませてからタッパに御飯を入れおかずを入れて弁当を作って、ザックに入れて待合室に行った。
待合室に先に着いていた人達に
「おはようございます」
と挨拶してキップを買って室内を見ている内に高知県の役所の人達や宿毛市の役所の人達が来て名詞交換をしていたり妹背山に登りに来たご夫婦さんに地元の人達数人が集まって来た。
「登山ですか」
「どちらから来たのですか」
「長野県からです」
「ここが良く分かったですね」
「ネットで調べて来ました、ネットでは6時30分となっていましたが7時になっているんですね」
「7時になったのは1年も前からかな、ネットはまだ変更してないのかな、なにやっているんだ、今度直すように言っておくよ」
とハキハキした表情を見せながら一時の会話後に船に乗り込んだ。
船が7時に出港した後、靴を脱ぎ畳み敷きの広場に座ってメモ用紙に辞書と俳句歳時記を出して、詩や俳句を作りだしていたら船が前後に揺れだしてきた。
「もっと沖に出たらこんなものではないよ、もっと凄いから」
と言われているうちに、大きな波に船は持ち上がり空中に浮いて海の上にドシンと落ちて人の体が宙に浮いて下に叩きつけられた。
恵みのお日様は
海から顔を出して
沖の島へ呼んでいます
海の波はツンツンして荒れて
船は飛び跳ねています
カモメはスイスイ空と
海の荒れはなんのその
気にもせず飛んでいます
高い波がやって来ました
飛沫を飛ばして船にぶつかりました
ドーンと音を出しながら
左右にも揺れています
人が宙に浮いてドシンと落ちて
人が揺れています
馴れない船にフラフラしながら
進む先は沖の島です
景色を見るゆとりもなく
長く感じる船の中
早く母島に着かないかな
島に近づいて来ましたが
船は今だに飛び跳ねています
湾に入ったら静かなさざ波に
疲れがどっと押し寄せて
フラフラして酔っています
こんな状態で船は時速40kmで走っていった。次第に小生はあげっぽくなってきた。もう耐えられない状態になった頃、8時35分に母島に着いた。高知県の役所の女性から飲み方を説明されて酔いどめの薬をもらった。それから船から下りて少しフラフラしながら舗装の道を役所の人達と一所に歩いた。
「登山道はこっちかな、ああここに案内板あるぞ」
と役所の人に見つけてもらって石段を登って彼らは右へ行き小生は左手の道へ歩いて行った。少し歩くと一人のおじさんがジョギングしていた。
「おはようございます」
「登山かねー」
と挨拶を交わして村の事などのお話をして歩いていると、ハーモニカの音色が聞こえてきた。離れ島の静かな小高い所で静かに吹いているリズムに吸いよせられて行くと学校の先生であった。今日は学校が休みなのでのんびりとハーモニカを吹いていたのであった。
登りゆく石段から土道に歩けば
ハーモニカの唱歌の音色
何処からともなく聞こえてくる
沖の島に夢を運んでくれる
美しき音色に包まれて
瞳を輝かせて通うわらべ
石段を駈けて笑う草木
立ち止まって道草して通う
学校の生徒が現れるのかな
それとも島を賑わせている
島中掘り起こして困らせる
元気一杯の猪の生徒かな
我も島の生徒になったように
シルクロードからの贈り物
輝かしい文明の海の道から
仲良し山道歩いて唱歌が聞こえてくる
さりげなくハーモニカ吹いている
沖の島の先生にのどかさを頂き
歩く足どりも船酔いにさめて
元気良く歩いて妹背山に向かう
「猪が沢山いるから棒を持って行ったほうが良いよ」
と言われて先生と別れて学校の所でジヨギングのおじさんにここが登山口だと教えられて、そこから一人になって登って行った。昔畑として使われていた山肌の跡が沢山あったが今は放棄されていて自然林が生えていた。
痩せた土地には落花生が良いとか言われているが、猪に狙われていては植えられない。あらゆる所が掘り返されている岩土を見ながら沢山いる猪にご対面に備えて棒を持って山頂への右手の山道を登って妹背山403.8mに9時30分に着いた。
砲台の跡なのかコンクリートやレンガの破片が散乱していて、四角なったコンクリートの中に溜まっている水に氷が張っていた。木々を刈り払われて間もない状態であったり、工事用のパイプが組み立て途中になっていたりしている一等三角点の頂きであった。
うっすらと太陽の日差しが照っているが寒けのする頂きでキューイフルーツやミカンを食べて写真を撮ってひとときを過ごしてから下った。少し下って右手の道へ歩いて仏ケ丘に行って[西国三十三体地蔵][四国八十八体地蔵]に立ち寄った。仏像を右から左へ見渡しながら礼をして各仏像を歩いて見て回った。暫く歩いて[三浦一族の墓]に着いた。自然石で作られている墓か何かの印なのか見るために墓の上部に行ったりして一回りしてからさらに奥へと歩いた。
次第に道が不明確になって大きな岩石に出会ったりして、大雨の時に流された溝のような道に見える所に出た。時々切られた小枝を見つけてそれを頼りに歩いていくとNHK高知放送局の看板があった。これ以上深入りは良くないと判断して引き返した。引き返す途中から弘瀬への下り道を歩いた。この下り道は石段で大きな石や自然石をうまく利用して道にしたあったりと昔の香りを発散している素晴らしい山道である。
山道から弘瀬部落に入るところに猪除けのゲートを通って迷路の石段を下って行ったらおばさんと出会った。
「まるで迷路のようですね」
「そうなのよ、何処へ行くにも石段を歩かないとね」
と買い物に行こうとしていた。
「年をとったからと石段が歩けないなんてなれば、何を言われるかわからないね」
と沖の島で暮らす島独特の生活様式におばさんからお話を聞きながら石段の道を一所に下った。
11時22分頃、舗装された道に出て海辺にある「沖の島観光案内板」を見て足摺宇和海国立公園の石碑で写真を撮ったりして休息した。それから道をトボトボ歩いて学校の庭に寄って道に戻って歩いていると海の礼風にさらされながら雪が降り出してきた。フリースを着ているが体が次第に冷え込んできた。
かなり道が海岸より高くなった風の来ない所で生えていた所でススキで箸を作って12時に昼食にした。小高く飛び出た所にある白岩岬公園に立ち寄った。トイレ水道がありキャンプが出来る施設が整っている[四国最南端の灯]の石碑を写真に撮って吹き荒れる岬から引き返した。
母島に来てから、明治19年(1886)東京に生まれて昭和35年(1960)74歳で亡くなった歌人・劇作家の[吉井勇−歌碑]を見て13時27分に母島船乗り場に着いた。近くの酒屋さんで船が出るまで店の前の椅子で休ませてもらった。
休んでいると酒屋のおばさんがお茶と饅頭を持ってきてくれた。
「寒いからお茶でも飲んで温まって」
と言われて暖かなお茶を飲んだ。そこへ酒屋の親父さんがやって来た。沖の島で出たゴミは宿毛まで船で運んで行く話などを船が来るまでお話をしていた。船が来たのでキップを買って外に居たら、酔いどめの薬をくれた女性達もやって来た。
「薬飲んだ」
「さっき飲みました」
と答えて殆ど朝乗り込んだメンバーが船に乗った。
「客が少ないですね」
「この船は赤字だ、島に走っているバスも真っ赤かだ」
と島には必要な足であるが、赤字で宿毛市では煙たい感じであった。
行きより帰りの方が酷い揺れ方に飛び跳ねて走っている船であったが、酔いどめ薬を飲んだせいか酔わずに宿毛の片島港に着いた。妹背山に登られた人と山のお話をしながら船を下りて、宿毛市と高知県から「猪対策」に来た役所の人達と別れて愛車に16時55分に着いた。
荒れた海出て船は飛ぶ
不慣れな我は船酔いに
酔ってフラフラと歩きにか
ハーモニカ聞こえ安らいで
山道行けば妹背山
観音様を尋ねてや
島の歴史を噛みしめて
石垣見つめ生活の
様を知ってゆく古の香り
石段駈けて住民と
島を語れば海の味
牡丹雪降り凍てついて
白岩岬風強く
寒々しいか我の身も
島は寂しき風の音
追記
沖ノ島は、 四国の高知県の南西に浮かぶ島
面積は約10ku 東西約3.5km・南北約5.8km
周囲は約24km 一番高い山は、妹背山 標高403.8m
歩いている時知り合ったジョギングのおじさんが、この島には猪がいなかったと、ごく最近になって猪が増えてきた。猪が海を泳いで来て子孫を増やして沖の島全体を荒らすようになったそうである。県も対策に乗り出してきたが、どんな解決策をとるだろうか注目して見たい。
波高し沖の島[妹背山]